広島自治体問題研究所
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2021年5月号 読者ノート

 (2021/04/16)
 
目 次
 菅首相はアメリカでの対談を行っています。オリンピックを枷に、コロナ非常事態宣言を出さないで、国民の命をこのように無残に放置する政治は早く辞めさせなければ日本の民衆は報われません。また広島参議院選挙のやり直し選挙・総選挙で皆さんの意思を明らかにしましょう。
◆直言 国民のいのちを守るため、病床と医療スタッフを増やすべき 増田 勝
 全国の働く労働者のセンターからの直言に、改めて読んで、コロナ禍2021年3月22日現在で、亡くなられた方が8870名となっているとのことに怒りを覚えます。また、医療現場のアメリカ比較で100床当たりの看護師数が1/3以下だと、今こそこれらの改善を早期に行うことを求め、「いのち」命署名をやりましょう。
●連続企画● 「新型コロナ」から日本の社会を考える
 第11回 コロナ禍の先に─新しい観光に向けて 堀田祐三子

 コロナ過で、訪日外国人旅行者は411万人と対目標比でその10%、前年度比で13%(3188万人)、国内旅行者は2億9177万人、前年度比50%でした。観光そのものが、先行きに対する落胆や不安をもたらしています。
  観光を育てるとか、観光をより良いものにするという観点から、コロナ過での新たな取り組みが7項目、これまでの観光振興の諸問題として3点、これからの観光を考えるとして指摘が3点にわたって提案されています。
 社会的変化の先を見据えた新しい関係性や取り組みを支援する「新しい観光」の実現に向けた政策が求められています。このような視点で、添付資料を参考に地域ごとに考えてみてください。 

●特集● デジタル社会の陥穽と自治・くらし
     バラ色の未来を約束するのか?
1.スーパーシティによるデジタル化は市民と公共、企業の関係をどう作り替えるのか 中山 徹
 スーパーシティとは、情報技術とビッグデーターを連携させることで2030年ごろに実現される未来社会を先行実現する都市です。この内容・狙いが出ておりますが、これを企業が市民生活と地域を計画しコントロールするのです。
 しかし、これに参加しない権利が保障されるのか、個人情報の保護がされるのか、新たな格差を発生させざるを得ない問題があります。
 情報技術の発展は重要ですが、市民と企業、公共と民間の関係の作り替え、新たな収益源を確保しようとしている点は、大きな問題点です。個人情報を保護しつつ、暮らしの向上につながるような生き方を考えるべきです。
 
2.自治体のデジタル化と地方自治 本多滝夫
 デジタル関連法案は、国・自治体・民間事業者間の情報連携を促進するために、自治体の情報システムの標準化・共同化・集約化を図り・個人情報の流通と外部連携を阻む自治体ごとの個人情報保護制度を改変しようとしています。
 そもそもデジタル社会とは、条文では難しく(インターネットその他の高度情報通信ネットワークを通じて自由かつ安全に多様な情報又は知識を世界的規模で入手し、共有し、又は発信するとともに、官民データ活用推進基本法(平成二十八年法律第百三号)第二条第二項に規定する人工知能関連技術、同条第三項に規定するインターネット・オブ・シングス活用関連技術、同条第四項に規定するクラウド・コンピューティング・サービス関連技術その他の従来の処理量に比して大量の情報の処理を可能とする先端的な技術をはじめとする情報通信技術(以下「情報通信技術」という。)を用いて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録をいう。第三十条において同じ。)として記録された多様かつ大量の情報を適正かつ効果的に活用すること(以下「情報通信技術を用いた情報の活用」という。)により、あらゆる分野における創造的かつ活力ある発展が可能となる社会をいう。)と言っていますが、自分に向けられたとしか思えない、インターネット上の広告のホップアップーターゲッティング広告―が、両空間の融合の産物の一例です。
 自治体のデジタル化は、持続可能な住民の生活保障や自治を、デジタル技術とネットワークを利用してより豊かなものとするという趣旨で、「地方自治デジタル・プラス」であるべきです。

