広島自治体問題研究所
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2022年7月号読者ノート

 (2022/06/28)
 
編集局より
 もともと社会が持っていた歪みがコロナ禍で浮き彫りになったように、子どもの困難はよりつよく明らかになっています。子どもの権利条約で保障されるべき様々な権利が脅かされ、特に子どもによる自己決定、自分の意思を表現する権利が奪われています。こども家庭庁は果たして子どもの視点を尊重するでしょうか。特集では真の意味で子ども自身の声を発するための様々な取り組みを紹介することで、子どもの権利保障に正面から向き合いたいと思います。
目次
◆直言 最低賃金と公務員労働者の不条理 政村 修

 最低賃金の適応について自治体労働者、国家公務員の初任給手当(高卒初任給15万600円=時間額897円)などが、不合理な実態が綴られています。春闘の後半であるにもかかわらず、物価上昇の急激な変化に対応できて異なことが明らかにされています。この物価上昇率は「消費税3%に匹敵」と言われ、賃金上昇は2%とは賃下げになるのです。最低賃金を大幅に引き上げ、「生計費」に見合った水準にしていくことが急務です。
●連続企画● 「新型コロナ」から日本の社会を考える 第25回 コロナ禍で浮き彫りとなった非正規労働者・シフト制労働の問題 川口智也
労働分野での働き方で、シフト制労働者を生み出しているのです。居酒屋で働く若者たちの多くが、具体的に働く曜日や時間を明確な記載なく一定期間ごとに「システム表」などを作成して、学校の授業などとの調整をしながら、実際に働く日時を決定するのが一般的なのだそうです。このようにシフトによって働く日や時間が決まる労働者が「システム制労働者」です。シフト制であることを理由にして、休業補償を拒む企業が後を絶たない、シフト制労働者は、休業補償がなければ無収入になってしまいます。このことが、コロナ禍で多く発生していたのです。そのためコロナ禍での学生で、大学生活が困難になり退学した生徒が多くいます。またシフト制の労働者の多くは女性であると言われています。シフト制であっても、労働契約書や労働時間を特定することが可能な場合があり、書面がない場合でも、過去の勤務実績から労働日・労働時間を特定することが可能ですから、休業補償の支払い義務を認めるべきです。抜本的にシフト制労働者の問題解決の法改正を行うべきです。
●特集● いまこそ子どもを主人公に─コロナ禍が浮き彫りにした子どもを取り巻く困難と子どもの権利
「子ども期」の権利保障の総合的視点─子どもの権利条約に学ぶ 増山 均
 子供期の大切さは、この期がいかに人生にとって極めて重要な時期であり、その時期をいかに充実した時間として過ごせるかは子供の基本的権利だということを私たちは基礎に置かなければなりません。
 ウイズコロナで、制約されていることがいかに子どもの発達を阻害しているのか、「友達と会えない、思いっきり外で遊べない、」の言葉に工夫した取り組み晴10(せいてん活動)が行われていたのですね。子どもの権利条約を再度振り返り、多面的・複眼的にとらえ、権利の総合的保障を行いたいものです。6つの柱建がされておりますが、その言葉の次に来る「すべての子ども・・・」というものを並べてみるとよくわかります。私は、「楽しみや心地よさを獲得できる文化や芸術への参加」、「失敗しながら育つことは子供の基本的な権利であり、その独自性は甦育(そいく)と呼ぶべきもの」を思い知りました。

川崎市子どもの権利条例の今 市古博一
 川崎市が子ども権利条約制定、最初の市だったのですね。また筆者はその制定にかかわりその後を見守っている人だと。ここに書かれている追跡は、まさにこれからも権利条約を再び輝かせる土台ではないでしょうか。このような活動者が広島にもいませんかね。
コロナ禍で社会の周辺にはじかれる子どもたち〜子どもの貧困と虐待の現実 浅井春夫
 コロナ過という子育て・教育の分岐点という指摘に、統計数値が語っています。まさにインフラが一時的であっても機能不全・低下した状態に遭遇したのです。給食は「もぐもぐタイム」として徹底指導が学校で行われていたのです。様々な体験的学びの中で人間的な知恵を獲得すること、そのためには自分自身が、“助けを求める権利”があることを学び、体験することが子育て・教育の課題としてあるのではないでしょうか。
社会の分断という現実の根底には、人間にはまっとうな自立した人間と反人間の厄介者がいるという新自由主義の人間観があり、そうした人間観が刷り込まれ、人間関係の在り方に大きく影響していると感じます。

