広島自治体問題研究所
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2019年10月号 読者ページ 

 (2019/09/18)
  目次
事務局として気になった記事にコメントを載せます。一緒に読み合わせしましょう。あなたの感想や意見もお寄せください。
●特集T● 全世代型社会保障「改革」と人権    
 安倍内閣が2019年6月に発表した「骨太方針2019」の中で謳われている「全世代型社会保障の構築」の本質と、それに対抗する人権を尊重した社会保障改革の財源論、スウェーデンの職業教育の実態から社会保障における就労支援の在り方を、探る企画です。

•インタビュー 雨宮処凛さんに聞く 「ロスジェネ」と貧困問題 (雨宮処凛/聞き手 M畑芳和)
 「ロスジェネ」とは、ロストジェネレーションの略で、今の30代半ばから40代半ばくらいまでの世代、いわゆる就職氷河期に社会の入り口でつまづいたり、非正規化した人たちを指しています。この時期の人たちの代表格である雨宮処凛さんのインタビューは、流れをつかみ、今ある時代についてどうするかが述べられており、私たちが貧困問題を考えるときのおさらいをしています。押さえておきたい活字が多くあります、子どもたちとコミュニケーションをとってみてください。自己責任非正規職員若者バッシングプレカリアート1995年「新時代の「日本的経営」という報告書」、生再設計第一世代30万人、「犠牲の累進性」、貧困バッシング2008年年越し派遣村メニューを出さない役所、などの言葉をつかんでください。
•「全世代型社会保障への転換」の目指す方向と対抗軸 (芝田英昭)
 社会保障財源の調達は大きな課題です。政府は、就労層や国民一般だけに負担を求め、社会保障における企業責任を問うことをしていません。世界各国での事業主保険料割合表が出ています。日本は25.6%であるのに、イギリス29.5%ドイツ34.6%、フランス42.1%イタリア34.5%、スウェーデン38.2%です。2010年の「国民健康・栄養調査」のみが、所得調査を行い、所得と健康度合いの関係性を示す資料を提供しています。これが明らかにしたことは生活習慣の乱れと所得の低さは相関関係にあることでした。このような調査をなぜ引き続き行わないのでしょうか。健康自己責任論を振りまくための落とし穴としたのです。このように政府は必要な資料を隠す、行わないなど非常に偏見を持っていることに注意したいものです。また今後知事を使っての地域医療構想の推進を図ろうとしています。県単位化が進む中で、県知事をその手先にしようとしているのです。このような政府に対して展望ある社会保障改革の対抗軸として、3点提案されています。これをぜひ確信として、広めて行きましょう。@市町村職員地住民の共同、A国保税応益割の廃止、B標準報酬月額の上限撤廃、です。
•「全世代型社会保障」と介護労働者の処遇問題 (井口克郎)
 社会福祉事業推進を曇らせ、若者層に高齢者をバッシングさせるイレオロギー的論調として、「高齢者は優遇されている」「シルバー民主主義」などのレッテル張りが目につきます。また消費税による社会保障の「充実」と、「目くらまし」を振りまき、本来行われるべき大企業や富裕層の負担強化を隠しています。この論文では、介護労働者の処遇改善策について、課題を提起しており、今政府が行っている「リーダー級」職員の待遇改善の欠陥を指摘し、要介護者や一般庶民の消費税増税が、サービス利用に躊躇を生む恐れを指摘しています。一方現在、過疎化の進む地域での、医療・介護保障の拡充で、高齢者も若者層も住み続けられる地域の創造が、急務になっていることを訴えています。社会保障制度が地域の雇用創出や経済振興策の手段として機能させることが大切です。
•消費税に頼らない社会保障財源のあり方 (梅原英治)
 冒頭の言葉、「消費税は法の下の平等、生存権、教育権、労働権などの人権を侵害します。社会保障は人間らしい労働生活を基礎に、人権に即した応能負担原則に基づく財源によるのが正しい在り方です。」に確信を持ちましょう。
消費税の持っている実態から、社会保障等の人権はどのように破壊が進んだのでしょうか。財源の限界を指摘し、財源の性格を明らかにしています。経済の順調な発展こそが、そこから生まれる租税と社会保険料を生み出すのです。消費税はこの健全な経済発展を阻害する働きを作り出す大元になっているのです。これに対して5点を指摘しています。また社会保障と消費税を組み合すなどと政府は言いますが、できもしないうそだと述べ、消費税の社会保障財源化は「社会保障関係費の抑圧装置」として機能してきたと告発しています。社会保障財源の在り方として、所得再分配の再建のため2つの柱を提言しています。人間らしい労働、税制に応能負担原則徹底が論じられています。

