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2022年4月号読者ノート

 (2022/03/15)
 
編集者より
高度成長期に敷設された多くの水道管が多くの自治体で耐用年数に到達し、更新や長寿命化のコストをどのように負担し安全を担保するか、岐路に立たされています。そうした背景から2018年改正された水道法は、「公共サービスの成長戦略」にもとづいて水道民営化と広域化に道を開き、その動きが広がりつつあります。憲法が保障する生存権と公衆衛生についての国の責任の規定を堅持させ、いのちの源である水道をどう守るか、水の自治に改めて光を当てます。
事務局より
 コロナ禍で日本は変ですが、世界は第3次世界大戦が起ころうとして危険です。第二次世界大戦の教訓が生かされていないのですね。
日本で、憲法改悪が進むことと同じことが世界で起きているのです。

目  次
◆直言 パートナーシップ制度は「無縁社会」克服の鍵となるか M畑芳和
 全国で147自治体でパートナーシップを公的に認証する制度が創設されている。婚姻制度が、家族関係の維持に関する意思の存否やその生活実態に関わらず、一律に民法上の扶養義務を課さられることが、家族の機能であるとする明治以来の家族観に深く根ざすものだ。パートナーシップ制度を同性間の婚姻制度の代替として留め置くのではなく、同性婚を正面から認めるとともに、パートナーシップ制度は男女を問わず人と人との親密な関係性を証明するものとして再定義する。この流れが奔流となりますね
●連続企画● 「新型コロナ」から日本の社会を考える 第22回 コロナ禍が浮き彫りにした日本の精神医療の構造的問題 竹端 寛
 コロナ禍で、三蜜問題でのクラスターが異常に多い問題ことが明らかになった、その中で精神科病院でのクラスター発生率は異常です。8050問題などから、個別解決策として家族にあてがわれて年齢利差による扶養が崩れて、異常が生まれるのです。このような精神科の扱いは世界から見ると異常で、いまだに27万人近くが入院し遅れた扱いをされています。世界では、精神障害のある人は、地域の中で支えることが「グローバルスタンダード」になっているのです。日本の精神病院は、民間経営が多くその存在を地域に戻すのか、自治体としての役割が大きく問われています。自治体の政策転換を3つ提案され@精神保健機能の拡充を通じら相談支援体制の拡充、A訪問看護や往診など地域支援体制の拡充、Bハウジングファースト(安心して暮らせる住まいを確保することを最優先する考え方)です。これらをセットで行うこと。
●特集● 水道の広域化・民営化と水の自治
 高度成長期に敷設された多くの水道施設が作られ、自治体で耐用年数に到達し、更新や長期寿命化のコストをどのように負担し安全を担保するか、岐路に立たされています。そうした背景から2018年改正された水道法は「公共サービスの成長戦略」に基づいて水道民営化と広域化に道を開き、その動きが広がりつつあります。憲法が保障する生存権と公衆衛生についての国の責任として堅持させ、命の源である水道をどう守るか、水の自治に改めて光を当てます。
あらためて水道の民営化を考える 尾林芳匡
 そもそも論から、確認しますと、水は命の源であり飲用に適する水として供給する施設が水道です。この原則を水道法が規定して、目的に挙げていますので確認しておくことが必要です。@適正かつ合理的なものであること⓶計画的に整備する。B保護育成するC清浄にして豊富低廉な水の供給をD公衆衛生の向上と生活環境の改善に寄与する。ことが出来ることです。これらは憲法に規定される生存権と公衆衛生についての国の責任を明確にしているからなのです。
このような大原則の中、民間事業者の参入を容易にし、民間事業者の収益の確保や増大のために、経費削減や利用料金高騰をやらせる事はできないのです。
水道法の改定で問題点として@更新費用の不足や人材確保の遅れなど、現在の水道事業が抱える課題の改善につながらない。⓶国や都道府県が下ろしていく広域化方針により、地域の良好な水源の活用とは、異なる実情に合わない計画が作られる恐れがあるB民営化により、水道事業が営利本位に変質し、更新費用の削減や料金の上昇がもたらせされる恐れがあります。
民営化はなぜ進められるのかと、問われると、地方自治体や地域住民にとってメリットはなく、あくまで水道事業を通して収益を上げようとする経済界が、繰り返し実現を求めてきたにすぎないのです。従って現在でも、次に挙げられるか所ぐらいしか進んでいないのです。大阪市⓶宮城県B東京水道株式会社の事例を参照してください。広島県もかなり進んでいますが、広島市、尾道市等での参加は見送られています。 

