広島自治体問題研究所
  広島自治体問題研究所

お問い合せ  

 アクセス

 
戻る  一覧

2022年11月号読者ノート

 (2022/10/27)
 
編集局より
本年5月17日に公表された全世代型社会保障構築会議の「議論の中間整理」では、2040年に向けた生産年齢人口減少と後期高齢者の割合増加を危機として、全ての世代に行き渡る社会保障体制の構築を打ち出しています。しかし、その内容は本質的な解決策ではなく、その場しのぎ的、「やっている感」の演出に終始しています。本号では、中間整理で提示された論点について問題点を提示することで、本来あるべき社会保障の形について市民が考える材料をそろえるべく、特集を企画しました。

 
目次
◆直言 新型コロナからの教訓 唐澤克樹男

 コロナ禍の問題の本質は何か、改めて、生活、貧困、医療・福祉、社会保障、中小企業、食料・農業、雇用・労働、教育、環境、物価、などに関わる、新自由主義政策にいわば放置された社会問題が露呈したと言えます。必要不可欠な地道な研究成果が問われ、社会運動が大事です。
●特集● 全世代型社会保障構築会議 中間整理の論点
 2022年5月17日に公表されたこの報告書は、その場しのぎ的「やっている館」の演出に終始していると言われていますが、これをどう見るのか、本来あるべき社会保障の形を探っていきましょう。
全世代型社会保障構築の問題点と改善に向けた課題 村田隆史
 全世代型社会保障の検討に当たり、「世代間対立に陥ることなく」との命題に対し、この枠を大きな問題であるとの認識がないまま、議論が進められ、社会保障のグランドデザインを考えようとしていない。個別政策の見直しをしない、など経済、財政が大きく関わることを優先させている取り組みに、批判がされています。6つの項目にそれぞれの「課題とめざすべき方向」及び「今後の取り組み」について票で表されていますが大きな項目になっています。これらが解決されなければ、真の全世代型社会保障は成立しないでしょう。
全世代型社会保障における「家族介護の是正」に係る考察 山ア光弘 
 介護保険が2000年に発足して多くの社会福祉法人が携わるようになったが、改悪の続く介護保険法により利潤がすくなくなり、撤退する法人が多くなったそうですが、政府は個々の社会福祉充実残額のある社会福祉法人にあっては「地域共生社会」の実現に係る義務付けが法の下に設けられたのです。これらは「互助」として義務付けられ、信頼関係ではなくなり、社会保障制度の意義と公的機関の役割について改めて再考することが今求められています。
多様な働き方・生き方を尊重する社会へ─勤労者皆保険・地域共生社会を中心に M畑芳和
 夫が労働者として働くという勤労観や、妻が家事・育児を中心に担うという性別役割分業を前提とした家族観が、社会保障制度の構築にも色よく反映されていたのは周知のとおりです。しかし、21世紀に入って20年以上経過した現在、雇用されて労働者として働くという勤労観や、適齢期を迎える男女が夫婦となり子どもを設けるという結婚観・家族観は、もはや大多数の人々に共有出来る會舘ではなくなってきており、人々の価値観の多様性がはるかに進んでいるのが実態です。少子高齢化や長寿命化とも相まって、こうした変化に制度が付いていけておらず、制度の谷間を生み出し十分な保障が及ばない人々を生み出しています。????
 社会情勢の変化に対応し、あらゆる価値観を包摂する多様性を前提とした社会保障制度が求められていること自体に異論を唱える人はいないでしょう。
これに対する政府の中間報告の整理では、勤労者皆保険」という新たな政府支出を抑える方式を打ち出し、女性就労制約となってくる政策は、壁を作り出し、労使問題に矮小化し政府責任を投げ出しています。
また、厚生労働省は「地域共生社会」という造語を作り、「制度・分野ごとの「縦割り」や「支えて」「受け手」という関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体が参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えて繋がることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域を共に創っていく社会を指しています」と「互助」制度を統括するソーシャルワーカーを担い手とする安上がり政策を打ちだしています。何かにつけて、「断られない言葉を用いて、構成していますが、財源を見れば明らかに、非正規職員での対応を前提にしており、介護サービスの「互助」への「移管」の狙いが見え隠れする地域共生社会です。
今後こうした政策により福祉課題に正面から取り組もうとする自主性の高い自治体と、何もしない自治体とでは格差は広がる一方で、国は市町村ごとの保障水準の格差が拡大する状況を市町村に転化して座視してはならないと考えます。
最後に、人間関係のデジタル化に「地域」福祉はどのように応えようとするのか、考えてください。

