広島自治体問題研究所
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2021年9月号読者ノート

 (2021/08/29)
 
目次
◆直言 新型コロナ感染症に対する有効な医療と予防を 尾関俊紀

 新型コロナ感染対策から1年半を、民主医療組合の活動を振り返り、組合と医療従事者、行政の繋がりが大切であり、「目の前の患者さんにできる限りのことをしてあげたい」という医療従事者の士気が綴られています。この間医療とケアの大切さをわからせ、新しい日本社会の道が見えてきた気がします。
●連続企画●「新型コロナ」から日本の社会を考える 第15回
 コロナ禍と文化─大阪からの報告─ 田坪文一/藤田直子/澳 利子

   文化を経済的な視点からしか見ない大阪府・市のコロナ禍での活動状況を見ると、本当に社会活動を守る自治体なのか、疑問が先に立ちます。すでに大阪市内には公的な芸術劇場が全くないという状況ですが、広島市にもないと気が付きましたが、文化活動での大小の、新旧の芸術活動家をいかに支えるか、これからの大阪の活動を見ていきたいものです。コロナ禍での芸術文化の振興に係るルールの確立がないといけないので、このような事態の中でも作り出すことが行政には求められるのですね。芸術分野での、自由闊達な活動を保障するプロ基準・支援事業基準など、まさにルールのないこと自体問題ではないでしょうか。
 ●特集●「廃炉時代」がやってきた─原発の不都合な真実と負の遺産
 福島第一原発事故は、原子力発電の危険性をまざまざと見せつけたのです。偶然が重ならなければ、我が国の歴史は終わっていたのかもしれないことに、真摯に向かい合いましょう。
 「廃炉時代」がやってきた─原子力発電の後始末 大島堅一
 日本の原子力発電所の運転開始は、1966年東海発電所からで、40年後に福島事故が起きているのです。事故後廃炉決定した原発は21基、2021年7月時点で再稼働新規制基準審査中の原発24基、そしてうち現在再稼働にこぎ着けたのが9基です。高レベル放射能廃棄物がウラン鉱石並みの放射能レベルになるまでの期間は約10万年です。
 また大島健一さんが作成した後始末事業の全体像では、複雑な処理区分がされており、これらの解消は次世代へ残されることなのです。廃炉計画に携わる省に、環境省がありますが、身近な廃棄物として取り扱う基準を放射性セシュウムであれば、100ベクレル/キログラム以下が、8000ベクレル/キログラム以下で除去土壌が設定され、再利用に使われているのです。
 このようなダブルスタンダードを生んでいることは大変な問題です。廃炉時代であると、きっぱり原子力発電を中止させなければ、思わぬ人体への被害が起こるでしょう。

原発の負の遺産─核のゴミ処分場選定問題と地域民主主義のあり方 小田 清
 破綻した「核燃料サイクル」計画という「原発神話」が今北海道の自治体に覆いかぶさっているようです。今まで原発工事を、トイレのないマンションづくりと批判されていることに相対するために、この神話は形を変えたのです。
 放射能レベルを隔離するため、「文献調査」と称して、原発処理場を地下300メートル以深に埋設するための地質調査活動だというのです。2007年高知県東洋町から始め、自治体の首長を丸め込め、突如として計画書を認める議会を開き決議され決定する準備を行う体制づくりを「原子力発電環境整備機構=NUMO」が行ってきているのです。
 北海道議会では、原発のごみ処分場の設置を認めない条例を作っていますが、各市町までは、徹底されていないのが現状のようです。見守っていきましょう。早期に原発稼働ゼロにしていきたいものです。

廃炉中も続く使用済燃料リスク─地域社会からの廃炉監視を─ 尾松 亮
 廃炉決定後、依然として使用済み核燃料の維持管理が問題です。この管理に住民が入っていなければ、防災時の的確な補償がないということになります。この保管方法として「乾式貯蔵施設」がアメリカなどでは進み、その維持監視条件がいつの間にか、緩くなる恐れが出ているからです。当初15年という期限を設けているが、それが過ぎるとどうなるのか明確にされていないのです。
再稼働の危険性と原子力規制委員会 樋口英明
 福島原発事故から10か年が経過したのですが、「原子力緊急事態宣言は解除されていないのです。この論文で、福島原発事故に驚くべき奇跡が起こっていた、それで東京都民の被害がまぬかれていたのだといいたいのです。それが、まともに作られた原子炉格納容器ではなく、どこかに脆弱な部分がありそこから圧力が漏れていたので、大爆発に至らなかった。
 この原子炉は点検中で、貯蔵プールに隣接する原子炉ウェルに「シュラウド」の取り換え作業のために、普段は貼られていない水が張られており、溶鉱炉が冷やされたことなどが明らかになっていたのです。3月15日は日本の運命の分かれ道だったのです。
 このような危険性に対して、現在の原子力規制委員会は全く反省もなく、老朽化した原子炉の再稼働を許しているのです。厳しい検査をしていないことが、伊方原発運転差し止め裁判で、計画書の中に、南海トラフ地震の際、この伊方原発には、181ガルという地震規模が来ると書いてあり、これを見逃し認めているのです。
 そもそも南海トラフ地震は「東日本大地震災」の10倍の規模だと言われているのですが。?このような現実の裁判所、政府、事業者を私たちはもっと目を見張らなければなりませんね。

