広島自治体問題研究所
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2023年4月号読者ノート

 (2023/03/16)
 
編集局から
2020年4月にスタートした会計年度任用職員制度。任期が原則一年であり更新の回数は2回が上限と総務省の文書にあるため、2023年3月で再任用されることはなく、再びの「公募」となります。これにより自治体による雇止めが行われることが見込ます。自治体DXによる公務員削減の方針と合わせ、ここで新たに官製ワーキングプアについて考えます

目次
◆直言 北陸新幹線延伸京都ルートの建設は地方自治の蹂躙 大田 直史

 新幹線工事における各種の規制が整備されていない実態が明らかにされ費用負担による自治体財政の崩壊、地域資源の汚濁による産業の崩壊など、危惧されています。また、今進める手立てが、自民党ある種の議員のPT発言だとは住民の意向無視の蹂躙は許されない憲法95条の蹂躙です。
●特集●会計年度任用職員制度─雇用破壊と分断の渦中で
「官製ワーキングプア」の是正─持続可能かつ質の高い自治体運営のためにも 早津 裕貴

 会計年度任用職員制度の法律には、「雇用上限を3年にせよ」とも、「再度の任用」時に必ず「公募」をせよ」とも書かれていないのです。平等取り扱いの原則及び成績主義を踏まえ、地域の実情等に応じつつ、適切に対応されたい」とされているのです。国際的に見ても「常識」ではありません。総人件費の管理ないし総人員の適正化といった観点からは、有期やパートタイムだからと言って、一律にカウントしないことが正しいとは言えません。
また、人員の適正配置を実現する定員管理とはいかにあるべきか」といった観点をもとに、定員管理の在り方そのものを見直す時期に来ているのではないでしょうかと言っていますが、この基準を見たことがないのです。今回の会計年度任用職員制度で、給与決定、勤勉手当、などの明確化が、供えられていますが、「非正規」の増大と「正規」の多忙化は表裏一体の関係にあり、そもそも「身分」が違うといった意識がある限り、全体としての状況は上向かないでしょう。
 公務における歯止めのない雇用の劣化を「民間も苦しいのだから」と諦め、切り捨てるのか、それとも、一定のコストも受け入れつつ、持続可能かつ質の高い公共サービスを実現し、それを社会・経済の好循環、国家の維持・発展の一助として行くことを志向するのか、そういったことを真剣に考え、議論することが、今後ますます重要になってくるように思われます。

全国アンケートから見えた自治体職場における会計年度任用職員制度の問題点
 −「おかしなこと」を変えてゆくために 佐賀 達也

 会計年度ごとに任用を再度行うなど、公務員としての資質をそぐ制度が、新自由主義の世界から発信されたが、早くもこの誇りと怒りのアンケートの強さに、綻びだしています。そもそも最低賃金制度を応用してそれ以下の賃金に押しとどめようとするなど、全く通りに反した行為であるが、時の安倍内閣の横柄さに、一時タジロいてしまっていたのです。自治労連のこのようなアンケートに実施に感服するとともに、早期にこの制度の廃止に向けて、緊急提言の実施を求めていきましょう。女性差別の典型として、多くの自治体のジェンダー平等に弾みがつくことを期待します。
悲惨な事件の背景にある、役所と住民の間の遠のく距離 上林 陽治
 公務員の立場が公務の市場化により、まさに支えるべき資格のないものになっているのです。作り出された無縁社会の中で、言うなれば誰のものでもあり、誰の物でもなかった公共という領域が市場に飲み込まれてきているのです。この実態が説明されており、当事者としての公務員が住民との間が3つの側面から市民と組む員を現わしていくと、市場化が進んだ保育関係の中で、公務サービスはすでにその機能をなくしているのです。調整者の役割しかなかったものが場合によって調整者でさえないかもしれなくなっていくのです。今、若い公務員の退職者が増加しており、10人に1人以上は30歳前に辞めている現実があるのです。一層悲惨な出来事が発せしかねないというリスクを社会に内包して暮らしている人がいるのです。
会計年度任用職員のホンネ
 本当に働く誇りを奪う制度であり、早期に改善されなければ、公務の仕事は無くなってしまいますね。駆け込み寺ではなく、裁判所があればいいのですが。
会計年度任用職員制度の実際と矛盾─公民館での経験から 匿名
 実務者からの声ですが、公務に関する仕事の責任者としての議員の働きかけを述べています。効果があればいいのですが。またこのような差別をかって吏雇員制度撤廃・職場民主化運動を経験したことがあります。差別撤廃に労働組合が立ち上がってほしいものです。
FOCUS 沖縄のPFAS汚染、血液検査結果から見えた現状─命の水を守りたい、土も川も海も、子どもたちにつなげる全てを守るために。 新垣 千秋
 PFASとはペルフロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物と呼ばれる有機フッ素化合物の総称で、その結合が強く脂分や水分など外部からの影響を受けにくい合成化学物質です。健康被害につながる恐れがあることから世界中で調査研究する動きが広がっています。
 腎臓がんや精巣ガンなどの発がん性、甲状腺や肝機能障害、高コレステロール値、低出生体重児、免疫力の低下、発達障害等、人体への影響が指摘されているだけでなく、破傷風とジフテリアのワクチン接種で生成される抗体の量が半分であった事や新型コロナウイルスに感染してもその抗体ができにくいこと、中世脂肪とALT値に関連があるとのする研究報告等もあります。
これらの被害の予測がされており、この調査だけでも沖縄での広がりを止めなければならないのに、汚染源、嘉手納基地への調査が出来ないとは、情けない問題です。日本全国に広がるPFAS汚染に対し早期に対応策を取ってください。参照:NHK https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221124/k10013899691000.html

