広島自治体問題研究所
  広島自治体問題研究所

お問い合せ  

 アクセス

 
戻る  一覧

2022年6月号 読者ノート

 (2022/05/31)
 
広島自治研会員みなさんへ・・事務局より
この住民と自治誌を読むことを毎月お会いしたいものです。事務局のものの考えを添えてみました。あなたのご意見を挙げてみてください。
編集者より
特集:災害と避難 誰ひとり取り残さない協働の地域づくり

相次ぐ災害に対して災害の恐ろしさばかり強調され、市民があきらめたり、逆に油断したり、あるいは行政にお任せしたりしまいがちです。そうではなく、「我がこと」として災害に立ち向かい、自助・共助・公助の枠組みを超えて命を守るための協働をどのように実現するか。国・自治体はそこに対してどのように責任を持つのか、具体的な事例から学びたいと思います。



目次
◆直言 住民の現実から自治を問い返す─「住民」の実像なき地方行政がまかり通る危機 平野方紹
 住民とは、現実に即した捉え方が出来ているのかの問いですが、「住民」像がとらえきれていない、政策が行われている、災害・防止対策で、うまくいく訳がありません。ここに描かれた地域の実態が、どうこれから掴んでいくのか、本当に急がなくてはなりませんね。危機的状態です。
●連続企画● 「新型コロナ」から日本の社会を考える 第24回 公的病院の拡充、医療体制の抜本改革を─コロナ禍で可決された都立病院廃止条例 本田 宏
 日本の公的病院の削減が西南戦争後の激しいインフレとその後の松方政策が地方財政を厳しく陥れたことにより、全国にあった公立病院の多くが廃院となり、一方松方病院は自由に開業した、医療を民間に任せた動きが出たとのことです。戦後新日本は、無医村解消を目指して、「人口10万対150人」の医師の養成を達成するために、1973年までに全国に1県1医科大学を設置したのです。しかし1983年に厚生省の吉村仁保険局長(当時)は、医師養成の目標は達成したとして、医師過剰時代の到来を宣言し、「医療費亡国論」を唱えたのです。以降経済界、政治家、官僚が連携して広めていると言われています。このような取り巻きから、公的医療費の積算する統計資料の扱いがズサンデアルト記載されていますが、医師の需給推計で、OECDが常用する「単純平均」ではなく「加重平均」で医師不足を矮小化したり、労働時間推計も過労死ラインを超える時間外労働や高齢医師の長時間労働を前提にするなど問題が指摘されるのです。このような政府資料による恣意的な誘導に載らないよう、日ごろから気を付けたいものです。コロナ時のマスコミ報道から今となっては、全く気に留めもしない姿勢に、マスコミの政府迎合が気になりますね。また、医療費もさること、薬価の程度のひどさも注意しなければいけません、この緊急時に日本での薬業は国民に必要な薬物を手に持っていないのですから。
第64回自治体学校案内in松本
 昨年と同じようにZOOM開催が計画されています。広島県会場も作りたいものです。
●特集● 災害と避難 誰ひとり取り残さない協働の地域づくり
 自助共助のみの災害対応が今の政府のやり方なのに、国民はあきらめているのか?体験が生かされていない問題がありますね。
「生活防災」─「ふだん」と「まさか」をつなぐ─ 
矢守克也

 ここで改めて保育所での幼児教育の実態が参考になります。いつもの外歩きについても、その子たちの避難の力量考慮するとともに、お互いを見詰め合うところから危険なことへの避難を告げることができるとか、日ごろをこのような観点に置き避難経路や所要時間の把握などの質的向上にさせることが行われているのですね。これからの災害常習時期、「想定外だ!」ということではなく、防災は特別な活動ではない、「ふだん」の生活、言い換えれば日常のくらしが、そのまま、防災、つまり「まさか」の時に備えになるような、そんな「生活=防災」を目指しましょう。3.11の岩手県野田村保育所の事例はぜひ読み返してください。また「防災=福祉」そして「防災=健康」と発展してくのです。
 一部の人たちだけで担う特殊な活動ではありません。むしろ、そのポイントは、ごく普通の人たちが,いかにして、「ふだん」と「まさか」を上手につなぐか、ということになります。つまり防災を「ふだん」化させることは、自ずと、防災を「わがこと」化にもつながります。
 
