広島自治体問題研究所
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広島市政白書ニュース NO.2
2. コロナ危機を振り返り自治体はどう変わったか。
 

 (2022/08/26)
 
DL:94.docx

(論文森先生財政.docx)
278970バイト

 今回は『住民と自治』2022年3月号に掲載された「2022年度政府予算案と今後の地方財政の焦点─アフター・コロナの自治体財政─ 森 裕之」の論文の読者ノートから引用します。大局的な流れをつかんでください。
 2022年度政府予算は、コロナ禍に対応した運営が行われました。端的に言えば、緊急事態に対処するために膨大な財政支出が進められました。そのための国による財源措置も異例づくめでした。これは平時における緊縮財政ベースの運営とは全く異なった事態と言えます。
 これらを、1.五里霧中の行財政運営 2.財政運営指針としての「骨太方針」3.2022年度政府予算案と地方財政 4.これからどうなっていくか、どうするべきか 補論:財政危機と市民運動―最近の堺市の事例―   の角度から述べられています。
注目すべき点として、
自治体の総常勤職員数の変化です。1994年には3328万2492人をピークにほぼ一貫して減少し、2018年には273万6860人にまで下がり、それ以降は増加へと転じていますが、それでもコロナ禍真只中の2021年5月1日時点でさえ280万661人にまでしか回復していない。
 国は次々と新しい政策課題を加えていき、それらを実施することに膨大な資源を投入してきました。それは、地方版総合戦略(地方創生)や国土強靭か地域計画をはじめ新しい計画や条例を絶えず策定させられることになり、おまけに流行のPDCAサイクルやKPI (客観的な重要業績評価指標)の設定などの「科学的」なマネジメントを進めることが求められました。
 今後コロナ禍が収束すれば、さらに自治体のデジタル化やグリーン化が強力に要請されもはや現場では限界を超えて来るのは間違いないでしょう。
また「骨太方針2021」の項目は全部自治体の行財政運営と関連していると言えます。
 第1は、デジタル化です。
 第2はデジタル化やグリーン化(環境・エネルギー)と密接に関係しているもので、いわゆるスマートシティの推進です。
 第3は、生産性を高める社会資本整備です具体的には集約・廃止を含めた公共施設等の適正化を図り、公共施設等総合計画・個別計画の見直しを促進するという点にあります。
 これまで人口20万人未満の自治体への優先的検討規定の導入を要請するとしています。
 第4が、地方創生の加速です。
公共事業については前年度並みの予算確保が行われ、その中でドローン点検を活用した老朽化対策や土地利用規制・避難計画等を強化した防災・減災対策への重点化が図られています。
 国際的に、為替相場がさらに円安へと傾いていくことになり、円安になれば食糧やエネルギーなどの輸入物価が上がることになり、所得が一向に上がらない国民の生活困難がさらに広がりいわゆるスタグレーションが起こり、円安が進んで国内の預金等が減ると、円の供給が減少して金利が上がる状況が発生します。そうなれば、政府の債務利払いも大きくなり、財政運営がさらに難しくなることが想定されます。
 財務省の方針を最も体現しているのは、財政制度等審議会が発する「予算の編成等に関する建議」です。地方財政の歳出抑制を図るため、「建議」では使用実績を踏まえた地方財政計画への財源形状の適正化や不用額の精算、社会保障費の効率化、公共施設等の縮減、民間資金・サービスの活用を求めています。
 災害リスクと関連させつつ、居住人口がさらに減少するような立地適正化計画の目標を設定すべきことも提言しています。ただしこれは災害対策というよりも、財政削減の視点から出されているものです。
 これからの自治体は、財政破綻(赤字財政)を避ける事を前提として、自分たちの地域の経済社会にとって必要となる事業やサービスを推し進めていくことです。そのためには、国が設定する重要課題や財源措置を巧みに利用していくことが必要です。それは思想信条はともかくとして、国が提示する補助制度や地方交付税措置の仕組みと内容をきちんと理解して、それを各自治体の財政と行政サービスのために活用することです。
 地域での優れた実践が国全体を動かすという点では、これまでの歴史が証明してきたことです。ぜひそのような視座に立って、2022年度からの行財政運営に取り組んでください。
 大阪堺市は2021年2月に「堺市財政危機宣言」を出し、それに基づいて「財政危機脱却プラン」を押し進めようとしています。これは要するに歳出を見直して削減していくという計画です。
 財政運営の内容を決めるのは最終的には市民です。今後も厳しい財政運営が進むのであれば、それを市民学習を通じた広範な社会運動へと展開していき、財政を真に市民の手に取り戻してほしいと思います

最後にお願い。本分を読んでください。


 
本当の地方自治を取り戻す広島市政白書づくりにしましょう。

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