広島自治体問題研究所
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2020年9月号 読者ノート

 (2020/08/31)
 
2020年9月号

目次
 コロナ対策はいかがですか。
 事務局として気になった記事にコメントを載せます。一緒に読み合わせしましょう。あなたの感想や意見もお寄せください

連続企画 「新型コロナ」から日本の社会を考える 第4回 新型コロナウイルス感染症への対応と保健行政の課題(松田亮三)
 今回のコロナ対策について、保健衛生行政上の弱点を挙げて論じられています。今後冬季のインフルエンザとの競合に対しどう立ち向かうのか、保健・医療行政上の専門性を生かした強みの発揮を期待したモノです。紹介された、「経済」2020年8月号を参考にしたいモノです。
参考:
大阪府での現場経験も豊富な関西大の高鳥毛敏雄教授(公衆衛生学)に話を聞く
https://www.msn.com/ja-jp/money/other/%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E7%8B%AC%E8%87%AA%E6%88%A6%E7%95%A5%E3%81%AE%E8%83%8C%E6%99%AF%E3%81%AB%E7%B5%90%E6%A0%B8%E3%81%A8%E3%81%AE%E9%97%98%E3%81%84-%E5%AF%BE%E7%AD%96%E3%81%AE%E8%A6%81-%E4%BF%9D%E5%81%A5%E6%89%80-%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2%E3%81%8B%E3%82%89%E8%A6%8B%E3%81%88%E3%82%8B%E3%82%82%E3%81%AE/ar-BB14xmdj                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                             
●特集● 東京一極集中是正のために
  今回東京でのコロナ対策を見るにつけ、一極集中是正が大きな課題であることが明らかになりました。皆さんで考えていきましょう。
•東京一極集中から持続可能な都市づくりへ (岩見良太郎)
  コロナ禍の中でもっと豊かな暮らし方があるのではないかと、人びとが考え始めている。東京一極集中を加速したのは、都市再生であった。規制緩和を第一に掲げ脆弱な超過密都市の建設が行われたのです。このような動きが都心部だけではなく周辺部でも開発ラッシュに見舞われているのです。「東京で稼いで地方に回す」というのが、東京強化を正当化する都市再生の論理です。これに対し、「コンパクト+ネットワーク」が地方創生本部が打ち出してきたのです。しかし、ここでも、「これら区民施設を中心に養われてきたコミュニティが壊されるのが最もつらい」と言っています。経団連が提唱しているデジタル・ニューディールが2020骨太方針が掲げられていますが、テレワークやリモート会議が大きく普及しましたが、最先端のデジタル社会の実現を加速しようというのが政府戦略です。政府は、Society 5.0を「経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会」、スマートシティを、AIやビッグデーターといった新技術を取り入れた、「全体最適化が図られる持続的な都市」としてバラ色の夢を振りまいています。しかし、都市を動かしている経済原理が、人間中心のものに変容しない限り、東京一極集中に集約されるゆがんだ都市の在り方は是正されないことは確かでしょう。またスマートシティが何よりも民主主義にとって脅威なのは、人びとが、判断をAIに委ねることになり、主体性が弱められていくことです。AIはブラックボックスですが、結局AIを支配するものが、恣意的・独裁的に社会を動かしていけるようになります。スマート自治体への転換によって、「半分の職員数でも担うべき機能が発揮される自治体」の創造が目指されていますが、??
 では、大都市を分節化・再地域化し、地方下の再定住を促していく、それは極めて困難な課題あることは言うまでもありません。しかし、このコロナ禍下で、人々の価値観・意識が大きな変化を見せています。筆者から「生都市」という概念が紹介されています。また「生命経済」というL・マンフォードが1世紀前に提唱して概念が説明されています。

