日本共産党 中森辰一
 

   
 
墓地開発について

(2008/10/29)

中森議員
 最近、墓地を作る側と地元住民の間でトラブルが増えている。以前は計画地周辺100メートル以内に住む住民の同意書が許可の要件になっており、大体それでトラブルは解決していた。最近は6月の委員会でやった事例のように地元町内会や住民が反対していても許可された例もある。まず、市の取扱い原則の現状と、それが以前と、いつ、どう変わったのか、簡単に説明を求める。

環境衛生課管理担当課長
 「100メートル以内に人家がある場合には許可しない」というのが建前。これは設置位置の基準としてあり、ただその運用として「市長が土地その他、特別な事由で公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障が無いと認めた場合にはこの限りでない」という但し書き規定がある。その但し書き規定を、100メートル以内の人家の方、住民の同意を得るということで運用してきた。
従来はそれを100%悉皆の同意を得るということで審査をしてきたが、現在は裁判所の判決、或いは行政手続法の施行等により、同意書が実態的な許可要件でないというような判断が示されることとなる。このため100%の同意を得られない場合でも、その不同意者の反対理由が、墓地埋葬等に関する法律1条に目的があるが、それにそぐうものであれば許可するという建前で、今は100メートル以内に人家がある場合も許可する状況。

中森議員
 仮に100%同意しない、誰も同意しなかった場合はどうされるのか。

環境衛生課管理担当課長
 100%不同意の場合の扱いは、少なくとも墓地経営にあたっては地元との協調、地元の中に入って行っての経営なので、少なくともそのような状況下で事業者は参入しない、そこの墓地経営を断念するというのが、今までの経営だった。またやはり私ども許可をする側としては、住民と理解が得られるようにという指導はずっとしてきたところ。それが全く不調になれば、計画を変える方向での指導もしてきた。

中森議員
 法律には周辺住民の同意とは書いてない。法律は知事或いは、政令市市長の許可が必要となっているだけ。許可を与えるにあたっての許可権者、広島市であれば市長に任せられている。そして以前は「周辺住民の生活環境を守ることが大事だ」という考え方で規制をしていたのではないかと思う。先ほど言われたように、昭和62年の東京地裁の確定判決、行政手続法ということがあって、今のような対応になってきたと理解している。
 そこで、この法律は誰の利益を守る法律なのか、この点をどう考えておられるか。

環境衛生課管理担当課長
 墓地埋葬等に関する法律(墓埋法)の趣旨、第1条の目的から読むと「この利益を受ける者は、その墓地の使用者、その墓地の経営をする側の利益を守る」基本的にはそういう法律であろうと考えている。

中森議員
 開発者の利益を守るとなっている。そうすると極端に言えばそこの地域に元から住んでいた人たちの利益は無視される、そういう法律ということになるが、これは結局どこにでも墓地はつくれるということになりかねない。許可権者である広島市の行政として無制限な開発を許すような、こういう法律の状況について、どのように受け止めておられるか。

環境衛生課管理担当課長
 墓地経営許可にあたり一つの大事なことは、その墓地の必要性、いわゆる需給のバランスということ。現状では需要に対して供給量がまだまだ不足している状況である。

中森議員
 需給の問題を言っているのではない。人々が住んで、コミュニティーがちゃんとある。そういう所に割り込むようにして墓地の開発業者が入ってきてどんどん墓地をつくってしまう。周辺の環境とか、そういうことは関係なしにつくってしまうことを、今の法律は許してしまうものになっているのではないか。それについて市民の暮らしを守る、環境を守る立場である行政としてどのように受け止めているのかということを聞いている。

健康福祉局長
 確かに今の墓地埋葬法の考え方は「本来、墓地とは国民にとって必要なものである」という前提に立って、ただしつくるにあたっては公衆衛生その他、公共の福祉の観点から支障が無いということでつくる。
ただ、実際に必要なものであっても、じゃあ無制限につくって良いかという部分になると、確かに昨今、いろいろな所でそういったトラブルが起きていることは、やはり地域住民の理解、やはり墓地の必要性なり、そういったところが十分理解を得られないままに進んできている、そういうところもあるのではないかと思っている。
その部分で言えばやはり何らかの形で、地域住民の理解を得ながら墓地経営をしていただく仕組みを考える必要もあるのではないかと思っている。

中森議員
 判断で「公衆衛生その他公共の福祉」と言われた。公衆衛生は分かるが、その他公共の福祉とはどういうことなのか。この見地から支障があれば許可しないことになるが、どういうことが支障があることになるのか、判断基準の問題は。

環境衛生課管理担当課長
 公共の福祉の見地からの審査、判断ということになるが、ではその公共の福祉の見地とはどういうことかということになると、国の通知によると例えば墓地造成に伴う災害防止だとか、或いは経営主体、経営者の適格性だとか、若しくは墓地の永続性、安定性などが考えられています。

中森議員
 公共の福祉は、もちろん防災や安全も当然だが、社会一般の利益ということでこの公共の利益ということを調べてみると、「人権と人権が衝突する場合に調整するために用いられる憲法上の原則」ともある。つまり「人権を行使するときに、他の人たちの人権や幸せに被害を与えてはいけない」ということだと思う。これは非常に広く解釈できる問題だと思う。
今日、広島市でも随分と地域でまちづくりが進められている。できるだけ地域に住んでいる人たちが集まって話し合いながら、より住みやすい町にしていこうという取り組みが行なわれている。地域の中で生活をする、子育てをしていく、そして老後を迎える、そういう人の一生に関わる豊かな地域社会をつくっていこう、それを発展させていこうという、そういう取り組みがどこでも行なわれている。これは行政としては大いに尊重していく必要があると思うが、この点の確認を求める。

