広島自治体問題研究所
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2023年3月号読者ノート

 (2023/02/24)
 
特集:農と共にあるまち―生態系をいかした持続可能な農業
 生態系の一部である人間として、食糧問題がいのちに直結する以上、食料精算を担う農業のあり方に寄り添い、持続的な発展について考えます。
目次
◆新春対談 岸本聡子氏(東京都杉並区長)/中山 徹氏

 「参加」をキーワードにまちづくりを語り合う
 今回新しく杉並区の口調になった岸本房子さんの話は、ヨーロッパでのシンクタンクで過ごされた経験と、日本の杉並区民の気象をよくご存じであるように感じました。直営化民営化をシンプルに分けた仕方をしない、そこにいる働く者、子どもを預けている保護者、自治体職員の声を聞き判断することが大切だと。ヨーロッパではグローバル企業が多く、日本はまだ社会福祉事業団みたいな組織が多くこれとの連携が取れると言っています。❹こマで、自治体が、自分たちの地域の中で何が一番合っているやり方なのか選択できない。民営化さえすればうまくいく、という乱暴なともいえる前提で押し付けられて、しかも線引きは附いても全然議論できなくなっているこの指摘は本当に大事だと思います。
 一方地域サービスは市民が協力しながら作っていくとのやり方で、情報公開して、みんなで意見を出し合って時には手足を動かしてよりよくしていくと言ことが必要で、そのやり方の選択肢は無限にあるそうです。
「公」を行政だけが担うものとせず、もっと広くとらえて、そうした力を街づくりや地域の課題解決に生かすことを前提にデザインしていく。
 また市民参加型予算」と「地域化課」が述べられています。住民が提案する、選ぶ、そして執行される、それが地域に戻ってくるという、住民の地域に対するオーナーシップだとか、自治体に対する信頼が高まっていくことが大事である。
かっての「自治のゆりかご」という考えは、現代に働いている世代にはあまり受け継がれていないと思います。だからこそそこは新しい魅力を発信していかなければならない。市民のニーズを把握してそれにぴったりと合った政策をする、それが「地域化」だろうと。大学が多くあり、「気候区民会議」などを開いているようで、専門家が直接審議会に出られていますが、キャリアを積むためにトレーニングのチャンス、いろいろな仕事をやるチャンスを若いうちから重ねていくことが管理職の役目だと、公務員として誇りと自信を持ちながら、地域社会にどうなってほしいのか、余裕があって創造力の生まれる公務員になってほしいと訴えられています。

 ◆連続企画 「新型コロナ」から日本の社会を考える 第 31 回
コロナ禍で顕在化したDV─支援の現場の「今」 岡村 晴美

 コロナ禍ので、ステェイホーム、在宅ワーク、学校休校等を余儀なくされ、DVを受ける被害が増加し、2020年度のDV相談件数は、過去最多の19万30件を記録し、2019年度の1.6倍になっています。DVになり離婚となりすぐ慣れない環境、子どもの教育のためにはしがみつかないければいけない状況にあることを、私たちが知っておかなければならない。DV被害者のおかれた現状について、そして、支援者に対する誹謗中傷について、どうか関心を持ってほしいと思います。
◆直言 まちの財政を身近なものに 財政勉強会のネットワークを 内山 正徳
 財政は首長のものではない、国と自治体との関係等々、課題が並べたあり、難しそうと食べず嫌いが多いいようですが、理解が深まるともっと楽しいものになるようです。「街の財政を身近なものに」を旗印に自治研ネットワークを作ろうとの名呼びかけです。
●特集● 農と共にあるまち ─生態系をいかした持続可能な農業
 農がこんなにも減少して日本人の食料はどうなるのか心配です。農の社会的機能を維持するためのコミュニティーを作り地域の環境と循環を守ることが必要。生体系の一部である人間という意識を感じます。
三重の危機に直面する日本の食と農 清水池 義治
 食料輸入、日本農業の縮小・解体、農業政策の3つの観点から。
食料輸入の不確実性が数値としてカロリーベースで、2021年38%の自給率をみんながどう見るのか、輸入されてきたものを耕地で測れば、推定1200万haで、日本全体面積460万haの3倍です。食料輸入なしでは現在の豊かな食生活は成り立たないのです。
また2007年の食糧危機以降の価格の高止まりが今後も続き、途上国の経済発展による需要増加を受け、2030年にかけて名目価格は穏やかに上昇が続きそうです。
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[1農業の実態
一方、食料自給を担うべき日本の農業は縮小・解体が進んでいます。表1を参照してください。 今酪農農家の衰退は激しく、所得で見れば、2021年から2022年度にかけて一挙に半分以下になり、かなりの割合の経営が赤字に転落すると思われます。このような危機にあるにもかかわらず、1961年に制定された農業基本法は規制緩和などを行う新自由主義化により「無効力化」されています。そもそもアベノミクス農政改革の対象は日本農業のセーフティーネットの破壊にありました。日本の食と農をどうするかというビジョンを実は持っていなかったのです。経済成長や技術革新のための手段にすぎず、農業の現場実感と乖離した不毛且つ有害な、市場競争を万能と考える新自由主義から決別が必要です。
新しい農業政策の核は、@食料自給力向上による食糧安全保障の長期的確保、A食と農における環境保全と気候変動への対応、B農村地域の社会経済的基盤の強化の3点と考えるようです。

