広島自治体問題研究所
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2020年3月号 読者ノート 

 (2020/03/02)
 

目次
 事務局として気になった記事にコメントを載せます。一緒に読み合わせしましょう。あなたの感想や意見もお寄せください。今回年末担当者が入院し遅れて申し訳ありませんでした。
●特集● 自治体の経済政策と地域再生
 自治体の経済政策が今日グローバル化の波にどのような力が存在しているのか、改めて見直して勉強しましょう。
•グローバル化の加速に翻弄されない地域経済をつくる (鈴木 誠)
 膨張するグローバル経済が、明らかにされています。日本の2018年度国際収支は19兆4144億円の黒字となっているのです。一方地域経済は、21世紀以降日本の賃金抑制が顕著で、先進6か国の中で2000年の日本の製造業従事者の賃金を100としたら、2010年ではありますが、日本は101.4に対し、イタリアが145.9、イギリスが143.9、ドイツが121.5です。グローバル競争をリードする大企業の本社が東京など大都市圏に集積し、海外直接投資や貿易などで稼いだ利益も集中させています。かたや地方、特に山陰・四国・九州の各県では、10年間の県内総生産が全国平均を下回るだけでなくマイナスに至り、就業者の減少率も著しく高い状況を迎えた県が生まれています。
 またグローバル化の影響のみ非ず、環太平洋連携協定(TPP)の影響が国内農業に自由化の波をかぶせています。今公共サービスの規制緩和・民営化が、特に民間資本の少ない農山村・過疎地域では、雇用や所得、消費の源泉となっているコミュニティの維持、災害防御等につながる経済を壊しだしています。
 「自治体戦略2040構想」は、人口減少の原因や対策には一切言及せず、人口減少がもはや避けがたい社会経済の前提条件であることを強調します。そして、自治体が住民サービスを安定的に供給する条件として、AIやロボティックスによる無人の事務作業割合を高め、それを担える民間企業が参画できるよう規制を緩和していく重要性を訴えています。
 上下水道の民営化の動きが活発化していますが、民営化によって、公共サービスはグロール競争をリードする海外資本が担うことも許可されています。種子法改正で、大きく農家が民間の生産した安価な種子や農薬など農業資材を購入する道を開いたのですが、このことはコメだけでも300種近い品種を作り登録して、国土に広がる多様な土壌や気候を生かしたコメ作りを続けてきた歩みを閉ざすことに及ぶのです。
 地域経済の自立を託す自治体独自の地域産業政策をつくる作業が、中小企業振興条例の制定とともに提起しています。幅広い住民自治の運動が、グローバル競争に翻弄されない中小企業政策や農業政策の再構築を後押ししてくれることでしょう。