子どもの学習権保障のゆくえ 南出吉祥
 学校教育の課題が、@教育費の私費負担割合の大きさ、A教職員定数・学級定員の問題、B教師の長時間過密労働問題など基礎的な条件整備から、いじめや不登校問題などへの対応、特別支援や外国ルーツの子への配慮など学校教育をめぐる課題は山積みになっており、学習権保障を実質化していくための道のりはかなり厳しい現状にあります。
 このような現状の中で、学習権保障は、「学ぶ機会(教育機会)を確保する」というだけにとどまらず、学習を可能にするための基礎条件も含めたものであり、学習教育を充実させるだけでは、学習権保障の実質化は進められません????基礎的生活条件の補償がされたうえで、初めて勉強に向かう姿勢が担保され、そこに学習が生起してくるのですから、「学びを苦行に変えてしまう場」(学習権を阻害する場)、にしない剪定が「学習支援」なのです。
学習支援という言葉から想起されやすい「勉強を教える」というよりは、「勉強に向かうことに付き合う」というようなニュアンスでとらえておくこと。学習権の定義や「学習とは何か」という問題にまで深めています。現状での狭く局限化された学習観を超えて、子供たちの生活現実に根ざした形での学習をどこまで実質化し展開していけるかということが、学校教育も含めた公共の施策として求められているのでしょう。

「ヤングケアラー」の現状と支援を考える〜民間団体の支援と行政の役割〜 濱島淑恵
 この言葉に初めて接しました。定義として、家族にケアーを要する人がいる場合に、大人が担うようなケアー責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行っている18歳未満の子どもとされています。この現状把握は2010年代半ばに入ってからで、2020年度になってから行政による調査が実施され始めました。民間団体として「ふうせんの会」の取り組みが紹介されています。https://peraichi.com/landing_pages/view/balloonyc/
トピックス 保育の「質」及び保育労働者の就労環境の向上をめざして─川崎市保育問題交流会の調査から 川岸卓哉
 株式会社が保育園の経営を行うと人件費の切りつめが激しいことが明らかになりました。このような調査が全国で行われ明らかになることが大切ですね。この運動を保護者と連携して行うことも大切ですね。
自治体DXの争点A デジタル改革と自治体の個人情報保護〜個人情報保護条例改正の論点〜 庄村勇人
 個人情報保護の観点が、2023年4月より変わります。これまでの自治体が独自に行っていた保護の施策が国の機関へ「一元化」すること、さらに自治体が個人情報保護に関する独自の対応を「制約」されることになるのです。国や自治体の個人情報保護制度の内容を見ると「OECD8原則」(収集制限の原則、目的明確化の原則、利用制限の原則等)が具体化される形で規定整備されており、この点では国の法律と自治体の条例とは共通する内容を持っています。個人情報改正の目的の一つとして個人情報について「保護と活用のバランス」を言うとしても、「活用」の概念がデジタル技術の進展に伴い変化することがあります。
自治体は個人情報保護のため必要であれば国のガイドラインを変更させるくらいの主張もすべきですし、徳島市公安条例事件における「条例が国の法令に違反するかどうかは、両者の対象事項と規定文言を対比するのみでなく、それぞれの趣旨、目的、内容及び効果を比較し、両者の間に矛盾抵触があるかどうかによってこれを決しなければならない」という規範に抵触しなければ条例を制定できることを確認しておきます。
 問題が見つかれば国よりも早期に発見し、リアルな住民と接し、いち早く対応することができるのが自治体です。