上工下水一体の民営化を探る宮城県 中嶋 信
 宮城県での民営化の推進企業体は、「宮城型管理運営方式」と言われ、あずさ監査法人・ジャパンウオーター・日本総合研究所などの「有識者」、三菱商事・「三位物産・丸紅・日本政策投資銀行など「民間事業者」、及び「行政関係」の国と県、4市1町です。
 水道法の改正当初から「官民連携の推進」が追記され、民間資金を活用する政策に対応するもので、目的外である景気対策に、公共サービス事業が動員できることになりました。
公共サービスの多くは国や地方公共団体によって担わされています。住民が「健康で文化的な生活」を営む上で欠かすことのできない事業です。公共サービスの新たな形は定かではなく、企業や県民の参画を飛躍的に高める具体策は示されていません。水道事業の転換など行政枠組みの改造に野心的な姿勢を示しています。民間企業の裁量が水道事業の公共的性格が薄められ、大手企業集団の利益追求手段の性格が強まることが危惧されます。住民主権の観点から、これからの水道事業の在り方を県民全体で議論する課題が残されました。水源をどう有効活用するか、情報を積極的に広げ、住民や自治体・議会等とともに、豊かな水道事業の姿を示すことが求められています。しかし、実際に維持管理に当たる子会社の株の51%を保有し、実際支配するのは、フランスの国際的水企業ヴェオリアの子会社=ヴェオリア・ジェネッツです。ヴェオリアは各国の水道事業民営化に参入し、多くの問題を起こして、再公営化するなど混乱を招いています。公務公共サービス労働組合協議会は組織内の議論を通じて、「公共サービス実施における6つの原則」を定式化し、その普及を図っています。@必要充足性の原則⓶市民参加及び近接決定の原則B共同実施の原則C公共の規律の順守の原則D公開・透明性の原則Eディーセントワークの原則です。

急浮上した奈良県域水道一体化を考える  浅野詠子
 水道の歴史を振り返り、住民に返すことが基本です。多くの人々の知恵と苦労によって生まれた水源を、何のわだかまりもなく捨て去ることの危惧を述べています。今剰余金が出ていると一般会計に繰り入れた町がありますが、これこそ計画的ではない見方で水道の運営がされているのではないか検証が必要です。維持機能を図りながら進行し、需要を生み出すことがなくては、循環はできないのです。水の流れは循環がうまくいくか、スムーズに行っているかにより守れるのですから。奈良という地域の地形に敏感になって見直すことも必要ですね。これからの気候変動に対応した更新事業を事前に計画していくことと、健全な水循環とは、弱い町、強い町らが連携して健全な循環を作ることから自治が強くなりますが、一か所に集中させ、これが支配するやり方は、多くの危険なリスクを生むことになります。水道の広域化は、山村軽視の風潮を根付かせ、治水・利水の区分は透明性をもって明らかにさせてほしいものです。多くのダム建設の神話が見直される時期に来ています。維持管理の検証がどうなっているのでしょうか。誰が行っているのですか、
大阪市の水道コンセッションとPFI管路更新事業 植本眞司
 大阪での水道事業に対する住民運動が、維新の会の大阪都構想との戦いの中で、自民党を含め闘われたことが述べられ、新自由主義の最先端の維新の会が、水道事業の民営化は欠くことのできない事業であるということで、反対の戦いが組織されていったのです。この中で、水道法の改正によりコンセッション方式により、民営化技術が法的にバック承認され、作り上げたことが示されていますが、水道事業の持つ根源的な計画、設計、施工管理、の過程での技術的継続を担う職員の存在は、大きなウエイトを占めています。これが人の命を預かるものですから余計慎重に行われなければいけませんし、更新事業となるとその変更は多岐により、そのコストの算定は掘り返して初めて明らかになるから、そのリスクを民間が追うことはできないでしょう。これらのコストが生まれる限り、市民にこのことを理解される努力をしない限り、増加する費用負担をどこで解消するのか研究する必要があります。狭小な場所での工事ですからより緻密な設計が必要です。このようなことをちょっと待て命の水の再生ですね。
『水の学校』6年間のあゆみとその先へ 大谷 奨
 水の学校の6年間がこれからの環境の学校へつながっていくようです。このような地道が課題での役所としての取り組みは、珍しいと思いますが、このような地下に眠りながらも命を支えていることの結びつきを教育で十分やる必要があると思います。向井森林組合の学校が小学校で組織されたことがありましたが、楽しいことが大前提に新しいことに触れるいい機会だと思いました。この武蔵野市の取り組みが全国に沸き起こるといいですね。
小諸市水道事業の民営化で見えてきたこと 高橋要三
 市民と行政・民間が行った水道の将来を見守る活動が生まれています。行政がこの視点に立つ動機が明らかにされないと、この市民団体が、水道料金値上げの根拠にされ、困った立場に落とされますので十分注意が必要です。市民に安全・安心な水を送り続ける持続的な組織の要は、それを担う技術者集団で、この人たちが、非・正規とかは県ではよいことにはならないということを市民は最初に抑えておくことが必要です。よくあるてチェックシステムに市民が参画できる体制を作るとはすばらしいことですね。
学校から給食調理場が無くなる─倉敷市の公共施設再編と子どもたち 末田正彦
 学校給食が大規模センターに統合されることに市民団体が良くする会を作って戦っています。このような戦いの根源は、公共施設の再編であり、新自由主義の先頭に出ていることが、明らかにされています。まさに学校とはないか、公共施設とは何か、考え合意形成をすることが必要です。行きつく先は、学校の統廃合の訴状を阻止することになります。学校の廃止、統合について「地域コミュニティの核としての性格を有することが多い学校の統合の適否の判断は、教育的観点のみならず、地域の様々な事情を総合的に考慮して検討しなければならない」と文部省が言っているのですからこれに市民がどう答えるかになります。
●連載●
人つながるL 「森のハープ」でご縁をつむぐ 阿久津 瞳