てい談 中小・小規模企業から見た自治体の経済政策 (岡田知弘/荻原 靖/中山 眞)
 珍しい鼎談です。中小企業事業者を取りまとめている二つの異なった団体の活動に対し、紹介されています。中小企業家同友会は、すべての都道府県に約4万7500人、民商は、全国約600の民主商工会約17万人の規模を持っています。それぞれがアベノミクス7年間を総括していますが、恩恵は同友会では20社があったと言っていますがあとはなかったようです。消費税増税の影響は、同友会では、大きな影響が、5.2%、5割を超える企業が影響が出るとの判断で、消費税の転嫁ができたというのが、44.8%となっており、事業者税ではないかとの意見が出ています。この消費増税の導入とともに廃業した業者さんの原因の言葉で「一つはレジスターの交換、カード支払いの設備と費用、二つは人員不足によるサービスの低下、三つは、食品表示法の改正の影響を掲げていました。またキャッシュレス取引の問題点が指摘されています。この手数料約2兆円が大手銀行へ行くとのことです。また中小企業振興条例の活動について、多くの地域からの報告があります。ぜひ読んでください。これら活動をとおして、中小企業業者は地域社会のインフラであるだけではなく、ライフラインであるという認識を広めていきたいものです。群馬県の建設協会が『限界工事量』
https://www.mlit.go.jp/common/001177327.pdfなる提案をしており、このことは各地に当てはめて検討したいものです。また経済評論家の内林さんが『FEC自給圏』https://www.nhk.or.jp/chiiki-blog/900/241791.htmlを提唱されているようです。これらにも触れてみましょう。 
•帯広市の地域経済政策と地域再生 (稲葉典昭)
 十勝・帯広は本当に日本の農業地域であり、そこでの農業振興が、地域経済の中心として息巻いている感じがします。それが起きている根拠に、帯広市中小企業振興基本条例制定から10年がたっていることを挙げています。中小企業事業者を地域の産業育成の中心的担い手としての位置づけをきちっととり、政府の言う人口減少問題に対する具体的な対応策を掲げて一極集中政策を押しとどめ、十勝での活動を現状分析と提案、施策の完成度を高めることに費やしてきたからだと思います。各種実態調査で乗るいい事項の設定は、きめ細やかなものでしょう。また食と農、環境とエネルギーなど新たな産業と雇用、中小企業の人づくりを目標に実施しているようです。こうした取り組みから十勝街づくり研究会が誕生したようです。北海道大学・帯広畜産大学など地場研究機関の参画もうらやましい限りです。
•気仙沼市中小企業・小規模企業振興基本条例の実現 (千葉哲美)
  気仙沼市の中小企業振興条例の制定に向けた活動報告です。すでに多くの指摘があるように東日本大震災で多くの産業が壊滅的な影響を受けた時、それを担ったのが小企業事業家だったという点に、あらためた確信するものです。水産業が主力な気仙沼市での産業起こしでは、復興と合わせ公的支援が大きく個別企業を支えていたと、特に今回グル―プ支援の形での補助体制を作ったことが、地域に結びつきの輪を残すなど大きく地域貢献となったことが報告されています。一方中小企業振興条例の議論の中で、小企業は選別淘汰の対象としか見ていないということに対し、小企業者を持続的発展を促すものとして小企業条例の制定を掲げています。
•世田谷区産業ビジョンと経済産業政策 (田中耕太)
 大都市東京都下の世田谷区の地域産業政策の概要が出されています。数々の先進的な行政を打ち出し、大人の経済政策が行われているのかと考えました。地区の経済規模は、毎年のごとく詳細に調査され分析されているようです。特にサービス業の大きな発展は地域を代表するものであり、こそには人と人の結びつきが根本にある条例を作ってきたことでしょう。このことをあらわすものとして、世田谷区産業ビジョンで、世田谷独自の新たな価値の創造、量的な豊かさではなく区民生活の質的な充実を図るなどの視点が人に向かっています。またビジョンで、7つの「ありたい姿像」を提案しています、この言葉でチェックしているようです。建設業振興でも、災害時に地域の災害対応力の向上につながるものとして取り組まれているようです。

2020年度政府予算案と地方財政への影響 (平岡和久)
  2020年度予算について酷評していますが、まさに前年度からの地方財政政策の継続を基本とする、新自由主義的緊縮再生と集権的地方財政改革で、疲弊した地域と自治体財政の困難回復は程と遠いことが示されています。
 アベノミクスが2000年代の小泉政権下の構造改革路線を一定修正し、金融緩和とともに『機動的な財政政策』を打ち出したが、超金融緩和は円安と株高をもたらし、一時的公共事業拡大で、マクロの需要を支えたこともあり、企業利益は増大した。
 しかし、補正予算による公共事業等の財政出動が一過性である一方、2014年4月の消費税引き上げや社会保障関係費等の抑制といった緊縮政策が日本経済に継続的な悪影響を及ぼしており、ブレーキをかけ続けながら、時々アクセルをかける状態にあります。
 この中で今回の消費税増税は日本経済に深刻な影響が表れることでしょう。2011年度から地方一般財源総額実質同水準ルールが導入されています。この制度のもたらす地方財政の悪化は経常収支比率の推移で明らかにみることが出来、地方自治体に社会保障関係費の伸びの裏付けとなっています。その中で、軍事費は1.1%増と過去最高を更新しているのです。
 自治体現場が緊縮政策や自治体戦略2040構想に追随して自治体リストラと緊縮財政を先取りするのではなく、必要な地域財政需要に対する住民合意を基に地域財政需要にこたえるぎりぎりの努力を続けるとともに、自治体財政の充実とそのための国・地方財政の抜本的な改善を国に求めていかなければなりません。

