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「地方創生と地方自治]-自治労連中国ブロック「第21回労働学校」にて

 (2015/10/08)
 
広島自治体問題研究所理事長 村上 博 広島修道大学教授 
 村上 博 広島自治研理事長 講演より

 10月3日、広島市南区で自治労連中国ブロック主催の「第21回労働学校」にて、村上博広島自治研理事長が「地方創生と地方自治」と題して講演を行いました。

 先生は、戦後最大の憲法危機の中、地方自治の現状をについて、1993年に始まった地方分権改革(道州制への30年間)の歴史を振り返りながら、国は平成大合併の失敗を、定住自立圏構想、連携中枢都市圏構想と迂回路線をとっていると述べられました。

 そして、今回人口論で、消滅可能性都市の脅しにより、市町を浮き立たせ、「まち・ひと・しごと創生総合戦略策定」に追い込んで、この計画の失敗を自己責任化させ合併に結びつけるとしている意見があることを紹介されました。

 このような創生計画の作成に当たっては、地域再生への道として、地域経済を現に担っている既存の中小企業や農家、協同組合の投資力を高め、じっくり腰を落ち着けた、住民が共感できる未来像を創ることが大切だ、

 現憲法の保障する地方自治を実現するためには、地域で暮らす住民の生活から出発する市町村自治の保障から広域へと視点を拡大していく都道府県論が重要であると講演されました。

引き続き質疑応答がありました。

@ 笠岡市・井原市の、連携協約について
  本来連携協約は一対一で結ばれる構想になっていますが、現在両市は、福山市とすでに他都市と同じものを結んでおり、これは違反だと思いますが、国はこれを認めています。

しかし、このことは、参加市の自治の侵害される恐れがあります。したがって、倉敷市とは、課題ごとに結び、笠岡市・井原市が連携協約の内容に独自の判断を持ち込み、結ぶことが大切です。

 地方自治体の3要素として、住民・区域と自治権がありますが、連携中枢都市圏構想では、広島市の松井市長の構想のように、アメーバーのごとく区域を広げていくことが可能となっています。

 都道府県圏域が全く関係を持たなくなって、結果として、道州制になり都道府県を廃止するとなっていますが、都道府県圏域は長い歴史の中で存在していますので、実際は、県域を超えて連携を結ぶというのは難しいのではないかと思います。

 しかも、連携都市圏構想では福山市と、倉敷市が栄えていくことになっていますので、井原市・笠岡市は寂れていきます。したがって一番かしこいのは、両市が連携中枢都市圏から抜けでるのが一番かしこい選択肢だと思います。

A 地方創生はこれからどうなっていくのか、カギを握るのは何か?
 それは住民の選択意志に沿って出来ているかどうかです。仮に国からたくさんのお金をもらって、国が好ましいと思っている政策を推進すれば、自分の地域が衰退していくだけです。平成大合併で、経験済みです。

 平成大合併で合併しなかった自主独立の道を進んだ市町村だけが、今安倍総理によって高く評価されております。今回の地方創生も全く同じことをやろうとしていますので、地域住民の意志に沿った、時間がかかってもいい、お金をもらうことができなくても、いい政策を作っていくことが、今地域が生き残っていく政策だと思います。

 海士町のようにワークショップをしながら、地道に作っていく、たまたま国の政策と会っていれば取り入れていくことになります。国のお金をもらうために地域住民が生きているわけではありません。

 自分たちが暮らしやすい地域を作っていく、そのためには地域住民の声を反映した政策を作ったところが、最終的には生き残っていきます。したがって、住民といかに向き合って積み上げて作っていくかが、地域創生のカギだと思います。

B市レベルになると大きくなって、住民の意志をまとめることが難しいですが、どうやって行けばいいかヒントがないですか。

 香川県で、地方自治基本条例の策定を参考にお話ししますが、ある市で半年間、自治条例を策定したいと思っている住民を任意に集めて、ワークショップを行いながら議論をしてきました。

 全員が参加することは不可能ですが、夜の6時か7時から9時まで、最低月に2回集まりました。最終的に出来上がりには、300人ぐらいの地域住民が体育館に集まって、自治基本条例策定を祝いました。

そういう中で、担当の自治体職員が、かなり頑張ったと思います。自治基本条例を作るという、住民にはわけもわからない抽象的なことでも、集まってくれたのです。

 地方創生になれば、もっとわかりやすく、具体的にどんな経済活動をするかとか、どんな街にするのか、何をしゃべってもかまいませんので、自治基本条例を作るのとは違って、はるかにやさしい課題だと思います。

 市全域ではなくて、昭和の市町村合併の単位で、ワークショップを開いてみるとか、もっと小さく、中学校区・小学校区とかで行えば何とかなるのではないかと思います。

                                                        文責事務局

 
DL:17.pdf

(地方創生と地方自治 村上博先生レジメ.pdf)
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