 「人と自然のご縁をつむぐ」のテーマで運営されるよう養蜂業とハーブ制作とは。文化を備えた起業家。この姿が持続的経済発展を支えるのか
新連載 おきなわ定点観測 第1回 連載開始にあたって─沖縄の「日常」とその衝撃─ 関 耕平
 広島自治体問題研究所での講演から身近な人が沖縄に行かれて、これから連載がはじまります。期待したいと思います。広島自治研とかかわった先生がこれで、5人になりましたか。「理解」を打ち砕く「洗礼」を受けられたとか。
検証 津久井やまゆり園事件を人権の視点から考える
 第7回 知的障害のある人、家族、福祉労働者の人権侵害とその責任、地域住民との関係 鈴木 靜

 社会福祉施設での事件の問題について根源から見つめ直されているようです。知的障害者と切るのではなく知的障害を持つ人と位置づけ、そのケアをどうするのか、またその保護者、支援者の姿を明らかに制度化することが言われています。今回福祉労働者の人権の実態が明らかにされ、ケアの本質は、自己決定権の補償であり、人権が保障されるとは、十分なケアを受けての独立生活の保障です。今やこの考え方を理念に留まらず、北欧では制度として保障されているのです。また社会的には、地域住民との関係まで詰めておくことが述べられています。人権保障を整える基本は、具体化する法制度やケアの在り方、職場の在り方の議論が乏しかったのですね。この両輪が合わない動きから事件が発生しているのです。
公立美術館の光と影 第6回(最終回) ICOMでの議論から見える世界との距離 武居利史
 博物館定義から改めて幅広い視点が提起されています。世界的定義案は、博物館とは、社会とその発展に貢献するため、有形、無形の人類の遺産とその環境を、教育、研究、楽しみを目的として収集、保存、調査研究、普及。展示する公衆に開かれた非営利の常設機関である。としておりますが、日本は依然として美術における西洋崇拝が強く、美術館自体を近代化の象徴と考えているのですから、この差は大きいですね。
くらしと自治と憲法と 第11回 憲法から見た日本税制の課題 浦野広明
 日本の税制の不備が説明され、このことが、総選挙での野党共闘政策に盛り込まれたのです。この点に確信を持つためにも学習してください。総合累進所得税の提起が行われています。「所得、法人、資産の税制、及び社会保険料負担を見直し消費税減税を行い、富裕層の負担を強化するなど、公平な税制を実現し、また低所得層や中間層への再分配を強化する」ことです。この個別課題は、憲法30条、13条、14条、25条、29条らから出てくることを、税の在り方でまとめること説明されています。このようなものが身について始めて確信できるのでしょうね。
シリーズ 地域発信 野草と歩む つちころび野起き 第2回 振り返れば一本道  鶴岡舞子
 東京の通学混雑から農村への脱出を一本の道として選び、他力本願で巣立ってきた彼女の道は、今日発展している移住という流れを先取りした試みでもあったのか。地域おこし協力隊に入会して、土着を身に付ける過程で、野草を種類が豊富なのでうまくいくかは別として、食品や原料など新たな資源として活用や利用方法のアイデアをたくさん思いつくのです。ただし、量産が出来ず、栽培が厳しいのが大きな壁です、お手本になるようなものはなく、手探りで可能性を形にしてこられたなのです。このことが一本の道の根幹になったようです。
@NEWS 次世代健康調査中間報告まとまる─カネミ油症事件の今とこれから 三苫哲也
ローカル・ネットワーク
Jつうしん

自治の風─東京・多摩から 第6回(最終回) 歴史を掘り起こす 森松徹夫

 三多摩自治研の歴史を振り返り、自治研本部の流れにも大きく関わった歴史が述べられています。ここでも小金井市職労の300人の読者がいたことが大きく述べられていますが、自治体労働者の糧としての「住民と自治」誌の果たしてきた役割が明らかですね。
編集後記
 

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