●連載●
人つながるO 川原地区に立つ「団結小屋」美術館 石丸穂澄

 戦いの中に美術が生まれるとは、ダムの時代を負わせるという広大なこと、「自分の居場所から発信したい」との連携し、石木川ダム建設反対の声が大きくなることを期待します。
新連載 公民館における出会いと学び 第1回 市民とともに学び合う公民館 田中純子
 社会教育としての公民館活動の根本をかたり数多くの目的を述べています。地域の人、一人ひとりを人生を豊かいにそして持続可能な社会づくりに貢献する公民館、この職員の果たす課題は本当に大きいと思います。
くらしと自治と憲法と 第14回 自治体議会─議員の多様性と反対派・少数派の役割 植松健一
 議会の現状から住民代表機能の欠陥、議会運用の欠陥があげられています。議会の民主主義の確立が本当になおざりにされています。ここでの少数派の存在がはたしている効果を改めて確認したいと思います。
検証 津久井やまゆり園事件を人権の視点から考える 第10回 施設運営における地方自治体の責任〜指定管理者制度と民間移譲 松尾悦行
 社会福祉施設での公から民への流れが、ケアワークが家庭から離れて社会化し、福祉サービス市場が広がりましたがその地域サービスは、低賃金で不安定な労働条件の非正規雇用で働くエッセンシャルワーカーによって、かろうじて成り立っているという根本的な矛盾があるのです。
 指定管理者制度そのものの弊害として、民間事業者によって少ない公費でより効果的かつ効率的なサービス提供を確保することが目的である。指定期間を定め、事業者を公募して選定し直すため、利用者の落ち着いた暮らしが定期的に壊され、支援者との人間関係が切断されやすいのです。第三に、民間事業者は公の介入をあえて求めないし、県のかかわりも控え気味にあるため、民間の柔軟な力を生かすという大義名分と県の運営指導が両立しにくく、お互いの責任があいまいになりやすいのです。家族の思いや支援者の願い、その労働条件を軽視することにもなり兼ねません。

シリーズ 地域発信 小さい林業で森を編集 第1回 地域おこし協力隊で林業を始める 滝川景伍
 地域おこし協力隊という制度が、2009年に創設され全国各地の市町に派遣されてきました13年の歴史が横たわっており、今回の人も卒業しており、3年間の市町村職員としての身の置き場と成長が実れば、地域活性化の担い手として、大きな役割が果たされているのだと期待します。林業という第一次産業のこれからの往くへを作り出す、「自伐型林業の普及と推進」を見てみたいと思います。また佐川町の姿も見たいものです。
おきなわ定点観測 第4回 復帰50年を迎えて─「屋良建議書は生きている」ことの二重の意味 関 耕平
 沖縄本土復帰50年が5月15日だったのですが、そこでの記事として、岸田首相の発言が、一言も触れていないことがある。また、「基地のない平和な島」という沖縄の人々の思いに対して50年にもわたって本土が答えず、復帰当時と変わっていないからこそ建議書の訴えは今も「生きている」のではないかとの思いは同感です。かっての沖縄問題研究会の活動を振り返りたいと思います。屋良建議書の読み直しをしましょう。https://www.archives.pref.okinawa.jp/wp-content/uploads/R00001217B-1-1.pdf
@NEWS 復帰50周年と沖縄の現状〜県民の願いを地方自治にのせて〜 安里嗣頼
ローカル・ネットワーク

 今年沖縄県知事選挙が行われる。復帰50年後の事態を改めて問い直される時期になった。米軍吉の司令官は、基地容認の沖縄県知事の誕生と沖縄の米海兵隊吉は恒久基地として使用する」、『返還後も沖縄で自由に作戦行動が取れる」と言明しているのです。軍政下で「自治は神話」と言われた状況が今なお続いています。
BOOK REVIEW
Jつうしん
自治の風─静岡から 第3回 コンパクトシティ構想と住民運動─みなと町・清水のまちづくり 川瀬憲子

 コンパクトシティー構想が発生するのは、平成の大合併で集約された勢いがまだ続いているのでしょう。この合併の弊害は、災害時の危険な視野を吹き飛ばしているようです。
編集後記

 

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