広島自治体問題研究所
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2023年5月号読者ノート

 (2023/05/16)
 
編集局から
全体の奉仕者である公務員は、個別具体的な市民の要求を公共のために実現していく必要があり、そのためには広い知識と専門性が求められます。 しかし、公務労働の民間化、コスト面だけを見た運用によって、「全国どの自治体でも同じサービス」といったサービス業としての公務員像が要求されています。本来の専門性のある公務労働について改めて考えます。
 
目次
◆直言 公共を取りもどそう 小山国治

 この間のコロナパンデミックでの公共衛生現場は多くの人には、こんなに脆弱になっていたのかと。我に振り返ったことでしょう。しかし、この言葉は自民党・公明党には届いていないようで、厚労省の交渉現場でも高裁でも、「国民の命を守り切る」という強い医師の言葉は確認されていないのです。一方で人の命を奪うミサイルや武器などのを購入する軍事費には、大幅増額する岸田政権には強い怒りを覚えます。そもそも、2010年にまとめられていたインフルエンザ防止対策に十分な実施がされていなかったことが、今回のパンデミックが起きたとは、公共行政ではないと、憲法虫の行政になっており、早期に回復させましょう。
●特集● 公務労働の専門性
公務員の専門性をめぐる現代的攻防ライン 二宮厚美

 二宮先生のこの文章は、新自由主義、維新政治が行ってきた過程が、全体の奉仕者としての専門性を奪い、新たな官治主義、官僚主義を育てて、公務労働の存在をなくしてきたのだとわかりました。改めて公務労働の奥深さ、公共性=共同性が地域社会に存在すべきで、分裂・分断状態の解決を図ることの役割りが、公務員にはあるということを確認できました。大阪の地域社会はすでに分裂と分断が維新政治により行われ、公務員はいなくなっているのですね。大阪の地域から、他の地域にこれらが広がっていますが、さらば、維新政治を刊行するすべは、このような憲法に基づいた、全体の奉仕者論をわかりやすく、国民が理解しないといけないのだと思います。公務員とは何か、働く意義の価値観を取り戻すことが、今必要でしょうね。
住民の「いのち」と尊厳にかかわる公務労働 岡ア祐司
 保健・福祉の公務労働の専門性を4つから解明し、公務労働者の運動の道筋を提言しています。20数年間の間で繰り広げられた、公務労働の後退を、階級社会の現実から掘り起こし、専門性の実務的あり方を具体的に現場で示すことが求められています。住民と公務員を分断させる新自由主義改革の克服と、幅広い住民との共同が深部から湧きださなければならないのです。公務労働の役割を、第1に住民の生活困難や「いのち」の危機など地域における社会問題を対象にしている事、第2に困難を抱え厳しい状況にあっても自分らしく生きたい、人として尊厳されたい、社会に参加したいという個人の切実な要求をつかみ、それを当事者と共に歩みながら実現する専門的力量を持っている。第3に政策・制度を活用し、かつ政策・制度の裏付けを必要とする専門労働であること、第4に、地域における保健・医療・福祉の連携・協働を作り、住民の「いのち」と生活の継続に必要な社会行政計画を策定する政策能力を持っていることを挙げています。これら4つの専門性は、第1が第2を発展させる土台になり、第4の専門性が第3の条件を作るなど其れぞれが相互に関連しているのです。現在作られてきた制度は、市場化・商品化の政策の下で、必要に基づいてではなく、経済的負担能力に基づいたサービスが提供されているのです。資本主義国家は、市民社会の上にそびえたつ権力であり、強制力や暴力性をもっています。しかし社会矛盾の発展、諸権利の確立など歴史的にそれからの実現のための政策・制度を国と地方に迫る社会運動の発展を、階級国家も無視できなくなったからです。保健・福祉の公務労働論は運動論を内在させ専門性確立や役割論を明らかにしています。階級社会の中で変質される保健・福祉の公共性・権利性を市民・当事者と共に戦い再生・発展させるとういう歴史的使命を公務労働者は担っています。
人権としての学習権保障を実現する公務労働─学びの自由と権利を保障する社会教育職員の専門性をめぐって─ 長澤成次
 社会教育職員の専門性を論ずるときに前提とすべきことは、自治体教育委員会事務局に置かれる社会教育主事、図書館に置かれる専門的職員である司書・司書補、博物館に置かれる専門的職員である学芸員・学芸員補は、いずれも国家資格として法制度上に養成制度を有していますが、公民館主事に関しては専門職養成制度を持たず任意設置となっています。
又この間の教育基本法の改正により、官製ワーキングプア―を再生産する仕組みになっています。このような弊害を十分理解して、公民館・図書館・博物館に置いて住民の学習の自由な学びの公共空間においてこそ地域づくりを担う住民自治力が豊かに形成されるためには、司書・学芸員の社会的保障がされることが、必要ですね。

