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県政研究会 2018年度予算の審議が始まり、2月予算議会で、2月23日湯崎知事は2018年度予算の記者会見を行い、補正予算と合わせ実質上の予算規模が総額9,703億円となることを発表しました。 湯崎知事の言葉では、「今年の予算案を「欲張りなライフスタイル」の実現に向けた施策といたしまして,「希望をかなえるための後押し」,「ゆとりの創出」,「地域活力の基盤づくり」,「暮らしを楽しむ機会の創出」など,6つの柱を軸に構成した提供した」と言っています。 特徴的なものとして、4つほど取り上げ、第一に掲げたのが「すべての子供が夢を育むことのできる社会づくり」です。これは2017年度に実施した「子供の生活に関する実態調査」で、県内の小学5年生及び中学2年生の家庭の約4分の1が生活困難層であることが判明、その結果から、取り上げあげざるを得ないものと言えます。 二つ目は「第4次産業革命を好機とした生産性革命」、三点目は「中山間地域の地域力強化・都市圏の活力強化」で、四番目は「スポーツを核とした地域づくり」をあげています。 今回の予算の作り方で、知事がこの間推進してきたチャレンジビジョンの政策の柱の並びと違っていることに気が付きます。このことについては「今後は,これまでに得られた成果や変化をより確かな軌道に乗せ,次のステージにつなげるため,県民の皆様の欲張りライフの実現を応援する施策として」と述べるにとどまり,詳しく語られていませんが、アベノミクスの失敗により、経済波及効果の浸透がないことで、子どもの貧困化が大きくクローズアップされ、今までのイノベーション中心の政策をちょっと佇んでみる必要があったのでしょう。このことは、私たち庶民にとってはいい事であり、子どもの貧困問題の根本的解消と、格差の是正、解決に湯崎知事が本気に取り組んでいただければ幸いです。 また議会の予算審議の中で、子どもの医療費是正の請願が、継続審議として可決されたこととも合わせ、この間の県民の運動が広島県政に変化を呼んだ点を喜びたいと思います。 今年度予算で気になった次の5点について、概要を報告します。 1.子どもの貧困対策 マスコミでもあげられている、子どもの貧困対策として、朝食を子どもに提供し成育を支える事業についてです。湯崎知事が、朝食を広く地域の子どもを対象にして活動しているボランティア団体の活動を視察し、モデル的に支援しようとしています。 しかし、この朝食提供を行政として取り上げる前に、現行の中学校の学校給食として、未だ完全給食が実施されておらず、中学校生の昼食の改善などをどうとらえるのかが問われています。 また、「子供の生活に関する実態調査」の報告では、このような貧困の連鎖が生まれた原因として、何を挙げておられるのでしょうか。この問題の根本的原因を問うことを行い、解決策を挙げてもらいたいものです。 2.中小企業振興条例 昨年広島県は中小企業振興条例を採択し、これに伴う事業の推進がどう行うとしているのかを見てみたいと思います。 これらは中小企業家を対象に、120,144千円が予算化されています。 他方、一般企業に対しては、圧倒的な額(5,079,675千円)に上り、本来大企業が自ら率先して取り組まなければならない課題を、湯崎知事の肝入りで実行するもので、地方公共団体の果たす役割である住民の福祉向上というより、企業の手助けになるもの優先の予算ではないかと思います。 誘致する企業と時には、企業は利潤の追求が見合うから参画してくるのでしょうから、地域のコミュニティーの柱になるとか、地域の安全・安心に目を向けることなどを、条件に付して契約することが必要ではないでしょうか。採用する職員の正規化など、住民の意見を企業に取り入れるよう働きかけることにも積極的に取り組んでもらいたいものです。 3.中山間地対策 広島県の中山間地域を対象に、「ひろしま里山・人材力加速化事業(32百万円)」が起こされています。ここで、中山間地域では、生活環境整備事業とサテライトオフイスを行うための事業が一体的に行われるならいいのですが。ぜひ、このような生活環境の解決を行って、オフイス誘致を進めてほしいものです。 中山間地域で人口の高齢化・減少が進んでいますが、学校や公共施設の統廃合が先行し、地域コミュニティーの減少が促進されて、農業・地場商店街の衰退など根本問題に発展し、県予算が圧倒的に減少しています。農林水産業費などは目的別内訳で、2006年と2015年では61.3%になっています。予算構成比も、5.26〜3.27%(2018年2.7)です。それに引き替え商工費は、122%で、3.57〜4.42%(2018年4.8)となっています。 もうそろそろ経済優先から、地域内循環型経済づくりに転換した方がよいのではないでしょうか。 4.国保の県単位化 この問題に対し、湯崎知事は記者会見では何も触れていませんが、この2018年4月から 市町村が「保険者」となり運営されてきた国民健康保険に都道府県が「保険者」に加わり、財政を管理し、運営はそのまま市町村に行わせて統括・監督するという「都道府県単位化」が始ります。今回県がこの制度の管理者となったのですから、この国の負担軽減問題や滞納者への強制的な差押え事情を改めるような施策を、提案してもらいたいものです。 5.核兵器禁止条約 2017年7月7日、人類史上初めて、核兵器を違法化する核兵器禁止条約が国連で採択されましたが、当時の広島県出身の岸田外相は参加を拒否し、湯崎広島県知事の対応は、まず橋渡しの具体策を政府としてみせてほしいと、国のことだからと判断を明らかにしていませんでしたが、どうなっているのでしょうか。 2017年12月県議会で、「核兵器禁止条約の採択や,国際NGO「ICAN」のノーベル平和賞受賞により、核軍縮への国際的な機運が高まると同時に、核兵器国と非核兵器国との間の溝が深まる中、世界で最初の被爆地であるここ広島に、世界中から,政府高官や軍縮問題の専門家、次代を担う若者が集い、議論が行われたことは、大変、意義深いことと考えております。」と発言がありました。また、辻県議の質問に、知事は日本政府に対して、「条約への署名を行っていただきたい。核兵器国と非核兵器国との橋渡し役としての役割を果たしてほしい」と答えるにとどまりました。被爆地の県知事として、この批准に向けて先頭に立って進めてほしいものです。 参照:知事記者会見(平成30年度当初予算案の概要:平成30年2月13日) https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/kishakaiken/kaiken300213.html
(算案を斬る.docx)
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