広島自治体問題研究所
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広島県の医療体制の問題点
広島県地域医療構想を批判的に見る 
 

 (2016/09/08)
 
 広島県地域医療構想が2016年7月25日発表されました。
 https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/64/hiroshimairyoukousou.html
策定の目的は
「広島県地域医療構想は,地域における病床の機能の分化及び連携を推進するため,医療需要を含む将来の医療提供体制に関する構想(医療法第30条の4第2項第7号)であり,
 平成37(2025)年には団塊の世代の方々が75歳以上となり,人口の3割以上が65歳以上の高齢者となり,医療や介護を必要とする方がますます増加すると推計されますが,現在の医療・介護サービスの提供体制のままでは十分対応ができないと見込まれます。
  平成37(2025)年を見据え,限られた医療・介護資源を効率的に活用して,病床の機能の分化及び連携を進め,質の高い医療提供体制を整備するとともに,在宅医療の充実をはじめとした地域包括ケアシステムの確立,医療・福祉・介護人材の確保等の施策に関する方向性を示す「広島県地域医療構想」を策定しました。」
とあります。
 国政の動きは
 安倍内閣のもと、「社会保障・税一体改革」は、2014年6月に「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」(『医療・介護総合確保法』という)を策定し、改正医療法、改正介護保険法の改悪が行われ、
 それぞれ2015年4月から施行され、病院のベット数を減らし、患者を地域に帰す政策を各自治体に押し付けるものとなっています。今回の広島県地域医療構想もそれに基づいて策定されています。
湯崎広島県政では
 しかし、湯崎知事は、広島県政に新自由主義を導入しており、医療・介護分野でも、地方自治体の責務である県民の福祉向上よりも、イノベーションを使って地域経済成長の成果を重視するものとなっています。そのため、民間企業の経済成長に結びつくかどうかで行政投資が判断、具体化される流れで、
 これまで、高度医療、先端医療、など新たな民間技術が育つもの施策が優先され実施されてきました。
安心と無医地区問題に答えず
 私たちが望む、安心して医療がどこでも受けられる地域社会づくりには大きな問題があると、2011年3月に作られた「広島県へき地保健医療計画」https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/13669.pdf p1でも次のように指摘されています。
 「一方,県内の無医地区(平成21(2009)年10月末現在)は,前回(平成16年(2004)年12月末現在)の調査時より,3地区減少したものの,53地区存在し,依然として, 北海道に次ぎ,全国2位の地区数となっている。」
 このことに対し、今回の計画構想では、連携という名の下で、IT産業の活用を前面に出し、ICTを活用した需要と供給を根拠に、病院のベット数の削減に重点を置き、地域の診療所の存続支援、医者の派遣費用の補助などの提案は行われていませんでした。
自治体消滅とか人口減少とかその実態は
 また、今回この計画の根拠として、最近から言われだした、自治体消滅論・人口減少社会論などの誤った認識のもとに、全国一律な考え方を採用し、需要計画が作られ、広島県の実情を十分反映したものとはなっていません。
 特に、全国に先駆けて進んでいる高齢者の増加地域では、高齢者の増加のピークが過ぎ減少傾向に入ったとの調査結果もあり、現況で安定している病床数をさらに減らすなど現実から離れた計画案ともなっています。
 私たちが住み続ける地域とは
 また2016年3月「広島県地域医療構想」を是非批判的に見てください。
言葉では、「身近な地域で質の高い医療・介護サービスを受け、住み慣れた地域で暮らし続けることができる広島県の実現」と謳いながらも、その前段での連携・効率性を最優先に行う行政で、病院から患者を追い出し、採算の合わない病院・診療所にはより合理化を求めることになっており、
 そもそも論となりますが、病気・けがの治療を一つの病院だけで行う、これまでの「病院完結型」の医療から地域全体で直し、支える「地域完結型」の医療に転換することを、私たちは求めたのでしょうか。「多くのけがや病気が直せた頃ではない」ので、医療は外部から提供を求めるか、自宅療養で自己解決してくださいとなっています。一歩譲って、全ての地域にこのような力があるのでしょうか。
公立病院の独立法人化の課題は何か
 また、公立病院の統廃合が、独立法人化を進めた過程で行われてきており、病院経営は地域医療の守り手から、採算性を重視した運営にならざるを得なくし、病院から患者を追い出す、たらいまわしにする、など、医は仁術の時代ではなく、儲かるか儲からない医療行為は切り捨てるものになっていくようです。果たして、それでいいのでしょうか
 その中で、ナイチンゲールの精神で必死に働いている、医師・看護師・医療従事者の人々の生活不安も増していく社会になっていないでしょうか。
国の在り方からストップ安倍
 ストップ安倍暴走内閣ではありませんが、今止めなければ、本当の意味での「身近な地域で質の高い医療・介護サービスを受け、住み慣れた地域で暮らし続けることができる広島県の実現」は困難となります。憲法25条を大切にする社会の実現に、みんな連帯していきましょう。

 ここに、広島県民主医療機関連合会から策定されたもので、県民の立場からの批判となり、実証的な批判論文となっていますので、参照していただきたいと思います。
 医療従事者の立場から、導入された独法法人化の中での問題点について投稿いただければ幸いです。       広島自治研事務局
DL:31.pdf

(広島県23市町「高齢者福祉計画」から見えてくるもの.pdf)
1038523バイト
DL:31.pdf

(民医連の見解.pdf)
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