•東京一極集中の構造と地方分権の課題 (佐無田 光)
 日本の垂直統合モデルの問題を改めて整理するとともに、それを是正するためには、地方分権による政治経済構造の抜本的な改革が不可欠ですと。日本の垂直的国土構造の批判や構造改革の失敗などを取り上げ、これだけ地方から仕事が減るスピードが速ければ人口流出が止まらなかったのです。また、東京都の一人当たりの都民所得は2006年から2016年の間に8.2%も減っています。垂直統合モデルの弊害は、その頂点に立つ東京でもやはり深刻で、人口や企業が集積していながら創造的な経済活力でリードできていない状況が続いているのです。経済依存を脱却するために、地域の制度的多様性を実現していく「地方分権」の方向に「国の形」を作り替えなければなりません。一国多制度を許容する、偏差教育を改め、現場での課題解決力を重視するような教育にシフトしていけるかどうかが問われます。地域にこそ働き甲斐があり、新しい社会の仕組みを創出するイノベーションの場があり、そこで成功することが、自分自身の生活環境の改善や、全国的・国際的な成功に結びつく、という経験と思考が浸透すれば、一極集中のメカニズムも変わっていくことでしょう。   
•東京一極集中にみる地方税財政の歪み (関野満夫)
 東京都の地方税財政の歪みが大きくあることが説明されており、人口ベースを基にすると大きな格差が出ていることが一目瞭然です。大きな事務負担を伴いながら、首都圏の開発に取り組む都の姿は、豊かな生活なのでしょうか。またふるさと納税にみられる税の不公平さを改めなければいけませんね。
•ローカルから見た東京一極集中とその転換の必要性─ジャーナリストの眼を通して (岡山一郎)
  東京一極集中で、コロナ禍が進む前に「集中から分散へ」と論じられた広井義則・京都大学心の未来研究センター教授らの研究チームが3年前に行ったAIによる予測の報告です。「東京に本社がある企業が、年間20兆円ものお金を地方の支社や向上から吸い上げている」「東京一極集中は経済の自然の流れではなく、官僚主導で強引に誘導されたものですよ』との報告がされています。また、世界全体を見てもこのような経済集中は少ないのです。既にその限界も来ているのです分散化、小規模か、ローカル化など従来とは逆の理念を生かした令和の新たなモデルの構築が急がれます。
•地域の「たまり場」から若者たちの貧困と孤立を考える (青砥 恭)
 地域にある「たまり場」での青年像を振り返りました。私たちの時代と大きく違って、格差の拡大がひどくなっているようです。高校の選抜範囲が全県化した中、各自の実情によりコツコツ学ぶという本来から競争社会へと導かれ落ち込んでいくのです。家族構成、変化に戸惑ってしまった青年の支えは、人間とって健康を回復したり、社会生活を安心して送るためには、やはり人とのつながり、交流することが大切であることを実感できるのが、たまり場という居場所なのです。高校には社会的階層移動を果たす機能はすでになく、貧困や格差を再生産しています。
参考:NPO法人 さいたまユースサポートネットhttps://saitamayouthnet.org/about-synet
自治体のデジタル化は自治体をどう変質させるのか (中山 徹)
  政府のいうスーパーシティとは、最先端の情報技術を活用して、様々な社会問題を大きく改善するような未来型の都市だと言っています。32次地方制度調査会答申で、4点にわたり方向性を示し、2020年7月骨太方針で財政運営と改革の基本方針を示しました。そして自治体をデジタル化し、@大な市場を作り出す、Aアウトソーシングを一層進める、B公務員を削減、さらなる広域連携を進める。C自治体の役割を変える、いずれ企業が必要とするデーターの収集が求められる。D行政職員は政府が提供したソフトを使ってコンサルが作成した資料を読み、委託企業を決め企業にデーターを渡し、必要な交付金を企業やNPOに支出し、コンサルがまとめた資料を政府に届ける仕事になるのです。ここには、「住民の福祉の増進」という言葉はないのです。
•シリーズ 第32次地方制度調査会答申を読み解く 第1回 地方行政のデジタル化 (久保貴裕)
 第32次地方制度調査会は、2020年6月26日答申を出しましたが、コロナ禍を「好機」に、新自由主義に基づく自治体再編を示したものです。デジタル化が地域の抱える問題を一気に解決するかのように述べ、今後5つの方向で取り組むことを謳っています。このことにより、住民が行政サービスからとうざ蹴られる恐れがあります。窓口業務は職員が住民の状況を把握する大切な場であり、オンライン申請時、マイナンバーカードの提示を求めることは、住民の自由意思に基づいて取得を、事実上強制させることになります。また国が自治体の情報システムを一律に「標準化」し、民間企業が開発したシステムを利用することが押し付けられれば行政サービスは広範な『圏域』に統合され、自治体が独自に築いてきたものが失われることになります。AIはある目的を達成するのに最適の「判断」や『予測』を短時間で割り出す機能を持ちますが、新たな価値を創造することはできません。AIに任せきりにすれば、行政が責任をとれなくなる恐れがあります。膨大な個人情報が、本人の同意もなく企業、警察の手に渡る恐れがあり、デジタルの技術は、「住民福祉の増進」のためにこそ活用すべきです。
参考:「地方公共団体の広域連携」に係る第32次地方制度調査会 答申に対する日本弁護士会会長声明
https://www.nichibenren.or.jp/document/statement/year/2020/200626.html
特別企画 日米安保60年と地方自治
アジア・太平洋戦争終結75周年─安保改定60
年 安保体制と地方自治について考える (池上洋通)

