日本共産党 中森辰一
 

   
 
公立保育園民営化について

(2008/10/29)

中森議員
 まず一般質問の答弁について聞いておく。市長が答弁の中で改めて「最も重要なことは公私にかかわらず、市内の全ての保育園で質の高い保育を子どもたちに提供できる体制を整備することであり、そのために必要な予算は責任を持って確保していきたい」と述べられた。このことは大変良かったと思っている。
その上で伺うが今日の答弁の中で「保育所保育指針に定められた保育を行うための経費や保育士の専門性を高めるための研修への参加などの経費として、国の基準による運営費を支出するとともに、本市単独に助成を行っています」とあるが、その「本市単独で助成をおこなっています」の意味するところは、いま出された二つにかかっていると考えてよいか。

子ども未来企画課長
 「質の高い保育を提供するために」というものと理解して答弁した。

中森議員
 保育所保育指針の定める保育をおこなうための経費、保育士の専門性を高めるための研修への参加などの経費として市単独で助成を行っていると理解してよいか。

子ども未来企画課長
 保育所保育指針に定められた保育とは、いわゆる最低基準に基づき、保育園で適切な運用をするための保育ということ。また専門性を高めるための研修に要する経費。

中森議員
 どの程度かが問題だが、市長は少なくとも私立保育園でも研修の充実が行えるような環境整備が必要と答弁をしておられる。今以上に質の高い保育をするためにいろんな研修などをどんどん私立でもやっていただくようにしていく必要がある。その環境整備をしていく必要があると言っておられる。その点では今市単独で行っている助成はもっと増やす必要があると思うが、どのように考えるか。

保育課長
 私立保育園では質の高い人材の安定的確保が課題となっている。今後職員の処遇向上のための助成制度等の拡充を検討する必要があると認識している。

中森議員
 処遇向上はあとでお聞きするが、今聞いたのは環境整備として市長も研修と述べておられる。それを私立でもっともっとやっていこうと思えば、やはり市として今の助成に対する上乗せが必要ではないかと伺っている。

保育課長
 研修についても助成の上乗せも含めて検討する必要がある。

中森議員
 そこで先ほど言われた職員の処遇向上のための助成制度拡充の検討を、再び一般質問の答弁でも述べておられるが、どういう状況か。以前に委員会質問の中で一つの最低限の水準として、以前の職務奨励費以上のものが必要ではないかと言っているが、それとの関わりで検討の現状はどうなっているのか。

保育課長
 本年8月に私立保育園の協力を得て、私立保育園運営等実態調査を行った。その結果を踏まえ効果的支援策を検討している。

中森議員
 どの程度やるかまだこれからのようだが、ぜひ積極的な検討をお願いしたい。最近、私立保育園の方に聞くと、「発達障害についていろいろ研修を受けて、保育士の子どもを見る目がだんだんと養われてきている。その中で、まだ障害があると認定されていない子どもも含め、何らかの障害を持っているであろうと思われる子どもたちが、全園児の約3割を占めるようになってきた」「その子どもたちに適切な保育をするのは、今の人員では非常に大変。人員体制を手厚くしていくことが必要だ」と言っておられた。この問題を市の保育行政としてどう考えているか。

保育課長
 障害者手帳あるいは療育手帳所持者、あるいは手帳は所持していないが障害児保育指導専門委員会で認定された児童については臨時保育士を加配している。発達障害児と思われるような気になる子が最近増えている状況は認識している。発達障害児への対応は、広島市発達障害者支援体制整備検討委員会の平成18年度の提言を踏まえ、早期発見、支援を行うため保育士を対象とした障害児保育研修を実施するとともに、発達コーディネーターの育成、配置をしている。保育園で発達障害と思われるような気になる子への対応はなお課題があると認識している。

中森議員
 加配の条件は。

保育課長
 身体障害者手帳を持っている方、療育手帳を持っている方、あるいはこの手帳は所持していないが専門委員会で認定された児童について臨時保育士を4時間あるいは8時間加配する。
平成19年度の実績は、公立保育園で236人、私立保育園で79人合計315人の臨時保育士を加配している。

中森議員
 4時間と8時間と言われたのは、重度であれば8時間、そうでなければ4時間かと思うが、この考え方も4時間の場合本当にそれでいいんだろうかと思う。子どもは午前中だけでなく1日いる。その子どもには1日対応するので、障害の重さによる対応の違いはあっても、4時間でいいとはならないんじゃないか。やはり8時間措置して加配をすべきだと思うがどうか。

保育園運営指導担当課長
 障害児保育については、中程度の障害をお持ちの方を統合保育するというふうな考えでいるので、4時間で十分かどうかはいろいろな考えがあると思うが、現在は4時間で対応している。

中森議員
 十分かどうかというところを、お考えを聞きたい。

保育園運営指導担当課長
 障害児といっても程度は様々で基本的には4時間で対応できている。園内の人員配置の工夫などでいろいろ対応が必要な場合には保育をしている。(必要な対応をしている?)