都心への一極集中から地域での農業へ─循環型地域社会の再生こそ 長谷川 敏郎
 農業をどう見るのか、工業的農業の行き詰まりは、人類の未来に深刻な影響を与えています。アマゾン流域に開発で未知のウイルスの発生が起きているなど、大きな問題を起こしています。長谷川さんは島根県の山村で農林業を営んで、自宅では農作業とテレワークとリモート会議の連続の中で、生態系と持続性・循環を求めるアクロエコロジーの探求を行っているそうです。日本食糧危機と農業危機が同時振興している「日本から酪農・畜産の日を消すな」の運動が広がっています。まさに農地の減少は最高時(1961年)に比べ200万ha減少し3分の2になっています。ゆがんだ日本農業に市場原理主義=新自由宇主義政策を持ち込み、「成長産業化」、「儲かる農業」政策でさらに農村と農業の破壊を加速させてきました。これに代わる「アクロエコロジー宣言」が農民連から出されています。*農民連第24回定期大会議案(2020年12月03日)ではアグロエコロジーについて「環境に負荷をかける化学肥料や農薬を減らし、作物残さなどを再利用し、自然の循環を促進する環境にやさしい農業と食のあり方」と定義している。地方自治体での様子は長年国の農政の下請けにされ、その時々の政策に振り回され行政として正しい判断として実施したことが時代の積み重ね中で「合成の誤謬語病」が生じ、まさに現在の地域農業の衰退はそれに当てはまるものですね。何よりも食料とエネルギーは住民生活と地域産業の基盤でこれを抜きにした「住民福祉」などありえないのです。
デジタル化は日本農業の救世主となるか〜その恩恵と限界を考える 行友 弥
 DXという名の根本的行先はどこなのでしょうか、特に農業関係でのこのÐXは、さまざまな技術開発を生むことになるでしょうが、農業は多様な生態系を支え、人と自然が出会う場でもあります。このことを根本的に抑えていかなければ、技術者の自己満足や机上の空論に陥るリスクが伴います。住民が総出で定期的に草刈りをし、用水路にたまった土砂や落ち葉を掻きだしていますが、このようなコミュニティー機能をどう育成するか、ことなくして、DXで変わることが出来ないことを肝に置いていきたいものです。そのための予算の削減は許されません。
「有機農業公園をつくろう」身近な農の風景で食と農をつなぐ 久保田 裕子
 有機農業公園が足立区に10年前から存続していることに驚きを感じました。この運営が広く各地に広がらないのはなぜでしょうか。ここに挙げられた運営の実態が広がることは農業の進化に少なからず生きていくことでしょうが、その根本に、自治体が存在しなければいけない、この運営実態が明らかにならないと広がらないのではないでしょうか。NPO日本有機農業研究会(日有研)をもっと知りたいものです。* https://www.1971joaa.org/
足立区有機農業公園:https://www.ces-net.jp/toshino/index.html  指定管理者制度で運営されています。

