広島自治体問題研究所
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2025広島県政白書をつくろう NO.2

 (2024/04/05)
   NO.1で、まず第一として、湯崎県政の始まりの時期は2009年11月であり、この時期は平成の大合併、権限移譲など新自由主義の波が全国にわたり、湯崎知事はその波をアメリカで実践し、日本に帰り広島県行政の場で具体化のために広島県知事として登場したとみられています。と言っていますが、この流れはどこから出てきたのか。
湯崎知事発足までの地方自治体の変化を見てみると、各種の規制緩和や民営化を推進することにより、地方自治体の大規模開発がしやすい仕組みづくりが、小泉内閣の2001年に設置された第27次地方制度調査会の答申(2003年)で、市町村合併とともに都道府県の合併・道州制について提言されています。小さな市町村や県の存在が、グローバルな市場競争には取り組んでいる大企業にとって「障害」となっており、企業の成長を図るためには必要だったのです。そこには住民の暮らしはありませんでした。
 また、日本経済連は、この道州制導入を「究極の構造改革」とも位置付けていましたが、そこには住民自治や住民の福祉向上を図る憲法の視点は全くなかったのです。
「平成の大合併」は、2005年度末には、1821自治体となり、2010年3月末日には市町村数は1751となり、2010年3月までで一区切りすることが適当である」と結論付け終焉を迎えています。この時期に登場した湯崎県政はこの平成大合併が持っていた大きな問題には一切関心を持っていないのでした。
その問題とは「単に法律で地方公共団体として取り扱われているだけでは足らず、事実上住民が経済的文化的に密接な共同生活を営み、共同体意識を持っているという社会的基盤が存在し、沿革的に見ても、また、現実の行政上の上においても、相当程度の自主立法権、自主行政権、自主財政権など地方自治の基本的権限を附与された地域団体の消滅。「平成の大合併」で広島県は83自治体から23市町になった。矛盾が広がるのは当然だったといえます。合併推進の旗振り役であった西尾克氏自身も、2014年度末の参議院の調査会で合併や三位一体の改革が地方を惨憺たる状況に追いやったと認める証言をしたのです。このような惨憺たる状況が広島県内にも作られていたのです。
2009年8月に民主党政権が発足しますが、同政権は「地域主権改革」を訴えましたが、道州制や規制緩和、「新しい公共」の導入を掲げており、それまでの地方分権改革の流れを大きく転換することはありませんでした。2012年12月には、民主党政権は終焉し、第二次安倍晋三政権が発足しました。
2009年11月に湯崎知事が誕生したのです。
この第二次安倍政権のもとで、新たな地方制度改革の流れが強まって、その起爆剤が、2014年の「自治体消滅」論であり、それを前提にした地方創生政策の開始でした。
このような実態には目もくれないで、安倍内閣の優秀生として湯崎知事は今日あります。
ではその安倍内閣以降の地方政治はどう仕組まれてきたのでしょうか。
それは、戦争する国づくりで、地方自治は「分権」から「集権」への逆流が大きく現われました。この度、地方自治法の改正が行われるのです。大規模災害や、感染症蔓延などのさいの国民の生命・身体や財産の保護を名目に、「補充的指示権」として国による地方自治体の自治権制限を撃ちだしたのです。「地方分権」から「中央集権」へと時計の針が逆転し、「戦争する国づくり」への地方自治体の動員体制が行われているのです。
このことに湯崎知事は何も言っていないのです。
 安倍内閣政権以降、全自治体に「集中改革プラン」策定を求めこれにより自治体職員及び猶予の削減木曜の徹底がされ、アウトソーシングや指定管理者制度、PFI,市場化テストの導入が推進されたのです。これらの事業で民間企業が雇用する人々の多くが非正規労働者であり、官製ワーキングプアを生み出したしまったのです。何よりも公務職員数の削減は、災害時での安否確認や救援活動、日脚調査復旧事業に大きな支障をきたすことになりました。国が推奨するデジタル化やドローンは、大災害時において、直接、住民の命を救うことはできないのです。その後、地方創生総合戦略には数値目標が設定され、その中には学校の統廃合を含む公共施設等の縮減も入れられ、国の施策に対応した数値目標が達成できたところほど予算配分を置くする財政誘導が盛り込まれていきました。マイナンバーカード普及率をその評価指標に入れるなど、国による財政誘導策は強化されてきたのです。
 コロナ禍で安倍政権が崩壊し、菅義偉内閣が誕生しましたが、菅内閣はデジタル庁を設置し、国家主導でトップダウン的な自治体のデジタル化(DX化)を強引に進め、自治体が保有する膨大な個人情報を国の個人監視委システムやビジネス資源として民間企業で活用できる仕組みも作ってきました。その際、住民の個人情報を守ってきた地方自治体の個人情報保護条例を法律によって骨抜きにした点も大きな問題です。
 岸田文雄内閣は、米国との軍事同盟を最優先する形で、軍事力の増強とともに、経済安全保障の名による各種統制を強めています。それが第33次地方制度調査会答申での、中央集権的な国の地方自治体への「指示権」創設の提言に繋がっています。
 
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