広島自治体問題研究所
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2019年9月号 読者ページ

 (2019/08/29)
 
目次
 事務局として気になった記事にコメントを載せます。一緒に読み合わせしましょう.。あなたの感想や意見もお寄せください。
●特集●「官と民」、その連携のあるべき姿
     「官民」連携には、新自由主義の進展と福祉国家の後退という潮流の中で進められている側面と、他方でそれが求められる公共サービスの領域が広がってきている実態があります。このことを踏まえその実例を学びましょう
・「官民連携」の到達点と新たな連携像  森 裕之
 この問題を考える時、「市場主義」「公的責任主義」の言葉を改めて見直す必要があると思います。水と油の関係と言い放してばかりではいられません、原理的に判断すれば、住民は必要な公共事業・サービスがきちんと供給されるのであれば、その主体が官であろうが民であろうが構わないのです。しかし、公共事業・サービスは生存権・生活権を保障する社会的共同条件であり、それが安定的・持続的に供給されなければ、住民の暮らしは直ちに危機に陥ってしまいます。このときに「民の欠陥」がどのようなものかを挙げると、@サービスの安定性・持続性のリスク、Aサービス・財務内容の不透明性とチェック能力の喪失、B社会的コストの発生リスク、C財政コストの増加、D公共性の腐敗の5つあり、これが解説されています。また英国でのPFIの実態について解明され、2040構想が進めるこの考え方の危なさにも言及しています。
 生活困窮者自立支援事業、地域包括ケアシステム、地域エネルギー政策、中小企業政策などについては、今後公共サービスの拡大の必要な事業として協働の取り組みの提起がされています。

・横浜市における共創(公民連携)の取り組みについて  河村昌美・中川悦宏
 前段の森先生の論を踏まえて横浜の提言を読んでいます。公民連携のさらなる発展としての「共創」の取り組みは、対話を促進するためや、SNSやAIの社会的活用で、コンビニでの在庫品を生活困窮者などへの支援に繋げるなど、市民サービスの向上に活動しているようです。
・認定就労訓練事業実施の意義 ─訓練事業者との随意契約に関する考察を通して─ 森川隆彦
 生活困窮者の就労実態の支援活動が報告されています。生活困窮者の生活実態をよく把握された人しかつかめない事項が多くあり感心しました。
この法律が述べている、働き方改革の「多様性」を兵庫県伊丹市の担当者は、よく労働需要の実態として把握されていると思います。一般的な就労との違い、つまづく人の特徴に私たちは目を大きくする必要があると思います。「真面目さ」「プレッシャー」「ペナルティー」「拘束性の有無」「柔軟性」「随意契約」などの活字を深く読み込んでいきたいものです。

・生活困窮者支援を通じた住民の生活力形成と「官民協働」 櫛部武俊
 釧路市の生活困窮者に対する行政の動きを、国の法改正の歴史的な変遷を携えてまとめています。「住民一人ひとりの生活力を個人の努力から社会や地域にかかわる作法へと高め、住民の自治力や管理能力につなぐことが大事」と指摘しています。事業参加者の言葉、「このような年になっても自分を変えることはできるんじゃないかと思えるようになった」という言葉が釧路モデル事業から生まれたようです。また、フキを特産物にして生まれ起きした、「音別未来のくらし」の活動が取り上げられています。官だけでなく民も実は縦割りの中に投げ込まれているという自覚から連携を考えることが必要と述べていますよ。
・みんなで協働し、ごみゼロの町へ 上勝町ごみゼロ(ゼロ・ウェイスト)宣言 菅 翠
 ゼロ・ウェイストが現地の実績から報告されています。徳島県上勝町人口1525人のまちでの取り組みです。ゴミ処理の徹底分別を地域住民と協働を行い、2017年度には、総排出量286トン・内焼却・埋め立て量58トン、リサイク率は79.7%にまでかなり資源化が進んだとのことです。この町では、ごみ収集車を走らせたことがなく、ごみを町内1か所の収集拠点に住民自ら持ち込んでおり、分別は34類になっています。そもそも「ごみになるものを減らすか」の課題に、他の市町との連携が求められています。

○インタビュー 地域内循環で地域が潤う「官民」連携 内藤昌典
 愛媛県内子町の地域内循環経済の生い立ちが報告されています。内藤さんは、製材・木工機械の販売と修理、および木質ペレットの製造販売を行っている一事業者さんです。町のバイオマスタウン構想の政策を町の窓口に通い知り、一緒に新たな政策具体化に参画されてきた歴史が語られています。また地域経済の活動に、振興券「ドン券」の活用が地域経済の循環に役立っていること、バイオマス発電所立ち上げで、ますます完成しているようです。このような官民の在り方の事例を広めていきたいものです。