環境衛生課管理担当課長
 地域のまちづくり或いは都市計画に関するようなコミュニティーなどの地域に関する問題を、墓地埋葬法がどのように取り扱うかは、法律の性格面からすると、非常に弱い部分、カバーできない部分がある。それは私どもはいつも、(中森)委員がご指摘のように事案が起きる度に感じるところである。
今そこの部分に多少でも関われる方法が無いものだろうかという考え方で、例えば今は、墓地の申請があった場合、事前に事業者から地元住民への説明会を行政指導しているが、どんなものを住民に説明していくか明確にして、それをルール化、制度化していく方向で考えている。
それにより多少なりとも「墓地は絶対だめ」という拒否反応から、少なくとも話し合う場が持てて多少なりとも「迷惑なものだけれども仕方が無い。これはどうしてもいるものだから」というような認識にまで持っていけるような仕組みができればと考えている。

中森議員
 よりよい町にしていこうと取り組むのは地域住民で、これは地域住民同士の人の繋がりを基礎として、時間をかけてつくり上げてきている。その町の雰囲気や景観や防災も含めて取り組んできた。それを阻害するような可能性のある開発行為に対し、住民が積極的に関与して、意見を出し、場合によっては開発に反対もするという、これは非常に大事なことであるし当然のことである。
行政としてはこれを積極的に支援していくことが、広島市が広島の町をより良くしていくためにも必要なことだと思う。先ほどいろいろ考えていると言われたが、それは広島市として今は規則で対応しているが、一定の拘束力を持つ条例を検討するということか。

健康福祉局長
 墓地埋葬法の規定は県知事なり市長の裁量があるといいながら、あくまでも法律の枠内で与えられた裁量であって、自由にどんどん、例えば地域の人が反対したものに無条件で不許可にできるかというと、最高裁判決にもあるように、そこから見ると自ずから制約がある。
従って地元の人の反対意見であってもそれが公共の福祉という観点でそれなりに理解できるものであって初めて対応する。今までの状況でいうとそういった理解に達するまでの双方の認識の違いが、ずれたまま来ているとそれはやはり、本来墓地の必要性なりを訴えていかないといけないし、業者の側から言えばこういう形で墓地を管理していくとか、そういう説明があって、ある程度分かり合える部分があるのではないかと。
従ってそういう部分の仕組みを少し考えていきたい。そういう仕組みをつくらないと、つくれば、それがあったら必ず許可するとかいうこととはちょっと違う部分がある。ただまあ、いずれにしても今のままの状況では難しいので、そこらへんが工夫できないかなと思っている。ただそれが今言われたように、条例ということに馴染むかどうかということもある。
ある程度条例として一定の規制を与えることができるのかどうか。墓地埋葬法での許可なりの権限がどこまで認められているか。そういったところも含めて慎重に検討していかなければならない。

中森議員
 開発と住民の利益との関わりでは既に高層ビルの問題があった。私どもは広島市が今やっているそういう開発に対する住民との調整ということも、まだまだ非常に不十分、広島市の姿勢としては非常に弱腰だと私は思っている。住民の利益を守るという、まちを守っていくという強い立場というのは必要だ。
法律の枠組みがあって、条例をつくるにしても制約をかけられないというのはよく分かるが、いずれにしても積極的に市が調整に関与していく。「その調整に開発業者も従わないとなかなか開発が進まないよ」と行政手続法の制約もあり、なかなか難しい問題もあるが、やはりそういうものにしていく必要があると思う。その点についてお答えいただきたい。

健康福祉局長
 そのあたりの課題があるのは事実。いずれにしても検討していきたい。

中森議員
 これも国全体の考え方の流れで規制緩和があるのかもしれないと思うが、地域住民の利益と突然そこに割り込んでくる開発者の利益と、どちらを大事にすべきかよく考える必要がある。何でも規制緩和すればいいという流れの中で社会にいろいろな問題が起きている。これは人々の暮らし、安全、健康に大きな被害を及ぼす事態が現に起きている。これは規制緩和の一つの結果である。その流れを見直すことが国でも自治体レベルでも必要だ。その点でこの法律の枠組みが、非常に地域住民の利益と相容れない状況にある。これは全国の状況も是非調べながら、法律の枠組みそのものをもう少し自治体として管理しやすい方向に改善する必要がある。ぜひ要望していただきたいと思う。

環境衛生課管理担当課長
 各都市の抱えている問題は共通で、国にどのような要望を各都市が共同して行うか。今までは法律改正を視野に入れたものはやってきていない。ただ法律そのものが抱えている問題を、そういう要望を持って改正できるのかどうかは、かなり荷が重い気もする。
機会があれば、そういったところで発言をしていきたい。共同してやっていけるような仕組みについて発言していきたいと思っている。

中森議員
 墓地の必要は否定できない。需給のバランスのこともあったが、しかし多くの場合トラブルにあっている例は、地域住民の意見を考慮せず、まず開発、儲けありきの事業者にトラブルが起きる。その点、行政の積極的関与(を盛り込んだもの)で実効あるものにする必要がある。
今の法律の枠内で考えれば裁判所は、地域住民の利益か、墓地開発者の利益かとなると墓地開発者の利益に軍配を上げるようになっているのかもしれないが、だとすればそこに問題があるということだ。やはり法律の枠組みそのものにも言及し、変えることも視野に入れて、この問題に取り組んでいく必要がある。このことを強調して今日は終わる。


 
 
 
     

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