 日本国憲法は、明治憲法下の日本の姿を大きく変えたものとして生まれてきました。では明治憲法下での国民の姿どのようなものであったの、明治憲法はそれほど国民を縛り付けるものだったのかが問われます。政治経過を振り返る時、戦争への総括的実施に当たって、政府の行動が、国民を縛り付けるものになっていったのです。そのような政治的な文言が明治憲法になかったのか、地方自治体制度の確立が今日憲法に掲げられましたが、その機能が、治外法権という軍事政治の進める中で変質され、日米軍事同盟の規約から、地方自治体制も骨抜きにされた地位協定がはびこるようになってきました。過去の戦争防止の楔が、これらの軍事傾向によって破壊されてきた歴史を反省していきたいものです。
•佐久の米軍機低空飛行の実態と市民の運動 (内藤祐子)
 突然の艇飛行爆音に合われ、さぞびっくりされたことでしょう。広島でも岩国基地に配備されている飛行機の訓練での爆音を聞くことがあります。このような市民生活への突如として襲い掛かる出来事に、どうして日本政府は黙っているのでしょうか。地位協定というものがあると言われていますが、アメリカ本土でのこのような実態はないのでしょうか。長野県・佐久地域と言えば平和な問題で頑張っておられる地域でもこの課題は解決が難しいのでしょうか。全国で一致した取り組みの提起を本当に望みます。
参考:広島県知事から駐日米国大使及び岩国基地司令官への要請(令和2年7月)
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/life/693024_6936427_misc.pdf
●連載●
•おんなのRun86 地域の恵みに感謝して (佐藤昭子)
 地域での起業を行う本心が、地域から必要とされる存在になりたいとは、この言葉で地域から多くのメープルシロップが生まれたのでしょう。消滅可能性集落を「笑女都集落」にする『人づくり』「気づき」から「活気づき」「女性たちが笑顔でいられる地域」が育ったのですね。http://kinokohouse.jp/category/news
Jつうしん
•自治の風─沖縄から

 基地建設とその騒音での被害で離村を促している。このことに対する怒りが、この場所に止められる限り、日本は平和な国ではないのだということを分かって自覚していきたいと思う。平和憲法のあくなき追求を
•最終回 再生可能エネルギーと環境問題 第6回 維持可能な再生可能エネルギーへ (傘木宏夫)
 再生エネルギーの開発に当たってやらなけらばならないこと、事前の環境影響調査を地域の人々たちと協議することですね。またチェックする能力を地域社会の側が備えていることです。風力・地熱・バイオマス・中小水力などがありますがこれからもっと安全なものが生まれることを期待します。
•新連載 いらっしゃい! 学校図書館です! 第1回 コロナ禍での学校図書館 (武田江美子)
 図書館司書の仕事は、様々な資料・情報を収集し提供することと述べています。また書士として共同作業に参加してコロナ差別や偏見防止に活躍されているようです。
•わがまち53 群馬県下仁田町 (原 秀男)
•編集後記


東京一極集中
地域間格差

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