◆特別企画 戦後76年目の夏─平和を願い、声をあげる人々
全国でくり返される米軍機低空飛行の実態─最新の事例と国内法適用に向けた課題 有田崇浩

 最近、繰り返される米軍機の低飛行訓練、観光ごとき東京スカイツリー周辺に飛行する問題が明らかになりました。法的に根拠がないにもかかわらず、自民党と政府がこれを黙認、いや追認して必要だと岸防衛大臣が回答する時代になっているのです。
 まさに日本を「占領地」扱いにしていることに怒りを覚えます。軍隊を持つ国の住民被害を自民党は野放しにしていくのですから、これを退陣させなければいけません。
 (北広島町の上空には広島、島根両県にまたがる自衛隊の空域があり、米軍が「エリア567」と呼んで訓練に使う運用が続く。 広島県は全国的にも米軍機の低空飛行が際立ち、16年度に1227件だった目撃情報は米軍厚木基地(神奈川県大和市など)から空母艦載機が岩国に移転した後の18年度に約1・5倍の1843件となった。)

馬毛島の軍事基地化と私たちの闘い 山内光典
  無人島を自衛隊が買収し飛行訓練基地として作り上げることが、種子島の西方にあるようで、町の声として、交付金や関連施設の経済効果を強調する声が増えているとか。住民自治に対してどう取り組むのか、大切な場面が報告されています。陸海空の訓練場としてこのような無人島を売り払う住民の姿勢が問われるとき、どう対処するか、メモっておきたいものです。
宮古島の空・海の平和をミサイル基地配備で壊さないで! 上里清美
 日本国憲法を無視した防衛相の宮古島周辺の軍事基地化の戦いが述べられています。防衛省関係者がどんどん住民として入り込み、町政に癒着を進め協力を強制しだすのでしょうが、ここに住む住民の生活・自然環境、命の水の確保など、自然からの恵みを守ることを最大限生かした戦いをしてほしいものです。
災害時、誰も置き去りにしないために─西日本豪雨災害での避難所「まきび荘」の教訓 山中弓子
 災害時の福祉的避難所を、第一次避難所として役だて、即活用するためには、ガイドラインの改定が行われたとのこと。高令者が不安を持たずに避難所を訪れやすくすることが目的であり、国際基準である「スファイア・スタンダード」にある、@尊厳ある生活への権利、A人道支援を受ける権利、B保護と安全への権利、が最低限守らなければならないのです。災害時にはたくさんのNPOがありますが、これらの連携のきずなとなっているようです。全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD) | つながりは、そなえ。
◆『住民と自治』創刊700号に寄せてA
 あなたの「住民と自治」への接触はいつからどんな思いがありますか。
「全体の奉仕者」論と「不断の努力」を 原田松美
『住民と自治』とともに 岡庭一雄
これからも地方自治の発展に寄与を 近藤よしえ
自治体民営化の転換の力としてさらに 尾林芳匡
●連載●
@NEWS 合理的配慮の提供義務化─障害者差別解消法改正の意義と今後の課題 M畑芳和

 障がい者権利条約の批准が2014年で障がい者基本法ができ、2016年に障がい者差別解消法が成立し、この法の見直し時期になり改正された内容が記載されています。3点あげられています。また、今後の課題として、差別の定義規定、間接差別、紛争解決機関の設置などがあげられています。
人つながるF 国際子ども食堂 愛媛県松山市にオープン─料理を真ん中に子ども・留学生がつながる─ 山P麻里絵
 国際子ども食堂の目的を、@子どもの貧困と向き合う、A学生の成長ステージ、B在留外国人の新しい活躍の場・居場所と上げ、活動されています。
検証 津久井やまゆり園事件を人権の視点から考える 第1回 津久井やまゆり園事件と人権─連載にあたって 井上英夫
 2016年7月26日に起きた津久井やまゆり園での障がい者殺人事件は、人権後進国日本の現状を現わしており、人権先進国に転換するためには、働く人々が人権意識を高め、人権のためにたたかうことが大きな力になるのでしょう。まずケア労働者自身が、人権への理解を深め、人権意識獲得のためにたたかい(憲法97条)、人権を守り発展させるための「不断の努力」(同12条)を続けることこそその「職責」というべきでしょう。
中の人が語る。図書館と、人と、まちと 最終回 第6回 図書館と人とまちと  相宗大督
 図書館理念として、ランガナタンという人の「図書館学の五法則」がありますが、最後の「図書館は成長する有機体である」は、ただ本を読むだけの場所から情報を共有する場所となることができれば、そこから何らかの合意形成がなされるかもしれませんを言い表しているのですね。
くらしと自治と憲法と 第4回 住民投票 庄村勇人
 最近、住民投票の実施者の設定により、この意義が十分尊重されることなく違和感を生むものが出ています。違和感の原因は、ポピュリズム型の政治を行う首長による提案の場合、「討議」が不足したままの場合、時間的余裕を描いた場合、また最近は住民投票条例削除の動きが出ているなどがあります。
 条例上の住民投票には「結果を尊重する」旨の規定がおかれており、その結果には法的拘束されない「諮問型」住民投票です。これは、「間接民主制によって市政を執行しようとする現行法の制度原理と整合しない結果を招来」しかねないといった理由です。

ローカル・ネットワーク
Jつうしん 
自治の風─信州から 第5回 命の水を守ろう─こもろの「水」を考える会 神津真美子

 市民が、「こもろの『水』を考える会」を作り、指定管理者制度のよって請負った(株)水みらい小諸を監視していこうとしています。民間企業として営利を追求する性格を持つこの企業にどう監視していくのか。「広島県の水みらい」もありますが、
編集後記

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