FOCUS 多摩の水道水がPFASで汚染─血液検査で判明した深刻な健康リスク 根木山 幸夫
 沖縄軍事基地だけでなく横須賀の基地から、PFASの流出に対し軍司令官が謝罪しているとの報告もあり、日本全国に汚染が広がっていることが分かった。早期に飲料水の検査基準を明確にして、体内蓄積を観測してほしいものです。飲料水基準を明確にし、PFAS踏査を徹底的にしなければ新たな病原体への抵抗もなくなるなど死活問題になります。各種の製品に含まれているのならその製造会社の責任も明らかにしてほしいものです。21世紀の初めにわかり、今まで恐れていなかったものが、突如として脅威に代わることがこれからの科学進歩の中で、多く現われることでしょうが、早期に対応すべき役所が鈍感ではたまりませんし、地方自治研者も、知恵を集めていきましょう。広島県調査参照
平成20年度環境ホルモン環境汚染状況調査結果一覧表https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/eco/g-g2-h20-ichiran.html

ZOOM IN  沖縄県・与那国島 与那国を軍事要塞の島から東アジア交流の島に 山田 和幸
 沖縄県の南の与那国は、「日本最西端の国境の島」と海の道を通じて東アジアの人と、モノと文化が往来した歴史から「日本と東アジアを結ぶ交流の島」と島づくりビジョンが2005年に作成されたのです。このような住民の動きに対し、防衛省は、この島を米軍のミサイル基地化にすべく、自衛隊員の住民を大量に投入し、町政を一変させてきました。今やそう避難計画が前面に出される事態になり、島づくりは放棄されているのです。このような軍隊に占領された自治体に、私たちは無関心ではありえないと思います。自立ビジョンを作った原点に町政の動向へ、動くよう支援したいものです。
2023年度軍拡予算と琉球弧 川瀬 光義
 2022年末に閣議決定された「安保関連3文書」はアメリカ製兵器「爆買い」などによる軍拡、及び種子島から与那国島に至る琉球弧の軍事基地化、特に「敵地攻撃能力」保有のためのミサイル基地化を推し進めるものとなっています。人々の生活向上より軍事を最優先にする朝鮮民主主義人民共和国について「先軍政治」などと言われていますが、日本の先軍ぶりも似たり寄ったりです。琉球弧を再び「捨て石」とする自衛隊員の増強は、目を見張る増え方です。第15旅団の師団化計画に関し、隊庁舎の調査設計費が約2億円に盛り込まれているのです。この弧に含まれる島国住民への住民投票は実施されておらず、軍事基地化の工事をどんどん進めることでないがしろにされています。不適切な土地買収費の支出も見られるようです。
●連載●
検証 津久井やまゆり園事件を人権の視点から考える
障害者と家族、地域住民の人権と福祉労働者・公務員の権利
─地方自治の視点から、事件の再発防止とこれからを考える(下) 池上 洋通