○「スーパーシティ」構想と国家戦略特区 内田聖子
 2019年の国会の中で、まったく審議もできなかったこの「スーパーシティ」を実現するための国家戦略特区法改正案の問題点を挙げています。もともと、国家戦略で作られた加計学園問題にみられる安倍内閣の
縁故主義の性格を継いだ政策なのです。今10の区域が設定されていますが、この推進委員の一人として竹中平蔵氏がこのスーパーシティ構想にも関与しています。自治体の機能やコミュニティと住民の生活のすべてにAI・ビッグデータなどの技術を徹底的に埋め込んでいくプランだと言っています。本来地域再生のための政策を抜きにしたスパーシティ構想は、外資系を含む大企業の利益にはなっても、地域経済の活性化や住民の利益にはつながりません。権利の問題、社会の課題、環境の課題、平等性の課題、自治の課題を指摘し、仮に法案が通れば、現時点では福島県会津若松市や福岡市が名乗りを上げ神奈川県藤沢市もやる気を見せています。無条件・無批判にそれを受け入れるのではなく、市民社会や住民自治にとってどのようなリスクと懸念があるのかを私たち自身が提起し、それらを議論し政策提言をするスペースを社会の中に広げなければなりません。
○神奈川県版 中小企業団体で共同受注事業を実施 内田 進
 改めて日本の中小企業業者数の割合を上げてみますと、99.7%、84.9%、という数字が出ています。日本を支える中小企業の活性化に向けた政策・施策がより効果的になるよう中小企業庁が生まれ、それを支える、商工会・商工会議所・中小企業団体中央会が特別法で作られています。その中の中央会の活動の紹介です。4社以上の中小企業で設置する認可法人の設立・運営・解散の支援をするのが「事業協同組合」です。この組合の活動で、官公需を、企業の経営に寄与しているのか、社会的にも経済的にもWINーWINとなる関係が作られるのかが大切で、事例3種を見て考えてください。このような支援の在り方が広まればいいと思いました。
○書評 鶴田廣巳・藤永のぶよ編著『税金は何のためにあるの』 鍋谷裕志
 この本に注目したのは、安倍内閣に税を払って何になるのかわからなく思っていた時で、税金に関心を持つ人の入門書として読んでいただけるのではないかと思います。
●連載●
・おんなのRun75 釜ヶ崎で井戸を掘る、いのちといのり 上田假奈代

 詩人にとってここ釜ヶ崎は、芸術の根源であると言って、活動されています。その一つを紹介しています。困難な問題や状況はあっても、問題な人生はないと言っておられます。
・@NEWS 神戸市 中心部でのタワマン建築規制の条例可決 中林 浩
 高層建築で、人口の集積を行い、経済が活性化すると思い込んでいる市長もいます。が、超高層の集合住宅は、災害時の安全性の問題、将来的なメンテナンスがうまく行えるかの疑問があり、巨大な不良資産となりそうなものを禁じた条例案だといわれています。改めて都市空間の在り方が問われます。
・子どもの未来図 第6回 ゼロトレランスと管理教育 ─文科省のいじめ対策と学校のいじめ構造の問題点─ 浅井春夫
 今学校文化は「ゼロトレランス」だというのです。またの名を「破れ窓理論」といいますが、積極的に導入・拡大され学校の空気を創っているというのです。犯罪学の理論を学校運営・生徒指導に適用し有効と考えている今の教育界はどうかしています。なぜいじめがなくならないのか、管理教育の行きつく先がすでに表れています。早期にこの理論の払拭を願うものです。
・最終回 世田谷区公契約条例 公契約条例で住みたいまちへ、働きたいまちへ 徹底した合意形成と条例運用の改善 中村重美
 公契約条例の広がりの全国表が出ています。広島県内は庄原市のみです。この条例を作り発展させることは、徹底した合意形成と条例運用の「進化」が重要だと述べておられます。今後とも全国での事例交流を行って進化させてください。公契約条例は、条例運用により、産業振興と住民福祉の増進を合わせ実現することを謳っているのです。ありがとうございました。
・行こう Zoo-Zoo-Zoo 第3回 飼育員の仕事あれこれ 森角興起
 飼育業務の基本は、掃除をして衛生状態を良好に保ち、動物や個体の状況に応じた適切な給餌をして、動物が常に健康でいられるようにすることと言っています。横浜市動物園では、飼育員は経験2年目になると、公益社団法人日本動物園水族館協会が主催する飼育技術師認定試験を受験します。合格すると、飼育技師という業界資格を得ることができます。このような制度で、専門性の見える化を図ってもらいたいものです。
Jつうしん
史跡さんぽ51
編集後記

 
公契約条例の広がり

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