現在のジェンダーバイアスを踏まえた社会進出に対する展望 田原聖子
 労働力調査によれば2021年平均の従業者数は6667万人、男性は3687万人、女性は2980万人、労働力人口総数に占める男女の割合は、男性53.1%、女性46.8%です。しかし、正規職員の男女比率は、男性78.2%女性46.4%で、非正規率は男性21.8%、女性53.6%です。
 労働法制の歴史 1986年男女均等法、1992年育児・介護休業法、1993年パートタイム労働法、2014年労働基準法・女性労働基準規則、2008年労働契約法、1986年労働者派遣法、1999年対象業務の原則自由化、2001年「官から民へ」として2003年地方独立法人、指定管理者の制定、地方交付税や国庫支出金の削減、総人件費削減による非正規雇用職員の増加で、財政比率で、公務部門の人件費は5.4%となり、15年連続でOECD最低となっています。ジェンダーバイアスを前提とした新自由主義による労働政策と自治体業務の民営化、医療・福祉に加えて教育制度の改悪は女性労働者ばかりでなく若者や低賃金・不安定労働にしました。
 女性労働者の現状と課題として、「夫に聞いてみないと…」「扶養の範囲内」とい言動が現わしており、本人と家族の権利、納税の義務を損なわせ、労働組合運動の発展を妨げています。女性労働者の特徴は、介護・保育・看護等のケア労働の比率が高いことです。しかし、「女性ならば誰でもできる仕事」「お母さんの経験があればできる仕事」と労働者の評価に性的役割を持ち込んでいることが、生活できない賃金にしています。
 男女均等法の趣旨に沿って、国や地方自治体は性別による賃金・雇用差別を撤廃した労働・行政政策に転換し、「男女ともに仕事と子育てを両立できる環境整備」の実現を進めていきましょう。

ジェンダーバイアス(英:gender bias)とは、「性的偏り」「性的偏見」などと訳される、社会的な慣例による男女観に拘束された意識や行動様式、あるいは男女差によって生じてしまう何らかの偏り、である。
FOCUS  図書館の貸出記録の利活用 そのメリット・デメリット 津田さほ
 驚き!!「図書館の貸し出し記録の利活用」が出ています。そもそも図書館で名前を書いて本を借りること自体、自分の信条、を明かすことになり、返せばすぐ消してもらえるとの安心感から、通っていたものです。この貸し出し記録を保存し、利活用するなど、図書館本来の守秘義務違反ではないのではないでしょうか。自分が借りたら自分で管理するのが当たり前、!!!
「いのちのとりで裁判」の潮目が変わった 吉田雄大
 生活保護裁判のいくえが大きく様変わりしていたと、具体的な経過が述べられています。審議会での厚生労働省の職員の姑息なまでの態度が公にされ、本来の必要性のないもんだったとの判定には、白書を送りたいと思います。しかし、裁判所が自分の意見を述べるのではなく、コピーライターになっていたとは、日本の司法の在り方も正さなければいけませんね。そもそも「ゆがみ調整」とは、人の生活に関わる言葉でしょうか。
映画 『原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たち』は本物のパンクムービーである 小原浩靖
 この映画に対する意欲に感激し僕も見に行きました。福島原発事故のは2つの奇跡が起こっており、最大の被害に及ばなんだこと、ソウラ―システムを農地に開くことにより、野菜などの熱射病被害を少なくして、収量が多くなること、福島の農地が、被ばく線量に侵されるのではなく、作物の姿によって、質によって大きく線量をの違いがあることなどが報告されていました。裁判官は、原発など高度な科学的理論を習得できないのに、このような判決を出してきた背景が語らえ大きな転換期になっていました。「映画には社会を変える力がある」と、世論が100万集まれば政治が動くと、子のために作られた物で、脱原発理論を復習していきましょう。
●連載●
人つながるS 住民の自由にならない沖縄の空 〜子どもに安全な空を残したい#コドソラの活動〜 知念涼子