3.デジタル社会におけるプライバシー権の再生 根森 健
 2020年の国連での「UN75:一緒に作ろう私たちの未来」を行動目標に掲げ、世界の人々に対し、未来に関する対話を促しています。その筆頭に、「デジタルテクノロジーのインパクト」が掲げられ、プラス面とマイナス面が記されています。このような社会に向かうことを私たちは、今押さえておかなければいけないことです。
 GAFA(:グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップルなどの総称)がすでに私たちの個人情報をつかみ活動し、利益を上げています。これらが世界的規模で成長し、デジタル版「ベルリンの壁」にならないことに気を付けましょう。
 このコロナ過で明らかになった日本のデジタル力の低さ、遅れを明らかにしているのに、今国会で関連6法案を通そうとしています。これまでの個人情報保護に対する配慮、個人の権利基本的な権利ととして位置付ける、独立機関による監督制度などの不備を持っており、『デジタル監視法案』と呼ばれています。
 「Society5.0」にせよ、「第4次産業革命」にせよ、これまで経験のしたことのない「新しいデジタル社会」は単純なバラ色の社会ではないようです。私たちの「プライバシー(人としての自立的存在)」が、「作り替えられる」という形で侵害されないために、憲法上の権利としてのプライバシー権を新たに理論武装して立ち向かいましょう。

4.自治体の「デジタル化」で、行政の現場では何が起きるか 久保貴裕
 デジタルの技術は、人類が生み出した最新の技術ですが、この技術を誰が、何の目的で、どのように使うのかが問われています。総務省の弁明では、「多様な主体との連携により民間のデジタル・ビジネスなど新たな価値創造等が創出されることが期待される」と言及しています。民間企業の利益に奉仕することを述べています。
 自治体は、企業から支配されることなく、公務の中立・公正に期し、地方自治の本旨に基づき、地域の特性や住民のニーズに対して、自主的かつ多様に独自の住民サービスを実施していくべきです。深谷市での実証実験を行ってその報告が出されていますが、かなりの問題点が指摘されています。
 市町村職員が自ら行う必要がある、住民の権利のとくしてにかかわる公権力の行使に当たる事務は、職員が行わなければならないとの規定があります。窓口業務を無人化すれば、職員は住民の権利にかかわる重要な事務を行うことが不要とされ、セーフティネットの機能を失わせていきます。国が進める自治体の「デジタル化」は、住民のくらしと権利、地方自治の根幹に関わる重大な問題としてとらえて臨むことが求められています。

5.横浜市におけるデジタル化の動きについて 水野 博
 横浜市でのDX  の具体的な項目が掲げられています。広島市・広島県でも同じような項目っが民間委託で出されています。予算を見ても、横浜市の場合、全体で、7億9200万円を計上しているようで、その他教育関係でもかなりの項目があげられ、そのための職員が配置されています。その進行状況が報告されていますが、進むものと遅れていくものとその性格を見れば明らかに、市民生活にかかわる防災面などは遅れることになっています。
 これらの作業が今全国の自治体で取り組まれていると考えると、その規模は、現在コロナ禍にあって多くの市民、県民の命と暮らしに不利益をか持ち出しているのではないかと心配します。
 労働組み合としてこの点について大局的に働きかけてください。広島市職労でのこの動きはどう判断されているのでしょうか。

6.スーパーシティを目指す浜松市─自治体の在り方は住民が決めるもの─ 良知信一
 現在の浜松市の政策行動は、スーパーシティを目指す市として国から実験的に支配されているように感じます。市民からの要望があったことではないのでしょうに、そこにいる市民の活動がこれと対決していることに、私たちは目を離すことができないことです。
 個々の住民福祉の項目を切り詰める作業、まさに顧客しか相手にしないシティづくりですね。計画をつくろうとしている市の担当職員の声は、地方自治体職員ではなく国の官僚の職員の声になっています。
 今回明らかになっているこのスーパーシティ法の付帯決議は、このようなシティーは作らせないことになっているのではないかと思います。しかし、強権的な菅内閣のこれからは、油断できないものであり、阻止しなければいけません。
 