•「高等教育の無償化」施策の動向と課題 (姉崎洋一)
 高等教育の無償化が日本ではなぜ進まないのか、この流れが歴史的に追跡されています。いまや国際的にもスタンダードとなっている問題について、政府は、あれこれの制約をかけ、真の無償化にブレーキをかけていることを見ておかなければいけないのです。また、憲法26条第2項後段「義務教育は、これを無償とする」について憲法学者、教育学者の間でも意見が分かれている実態が明らかにされています。この学説論争も「政策」から人間らしく生きる上での教育の無償化に入りつつあるようです。今後多くの大学生の運動を支援するとともに、自治体として独自の奨学金制度を設ける条例づくりに参画したいものです。
•スウェーデンの職業教育 (奥村芳孝)
 スウェーデン社会での教育に対する立場は、移民政策が大きく関与しているのだなと思います。社会福祉事業の根幹は働きながら安定した生活を保障する・その中に教育も含まれているのだと感じました。高校教育のプログラムの中で、職業プログラム参加者が28%もあること、導入プログラムといわれるものが14.7%もあるのですから、複雑といえば複雑ですが、社会として必要な労働力を供給する立場なのです。また成人教育も盛んなのに驚きます。教育の前に経済的援助がついていることにも感心します。
●特集U● 第61回自治体学校in静岡
•報告 第61回自治体学校in
静岡を終えて (川瀬憲子)

 静岡市での全国自治体学校開催は今回2度目とか、当日参加者約700人トータル950人と成功したようです。来年は広島市での開催、頑張りましょう。
•浜岡で原発の危険性を体感、静岡で新エネルギーの検証 (岡村哲志)
 普通の生活の中に原発がある浜岡原発の現地報告です。改めて世界一危険な原発という言葉が身についたのではないでしょうか。ペレット内に残った死の灰は無害になるまで10万年かかるとか津波の高さの試算は22.5mとか、中電の対応はどうなっているのでしょうか。また市民レベルでの地産地消のエネルギーの取組の交換が行われ、全国からの報告もさぞさまざまだったことでしょうし、外国資本のメガソーラーの問題も提起されています。
•「ふじのくに茶の都ミュージアム」と茶・農業生産者との懇談 (照井 健)
 静岡の茶園は大政奉還により駿府で職を失った武士たちが苦労を重ねて開拓したとか。歴史と農業の関係を掘り起こしています。また小規模基盤整備が試され進んでいることは、多様な変化についていくことができる気質を表しています。世界農業遺産「静岡の茶相場農法」とは、驚きましたし、それを支えているのが40代の若者たちだとは、クリエイティブな仕事だからでしょうか。
•富士山世界遺産センターと自衛隊東富士演習場をめぐる (山本 剛)
 富士山は文化遺産で、信仰の対象です。その富士山に向かって大砲が撃たれるのです。どう位置付けるのでしょうか。現地駒門の駐屯地は、住民生活の中にあり、今回の現地参加者は日常人ではなく自衛隊の見張りの対象となり職務質問されたようです。この市街地に戦車、装甲車が通常の車両として行きかうなど、これに慣れた生活も、要注意です。岩国・呉を抱えている広島も研究してみないといけませんね。
•問われるべきは沖縄差別を放置してきた日本政府の不作為(やるやる詐欺) (川瀬光義)
 いま日本の周り諸国で起きている地方の抑圧について論じています。香港での住民運動、ウイグル人の自治区に対する中国政府の動き、台湾での国民党と独立志向政党の動きなど、これらを対岸視しないで、沖縄の辺野古軍事基地解消の課題に対する政府自民党の「やるやる詐欺」に対し、私たち自身の問題として、自己点検することが大切だとと言っています。今回の参議院選挙前に市民連合と野党間で、13項目の政策合意が作成されたことは素晴らしい自己点検から生まれたと評価しています。
•書評 寺島 渉著『地方議会改革の10年』 (江藤俊昭)
 寺島さんは、住民と自治に議会改革の講座を持って、10数回の連載をしてくださった方で、住民自治の高まりで議会改革が進むと評されていました。この人の経験が豊富に入っている本です。新人議員・いや議員全員の方は是非読んでください。実践してください。
●連載●
•おんなのRun76
 布の絵本、その「ひと針の行動」から (渡邊順子

 子どもの成長を願う親たちに、「テレビ子守」「育児ノイローゼ」対策の解消を訴える手として、布の絵本作りを提唱されています。絵本の根底には『人権・環境・平和』の願いがあり、その実現に向けてこの活動を38年間されてきたそうです。

•@NEWS 憲法から見た「あいちトリエンナーレ2019 表現の不自由展・その後」 (清水雅彦)
 突如として展示物に対する言いがかりが起き、展示が中止になったこの事件、この問題にある表現の自由21条の課題と憲法尊重に義務違反99条が取り上げられています。「国益」「公益および公に秩序」「国家の安全と社会秩序」などの言葉がどんどん実践されており、これに歯向うことがいま求められています。
•子どもの未来図 第7回 子どもの貧困─GDP世界3位の国で、なんでヒンコン?!─ (浅井春夫)
 この表題の疑問は多くの国民が持っていますが、どう行動すればいいのかわかりません。先生は絶対的貧困と相対的貧困とを理解することが大切だと言っています。子どもパッシングを行った三原じゅんこ議員に大きな怒りを覚えます。長期休暇で痩せる子が出現している社会の中で、食生活の貧困は、生活リズムの形成のためにも改善が必要です。
•行こう Zoo-Zoo-Zoo 第4回 動物園と環境教育 (森角興起
 動物園は「教育」で朗んじられ、今は「情操教育」から「環境教育」へ進化しているのです。この横浜では、動物園から学校へ出前講座が行われているようです。後継者作りでもあるとか。試行錯誤の続く活動です。

•おいでよ43 下條村 (金田憲治)
J
つうしん

 広島から橋本事務局長が投稿しています。平和宣言について述べています。
•史跡さんぽ52
•編集後記

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