中森議員
 また実態を勉強して、この問題については議論したい。
 次に、これも本会議で聞いたが、国の動向について局長にお答えいただいたが、国の社会保障審議会・少子化対策特別会が5月20日に出した「次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に向けた基本的考え方」の中の保育に関する考え方についてどう思うかということも含めて聞いたつもりだったが答弁がなかった。この点を改めて聞く。

保育課長
 直接契約など保育サービスの提供の仕組みだけではなく、次世代育成支援のための制度体系という大きな視点でまとめられたものである。この基本的考え方が、保育園を利用する保護者にとって現状より更に良い制度につながっていくことを期待している。

中森議員
 期待してもそうならなければ非常に困ったことになる。どうしてそういう考え方ができたのか背景も含めて、そして誰がこういうことを言っているのかもちゃんと見ないと。これから先保育制度がどう変わっていくのか、広島市が質の高い保育という議論を今しているが、この議論が結局はどんな形で国の施策の変更によって影響を受けるのか、考える必要がある。経済財政諮問会議、大企業の代表の方たちによる、国全体の経済、社会の構造をどう変えていくかという議論の中から出てきている問題だから、どういう方向に向かっていくのかということを、今の介護保険制度や障害者自立支援法で問題になっているところと比べながら、つき合わせながら、これからどうなっていくかを考える必要がある。
 答弁の中で、国に出した意見書の中で「児童福祉施設の最低基準について、基本的な事項に限定し、その他の事項については各都市の実情に応じた決定を可能にすべき」こういう意見を出したと述べておられる。そうすると広島市としては現行の最低基準の設定は問題があるとのお考えか。

子ども未来企画課長
 この国に対する意見は、現行の最低基準に問題があるというよりは、自治体の判断によってナショナルミニマム的なものは除いて、それ以外のものについては自治体の判断によって定められるべきものではないかという趣旨。

中森議員
 今以上に水準を下げてはならない、そういう考え方なのだと受け止めてよいか。

子ども未来企画課長
 現行の最低基準に規定しているものは現行の保育水準にとって必要なものだと認識している。

中森議員
 この問題は改めて聞きたいと思うが、そこで確認しておきたい。今、広島市も全国の自治体も児童福祉法による保育の仕組みの中で保育行政を行っている。広島市では質の高い保育に取り組んでいくんだと言っておられるが、現行の保育の仕組みは基本的に維持していくべきものとお考えか。

子ども未来企画課長
 仕組みというか、いずれにしても最も大事なことは、本会議でも市長が答弁したように、全ての子どもに質の高い保育を提供することだと考えている。従って、今国において制度検討が行われているが、国においてもそういったことは取りまとめの中で必要だと考えているので、広島市としては保育を必要とする子どもが質の高い保育を受けられるような仕組みは必要であると考えている。

中森議員
 今日はチラシのコピーを持ってきた。市で「私立保育園の保育状況についての情報提供」という見出しのチラシを、各保育園を通じて保護者に配布された。4ページだての1面で私立保育園の公立保育園との違いとして、51の園で3歳以上には完全給食をしている、31の園でアレルギー代替食を実施している、と書いてある。
アレルギー代替食も完全給食もこれはかねてから保護者団体等がずっと「ぜひ公立保育園でも実現してほしい」と要望してきた問題なわけだが、これはなぜ公立保育園では実施されないのか。

保育課長
 公立保育園で完全給食を実施するためには、調理、配膳等にかかる人的配置。あるいは炊飯に必要な設備を設置する必要がある。大半の保育園の調理室は手狭で、スペース確保のための調理室拡充に多額の経費を要すること。それから保育室の調理室への転用が必要となる場合には入園定員が減少することなどの課題があり、慎重に対応する必要がある。
食物アレルギー食は現在除去食で行っており、現時点では88園の食物アレルギー対応児について、その状況を全て把握して個人に合わせた献立を作成することは困難であると考える。

