広島自治体問題研究所
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 地方創生の本質を学ぶ学習会 報告

 (2015/09/30)
 
DL:14.pdf

(講演レジメ.pdf)
503174バイト
  

 9月26日、「地方創生の本質を学ぶ学習会」が、三次市生涯学習センターで、広島自治労連、広島自治研の共催で開かれ、3つの報告と村上理事長の講義がありました。

地方版総合戦略は? 
 現在、各地方議会では、ローカルアベノミクスのため、「地方人口ビジョン」と「地方版総合戦略」の策定が行われています。向こう5年間、市町で「選択と集中」による拠点地域に、人口減少を食い止めるた

め、民間企業の仕事を作り出す計画を建て、国に提出すると、交付金が出ます。しかし、この事業には政府による点検が入っており、その目標成果が上がらなければ、交付金の返納が義務付けられているのです。
「総務省ホームページ・まち・ひと仕事創生]
http://www.kantei.go.jp/jp/topics/2015/panf20150213.pdf

 特に市町の中心部へ、成長戦略にのる事業を行うことにより、周辺地域に対し別の手立てや、福祉事業・独自事業など、総合的な計画にすることに注目する必要があります。

 三次市の総合戦略計画づくり

 三次市の総合戦略計画では、4つの柱を設けていますが、その中に、農業を位置付けており、政府の言うものとは違ったものとなっています。しかし、この計画の策定期間は、短く、今までの総合計画の枠

内に留まっているようでした。しかし、拠点地域として、旧三次市内があげられているようです。また人口ビジョンでは、15年後(2030 年)に人口5万人堅持する計画になっています。

地域単位での人口動態をみると、東酒屋町の人口は,市内のほとんどの地域で人口減少が進む中,平成22 年から平成27 年の5 年間で75 人増加(7.2%増)しています。また、賃貸住宅を新築するととも

に,地域内の空き家の修繕事業を行った青河町、川西小学校の全児童数36 人の3分の2にあたる24 人がUIJターンによる児童となっている上田町の取り組みがありました。市独自事業として、大学通学費用の補助を出すことで、地元定住を助ける施策も計上されています。
[三次市まち・ひと・しごと創生総合戦略(骨子)]
http://www.city.miyoshi.hiroshima.jp/data/open/cnt/3/13236/1/3_sougousenryakukosshian.pdf

 地域再生の組織になるか地域振興区

 庄原市の22の地域振興区は、合併前の旧庄原市内にあった制度を、合併町村に広げたもので、町内会・自治会の活動を身近な単位で組み直し、市から交付金が出され、独自の地域計画を作成し活動

を行なっています。各振興区には、専任の事務局員が配置され、敬老会・運動会・給食の配達を行っていますが、地元のコメを売る活動をやる団体がある一方、市の行政の下請けになっている部分もありま

す。平成24年に施行された、庄原市まちづくり基本条例は、住民アンケートやヒヤリングなど担当課主導で作成されていますが、住民投票の権限が、市長にあるなど、要綱の不備が指摘されます。この振

興区が自治単位組織として議会・区長の選挙などの機能を持つよう発展してほしいものです。
[庄原市まちづくり基本条例]
http://www.city.shobara.hiroshima.jp/industry/files/%E3%81%BE%E3%81%A1%E3%81%A5%E3%81%8F%E3%82%8A%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E6%9D%A1%E4%BE%8B.pdf

 里山資本主義の現地は

 藻谷氏の「里山資本主義」の本の中に、中国山地の地域の活動として、庄原市総領町での、障害者施設の運営が、食材を地域から調達し、地域とのかかわり合いを取りながら地域循環を実施している

記述がありました。そこで、午前中「優輝福祉会」が運営する一つの施設コージーガーデンの視察を行い、このような施設が、三次・庄原地域に12施設が、中学校区単位に展開され、福祉施設を中心とす

るまちづくりを目指して行われていることを、担当者から聞きました。頑張ってほしい課題です。
[優輝福祉会ホームページ]
http://yuukifukushikai.com/report

定住自立圏構想とは

 「地方創生と三次・庄原」と題して、村上理事長から、平成の大合併以後おこなわれた、定住自立圏構想・連携中枢都市圏構想の流れを話され、地方創生批判について、講義がありました。その中で、庄

原市が、7月1日定住自立圏構想に基づき、旧庄原地域を中心都市とする宣言を行ったこと、呉市が中核都市になることが報告されました。またこの地域での課題として、広島県に対して、中山間振興条例

に基づき、振興計画の実施を迫ること、JAの統合に注意を向けることが提言されました。
[庄原市定住自立圏構想]
http://www.city.shobara.hiroshima.jp/government/seisaku/post-403.html
[呉市中核市への移行について]
http://www.city.kure.lg.jp/kureinfo/chukakushi_0102.pdf

 人口推計は地域集落単位での見方で

 北広島町からは、この地方創生戦略計画を作成するとき、人口の推移を集落単位にみると、大朝地域で人口減が止まっている実態がわかり、その内容を調査したところ、新規移住者に対する集落あげ

ての手厚い世話で持って、Iターン・Jターンの定着があることが報告されました。北広島町は、広島連携中枢都市圏に入っていますが、今後の連携契約時には、広島市と個別に事業ごとに結ぶことが必要であることが、確認されました。

 同じ過ちを繰り返さないで

 三次市在住の人から、三次市行政には危機感がない、国からお金を持ってくることに躍起になっているが、その結果がどうなったか、独自の知恵を働かせて、線香花火のような計画ではないものを作るよ

うにしてほしいことが述べられました。企業誘致では、京セラの工場が撤退をするなど、誘致に走った行政の真剣な反省を求める。との発言もありました。

 まとめ

今回の学習会のまとめとして、
 地方創生に「もろ手をあげて賛成するという対応は、賢明でないし、よくない」。「まずは、政府が打ち出す政策が将来、地方のためになるのか、一人ひとりの住民に良い成果をもたらすことになるか冷静に点検し、その上で是々非々の構えでやっていくことが必要だ」
         片山善博「『地方創生』に必要なことは何か」より
ということでまとめられました。

                          文責 広島自治体問題研究所事務局





 

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