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広島県民の「命の水」のゆくへ 
(U.今まで広島県での水道経営の実態は
   その2 指定管理者「株式会社水みらい広島」とは

 (2020/03/30)
 
大企業の構成する団体と広島県の力関係
広島県の水道管理 
 広島県が、県民の「命の水」づくりを民間事業者に委託することを本格的に開始したのは、湯崎県知事が就任して間もなくのことでした。知事は、通産省出身の人で、民間企業の育成、イノベーション事業に多くの思いを持って就任されています。しかし、当時は企業局の水道事業を、一般の民間企業に委託運営することは、反発が厳しく、仕方なく一時期公と民の連携した事業体を創り隠れ蓑として広島県を誘導することにしたのです。
発足の弁
 湯崎知事は、公と民の合同会社を設立するにあたって、次のように説明しています。
「水みらい広島」は、2012年9月に水道事業体である公営企業「広島県企業局」と水・環境の総合事業会社「水ing」の共同出資・PPP※により生まれた、未来を担う新しいカタチの企業です。https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/chijibulog/gblog240828.html知事のプログより 掲載日:2012年8月28日
  と説明を行っています。これに合わせ、
 株式会社水みらい広島は,県営水道事業の運営基盤の引き継ぎのみならず,市町から水道施設の維持管理業務等を受託するなどして県内水道事業管理の一元化を求め,(このことは各市町の水道事業をとりまとめ役を明確に打ち出し、公の責任を回避する宣言を行っていたのです。)スケールメリットの発揮により市町の水道事業の安定化に寄与するとともに,国内外での新たな収益源の開拓など(営利企業としての発展での収益を見込むことの宣言ですが、)により,県内経済の活性化(経済の活性化が即県民福祉の増加に結びつかない)にも貢献することが期待されます。民間が,株式の65%を保有する(公の意見が十分入らない体制であることを認めています)公民共同出資会社は,全国的にも先進的な取組で(これ以後あまり全国下では進んでいなかったのです)あり,水道分野における公民連携の新しいモデル(安倍内閣の中心的政策になっていきます、そして水道法の改正への手掛かりに使われています。)として注目されています。と高く評価しています。
  この会社の持つ性格について、県営水道以外各市町の水道までも維持管理するスケールメリットを売り物とし、民間が株式の65%を保有する全国でもまれにみる会社ということは、前回の広島県議会でも問題視されています。
 県営水道の指定管理業務
 県営水道事業の指定管理者による業務開始について 企業局の発するホームページhttps://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/kigyo/seibusiteikanrikaisi.html(掲載日:2015年4月1日)を参照します。
 沼田川工業用水道及び沼田川水道用水供給水道において,2015年4月1日から,県と民間企業の共同出資により設立した公民共同企業体,「株式会社水みらい広島」(http://www.mizumirai.com/)による指定管理業務を開始しました。
1 経緯
 県営水道事業は,水需要の減少による収益の減収老朽化施設の増加職員の大量退職による技術力の低下など様々な課題を抱えています。
(これらの課題は、県としてのしっかりした運営が行わず、責任転嫁にすぎません。県職員の退職数などの変動などは、人事管理の失敗なのです。これを改めることは可能だったのです。)
 県では,将来にわたって安定的な水道システムを維持する方策を検討してきた結果(この検討資料の中に、地域住民のいのちとくらし、地域経済を大切にする考えは一向に謳っていません),民間ノウハウを活用して効率的に運営できる新たな仕組みとして,県と民間による共同出資会社を設立し,指定管理者制度を活用した,共同出資会社による県営水道事業の管理を導入することにしました。
 県は,2012年10月に公民共同企業体である株式会社水みらい広島を設立し、2013年度からは,広島西部地域水道用水供給水道に指定管理者制度を導入し,その後,2015年度からの沼田川工業用水道及び沼田川水道用水供給水道も指定管理者制度導入されました。
2 指定管理業務の範囲
 指定管理者である株式会社水みらい広島が行う指定管理業務は次のとおりです。
 ・水道施設の運転監視業務
 ・水道施設の維持管理業務
 ・水質管理業務
 ・給水の緊急停止,庁舎管理 など

  また,「株式会社水みらい広島」とは,水道法第31条により準用する第24条の3の規定による第三者委託契約を締結しています。*第三者委託とは、2002年4月に水道法の一部が改正により、新たに創設された水道法第24条の3に基づく委託のことで、浄水場施設の運転管理や水質管理などの水道施設の管理に関する技術上の事務を第三者に委託する契約を「第三者委託契約」といいます。
 なお,経営計画の策定,料金改定,水道施設の所有,建設改良計画の策定,建設改良事業の執行などは,これまでどおり,県で行います。
  指定管理者会社に対する点検は毎年行われていますが、県民の声は聴いていません。その評価ですがすべて適正だったというものです。
 以降会社の運営は、県企業局を後ろ盾に、次から次へと委託事業の拡大を行い、県職員の退職者を受け入れるとともに、職員の内訳も民間人を多く採用するようになり、経営的にも民間企業として順調なものを示しています。
 公表された決算報告から
 「株式会社水みらい広島」の2012年度から2018年度の7年間の決算報告を取りまとめhttp://www.mizumirai.com/info/index.html、1.企業の収益性分析、 2.安全性分析、 3.効率性分析、  4.成長性分析について、経済指数基準に基づき算出し、2019年では、次の主要率を出してみました。
・売上高売上総利益率(粗利率) 8.7%
・売上高営業利益率                1.5%
・売上高経常利益率                1.6%            
・流動比率(短期的)             116.4% 
・固定比率(長期的)                33.3% 
・総資産回転率                  1632.3% 
・売上高成長率(増収率)     34555.4% 
・総資産成長率(増益率)        186.9%
 とかなり「株式会社水みらい広島」の民間企業としての事業成績はこんなにも優秀な数値になっています。このことは、国会での、水道法改正研究会の大事な資料と使われるだけでなく、一広島企業だけの問題ではなく、大手企業(三菱商事・荏原・日揮)水ingの成果でもあったのです。
 公が持っていた、古くからの水道管理と地域管理技術はどうなっていくのでしょうか、今後の水道料金の値上げが心配です。再生には多くの時間がかかることでしょう。
 
徐々に県内市町と連携を積み重ねています。
DL:74.xlsx

(水みらい広島の決算分析.xlsx)
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