保育現場の実態から保育労働の専門性を考える 橋光幸
 保育士の世界では、年長クラスの保育士は、多忙との同義語だと敬遠されているとか。筆者が言う、5歳児保育の楽しさは、通常保育に加え、日々「クラスだより」を綴る時間を捻出することから、保育内容を可視化させ、保護者に伝え、自らも振り返って次の保育に生かせているからだと言います。このような実践が、今現場では出来なくなっているのでしょう。保育を付か組る言葉として、子ども一人ひとりと良質なアタッチメント(愛着)を形成できなければ保育は成立あり得ず、経験があろうがなかろうが、安心感がないと子どもはいろいろなことに興味をもて新しいことに挑戦することが出来なくなっていくことを、保護者は認識を深めていきたいものです。
 子どもの主体性ばかり強調する保育行政は、客体とは誰かから教えられる行為について子どもが学ぶという行為があり、理解して創造力を増していく年代だということを理解できていないのですね。公立保育園の果たす役割がちょっと不足していますね。株式会社方式をこのような現場に持ってくること自体が間違いですね。

住民訴訟を通じて公務労働の専門性再生と外部化見直しへ 林 敏夫
 指定管理者制度で、株式会社が請け負うことになると今回のような本末転倒の事になります。利潤を搾り取る学童で、人件費の指導員の安上がりに尽きる時、公的基準も自分の立場に変えて取り繕うのですね、その管理を行う市のこの事業に対する、味方の欠如は、常勤すら言葉が理解できていないところを見ると大変な怠慢ですね。ずさんな指定管理に住民が訴訟へ発展させていく流れを、掴むためには専門性の内容にじっくりつかんでおくことがた移転大事ですね。子どもの成長・発達に対する専門性の記述に対する裏付けが現場の職員には求められますね。また住民には、保護者会という組織が作られていることが不可欠でしょう。
 FOCUS 医師の倫理規範から「オンライン資格確認義務不存在確認等請求訴訟」提起へ 佐藤一樹
 今回のマイナンバーで健康保険証資格認定に使え、マイナンバーを早期に手続しないとまた罰金を付けるなど、一法令の根拠を十分理解されていない実態が明らかになりました。法律の委任がない省令で国民に義務を課し、権利を制限する規定を設けることは禁じられているのです。また、プロフェッションとしての医師の倫理規範を、古くはピポクラステスの時代から現代まで、医師はプロフェッションとして、営利ではなく、人の病や悩みという公益に奉仕し、それを天地神明に誓って尽力してきたのです。また、どの時代でも倫理上も法律上も、医師は患者の個人情報について守秘義務を負っていることは変わりないのです。このような状況を自民・公明にの人たちは知らないのでしょうか。また早多くの事件が露呈していますが、間違って他人の情報が記載された、マイナンバーカードが出回っているのです。
ZOOM IN 海洋放出ではなく汚染水発生量の抜本的な削減を 柴崎直明
 東日本大震災と東京電力福島第一原発の事故から12年の歳月が過ぎました。この間汚染水の海上放流が大きくなっていましたが、今回の報告を見る限り、この汚染水の解明についての地質的分析が大きく問題あることが分かります。科学的研究をもっと重要視して解明しなければいけないのに、多額の工事費でもって、地下水バイパスや、凍土壁の工事など、まさに出来当たりの事を行ってきたことが判明されています。早期に、科学的根拠に基づく工事の実施で、環境防護を行ってほしいものです。
【連載】
書評 保母武彦監修・しまね地域自治研究所編『しまねの未来と県政を考える─島根発・地方再生への提言2』 藤田安一