年間を通じて学校給食において 100%地元産有機米を達成 鮫田 晋
 米作りでの有機米の技術の継承として雑草を代掻きの時の作業を応用して、効果が大きく、始めることが出来たということですか。除草ではなく抑草だと言われています。有機米での効果が7項目上がっていますが、どれも当然の事であるかと思います。学校給食の果たす役割がこんなにもつながるとは、持続的つながりを生み、自然と共生する地域づくり、人づくりが教育ファームとして確立したのでしょう。行政としての効果も大きく、計り知れないものがあったと、市長の弁明を聞きたいものです。食育の重要性が、子どもたちの発達につながればと思います。*いすみ市長太田洋から、皆様へメッセージをお伝えします。〜全国に生産物が販売される仕組みを作ることにより、地域が豊かになるよう様々な取り組みを進めています。環境と経済の両立で始めた有機の米作りの取り組みで作った無農薬米は、全国で初めて学校給食の全食に取り入れました。
●連載●
人つながる㉔ 自立・自律・侍立─福島県二本松市で営農型太陽光発電に取り組む 近藤 恵

 営農型太陽光発電とは、同一の土地で太陽発電と農業を同時に行う土地利用形態を言います。農業の忙しく二束のワラジは履けないなど出来ないと思われますが、これが、設備の進化、低価格化しており大型農業機械が入ることが可能となる発電ピークの調整でできるようになったそうです。このような進化が進んでいるのです。
くらしと自治と憲法と
  第 21 回 憲法 53 条違憲国家賠償請求事件 伊藤 真

  憲法53条「内閣は、国会の臨時会の招集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない」と規定されています。これを安倍内閣は放置し98日後ようやく臨時会が招集されたのです。そして冒頭で衆議院を解散して、圧勝したのです。このようなことが、裁判所に「憲法の番人」として憲法保障の役割を果たすことを期待していますが、最近多くの意見審査会での役割が保たれていません。国会召集権が個人の議員に属さないと、政治的責務にすぎないと居直っています。「公益的なもの」「国会に対する義務にすぎない」と国会議員の権利、国民の議員が有権者から託された職を遂行するため、個人としての具体的な経済的利益と人格的利益を持っていることを認めるべきです。
シリーズ 地域発信 耕作放棄地に挑み果樹園の再生を!
   第4回 仕留めた獲物の命をいただく 渡辺卓也

 この地域の野獣の頭数が、鹿が400頭以上、イノシシが300頭前後いると思われるそうですが、捕獲してから解体処理までの施設や衛生管理、販路の確保によって獣肉の地産地消が拡大すれば、農山村にとって活路が見いだせるかもしれません。
検証 津久井やまゆり園事件を人権の視点から考える
  第 15 回 障害者と家族、地域住民の人権と福祉労働者・公務員の権利
  ─地方自治の視点から事件の再発防止とこれからを考える(上) 池上洋通

 障碍者問題のまとめに入ります。憲法と障碍者の権利条約をもとに、個人としての障碍者の自立」−目指すべき根本的課題の冷機、障がい者に対する認識と国民の意識―「社会的な抹殺と隔離に関する歴史的経過、基本的人権の具体的な補償と地方自治の重要性として、政治の最大義務は、各個人の幸福追求権の実現―自己実現を権利として保障することであると述べています。ここで、「市町村最優先、都道府県優先の原則」が掲げられています。また障碍者の人権保障の具体化とは5項目が19条・20条・21条の条約項目に沿っても、挙げれています。
「緊急 1000 万円カンパ」へのご協力に感謝いたします
J つうしん

 広島県からは14個人団体から¥273,000が送られています。ありがとうございました。
自治の風─広島から 第4回 河井疑惑、まだ終わっていない 被買収議員は立候補するな! 山根岩男
 広島風土というか、裁かれるべきは、「氷代や餅代・陣中見舞い・当選祝いなどの金銭感覚」ですが、慣行であるならば見直すべきでありいまだに裁判が開かれていない状態で、中にはこの選挙に出る人も出ています。このような広島県の民主的成長の遅れを早期に変えたいものです。
編集後記
 
 

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