災害ケースマネジメント 一人一人の復興を切れ目なく目指す制度(鳥取県の取り組みから) 西尾浩一
 今回の災害ケースマネジメントが、鳥取県で制度化(条例制定)されたようです。各種災害時にはこのような支援事例が起こされ、支援されてきたことでしょう。しかし一人ひとりの災害について細かく調査し支援するまでには到底今の時世ではできないと思われていました。そのような時世の捉え方から一歩進んだ、制度として、災害が起きる前から対応が行われ、きめ細やかな支援活動を、県・市町被災者の連携で行う補償が、制度として動くということは、国民の願いであり、これからの災害時にとって必要ではないでしょうか。先生を待つから、アウトリーチ型、オーダーメード型の取り組みで一人も取りこぼさないことを願いたいものです。災害時の補償基準の拡大が大きな課題ですね。
犠牲者ゼロを目指す地震・津波対策の取り組み〜南海トラフ地震に備える官民が協働した黒潮町の防災対策〜 宮上昌人
 黒潮町が津波で沈んでしまうことから、茫然として災害対策が作れない状態から、犠牲者ゼロをめざす体制作りを作るように変化した経過です。避難しようともしないで諦め(避難放棄者)たところでは、多くの市町の職員の貼り付けしても、地区住民をまとめる活動は困難です。この課題をどうクリヤーしたのでしょうか。計画自体が机上の空論とならず、それぞれの地区の課題に即した計画とすることに徹し、「地区脆弱性踏査図」として整理されています。また、それに対応した「個別つなみ避難カルテづくり」が全世帯ごとに作られています。避難施設体制の維持管理が、天気などで崩れないよう、住民主体の対策づくりの維持管理ができるような組織の成長を作ることが要になってきます。対策施設の維持管理がもっぱら住民に押し付けられていると認識されることの無いよう、行政として、こと細やかな手立てを示す努力がこれらの過程で示されなければうまくいかないでしょう。避難施設としての基本的責任は行政がきちんと取り、官民共同の維持管理体制の工夫が必要であり、住民にとって、避難所の環境はより豊かな場所として日常的に、子供から年寄りまで参画できる場であってほしいものです。また要配慮者対策は、行政が責任をもち共助・公助が両輪で対策を進めなければなりません。黒瀬町の取り組みの中で、土地所有者に無償で借りられる体制が行政が作り上げているのは素晴らしいことですね。
誰ひとり取り残さない支援を目指して─災害支援ネットワークおかやまによる継続支援と実務の備え 石原達也
 既存のNPO組織が災害時に支援センターとして立ち上げられ、引き続き支援センターの活動を定式化して継続しています。この災害支援ネットワーク岡山はNPOでの活動に、12の役割を定式化し、SNSを活用して、臨機応変に現地に派遣されているようです。支援の中で、復旧ロードマップを作り、物資支援の明確化と保険会社などの支援体制の取り組みを可能にしています。また災害用語の説明に役立つ「サイガイペディア」が作られています。災害時の事業者の支援を全体把握できるように、全体像化され、対応が明らかにされています。ちょっと組織的に分かりにくい面はありますが、これに関連する人々の多さと資金作りには感心します。
潜在的要支援者への災害時の緊急支援─自治体における取り組みに関する調査研究より─ 岡田裕樹・佐々木 茜
 潜在的要支援者とは、自然災害が頻繁化する中、避難時に支援が必要な多くの高齢者や障碍者の事で、被害を受けている時、自治体としてこれ他の人々の把握をどのように取り組んでいくのか明らかにする報告です。日本の障碍者数は身体障碍者は436.0万人、知的障碍者は109.4万人、精神障碍者は419.3万人で、合計964.7万人と推計されています。一方障害福祉サービスを利用している障がい者は約127.0万人で総数の約13%程度です。すなわち、障害があっても障害福祉サービス等の支援を利用していない人が一定数いることが分かります。これに対する自治体の調査実態は、潜在的要支援者を把握しているが369自治体(42.5%)、把握していない「が481自治体(55.4%)でした。又潜在的要支援者に対する災害時支援、防災に関する支援について、「検討したことがある」が304自治体(35.0%)で、「検討したことはないが548自治体(63.1%)であり半数以上の自治体では潜在的要支援者の状況把握されておらず、また災害時の緊急支援も検討されていないことが分かりました。障がい者が災害時に取り残されることのない、誰もが安心して地域生活を送ることができる仕組みが広っていくことを願っています。広島県の実態はどうでしょうか。
ウクライナの原発危機および原発自治体アンケート調査が浮き彫りにしたもの 池田 豊
 今回のウクライナ侵略における原発施設への攻撃が、現実に起こり、これに対する恐怖を多くの原発自治体職員は持った事でしょう。福井県知事が首相に連絡して自衛隊の対応を訴えたとの報告は、現自治体首長として真摯な姿を示しました。このような原発事故対策が改めて検証された結果を見てみると、原子力防災体制の貧困、住民防護対策の後退と変質がより鮮明になりました。自然災害だけに焦点を置かず、このような原発に対する周知も、原子力施設・機械の耐用年数が過ぎる今日、高めておかなければいけない課題です
●連載●
おきなわ定点観測 第3回 生活・生産のなかにある「たたかい」─続・伊江島のこと─ 関 耕平

