6月5日環境デーの日、広島市中区で、広島自治体問題研究所主催の市民公開講座が開かれ、17人が参加しました。 講師として、広島大学名誉教授の富井利安先生が「景観利益と裁判―国立から鞆の浦そしてかき船へ」と題して、環境問題で、国立のマンション建設にあたって、景観権をめぐって初めての裁判となり、以降市民の権利としての、日照利益、眺望利益及び環境利益を主張する根拠になり、様々な訴訟が以降起きてきました。
そして、行訴法の差止め訴訟で景観利益等を有する者に原告適格を認めた鞆の浦の広島地裁判決に引き継がれ、鞆の景観の価値は「瀬戸内海における美的景観を構成するものとして、また、文化的、歴史的価値を有する景観として、いわば国民の財産ともいうべき公益である」と認定するまでになっています。
広島原爆ドーム近くにかき船が建設され、訴訟が起こされていますが、先生はこれを景観訴訟に位置づけることができる。と、その根拠を、12項目で説明され、参加された住民の方々を勇気づけられました。
景観の考え方が、個人的な問題ではなく、「人間性の否定することができない文化的要求である」(西山夘三)という言葉の重みと、これを侵害するものに対する戦いは、かつて繰り返された環境権否定判決の再現のようなでもあり、景観利益の認識をどれだけ広げるかが問われています。 先生の多くの判例に基づく研究成果の講演を聞くにつけ、今日の河川法の中に、景観に対する考えがきちっと入っている点、世界遺産で緩衝地域の役割など、今まで広島市が行ってきたあまりにも早急な行政行為に、私たちが怒りを覚え、景観利益を裁判での主張していく、誇りのようなものを覚えました。
今後とも、先生にはご指導をよろしくお願いします。 ありがとうございました。
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