広島自治体問題研究所
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2023年1月号読者ノート

 (2022/12/15)
 
目次
◆新年のご挨拶 市民生活の向上、地方自治の発展、地域経済の活性化をめざして 中山 徹

 昨年度最も衝撃的だったのはロシアのウクライナ侵攻で、まるで、戦前に戻ったのかのようでした。国内では、少子化に歯止めがかからず、高齢化が進んでいます。政府は地方創生からデジタル化を進め、具体的なサービス供給を民間に委ねようとしています。
 これがデジタル田園都市国家構想なのです。
今年自治体問題研究所は創立60周年を迎えます。

◆直言 社会のデジタル化とスマートシティ 山田 健吾
  我が国の行政事務のデジタル化は、2002年の「行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律hが制定されたことから始まり、基本法が2016年に成立し、2019年にオンライン化法が大幅に改正されデジタル手続法となりました。そして、2021年にデジタル改革関連法が成立その目的は、紙媒体などの情報をデジタル・データーに置き換えに留まらず、私たちの生活空間や労働環境など作り変えることになりそうです。
 その最終法案として「デジタル田園都市国家構想基本方針で、スマートシティを100地域で構築する目標です。これらスマートシティーへの合意がどう得られているのか、デジタル化にともなう個人情報などの規制や調整はどうなっていくのか、数々の問題がコントロール不可能となっていきます。デジタル化を再編整備し、地方自治の再生を図ることが必要です。

◆連続企画 「新型コロナ」から日本の社会を考える 第29回 新型コロナと介護 伊藤 周平
コロナ禍で、パンデミックの発生が甚大な影響を及ぼし、医療など日本の社会保障の制度的脆弱さお浮き彫りにしています。医療崩壊とともに、2022年11月末まで累計5万人近くを数える新型コロナによる死者数が出ており、介護現場も低く据え置かれた介護報酬と政策的帰結としての人でず足による老人福祉・介護事業の倒産件数が2020年には118件と過去最多となりました。また介護報酬の抑制は給付抑制策の帰結しており、介護専門性の劣化が進んで廃校に至った介護福祉養成学校も出ています。コロナ禍で在宅介護が広がり、家族介護者の負担が増大しています。高齢者施設では、新型コロナのクラスター発生が相次いでいますが、全国で850件と過去最多と記録していますが、そもそも高齢者施設では、感染疾患に感染対策が脆弱であることが大きな原因です。高齢者施設への医師や看護師の派遣施設内診療体制の確立が難しいことを示しています。その中で、厚労省のPCR 対策の遅れが大きく、定期的、頻回の検査の実施が必要なのです。
 当面の課題として。第1に定期的なPCR 検査を全額国庫負担で実施、第2に感染者を直ちに入院治療に移せる医療提供体制の整備、第3に、利用者減少などに伴う減収を公費で保障があげられています。
 安心できる介護保障の仕組みに向けては、介護保険法は廃止し、自治体の責任で高齢者や障碍者への福祉サービスの提供を行う税方式の総合福祉法を制定すべきです。

●特集● ジェンダー差別を超えて多様性の時代へ
 「ジェンダー」とは社会的・文化的性差を指しますので、「社会的性差による格差指数」とするべきでしょうか。ジェンダーギャップ指数で日本は2020年で、0.650で146か国中116位で、2006年が、0.645でした。
今回の特集では、@ジェンダー差別を生む構造がどのような所にあるのか,Aどのような思想のもとに成り立っているのかを知り、Bどのような人もありのままの自分でいられる社会の在り方について
 考えていきましょう。

