広島自治体問題研究所
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いま問われる民主政治の姿
 2.感染病を地方自治体として問いかける内容とは

 (2020/05/28)
 
  新型コロナ感染症に対する戦いを行っていますが、この戦いの根拠となる法体系はどうなっているのでしょうか。
感染症法
 日本の感染症対策については、これまでの「伝染病予防法」に替えて、1999年4月1日から「感染症法(正式名称:感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)」が 施行され、感染症予防のための諸施策と患者の人権への配慮を調和させた感染症対策の一部分なのです。ぜひ、この前文を読んでください。実地に当たって、この法律で持って、地方自治体、国の連携が謳われていたのです。https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=410AC0000000114
感染症は、新自由主義経済の進行とともに、公衆衛生行政の切り捨てが行われ、次のような国民の権利と命を軽視する課題が現れています。
  1.検査体制の不備から公衆衛生・医療体制の深刻な状態
  2.人々の日常生活と経済活動への深刻な影響とそれへの政策的対応の遅れ
  3.差別意識とその克服
  4.「緊急事態」についての法的な体制とどさくさまぎれの改憲議論
広島県での感染症の取り組み
 広島県の「広島県新型コロナウイルス感染症対策実施要領【第二版】」で記載されている今回の経過を見てみましょう。https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/life/667307_6388783_misc.pdf
 日本国内で2020年1月16日に初めて感染者が確認されて以降,感染経路が判明しない感染例が現れ,2020年3月7日には,県内で初めて感染者の発生が確認された。また,2020年3月 13 日に,新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下「特措法」という。)の一部が改正され,暫定的に新型インフルエンザ等とみなすこととされた。このため,県では,県内における新型コロナウイルス感染症の拡大を最小限に抑え,県民の安心と健康を守るための緊急的な対応として,2020年3月 16 日に「新型コロナウイルス感染症対策実施要領(第一版)」を策定し,3月 28 日に特措法第 18 条に基づく「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」(厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策本部決定。以下「基本的対処方針」という。)に基づき,所要の見直しを行った。
 この実施要領は,2013 年 12 月策定の「広島県新型インフルエンザ等対策行動計画」に基づき,新型コロナウイルス感染症に係る現時点の知見を踏まえ,新型コロナウイルス感染症対策に特化した具体的な対策として「県内発生早期」及び「県内感染期」について,まとめたものであり,今後,最新の疫学的な知見などを取り入れた上で適宜見直されています。
 広島県では,2009 年の新型インフルエンザ(A/H1N1)の経験等から見えてきた課題に対応するため,2013 年 4 月に広島県感染症・疾病管理センター(以下「県感染症センター」という。)を設置し,健康危機管理体制の強化を図ってきました。
県感染症センター
 県感染症センターは,県内外の感染症の発生動向を早期に把握し,専門的な見地から分析・解析をして,重大な感染症の疑いがある場合には,速やかに,まん延防止対策を講じることができるよう平時から備えるとともに,大規模もしくは重大な感染症が発生した場合には,感染症専門医や疫学専門家などで構成する特別機動班を派遣して現場での体制強化を図ることとしています。https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/hcdc/
新型インフルエンザ等対策特別措置法の課題
  しかし、新型インフルエンザ等の感染症に対する対策強化を行うため、自然災害に備えた災害対策基本法や、テロリズムへの対処を定めた武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(国民保護法)をモデルに制定されており、一面この法律成立時にも問題となっていることに気を付けなければいけません。それは、各種対策を実施する場合においては国民の自由と権利の制限は必要最小限のものとすることなどを求める附帯決議が付されているからです。
 またこの法律の元、日本国政府や地方公共団体、指定された公共機関は、新型インフルエンザ等の発生に備え、行動計画を作成することとなっている(第6条から第9条)のですが、国家統制の要素が強く地域を十分支えるものには成長していませんでした。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%AB%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B6%E7%AD%89%E5%AF%BE%E7%AD%96%E7%89%B9%E5%88%A5%E6%8E%AA%E7%BD%AE%E6%B3%95
 広島県の実施要領も、このような国との関係を密に記載されており、今後の対策において機敏に私たちの命と生活を守る要求で改善しなければなりません。
18県知事の提言
 全国一律の緊急事態宣言が解除され、次期対策が必要だと18県知事が連名で「感染拡大を防止しながら一日も早く経済・社会活動を正常化し、日常を取り戻すための緊急提言」を5月11日発表しました。https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/2019-ncov/#m06-03
この提言には
 1.大規模な新型コロナウイルス感染者の早期発見・調査・入院等による
     積極的感染拡大防止戦略への転換
 2.PCR等検査体制の早急な整備
 3.治療・療養のための施設確保
 4.積極的疫学調査の徹底のための体制整備
 5.適切な目標設定と段階的な検査の拡大   です。
 この提言の目的は、「安全な医療体制を確保しながら、国として、感染拡大防止と経済社会活動を両立させる思い切った新たな戦略を構築し、その根拠となる法令を整備して断行することが必要」であり、国の法令整備と予算の問題をあげています。しかし、自ら県知事として、今までの公衆衛生施策の反省を抜きに、国の法改正を要求するのではなく、自ら先行して改善し、できることを実施し、きちんと答えていくことを希望します。
 また、今や断固たる行動によって「感染拡大を封じ込める攻めの戦略」が必要、PCR 検査の受検や陽性者に対する行動歴の調査、さらには 自宅待機等に対して協力が得られないケースも多発していることから、要請・指示に従わず、調査協力を拒否する行為に対して、実効性を担保するため法的措置を設けるなどの改善を図ること。などと法規制の強化を求めるなど、人権軽視になっています。
 すでに感染症の法律においても、実施段階のおいて、行動計画を各知事が定めれば、これに向かって行動できることは明らかなのです。各県の予算のあり方を反省し、今後の健全な感染症対策に向けての行政を充実していくことで、この提言に描かれており実施できるのです。

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