 #コドソラ、子どもの空の米軍の破片が落ちてドン、と米軍スタンダード(日米地位協定)によるこの恐怖を幼い子どもに落とさせないことは、日本人の責任です。飛行ルートにないことの確認すら出来ない政府は、潰してしまおう、ここに落とさせよう、もう何年にもなるのに、沖縄県民の皆さんごめんなさい。
検証 津久井やまゆり園事件を人権の視点から考える 第12回 福祉施設と職員の責任を問う 〜「体験的社会福祉私考」を踏まえて〜 太田 顕
 この連載が12回にもなりますが今回は降りだしの施設紹介から始まっています。福祉労働者として「やまゆり」に勤務してこられ、そこでの経験と福祉事業者としての家族との連携などをふりかえられています。これ未だあった障がい者の人権に関する、社会福祉事業者としての心意気が感じられないのはなぜでしょうか。今までの報告者と立場が違うのでしょうか。福祉事業を労働組合で取り上げる時の困難性は私には難しいのですが、大きな世帯での労働環境の整理と利用者の権利との整合性をどうとるのか、その機会はどうであったのか、立場をもって告げてほしいと思いました。
くらしと自治と憲法と 第18回 「国葬」と思想・良心の自由 河上暁弘
 国葬問題での教育関係での批判が出ています。民主主義的教育の中で権威づけることがいかに問題であるかが出ています。ついこの問題が忘れ去られていくことがないように、今後とも厳しく追及していきたいものです
おきなわ定点観測 第8回 先島諸島の軍事要塞化に抗う─新たな島づくりへの希望 関 耕平
 沖縄諸島の軍備増強の最終段階が注がれています。急そうな兵站基地としての特需に沸いた沖縄県民の基地増強不安は、これらに反比例していくことでしょう。しかも地域の文化継承に取り組む若者の。育成など末永い取り組みが行われており、ひとまず安心しましたが、中国を敵扱いする日本政府の外交は早期に辞めさせなければいけませんね。公共施設の建設は軍事とかかわりなく行わるのが必要ですね。
公民館における出会いと学び 第5回 コロナ禍での公民館の挑戦 田中純子
 コロナ禍でのなんとも表現のしようのないもやもやを、どう解決したのかが綴られています是非参考にしてください。これからの社会リアルで集まりながらも、オンラインでの、オンデマンドでの学習方法などが生まれたようです。他部局との連携で「フードドライブ」が出てきました。ワクチン接種の手伝いなど、市民対象の事なら何でもやる公民館となったのですね
シリーズ 地域発信 小さい林業で森を編集 最終回 第5回 未来へ続く森づくり 滝川景伍
 林業という言葉が佐川町をはじめ全国で展開されている、恩返しに思いを繋ぎます。中心部が「豊かな森を大切にするために、環境にやさしい持続可能な林業の展開と人々の森へのかかわりが大切だ」という本質を、無関心な人に広げていきましょう。これからの佐川町の変化で、おもちゃ美術館が気になります。この展開が幼児期に木材を大切に取り扱う作業から生まれていくのですね。ありがとうございます。
『住民と自治』読者・会員のみなさまへのお願い
@NEWS 沖縄の民意は揺るがず 玉城デニー知事が再選・圧勝 湧田廣
BOOK REVIEW
ローカル・ネットワーク
Jつうしん
自治の風─静岡から 第7回 コロナ禍の熱ありがとうござい海市伊豆山土石流災害─住民主体の復旧・復興に向けて 川瀬憲子

 熱海温泉の変遷が降り返されています。かって温泉町として一大観光地であったのが衰退し最近の海外ブームの中で復活し、最近の土砂災害で、災害での熱海市の活動が、参考になってきました。各種の経験が生まれている町の在り方を、振り返る目を見つめていきたいものです。
編集後記
 

戻る  

連絡先 〒730-0051 広島市中区大手町5丁目16−18    

Tel: 082(241)1713 Fax: 082(298)2304  E-mail: hjitiken@urban.ne.jp