中森議員
 厳しい経営の中で、保育士の人件費には随分格差があるが、その中で個々の民間保育園が努力している。広島市の公立保育園でも今の施設をどう活用できるのか、いろいろ知恵を出して頑張ってほしいと要望してきたが、なかなかやってこなかったのが現状だ。その中であえてこういう風に書いてしまうと、いかにも「公立保育園では何もできないんです」というように見えてしまう。果たしてそれでいいんだろうかと思う。
 それから、保育の質は経験年数や保育士個人の力だけではないとこの中にも書いてあり、本会議の市長の答弁の中にもあった。市としては特に強調していることのようだが、否定はしないが、「保育の質」を問題にするときに、組織的な取り組みがあれば経験年数や保育士個人の力はそう大きな問題ではないんだという認識なのか。

子ども未来企画課長
 本会議でも市長が答弁したように、保育の質にとって保育士の専門性は重要なものだと考えている。ただこれも本会議で市長が答弁したように保育の質というのは、保育士個人の力量に頼るものではなく組織的な取り組みが非常に重要だ。こうしたことについては、この度の新たな保育所保育指針の改正の中にも盛り込まれ、組織的な取り組みを強化するというのがこのたびの新しい改正の一つの要点だ。

中森議員
 組織的取り組みを内容あるものにしていくためにも、やはり保育士個々の力、そしてそれを高めていくための条件のひとつである経験年数は必要な条件ではないか。これを「無くてもいいんだ」とはならないものだと思う。また議論をしたいと思う。
そこで同じ2に「勤続年数が長い職員は、同じ園に30年以上勤めている場合もあり」とあるが、何人おられるのか。

子ども未来企画課長
 今回の情報提供は、私どもだけで作成したのではなく私立保育園協会との協議の中で作成したもの。この記載は私どもが作成したたたき台には無かったが、私立保育園協会から「こういう実態があるので是非入れていただきたい」と要望があり入れた。

中森議員
 市では分からないわけだね。
 3でA、B、C、Dと4箇所の私立保育園の取り組みが、「特色ある取り組み」として紹介してある。個々の保育園がそこだけでやっていることだと思うが、わざわざ1面を割いて出されていると「多くの保育園が同様のことをやっているんだ」と保護者は期待すると思うが、どうお考えか。

子ども未来企画課長
 チラシの1面にもあわせて書いているが、「私立保育園は園ごとに保育理念、保育方針があり、様々な独自の取り組みを行っている」と記載している。そうした公立にはない独自の取り組みの一つとして紹介している。またそういった私立保育園の独自の取り組みということで、公立には無い別の良い意味でのサービスを提供できるのではないかという趣旨で記載している。

中森議員
 付帯サービスは保育園の質とは基本的に別物である。一般質問の中でるる述べたが、本来保育士が子どもたちをきちんと育成していくためにどう取り組むのか、どういう専門性を発揮していくのか、そこをいかに高めて充実させていくのかというところに力を注いでいくべきだと私は思っている。
もし(チラシを)出すのであればそこをアピールする必要がある。そして公立保育園でもそういう努力は大いにされてきたと思っている。一つまたは一部の園だけでやっていることを、どこでもやっているかのように、このチラシを見るとつい思ってしまうが、それはこのチラシの問題点だ。
 もう一つ、民間移管の方針を掲げた保育園のあり方の案について、今の行政の側の作業はどのように、どこまでどのようになっているのか。

子ども未来企画課長
 6月議会以降の取り組み状況について答弁する。まず7月に「民間保育園に関するQ&A」を公立保育園保護者全員に個別配布した。続いて今質問のあった「私立保育園の保育状況についての情報提供」も公立保育園の全ての保護者に個別配布した。それとあわせて公立保育園保護者会連絡会から提出された公開質問状への文書回答を、全ての保護者に配ってほしいとの要望があり、市として「質問とQ&A」としてとりまとめ、さらに新たな疑問に思われる点を付け加えた「Q&A」を作成して公立保育園保護者全てに個別配布している。それと併せて各公立保育園から保護者会として「民間移管について説明してほしい」と要望されれば出向いて説明会を実施することで現在受け付けを行っている。現段階で8園ほど要望されている。

中森議員
 来年度に向けて取り組んでいることは。

子ども未来企画課長
 6月議会で市長が答弁したように、保護者の皆さんにまだ十分理解されているとはいえない状況なので、まず各保育園に出向いて、ご要望があれば公立保育園の民間移管を説明し理解を得る取り組みを進めたい。


 
 
 
     

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