広島自治体問題研究所
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2023年2月号読書ノート

 (2023/01/27)
 
編集局
2023年4月に行われる統一地方選挙を迎えるにあたって、それぞれの自治体において、地域の課題が争点になります。これからの地方制度・行政がどのような方向に進むかを理解することで、自分の考えるまちづくりにはどのような政策が必要なのか、その政策を実行する裏付けはあるのか。選挙を前に争点の立て方を考えます。
目次
◆直言 未完成のまま22 年が経過した都区制度改革 吉川 貴夫

 大都市での自治体では統治できない人口規模のため、東京都と23区の計24自治体が一体性と統一性に配慮しながら行政運営が行われている。この原則が実際は守られていない。特別区制度と地方自治の民主的な発展を阻害するものになっているとは。広島市の区間の財政的調整を制度として行うことによる調査を広島市でも行って明らかにしていくことが必要ではないか。
◆連続企画 「新型コロナ」から日本の社会を考える 第30回
旅館業法改正案の問題点─令和4年秋臨時国会の審議断念 黒木 聖士

 コロナ感染の広がる中、宿泊業者の中で、感染者宿泊拒否が出来るよう改正案が出来たとか。このことは、この期間宿の泊まる際に、予防接種をした証明をもっていかなければ泊まることが出来ない事態が発生していました。このことからも、この改正案に対する見方を確立しておかなければ、間違った差別、人権侵害を生んでいくことになります。
 人類は感染症と共生していかなければならない運命にあり、誰しもが感染症に罹患する恐れがあること、感染症患者らが差別されてきた歴史への反省を踏まえれば、感染者ましてや感染の疑いのあるものを社会生活から排除するのではなく、患者・感染者の基本的人権を最大限尊重しながら、政府が十分な情報公開を行い、広く市民間で議論をすることを通じて、さまざまな知恵を絞りながら、感染防止対策を模索していくことが必要です。
 このコロナ禍で、ホテルでクラスターがほとんど発生していない事実が報告されています。

●特集● 統一地方選挙の争点の立て方
自治体を小さくする勇気を 自治体政策に不可欠な自立の精神 福嶋 浩彦

 自治体政策で、隣の町にあるものを求める、一見市民の声で、成長期にはこれが大きな力になりましたが、「現在の社会の仕組みを維持したいから人口減を止めよう」ではなく、人口が減ってもみんなが幸せに生きていける持続可能な社会の仕組みの変えよう」に転換して政策を建てることが重要です。「うまく小さくして質を高める」という視点が大切です。市民合意を作る方法を明確にし、新たな創造は、市民が納得し、みんなで知恵を出さなければ進まないのです。利用者の声だけが市民の声になると、公共施設再編成に総論賛成でも各論反対になります。納税者のの立場で議論に加わる「自分ごと化会議」が松江市で行われたようです。「私はどんな社会で暮らしたいか」を前提の出し合うためには、正確さ情報を得て自分なりに考えたいという人がたくさんいます。2000年4月に施工された地方分権一括法で、国の府庁からの通達は廃止され通知になり、これはあくまで技術的助言で、強制力はなくなったのです。自治体は国より市民を見る目があるのですから独自性の発揮が求められます。
市政と選挙に主権者市民の主体性を取り戻す 「市民マニフェスト選挙」でめざす市民自治 松本 誠
 明石市の「市民自治あかし」は、政策提言市民団体として13年前に市政運営の三原則とし、「市民の行政への参画」と「情報の共有」「協働のまちづくり」を全文に掲げる「自治基本条例」の制定をおこし、これがて『明石市の憲法』となっています。「市民自治のまちづくりとと市政」を目指すことを宣言したことで「市民自治あかし」は、「市民マニフェスト選挙」として市長候補者に「市民が作る市民の政策」を提案する事を展開してきました。中間検証評価も行い、今春4回目を迎えます。参照:https://shiminjichi-akashi.net/
第33 次地方制度調査会での議論は、どのように地方自治に影響をもたらすか 榊原 秀訓
第33次答申は非常に理念を述べており、その具体化は今後の課題だと思われますが、地方議会の在り方は独自に議会改革として進めるべき課題です。今回挙げられた課題の整理を行ってください。この報告書にもあるコロナ問題は独自課題としてまだ十分な議論を終えていないとみられます。しかし、政策形成をAIに委ねるいわばAI民主主義によれば、議員や議会は不要のものとなるといった議論です。この主張は、実際には首長や職員も大幅に不要とする民主主義や自治体の存在自体を軽視するものと考えられます。DXやAIによる自治体の変容は予想以上に大きなことが予想され、議会、行政、さらには、統一地方選挙で選択を行う住民もそのことについて真剣に言考えなければなりません。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000854239.pdf

