広島自治体問題研究所
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2021年4月号 読者ノート

 (2021/03/18)
 

目 次
コロナ禍がまた暴走を始めようとしています。菅内閣は何ら有効な手立てを打たなく、緊急避難声明を解除しようとしています。国民の命・生活より、経済先行の政治の行政の典型です。
直言●格差・分断を許さず憲法をいかす国政と地方自治を 桜井眞吾
 生活保護を国民間の分断の手段に利用した菅内閣、コロナにおける「罰則」を住民の命や暮らしを守るべき自治体側である全国知事会が要請したことは見逃せません。
連続企画● 「新型コロナ」から日本の社会を考える 第10回 コロナ禍における中小商工業者の困難と直接支援策 宮津友多
 国の直接支援策がようやく実現したというのに、その内容は中小企業者の分断の施策になっていたのです。これに対しアンケート結果から、限りない自治体で、その上乗せや、新たな対象事業種や、社会保険料負担の軽減など、中小企業・小規模企業振興基本条例を制定した自治体で、実施されていることが判明しています。この輪を広げてほしいものです。広島県内の自治体はどうだったのでしょうか。県民商に聞くこと新型コロナQ&A 自営業の支援制度一覧 あなたが使える制度の紹介・申請もサポート! |ご相談は民商・全商連へ|全国商工団体連合会 (zenshoren.or.jp)
特集● 全世代型社会保障検討会議最終報告を読む
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/zensedaigata_shakaihoshou/pdf/kaikakuhosin_r021215.pdf
 この政府報告書は、財界の負担軽減と引き換えに高齢者・国民には消費税増税と自己負担増を求め、自助を強要するものとなりました。
全全世代型社会保障改革が目指す「自助・共助・公助」型社会保障の本音 芝田英昭
 この報告書の欠陥は、障がい者福祉に関して全く触れていないこと、少子化問題対策に一切言及していない点です。この根底にある「自助・共助・公助」観は2006年版「厚生労働白書」が最初です。この3層構造論には大きな欠陥があり、そもそも資本主義社会の現在、「自助」という前提が成り立たない、ほとんどの人が生産手段を奪われているため、生活問題を緩和・解決するのが社会保障と呼ばれる制度・政策です。人権の視点からは社会保障を考えれば、人々の生活は、多くの場合国家により規制されますし、基本的人権は往々にして、国家により侵害されます。立憲主義とは、国家による人権侵害を縛るために憲法が存在するという考え方です。「公助」の概念でとらえるのではなく、人々の当然の権利を保障すると理解すべき言葉なのです。コロナ禍のもと「人員削減・生産性向上」の発想のもと、デジタルテクノロジー・AI活用が図られ、医療・介護・福祉分野の専門性が阻害される可能性が高くなっています。これらの分野は、労働者と利用者とのコミュニケーションを通じてお互いの発達を促す労働であり、余裕のある人員配置により十分な意思疎通が図られるということ、それに、「予見性」と「裁量権」をそなることが極めて重要です。この度、コロナ禍、新興感染症、災害が起こった時にも、平時の余裕のある人員配置が重要であることを、国民は十分知ったことでしょう。
全世代型社会保障改革と医療、予防・介護 鶴田禎人
 全世代型社会保障改革の方針について、①医療分野では、提供体制改革、保険制度改革、医療制度改革の展望について、②予防・介護分野では、保険者努力支援制度、介護インセンティブ交付金の強化と予防・介護制度改革の展望が紹介され、新しいこととして、自己負担の引き上げを挙げていること、これまでの医療介護政策の柱であった、地域医療構想および地域包括ケアの実現が今後も揺らぐことなくな追及されていくことを述べています。
多様化するライフスタイルと年金問題 畠中 亨
   2020年金改正が十分な審議もなく決定され、この改正に対する問題点を挙げています。多様化させるライフスタイルの問題をふくめ、どのような人生の選択に対しても、最低保障年金の導入をはじめとした社会保障の強化が不可欠です。
全世代型社会保障改革における少子化対策の位置づけと課題 村田隆史
 人口が増加も減少しないで一定となる水準を人工置換水準といい、合計特殊出生率2.07の場合に人口が維持されます。日本では、1974年以降下がり続けています。エンゼルプランなどが提起された時代もありました。この度の方針では、①不妊治療への保険適用等、②待機児童の解消、③男性の育児休業の取得促進があげられています。少子化対策のむつかしさは、少子化の要因が複雑化・複合化していることです。方針の前段階の文章には「新しい時代の日本に求められるのは、多様性である。多様性を認め合い、すべての人が個性を生かすことができる社会をつくることで、少子高齢化という大きな壁を克服する。そのために多様な学び、多様な働き方、そして多様なライフスタイルに応じて安心できる社会保障制度を確立する必要がある」と指摘していたのですがカットされています。
高齢者を手始めに雇用を切り崩す「生涯現役社会」─全世代型社会保障の
検討課題に労働を据えた意図と対抗軸 濵畑芳和