文化の多様性とジェンダー平等 松岡 悦子
 世界の共通の目標となれる一方で、ジェンダーと相いれない文化や道徳観を持つ社会が世界には多くあるでしょう、日本がこのジェンダー平等の大きく遅れていることに、なぜ気が付かなかったのか、大きな遅れと言いつつ、それを正すのは、経済レベルで気が付くのか、文化の在り方か、日本が国連の定める勧告や目標を自分たちに関係のない他人事のように見なしがちなのは、未来に目標を定めて、それに向かって社会を変えていくというあり方に抵抗を覚えるからのように見えます。ですが、社会を変えずに現状維持を保とうとすることは、未来志向で動く欧米とのずれを一層広げることにつながると思われます。
 道徳観は文化によって異なり、ジェンダー平等という概念は必ずしも世界共通の価値になっていないと言えます。ジェンダー平等は欧米の一部の人たちが重視する民族自決の概念だという見方もできるでしょう。
 文化に優劣はなく、自文化の基準で他の文化を判断をしてはならない。これは文化相対主義と呼ばれ、異文化に対して寛容であれという点で、とても重要な考え方です。また、多様な文化の存在を認めつつも、世界は共通のルールを良くして居ます。グローバル化がそれを促進し、共通のルールがなければ議論の基礎を築けず、問題解決に至らない場面がたくさんあります。より普遍性の高い概念を用いて多様で異質なものを含みことであり、普遍性のレベルを上げていくのです。グローバル化の問題は多々あるとしても、私たちはローカルな文脈を考慮に入れつつ、普遍性の高い概念を用いてより多くの人々を包み込み、未来志向で社会を変えていくことが今求められているのだと思います。

東京・国立市 多様な性を尊重するまちづくり 木山 直子
 国立市での多様な性に対する条例が、2018年4月に施工され、その施策の中心施設が、パラソルという小さな小さなセンターで、行政から民間委託されてSOGI、個人の性の在り方を示す言葉をとおしてじわじわジェンダー平等の社会が実現する活動が、紹介されています。ここで気づいたことで、医療者向けの研修を実施したところ参加者がゼロだったと言ことがあります。???参考:https://www.nijiirodoctors.com/aboutus
ケア労働者の処遇改善のためには「ジェンダー平等」の社会が不可欠である 森田 進
 日本における女性の蔑視の傾向が依然として変わっていない。この変化をどう生み出すのか、ジェンダー平等を強く社会に広めなくてはならない。特に医療関係での女性の扱いが、大学入試制度の当選点数の規定で、100点を取っても女性は80点しか認められないとなっているなど、この社会規範がそもそも、女性社会の劣悪さを象徴しています。ケア社会の介護においても制度立案の政府自体に、この女性蔑視が絡んでいたので、今や崩壊に向かっているのですね。「女性中心の家事労働について、若いものからの変化が生まれているのですが、社会化するとこの壁が大きく立ちはだかっていることが明らかで、政治社会での女性比率の向上など、早期に解決できない問題に加担に取り組む政党が大きく伸びていけるようにしたいものです。
労組内での意思決定の場における女性の参画の現状について 岡上 則子
 労働者組合の女性部での活動が、多くの男性に訴え切れていないと感じるのは自分の偏見なのでしょうか。看護婦の父親として今まで来た裏方には、このような女性部からの働きかけはなかった。組合の意思決定に女性の意見の反映割合が小さかったからなのでしょうね。労働組合のジェンダー平等は、率先して行われてほしいものです。食事の下ごしらえをこれから自分が出来るようにならなければと思います。
シンポジウム 「法整備と SOGI」 に参加して 編集部: 松川 遥
 LGBTに対する関心が高まる中、自らが当事者であることをカミングアウトし、それによる困難を周囲に知らせしめることは重要な過程ではありますが、強い差別が残る現状で自身が当事者であると名乗り出る必要のある法の在り方であってはならない。このシンポジュームで話題に上がったのは、日本社会の宗教右派による、根深いトランスフォピア(トランスジェンダーへの嫌悪)に基づく情緒的な反論です。思想や価値観がスピーディーに変わる時代の中で、自分の信念・価値観が揺るがされている人の不安があるように、この変化の速さはあっという間に、違った方向に社会通念が誘導されうるという事でもあり、誰もが暮らしやすい社会に向けて、たゆまぬ努力が必要になりますね。
自治の視点が問われた─区画整理 再開発住民運動集会を終えて─ 遠藤 哲人
 自治の視点で都市計画自体の作成が行われた時、その段階での当局と住民との間にどのような関係が作られていたのか。このことが大きく性格づけられたものになっていきます。一方新自由主義はこの糧で、自治体ではなく一事業者として、市民に犠牲を押し付け、利益を業者側に与えることを任務としちきます。ただの地方統治機関である以上に、独占資本の先導者化しているのです。暮らしなどに構わず、潤沢な開発行政に、国が大枚を与えているのです。このような地方自治体の姿に、横浜市での敵を作らず、公共性の錦の御旗を掲げた交渉が目を引きます。市民、自治体職員、議員、市長の総合力で、都市計画の話が出来ればいいですね。
●連載●
人つながる(22) NPO法人フリースクール「てだのふあ」
〜子どもたちが安心して過ごせる居場所づくり〜 山下 吉和