自治体は、住民の個人情報と安全を守る対策を取るべき 久保 貴裕
 DX時代に危険な実態として、個人情報のデジタル企業への横流しを促進して、新たな構成での資料にされていく危険が明らかになりました。一刻も早く自治体でのこのような取り決めの改善と市民もこのような動きに注意していく必要を感じました。「まさに自治体は今「デジタル化狂騒曲」ともいうべき現状です。保育・子ども関係が述べられていますが、自治体の仕事は人的繋がりがあり、他の分野面での実態も明らかにしてほしいものです。
 デジタル臨調は「穴グロ規制の見直し方針」を打ち出し、国民の安全を確認するために設けられている「目視」「実地監査」「定期検査・点検」「常駐・専任」「対面講習」「書面提示」「住訪覧縦覧」の7項目の規制を「アナログ規制」と一括りにしてまとめ緩和撤廃するようです。9669項目の規制条項ありこの中について十分な調査を行って実施するようにしてほしいものです。安全を守る専門職員は必要不可欠であり、デジタル化はあくまで職員の補助手段として活用されるべきです。国が施策として進めるのではなく、自治体が「住民福祉の増進を図る」という役割を担っており、住民の個人情報と安全を守る対策を直ちにとるべきです。

山形県遊佐町 少年議会の活動を通じて まちづくりの客体から主体になる取り組み 解説 荒井 文昭/インタビュー 齋藤 愛彩
 こども会議の発生と経過体験が語られ、大人と子供の目の違いが解った。こどもの意見を大人がどのように扱うことがたいせつだか振り返ってください。子どもたちの議員としての発言は、忖度のない純粋なものでしょうね、大人は是非参考にしていきたいものです。
http://www.town.yuza.yamagata.jp/ou/kyoiku/shakyo/shounengikai_2021html

 地域・自治体からボトムアップ「Local Initiative Network」からのお誘い
 東京都の小金井市・中野区・世田谷区・多摩市・杉並区の5区長が揃っての、硬直した権威主義的計画行政から地域や市民が主導するまちづくりへの転換が図られ、公契約条例による労働報酬を底上げし、地域が豊かになる改革を進める。デジタルデモクラシーで、伝統的既得権、と「新自由主義的な公的セクター解体」が交錯する政治構図から、現状をよりよく修復し、再生させていく社会包括型の「いのちの政治」を目指していくそうです。「政党の選択肢」ではなく、地方から変える、と言います。https://peatix.com/event/3448503
住民と自治』定価改定のお知らせ
  住民と自治誌が3月号から800円になります。
斎藤文男先生逝く90 歳、民主主義への熱い思い 宮下 和裕

 福岡自治研の創始者の冥福をお祈り申し上げます。
ZOOM IN 高知県・四万十市 子どもの教育、人権、命を守るために
大学誘致失策からの新たな地域創りに向けて 有原 陽子