 今我が国は、政府主導による急速な軍事大国化、都市重視の成長戦略、中央集中型のデジタル化などの推進によって、地方はますます自主性を失い、国による自治体の下請け機関化が急ピッチで進んでいます。今回島根での県政について、住民自治を支柱とする地方自治をよみがえらせ、持続可能な地域の再生を願っている多くの人々に依拠した本が出ました。
連続企画 「新型コロナ」から日本の社会を考える 第32回 コロナ禍における地域福祉
─豊中市社会福祉協議会の現場から 勝部麗子

 コロナ禍の中で、社会福祉協議会が大きく変わったそうです。3つの命のリスクと戦ってきた。生活資金の貸付業務に邁進させられた。生活保護になるくらいなら死んだほうがましとの言葉にこれが本当に役立つ施策なのか疑問に感じた。孤立する高齢者が増え続けている実態があり、離れても繋がろうと新たな施策が生まれた。子どもサロンも青空のもと医師の監修をしっかりして、運営した。
 社会保障の在り方について@.入りやすい生活保護の在り方A.今後の支援にかかわる人材確保の財源や体制強化が不可欠。B.ソーシャルディスタンスで人と人との関係や距離を考えること。多くの体験を持つ人々とのつながりを見ること。C.地域活動にも警鐘を鳴らした。誰一人り取り残されない社会の実現は、このコロナで浮き彫りになった多くの課題と向き合うことから始まりのですね。

@NEWS 私たちはなぜ入管法案に反対しているのか 出井博文
 入管法案が今話題になっていますが、本来日本の難民認定の基準が議論されていない実態があります。そのことは日本の難民数が100名と非常に少ないことに現れ、今回はその強制送還をやりやすくするための法案であり、根本問題が語られていないのです。わかりやすく広く知らせてほしいものです。
検証 津久井やまゆり園事件を人権の視点から考える第17回 今だからこそ真相究明を 藤井克徳
 今回で17回になり事件から7年が建って、改めて今日的課題に何も答えていないと、国際的評価からも指摘されているにもかかわらず何も当時と変わっていないと感じました。この優生思想および非障がい者優先主義に対する社会的反応が鈍いのでしょう。身近におられる方々の連携した動きがもっと欲しいと思います。やまゆり園事件と固有名詞が出て優生思想がなくなるよう、社会思想家の努力や、私たち一般人の働きが大切ですね。
人つながる㉖ マタギ発祥の地、現代マタギとして生きるために。 益田 光
 マタギとは、東北地方の奥山にいて「山の神」を信仰する猟銃集団の事です。独自の宗教観、儀式、猟銃道具、マタギ言葉などの文化的特徴を有するのです。このような宗教観をもって、AIやらメタバースなど、仮想現実に引きこもりがちな現代に、対応してみるのも一つの試みでしょうか。人類には深い信仰があるのですね。
くらしと自治と憲法と 第23回  性的指向と性自認に関する人権課題の解決に向けて 西山 朗
 同性婚を憲法は禁じていないことが述べられこれを制度的に制定していないことが違反であると地裁でも出ています。この法整備が進まないのは、同性愛は心の中の問題であり、先天的なものではなく後天的な精神の障害、または依存症です」「性的少数者のライフスタイルが正当化されるべきでないのは、家庭と社会を崩壊させる社会問題だからです」と主張する神道政治連盟国会議員、など伝統的家族観を重視する勢力と政治が密接につながり、ジェンダー関連の政策決定に大きく影響を与えているからなのです。
BOOK REVIEW
ローカル・ネットワーク
Jつうしん まいづる市民自治研究所
自治の風─広島から 第6回完成のメドが立たない二葉山トンネル工事の異常な実態 越智秀二

 広島からの発信はこれで最後となりました。改めて広島の課題も、大きく日本の動向を反映しているものだた感じ、これ等一つ一つに真摯に関わっていきたいものです。
編集後記
 

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