広島自治体問題研究所
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さあ 2021広島県県政白書取組むにあたって 2
 

 (2020/12/07)
 
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/hiroshimavision/index.html
5.現在抱えている広島県政の課題とは その1
 
@「安心・誇り・挑戦 ひろしまビジョン」を検討する
 湯崎知事は、2度目の長期計画を2020年10月に告知しましたが、その発表の記者会見を、2020年9月15日に行い広島県の現状の認識と対策を述べています。
 私たちは、広島「県民の命とくらしを守る」という視点からこの計画について考えてみましょう。
なお、この計画書は、県のホームページに載っておりますのでまずそれを読んでください。
安心・誇り・挑戦 ひろしまビジョンとは
 記者会見で、湯崎知事は、次の10年を見据えた次期総合計画はどのような方針で策定したのかと問われ次のような点を挙げていました。https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/kishakaiken/gpc-20200915.html
 新たなビジョンのポイントは三つほどあります。1点目は,「安心・誇り・挑戦」をキーワードに据えたというところであります。2点目は,ポストコロナにおける「適散・適集社会」のフロントランナーとなることであります。3点目になりますが,空間的な制約を解消するデジタル技術を積極的に活用していくということと言っています。
また、まずは「DXの推進」がございまして,さらには「ひろしまブランドの強化」,それから「生涯にわたる人材育成」というこの三つの観点,三つの視点を施策を貫くものとして重点的に取り組むことで,目指す姿の実現に向けて,着実に成果に繋げていきたいと考えているところであります。
 と述べています。
県の出前講座
 この度この計画書に対し、県の出前講座を開催していただきましたが、私たちの中から、上がったのは、この計画書が何を言いたいのかわからないとういう言葉でした。表題に『安心・誇り・挑戦』と書いてありますが、言葉の羅列にすぎず、何をやろうとしていくのか、読んでみても具体性が浮かばないのです。やたらのKPI・AI・適散・適集社会・DXなど新しい造語が並び、現在をどうとらえているのか、誰にとっての強みなのか、誰が実施するべきなのか記載がないのです。もしかしてこれらは私たち県民が行うことなのでしょうか。
 また今、広島県が抱えている周知の課題である、コロナ感染、災害・危険個所の防止策・国民介護保険の一括運用問題・医療機関の統廃合問題、水道・空港の民営化の実施問題などなど多くの県民生活にとって大きな課題であるにも関わらず、これらは市町の問題ですとの口上が出てくるのです。
 こんな計画を今後10年間実施しようとするのですから、湯崎県知事が市町に繰り出て話し合いを持つそうなので、よく聞いてみてください。
 このような批判をすることが先に出て、このビジョンの学習にならないので困ってしまいます。
県政の新自由主義からの脱却を
 私たちは、県政白書で延べているように、今までの県政を新自由主義に則った、元気のいい産業のみを対象にし、福祉医療など弱者には手を掛けないで搾り取る、教育は競争で人材発掘を行う少数者に絞り、人格形成など全子どもを対象にする眼中にないと言ってきました。
今回のコロナ災害で全ての県民が対象となる禍が起き、県民全体を対象とする施策導入が必要となったと、今の県政で大丈夫なのかと、多くの人からの声が出たと確信していますし、今の資本主義体制で疑問を持つ認識が世界を駆け回っていると思います。にもかかわらず、今までの湯崎県政の継続を行おうとしているとしか言えないのです。 
「命とくらしを守る」このことが広島県の仕事であるという認識が、今の湯崎県政にはないことに、多くの県民の方々の認識に訴えないと、広島県を競争の世界に投げ込むため、様々な公的仕事を切り捨てて、効率性のみの追求を行う新自由主義の県政の推進を容認することになります。
注:「総合計画」の核となる部分が「基本構想」です。元々、「総合計画」の法的根拠は、地方自治法における「基本構想」の策定義務規定にありました。しかし、2011年5月の地方自治法改正により、「基本構想」の策定は義務ではなくなり、広島県は独自の思いでこの総合計画を立ててきました。
A 地方自治としての県のあり方
 地方と国との関係で、憲法第92条で地方自治の基本原則を述べ、地方公共団体の規定を行っています。
地方自治の本旨については、地方における政治と行政を、国から独立した地方公共団体の手にゆだねる(これを「団体自治」という)且つ、その地域の住民の意志に基づいて処理させる(これを「住民自治」という)という地方自治の原則を、日本国憲法は称しています。
 第92条 (地方自治の基本原則)
    地方公共団体の組織および運営に関する事項は,地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める。
 また地方自治とは、地方(ある国の中に存在する地域)の運営について、国の関与によらず、地方の住民の意志に基づき行うことをいっています。
このことを原則にして、広島県の町村合併や、権限移譲を総括すると、まさに、国のあり方からの発想であり、住民からの意志に基づく行為ではなかったことが、明らかになります。
また、この間の地方自治法の改正が、地方自治の本旨を蹂躙しつつ行われてきたことからも、住民自治の反映は行われていない状況が、日本国には蔓延し、地方自治の危機が叫ばれているのです。
今行われなければならないことは、住民の意思の確認であり、押し付けではない住民自治がイギリスで生まれた概念で、歴史的過程により発達してきたものであり、日本での発達段階は未熟であり、且つ曲げられている面があります。長きに渡る、自民一党支配の元で、またことなかれ主義・没個性の発達がされてきた教育環境にも原因が認められます。
 そして今回の動きは、新自由主義の効率優先・企業優先の中から、国のあり方を規定した帰結としての、分権改革の変質であったのです。
では、今日の広島県でのわれわれのおこなうべき作業は何か
この疲弊しきった行政組織から生まれるものは、県民は期待・感心すら持っていなくなっているのではないか。
一方大きくなった基礎自治体は、わが身のあまりにも大きな責任と、貧しい財政のため、身動きが取れなくなっています。
 そこでおきている問題の一つ一つを明らかにし、解決の道筋を示すことが必要となっています。 
 このことは、各所の経験の交流により、見出されるものであり、地域間交流を行うことによって、交流し学ぶことが出来るのです。
地域の問題の解決を、狭い視野で解決を行うことは至難の技であり、今こそ、日本全国の英知の交流を強め、自分の地域にあった解決方法を、自らが掴むことが出来るように励ますことがわれわれの仕事になります。
卑しくも住民の負託にこたえるべき、議員・公務員の活動を喚起していくことになるでしょう。
 まだまだ、市町には県行政としての補完事務は残っているのであり、市町の行政能力の育成にもっと突っ込んだ姿勢が求められています。
参照:自治体問題研究所からの参考文献です。
 
https://www.jichiken.jp/book/9784880377148/
https://www.jichiken.jp/book/9784880377193/

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