 「生涯現役社会」とは、高齢者を引退させずに、彼らを雇用不安定化の手始めとして生涯働き続けさせ、負担を求め続けるというものです。経産省の構想で、これまでの社会保障が堅持してきた「社会が支えるべき高齢者」という概念を撤廃し高齢者を引退させずに生涯働き続けさせ、社会保障負担を高齢者を含めた「全世代」の国民のみへ一方的に押し付ける社会といえます。これにより財界には、高齢者を死ぬまで働かせることで少子高齢化に伴う人手不足問題の解消という利得を得させ、「柔軟で多様な働き方」の推進とも相まって社会保険料の事業主負担の極小化を図る、徹頭徹尾財界を保護するための政策を遂行するんだという意気込みでした。しかし、安倍内閣の退陣に伴い経産省が事務局から撤退したことも影響してなのか、労働政策に関する部分は最終報告で全体像を描き切ることができず、部分的な法令改正にとどまっています。くしくもこのコロナ過で苦しむ人々の生活を前に、国に対して生活を保障する仕組みを求める人々の思いはこれまで以上に強くなっています。この人々の思いを形にし、社会保障制度を本来の生存権保障のための制度に転換させることが私たちに求められています。
特別企画● 東日本大震災10年②
●東日本大震災における居住確保支援の現状と課題 遠州尋美

 東北大震災での居住地の乱れは阪神淡路大震災の時代と違って、規模を超えた住家被害になっており、その実態が報告されています。この間旧災害援助法の枠をだんだん変えてきた過程が明らかにされています。また新しくコミュニティーの関連した課題が述べられています。居住確保は被災者生活再建支援法が議員立法で1998年におこり、2007年改正で現行の形になっています。​
連載●
●東京・世田谷区の新型コロナウイルス感染症とのたたかい 第2回 保坂展人

   世田谷区でのコロナ対策の最初は、高齢者施設での内部感染、特に無症状の陽性者を確認し広がりを早期に抑えたことで、そこの施設機能維持を保障した点大事だったと思います。この間の国の動きも、このような千代田区の動きにマネする歩調を合わせるしか機能していないことも明らかになりました。
大深度地下開発を考える 上 陥没事故が暴露した大深度地下法の違憲性─東京外環道問題60年の軌跡 丸山重威
 「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」なるものが、地上生活者の生活不安を呼んでいます。そもそもこの法律を作る過程での、さまざまな実態を無視し、実質、地下の土地の使用権を奪う形の法案となっています。審議会で、二人の議員の疑問が出されていますが何ら回答が出ていないまま、地権者よりも建設事業者の利便のために作った法律であり、この法律をもとに、リニア新幹線計画が具体化されているようです。辺野古の埋め立て問題と同じで、地球が悲鳴を上げて気候変動が広がり、文明が問われているいま、日本の経済構造全体を考え直し、それこそ「持続可能性」がある方向に、一つずつ転換しなければならないでしょう。
シリーズ 地域発信 いいからかん日和 第1回 多様性のなかへ セトヤマ ミチコ
 横浜から群馬県の田舎に突如移住して17年間、それからこの地で自分なりの幸せを見つけられたといいます。人間としての触れ合いが多くの食べ物を見つけ出し、地域の人々に、楽でない多様性を承認させたのですね。東京一極集中でコロナ過が見事に災いを明らかにしてくれました。多くの村人が元気になる時代が来ることを「いいからかん」日和です。https://iikarakan.com/
中の人が語る。図書館と、人と、まちと 第1回 なにもないところから図書館をつくる 相宗大督
  図書館が本と人だけでなく、より多様な情報と人、さらに人と人がつながることも図書館の機能となっていると。私たちは図書館をどのように使っているでしょうか。
人つながる② コロナ禍に生きる(下) 松本晶子
 松本さんのあのころは、世の中のすべての人が私の存在を煙むたかっているような気がして怖かった。コロナ禍、私たちにとって沈黙は、恐怖と不安でしかありません。1日も早くコロナが終息し、会話や笑声であふれる社会になってほしいと切に願います。
@NEWS 横浜IR誘致の賛否を問う住民投票条例直接請求の結果と今後の課題 政村 修
 横浜市民のIR誘致の賛否を問う住民投票条例案が否決されたそうで、コロナ過での活動が大変だったことでしょうが、この夏の市長選挙で頑張っていただきたいものです。20万筆の署名を何倍にもしてください。
●BOOK REVIEW
●自治の風─茨城から 第6回(最終回) 魚のおいしいまちづくり 二平 章

  おいしい魚の料理会に参加したいもんですね。
編集後記
 

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