 子供の多様性の中に不登校があるのでしょう。全国にあるフリースクールの数が500あると、不登校の受け皿を官民一体となって増やしていくことが、喫緊の課題ですね。子どもたちの太陽が輝く場を確保することは素晴らしいことですね。
検証 津久井やまゆり園事件を人権の視点から考える
第14回 津久井やまゆり園の地元住民としての想い…考え、行動 鈴木 哲夫

 やまゆり園の問題は、地域から障がい者差別をなくさなければならないとの声が沸き起こり、「障害の有無にかかわらず共に生きる社会について考える会」が生まれたようで、自らに内に秘める「差別意識」の克服と合わせ、犯人が「障がい者は役に立たない」として障がい者の基本的人権、生存権を全否定したことが「事件」の本質と考え、まず何よりも人権の大切さを学ぶためにその根本となる憲法を学び、「差別を許さない社会を目指してできる活動は積極的にやろう」と努力されてきたようです。
おきなわ定点観測 第10回 日本国憲法の“真価”を私たちに問い続ける沖縄 関 耕平
 沖縄生活9か月間で、基地をはじめ沖縄で起きている問題が、日本全体で受け止めるべきことだと強く感じられたそうです。明治憲法から日本国憲法へと変わる際に追加された2つの条項は、「戦争の放棄」(平和主義)と「地方自治」。これが日本国憲法の“真価”ですね。キャッチャーとして今後とも沖縄問題に、受け止めていきましょう。
シリーズ 地域発信 耕作放棄地に挑み果樹園の再生を! 第2回 荒れ地を開き安心安全なみかんを育てる 渡辺 卓也
 ミカン栽培での無農薬・有機農法を実施されるまでの不安は大きかったことでしょう。小鳥のさえずる農場での栽培が、自然循環を豊かにしているのでしょう。耕作放棄地の無農薬は、自然に劣る実態だった、これが整理されて築く自然の中に育つミカンは、味はどうでしょうか。全国的な無農薬ミカン栽培はどのくらいあるのでしょうか。
@NEWS ユニチカ跡地住民訴訟と住民自治の展開 御代田 桜子
 企業融資と土地の全面移譲が行われる際の協定書が、住民運動の成果で守られているようです。ここにも、住民監査請求や、住民訴訟が出てきますがそのまとめ方が大切ですね。130名の原告団の一致した運動がこれを支えていると思います。https://yunichika.jimdofree.com/
BOOK REVIEW
ローカル・ネットワーク
年賀広告
Jつうしん
自治の風─広島から 第2回 鉄道のある暮らしを未来へ 佐々木 隆一

 国民の足を守る国労からの報告で、JR本州3社の「内部留保」が、7.5兆円にもなっているとは、大きな額が、中央新幹線に使われるのでしょうか。住民との今後の連携を期待します。
編集後記
 

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