•東日本大震災からの復興政策 できたこと、できなかったこと (井上博夫)
  東日本大震災から9年がたち、この災害復旧復興について、政府が昨年総括文書と、継続体制の閣議決定を行っています。これを踏まえての報告書です。多くの人員と新たな問題を全国民に訴えた課題に対する整理をきちんとおこなうことが私たちに課せられています。ぜひ皆さんの立場から振り返ってください。政府か掲げる成果と課題が私たち国民の視点からはどうだったのでしょうか。
•水道再公営化をみる欧州の旅─パリ・ロンドン─ ロンドン編 (尾林芳匡) 

  前回のパリからロンドンに移り、イギリス最大の労働組合団体からの聞き取りです。ユナイト労働組合は組合数140万人で、10エリアに分かれており2007年から現在の姿になり、労働党を支持している団体です。公共の水に戻す言葉として「私たちこそ所有者だ」運動を2013年に立ち上げたようです。民営化された英国の水道の実態を伝えた時に、スコットランドとの比較から民間のあまりにもひどい実態が明らかになったようです。債務ゼロで出発した民営化事業が25年間に債務が560億円になっていること、投資家の報酬の取り分だけが借金になっているとのことです。また水の漏水率は20から25%になっているのです。この再公営化に向けて掲げられたっテーマは、@証拠に基づいた政策A新しい水道公社は市民参加の統治でB環境にやさしく弱者にも保障される21世紀型の水道、でした。さまざまな対決路運を打ち砕き公営化への闘争を続けているようです。いま日本で行われようとする民営化を絶対阻止していきたいものです。
●連載●•新連載 自治体清掃はどこへゆく 第1回 民間委託の波の中で (福田日輪)
  今回清掃事業の民営化の問題が、鎌倉市からの報告となっています。現業職場の民営化の辿り方はどこも同じのようです。今回報告される福田さんのすべてを経験してきた自分の同僚がこの鎌倉には多くいるとのことです。これら諸氏の団結力を期待したいと思います。この中で、「声かけふれあい収集」事業
https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/gomi/koekake250401.htmlとはどう生まれたものでしょうか。これから期待して読んでいきたいと思います。
•最終回 子どもの未来図 第12回 子どもの未来を描くための手がかりB 沖縄の子ども ─国の主権が侵害されたままで住民の人権は守れない─ (浅井春夫)
 今回で最後となる時、沖縄の子どもの歴史が語られています。戦後の10年間は子どもにとっても児童福祉法の適用のない地域だった。その後本土と同じと言われながら、その格差是正は一向に進まないいました。、アメリカ軍基地下の影響で、日本の主権が侵された政治行われ、それに対し、まずは子どもの貧困対策に特化した政策が先行させ、近年ようやく『オール沖縄』の思想と行動の下、安倍内閣打倒で一致した行動がとれるようになり、子ども対策が進むようになっています。戦争のない国づくりこそ、子どもの未来図を描けるのですね。
•おんなのRun80 俳句と歩む我が人生─自然と豊かな風土のなかで─ (鳥羽しま子)
 句会に入ったのが60歳からとのこと、新たな地元の自然と向き合う時間が持てて、また世の中の移り変わりを結びつけながら句を作りあう仲間との時間素晴らしい人生ですね。
•@NEWS 性暴力を許さない社会へ (雪田樹理)
 性暴力に関する歴史的経過が述べられています。女性に対する当時の「道具」として人格を認めない社会の反映だったようです。このことがいまでも通じている現代社会に早期に訴え改める根本的な働きかけが、フラワーデモですね。また性教育の今後の進展を望みます。
Jつうしん
•史跡さんぽ57 (成瀬龍夫)
•おいでよ48 北海道蘭越町 (金 秀行)
•編集後記


DL:77.pdf

(国の東日本災害復旧・復興総括.pdf)
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