 この課題の根本が語られているようです。1960年から1970年代に高校の保健課で用いられていた文部省検定教科書には、結婚する相手を選ぶときには「家計の調査」を行い、家族や親族などに障がい者がいた場合には、「不良な子孫を生まないようにするための手立てをすること」などと記されていました。都会から大きく離れた地域や山村などに、障がい者の生活施設が作られる「隔離」も存在していました。「家族の負担は当然のこと」とする日本社会の支配的風潮、これは江戸期や明治憲法下の「救貧」の制度思想であり、憲法13条の、各個人の自己実現の保障を国政の最大尊重義務とする規定を正面から否定するものです。自治体職員・施設職員の人権保障と民主的な職場の構築、人権教育の豊かな展開が必要です。
くらしと自治と憲法と 第22回 日本国憲法の三原則の関係を考える 土肥 有理
 日本国憲法の三原則、戦争放棄・基本的人権の尊重・国民主権の構造がどのような関係にあるのか、憲法の生まれた時代から来たものは何か。まず憲法の構造は、前文と全10章からなり、近代市民憲法以来の特徴を持っています。但し、日本は国連から人権状況を国際水準に引き上げるよう求められているため、条文の理念に法律が追い付いていないと言われています。第2章で、戦争放棄を独立した章として扱っていることもあまりありません。第3章で、幅広く人権規定を設け、第4章以下でそれを実現するための統治機構を定め、第10章では念押しで最高法規性を確認するという構造になっています。
重要な戦争放棄の規定で積極的平和の状態を目指し、この保障する動きがあって人権が花開く余地が生まれ、維持管理作業を誰がどのように担うのか、これが3つ目の原則国民主権にかかわります。国民は政治だけに注意力することが出来ず、統治を委託される権力であり、これをチェックする仕組みとして、国会・内閣・裁判所があり、特に立法たる国会が重視されています。最終的にチェックするのは国民の役目であり、定期的な選挙や最高裁裁判所裁判官の国民審査、請願権などによって保障されています。統治行為論や、野党の求めがあったにもかかわらず国会を開かない、求められた文章を開示しない、挙句の果てにデーターを改ざんするというのは、自らの職務を放棄するのみならず代表制原理を機能させないことでその背後にある国民の意見を封殺するという意味で、国民主権の否定であり、ひいては民主主義そのものへの攻撃と言えるのです。多様性を認めたうえで議論して最適解を見つける営み、これこそが憲法の目指す民主主義と言えます。

シリーズ 地域発信 耕作放棄地に挑み果樹園の再生を!
 第5回 いまだ人生は「夢の途中」 渡辺 卓也

 都会から農村への転身をストレス解消の生活で、人生100年の世界が開かれているようです。掲げられた人々のこだわりを継ぐ人が現れることを期待します。NPOなどの法人化、農福連携、ソーラーシェアリング、安心安全な農産物を求める消費者との協働、さまざまな可能性を探りながらこの畑を次世代に繋いでいきたいと最終回の言葉にされています。夢を持つということの楽しさを味わいましょう。
人つながる㉕ 埼玉県唯一の村で教えてもらった大切なこと 高野 晃一
 東秩父村での協力隊入所時、「あ、ここは時間の流れ方が違うな。とてもゆっくり時間が流れているな」と感じることが出来たとは、この感性が人を見る目を養っていたのですね。又お母さんとの会話が成立したのです。今はボランティアで、自分のできる小さなところから、恩返ししようとされています。自分で育てた野菜を食べたり、お金ではない物々交換をしたり、人間らしい昔ながらのくらし、‥、それを今の人たちは出来ていないし、本来人間はそうでなければならにというお母さんのメッセージ。二拠点生活を送る高野紘一さん。
書評 芝田英昭著『占領期の性暴力−戦時と平時の連続性から問う』 艮 香織
BOOK REVIEW
Jつうしん
自治の風─広島から 第5回 補助事業採択に一石を投じる判決 深屋 進

 広島からの全国への報告ですが、補助事業の申請にはもっと気を付けるべきだと忠告されています。当時の市長がこの補助事業化する動きに、議会。国会議員を使っての実務を指導した結果、効果のないことになり、補助金返還命令を農政局から受ける大失体になったのです。一首長の思いが、結果的に補助金返還を生んでとして裁判所は認めています。住民の監視の目が動かいたのです。
編集後記
 

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