 沖縄の人々の戦中・戦後はまだ続いています。現在戦争をする国づくりに向かう中、現在の沖縄について本土の人はよく勉強するべきだと思います。阿波根昌江さんが作られたムチドウタカラの家にもぜひ参加したいものです。反基地闘争は、単に「何か崇高なもの」とみるのではなく、「生活と戦い」があり「生産と戦い」があったとの認識が披露されています。
くらしと自治と憲法と 第13回 憲法尊重擁護義務をめぐる三つの誤解 永山茂樹
 憲法99条「天皇または摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う」は憲法の尊重用語義務を定めです。が3つの誤解が生まれていることに対する意見です。憲法を守る義務の項目の発生原因をさかのぼると、おのずとこの憲法が国民が制定した民主憲法であるから義務の書き方も、欽定憲法とは違うのです。
 国民も普段の努力をもって憲法擁護に努めなけらば行けませんね。

シリーズ 地域発信 野草と歩む つちころび野起き 最終回 第4回 地域で、野草で、バトンをつなぐ 鶴岡舞子
 女性たちが野菜料理を作る会話は、奥深い・身近なものとなっていますね、未来の子供たちにつながってけばいいのですが。改めて日本食の、味覚が、日本の文化と言われ、ユネスコの文化遺産に登録されたのですね。手作りで作り出されていく姿勢が、百円均一で手軽にこそこそ良いものを使い捨てられる価値観が問われていますね。春の七草から始まり、季節季節の野草を香り、つみゆく草の有毒・無毒の判断を高めていくことが繋がっているのですね。
人つながるN 福祉のフェアトレードを社会に広めるマジェルカ 藤本光浩
 障がい者が作業所で制作している製品が、一般の人にとって「支援される側」から生まれたものという認識だったのか、自主製品に魅力やクオリティを求め、顧客に対する訴求効果を高めて販売する概念で取引されているマジェルカとは。一度は見てみたいものです。
検証 津久井やまゆり園事件を人権の視点から考える 第9回 障害をもつ人を権利主体として保障する法制度は、日本に十分に整備されているか 瀧澤仁唱
 ドイツでの障がい者の権利を保障する制度が、「障害を持つ人の権利に関する条約」の批准に現れていると説明されています。それは、批准に当たってドイツでは国内法の整備が必要なく法制度が存在している条約だったのです。日本では署名から批准まで、7年の要否を費やし、2014年1月となっていますが、その後の国民が社会保障の権利主体として明確に扱われ、その権利実現の制度が法整備として整うことがなかったのです。具体的権利を行使できる法規定や機関がない限り、真の差別禁止及び平等化は図られず、人権保障もないのです。憲法25条の否定につながった津久井やまゆり園事件がそれを現わしています。
 また、国際障害分類(ICIDH:障害の有無を問わずに、また国や地域を問わずに適用できる、「人の健康状況や健康に関する状況、障害の状況などを記述すること」を目的とした分類です。)、国際生活機能分類(ICF:人が日常生活を送る上では、身体的なものだけでなく、社会も含めたさまざまな「機能」が必要になりますが、それらの機能は、複雑に絡み合って「相互に作用している」という考え方からICFは生まれています。)の法制度の取り入れはどうなっているのでしょうか。

@NEWS 司法の役割を放棄した諫早(いさはや)湾干拓・開門確定判決に対する請求異議訴訟判決 堀 良一
 諫早湾干拓における裁判で、確定判決を付き返す不当判決が最高裁から出された。「著しく審議誠実の原則に反し、正当な権利行使の名に値しないほど不当なものと認められる場合があることを要する」という厳格な判断基準から行われていないのです。
書評・・「アフターコロナの公衆衛生 careの権利が守られる地域社会をめざして」表者 庄司慈明
 コロナ禍でのドキュメントは映像では見ることができるが、その時に終わってしまい、検討が出来ない。この本が詳細に時系列でコロナの災害を退治する社団法人での取り組みを記載されており、その間に考える課題を明にしていると評価されています。現代社会の公衆衛生を立て直すには、このようなきちんとしたデーターを踏まえて対策を考えることが必要でしょうね
ローカル・ネットワーク
BOOK REVIEW
Jつうしん
自治の風─静岡から 第2回 止まらない巨大開発─沼津鉄道高架事業と住民運動・訴訟 川瀬憲子

 バブル期に計画された典型的な環境破壊型の巨大開発がこの沼津鉄道高架事業となっています。区画整理事業で減歩率が東海の鉄道用地ではゼロであるとは、地域全体へのしわ寄せは多大なものとなっている事でしょう。費用便益分析が、0.816とは公共性がないに等しいですね。この地域がアニメの聖地巡礼とは、新たな取り組みが期待されますね。
編集後記
 

戻る  

連絡先 〒730-0051 広島市中区大手町5丁目16−18    

Tel: 082(241)1713 Fax: 082(298)2304  E-mail: hjitiken@urban.ne.jp