広島自治体問題研究所
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第1回 事務局会議内勉強会報告
   [自治体戦略2040構想研究会第1・2次報告]
 

 (2019/07/31)
 
  2019年7月24日広島自治体問題研究所では、定例の事務局会議の前に、短時間でも、時の課題の勉強会をやろうと、第1回として「自治体戦略2040構想研究会第1・2次報告」を取り上げ、7人で討議しました。この内容の概要を報告します。
 この勉強会は、誰かが講義してそれを聞こうというものではなく、参加者が自分の思っている意見を出し合うスル―なものとして発足しました。
 18時から始まり20時15分の間でしたが、これをまとめてみると 10項目に上ることが話されたようで、今回のこの報告書は、究極的な新自由主義の報告書であるという意見になりました。
1.報告主導者:山ア重孝とは
  この報告書の主導者で、この報告書の性格概要が解ります。この人は、総務省・自治行政局長を務めた山ア重孝という人で内閣府事務次官兼皇位継承式典事務局長を歴任していました。今回の報告書は、「増田レポート」の『人口減少』論を無批判に受け入れ、逆算的な発想で地方制度改革を求めています。
2.構想の柱
 この報告書の柱は、スマート自治体と、公・共・私による暮しの維持と、圏域マネージメントという3つのものです。それぞれについて概要が、端的に報告されました。
 報告の中で一番気になったのは、スマート自治体が法案化されようとしたのですが、この時の内閣法制局から憲法違反だと話が出て、「法律で掲げているものを超えて条例で定めることを認めるようなことはできない、そうすると何でも自治体が出来るようになる。」と、ストップがかかったのだそうです。けれども、今回の報告書ではこれを更に進めようとしているようで、かって内閣法務局が指摘したことをごり押しするとは、この報告書のいびつさがよく解りました。
3.減少人口の実態を知ろう
 今回の報告書の前に出た「増田レポート」などに対し、多くの自治体が閃々汲々として怯えを正すことが、出来ていませんが、これを最大限使っていることに対する批判として、現在の広島市・広島県の実態をよく知ろうという意見がでました。人口が減ることで一番最初に大げさに出てくる症状が、保育児・幼稚園児の動向だと思います。またこれに伴う、公共機関の足の数や、公務員の数の動向です。その一方で放置されている、東京一極集中の状況など、どうあるのか明らかにされました。
4.AI導入の意図
 この報告書の新しい分野であるAIの問題について議論されました。三菱総研など37団体が関与して、川崎市で、地方自治体の事務のAI化のソフトやマニアルを作っていることが明らかになり、今後このシステムの利用を呼び掛け開発費の回収に向かうようです。圏域・地域自治組織の区分と機能について、今後地方自治法改正が提案されるようです。
5.この報告書の進路
 今までの地方調査会調査報告は、地方をどうデザインするか、法制度をどうするか、の二つの分野は分けて報告書作成後積み重ねられてきましたが、この2040構想は法制度まで報告するような動きが出ているようです。小早川先生は、これは、危険な動向だと批判されているようです。今後東京一極集中を改善するとか、地域自治組織の具体化などのアイデアや法制度化など、多様な方向性が考えられますが、先生の危惧に同意されます。また地域自治体職員や民間の人たちが、具体的な課題で困ったことを相談に来た時、地方自治体職員は、専門性を活かしアイデアマンになり、知恵を提供するように報告書では書かれており、担当者ではないとされ、ナショナルミニマム制度は過去の言葉になっています。
6.この報告書の問題点 
 この報告書には、人権、権利、環境問題などの言葉は一切ないのです。2040年の日本は、こんな大変なことになっており、人が減るのだから、さあどうするのかのみを問うだけで、憲法に規定された視点がないのです。
 今の政府には、自治体消滅に追い込んだ責任は関係ないのか、報告書では人口の減り具合を、赤く区分してランク付けを行っていますが、自治体にとっては脅迫を行っているようなものです。
 また、別な視点から、スマート自治体などを作る時に、ビックデーターを三菱総研などの大企業がコンサルに入り使っており、AI化などを進めるのです。これが今後広く使われますが、大企業などは、このビッグデーターで市場調査を大胆にできるようになるようです。企業のもくろみはここにあるのではないでしょうか。
7.具体例としての庄原での意見交換会からの意見
 庄原で、住民票の窓口問題で意見交換を行いました。安芸高田市は、住民票の窓口を民間委託をして、民間の人が担当していますが、偽装請負にならないか、検討をしています。このことに対し、国からの文章には、『偽装請負にならないように、民間に譲渡しなさい』と注意を書いているそうです。
 また、災害対策の問題では、実際災害の時、避難所を設けても、避難所が川のそばにあり、一番危険なところに避難することになったりしており、地域の実情を知っている公務員が実際いないことが明らかになって、AIで作ったからと言っても生きたものになりません。これが現実に起こったとのことです。以前、国土開発計画がそうであったように、全国画一化した計画が作られました。役人としては楽であり、考えずに済む誘惑があります。
8.この報告書にどう対処するか
 この報告書に対応して批判し、ぶっつけても、相手側は、それはAIで出来ますよ、とまたAI対応を返すのみで、批判の的がそんなことではない、こんなことが大事だと言っても、上滑りしているだけで、かみ合わないと思います。
 AIで人間を幸せになれるという前提に立って、社会を改善すると目指すという前提に立たなければいけない。この観点が必要ではないでしょうか。
9.広島県の人口動向について
 全国の人口の動向の表から、広島県だけを取り出した表を見ると、1万人未満の市町はどうなるのか、これらの地域は人が住まなくてもいいと具体化されます。大崎上島町がこれに挙がっていますが、今H学園を整備し人を呼び込もうとしています。また、坂町などは、災害が出て、すでに住まないという人が多く出ております。災害で急速に町の人口が減る歴史は数々あります。
広島県知事や広島市の松井氏はこの文章をどう見ているのか、広島200万人都市を掲げて、この報告書の実際の流れを作っていますが、今後周辺市町がスポンジ社会にされていきます。都市の中心として広島市を設定して、市町の垣根を越えて連携をやっていきます。広島市はサービスを提供する都市として生き延びるのだとなっています。県境廃止はすでに医療圏域設定施策で出しております。このような圏域設定は、全国的にはいくらぐらいの地域があるのか、広島県での設定はどうあるのかを見たいと思います。
10.究極の新自由主義
 自分のことは自分でやる、だけど自分ではどうしようもならないことまで、自分でやらなければならないと、国民の中に入っているのでしょうか。これらの発想として、自己責任論、生活習慣病などの言葉が以前早期から培わされてきたと感じます。このような思想がかなり国民に受け入れられている、地域のことを自分たちでやりなさいとなっているのではないでしょうか。
時間がきてしました。
8月23日も、概要を持ってきてもらい、対策について考えてみましょう。
 
以上乱雑にまとめておりますが、次回8月23日(金)18時から広島自治体問題研究所で引き続き行いますのでご参加ください。
添付は「自治体戦略2040構想研究会第1・2次報告で各自でご持参ください。資料アドレスは、 http://www.soumu.go.jp/main_content/000562116.pdfです。
また、ぜひ自治研発行の「自治体戦略 2040構想」と地方自治」を読んできてください。

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