 まさに市民の声を聴かない市長・教育委員会の姿です。看護大学を中学校の跡地に誘致するとして学校のプールもすぐ解体するなど、子どもの状態を無視したものであり、行政ではありませんね。頑張ってください。
●連載●
人つながる(23) だれもが安心して楽しめる映画館 平塚 千穂子
 障害を持った方々が、楽しめるシアターニュニバーサルシアターが東京都北区に生まれたそうです。ここでまた映画製作に取り組まれ、新しいツールや言語、習慣や価値観が違っても、根っこの部分で「心」は伝わるというコミュニケーションの本質を描いた作品です。タイトルは「こころの通訳者たちWhat a Wonderful. World」
https://www.bing.com/search?q=%E3%81%93%E3%81%93%E3%82%8D%E3%81%AE%E9%80%9A%E8%A8%B3%E8%80%85%E3%81%9F%E3%81%A1%EF%BC%B7hat+a+%EF%BC%B7onderful.+%EF%BC%B7orld&qs=n&form=QBRE&sp=-1&pq=%E3%81%93%E3%81%93%E3%82%8D%E3%81%AE%E9%80%9A%E8%A8%B3%E8%80%85%E3%81%9F%E3%81%A1%EF%BD%97h

くらしと自治と憲法と
第20 回 信教の自由〜統一教会の被害者救済法案との関連で 櫻井 義秀

 統一教会の、批判のやり方で、信者の宗教的人格を認めたうえで、公共の福祉を害する教説と実践を批判するのが、信教の自由が認められた社会のあるべき姿だと。しかし、統一教会には建設的な日韓関係の構築を損なう教義や歴史認識があります。日本の植民地支配に対して食材を迫る協議と実践があり、そのために多額の献金を要求、嫁不足の一環として合同結婚式で未信者の韓国人男性と結婚させられ、韓国に渡った約7000人の日本人信者たちの苦難の人生が生まれているのです。
シリーズ 地域発信 耕作放棄地に挑み果樹園の再生を! 第3回 ともに畑を耕す仲間たち 渡辺 卓也
 有機野菜コーナーでの野菜作りの基本は落ち葉を肥料として使うことだと、昔の百票がやっていたことで、化学肥料などを使う必要がなかった土づくりでした。自然のサイクルにもっと興味を持っていきたいものです。オーガニックコーナーも同じですか。
@NEWS 住民無視、工事強行再開に踏み切る事業者 年明けから緊迫 東京外環道トンネル 丸山 重威
 大型公共事業で、裁判でも判決が出ているのにその解決を行政が行わない。なんという事態なのか怒りを覚えます。そもそもこの被害を起こし原因が明らかになり、しかしその責任者が不明とはどういった発注なのでしょうか、やればいいと見逃す行政姿勢に、税金が使われているのですから大きな問題です。住民のあたりまえの生活と申請を復活させてほしいものであり、裁判判決を愚弄するものに厳しい対応を司法当局も行ってほしいものです。
書評 稲葉一将・稲葉多嘉生・児美川孝一郎著
『保育・教育のDX が子育て、学校、地方自治を変える』 石井 拓児

 デジタル化が保育関係で素早く行われており、この問題点について各保育関係者はすぐさま掴まなければデータ連携に飲み込まれてしまいます。この本はデジタル化の問題点を鋭く分析しつつ随所で問題克服のための具体的な課題を提起しています。
書評 編集委員 上間陽子・川武啓介・北上田源・島村聡・二宮千賀子・山野良一・横江 崇
『復帰50 年 沖縄子ども白書2022』 佐藤 桃子

 沖縄の子の声を聞こう、ここに今ある沖縄と将来への沖縄が見られます。多くの本土の国民がこの本に触れてもらいたいと思います。
BOOK REVIEW
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Jつうしん
自治の風─広島から 第3回 高炉の火が消えても、平和の灯は消させない 奥田 和夫

 呉市には、旧軍港都市転換法が生きています。軍港拡大に反対の声を上げていきましょう。
編集後記
 

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