●特別企画● 東日本大震災10年B
・福島第一原発災害 ─プロセス・プランニングから見た復興の現状と課題 鈴木 浩

 現代版福島原発災害の復興は、今後の原発事故後の大きな手本になります。予測不可能だったとは言えないですが、このような災害での国民への配慮は政府が責任をもって行う問う前提が、菅内閣によって崩れていることが大きな問題ではないかと思います。
 また原発災害の特性をここで改めて検証されていますが、「放射性物質汚染対処措置法」(2011年8月30日公布)が基礎の法律のようです。「汚染状況重点調査地域」(1時間当たりの放射線量が0.23マイクロシーベルト以上の地域を含む市町村)は、2012年2月24日までに指定され、北は岩手県、宮崎県から南は埼玉県、千葉県まで104市町村に及んでいます。
 ここでは具体的被災者名は上がっていないのでしょうか。基礎となる放射線にあったとの証明書は発行されていないのでしょうか。地域単位での復興計画が行われ、次から次へと変えられていますが、被害者をどう扱っているのでしょうか。
 復興計画の核心は人間ですが???。広島の原爆被害者手帳などの方式をつくらなければ今後の被害の補償はされないことになります。

●連載●
1.東京・世田谷区の新型コロナウイルス感染症とのたたかい 第3回 保坂展人

 コロナ検査の初期の様子がよくわかります。また区長として、都・国とのつながりも反映されており、コロナ感染に詳しい人の存在がいかに大切か、また住民の命に責任をもつ首長としての心構えを見ることができます。
 社会的弱者の集団としての特別養護老人ホーム・介護施設などの選定、検査方法の工夫など、今後とも必要なことではないでしょうか。また検査対象者数を明らかにして検査を行うことが、これからの成果・制度を明らかにしてくれますね。 

2.大深度地下開発を考える中 リニア中央新幹線 人命にかかわる大深度工事問題 樫田秀樹
 大規模工事法の大深度工事が、生まれた過程が明らかになりました。そもそも科学的な根拠はなく、用地確保の手法の煩雑さを契機に生まれたことが明らかです。
 そして今回住宅地に突如生活道路とガレージに幅5m、長さ3m、深さ6mの穴が現れたことは、地下40mでの工事による被害はないという「大深度法の神話」が崩れたのです。
 この法律を起草した議員の人も、リニア新幹線工事への思いを明らかにしています。何が何でもやらなければ、早くやるためには、との思いだったのでしょう。しかし、誰もが気が付かない大深度工事は、告示もしていないのだから、知る由もないのです。まったく、こんな法律があったとは、早期に解消してもらいたいものです。

3.シリーズ 地域発信 いいからかん日和 
  第2回 東日本大震災と「片品むらんてぃあ」 セトヤマ ミチコ

 東日本大震災で被害にあった人の救援場所で、急遽ボランティアとして働き多くの人のお世話をされた経験が今なを地域での生き方を支えているとのことです。大震災にあった人々にとって、セトヤマさんたちの行為が大きなものであったことでしょう。これらの体験を世代に繋いでほしいものです。片品村は群馬県の尾瀬のふもとの村、観光地だそうです。
4.中の人が語る。図書館と、人と、まちと
  第2回 本を読むことによって起こること 相宗大督

 地域図書館の役割としてある、「情報をたやすく入手できるようにする」「すべての人が平等に利用できる」これに加え、さまざまな人が手にすることによって起こる作用や反応が重要な枠割を果たすことが提案されています。手に取った本の最初の感触で一気に読んでいくことにより自分が違った体験をした喜びを生みますね。
@NEWS 大阪地裁原告「勝訴」判決 生活保護基準引き下げ違憲訴訟 雨田信幸
 大阪地裁での生活保護引き下げが違法であるとの判決に喜んだ一人です。この決定がこれからの裁判に大きく影響することを願うとともに、自民党の「自助・共助・公助」というスロウガンを逆にしたものに変えさせたいものです。
●BOOK REVIEW
●書評
  
社会保障法 権利としての社会保障の再構築に向けて
   伊藤 周平(著)
●Jつうしん
●自治の風─信州から
 第1回 白馬村新図書館建設 白馬駅舎一体化案を村民の声で白紙に 加藤亮輔

 久々のニュースが新しい図書館の設置場所だとは、心洗われる気がしました、また「白馬村」とはすがすがしい思いです。頑張ってみんなが読みに来てください。
●編集後記
市民生活と地域を計画しコントロールする企業
DL:92.docx

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