広島自治体問題研究所
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2021年12月号 読者ノート 

 (2021/11/19)
 
目 次
 自治体職員の在り方が問題になって久しいですが、会計年度任用とは、全くのワーキングプア―を固定化するものになっています。広島の地域とくらしでもこの問題について投稿されていますので、読んでみてください。
◆直言 自治体の窓口は住民の権利を守る砦でなければならない 鈴木 勇
 今多くの自治体で窓口業務のデジタル化がすすんでいると言われています。
 ここで明らかにされた税務職場での住民との具体的やり取りについて述べられていますが、これらの言葉は、素人では理解できないものであり、自治体職員の経歴が積み重なれて初めて語ること出来たと思います。
 デジタル化用語についても、不慣れな人にはさっぱりわかりません。デジタル化を含め科学技術の発展は、住民の利便性につながればうれしいと言われますが、突如、税務問題で困っている住民には、この理解はできないでしょう。
 住民にとっては、問題回答に即答が行われることが必要であり、放置・遅延されることは、権利侵害であると訴えることになるのではないでしょうか。
 窓口に来た住民はまだしも、役所に来ないで問題を理解できない住民は巷に多く放置されていくのではないでしょうか。税とは住民の基本的義務と権利であることで、期間をもって教育される前提にした税務行政を私たちは強めていかなければと思います。

●連続企画●「新型コロナ」から日本の社会を考える 第18回 3回目のワクチン接種と検査拡大を急げ 渋谷健司
 今回のコロナ禍で、第5波で示された、「自宅放置」による死亡が生まれたこのことは、皆保険制度の破綻とさえいえる極めて衝撃的な出来事でした。
 今の日本を見ると、医療制度は「広く薄い」という病院機能の弱点、民間の中小規模の「総合」病院が乱立している、医師は臓器別専門医の割合が高く、臓器を広く診断できる総合診療医の割合が諸外国に比べ低い、これらを弱点として挙げています。
 今後コロナについて、ワクチンの普及で管理が可能となりつつあり、コロナの季節性変動やワクチン効果に鑑みつつ、各自の感染リスクを判断しながら科学的な個別対応を進めていくべきであり、人流抑制やロックダウンなどを主軸とした戦略から脱却すべき時です。

●特集● 会計年度任用職員制度導入から1年半─自治体非正規労働者の悲鳴
公務非正規運動の前進のための労働者調査活動 川村雅則

「定員の適正化」の下、人員削減やコスト削減がまかり通り、働く人の生活が問題視されなくなり久しいものです。正規職員が非正規職員へ入れ変わった、しかし住民から行政サービスの需要は増加・多様化して、何等かの対応が必要となるが、安易に非正規職員をあてがうのです。
 これら非正規職員には、任用と任用の間に空白期間を置く、勤務年数上限を設ける、時間外の支払いはおろか交通費さえ支給されないなど最悪な実態が作られるのです。
 公契約条例の制定に多くの自治体が困難さを持っているようですが、公共事業費の契約時には積算根拠を明確に表すことは、公契約上必要不可分であり、契約その整理を行うことから明らかにできるようです。しかし現実との乖離も抑えておくことが大切ですね。
 調査には、地域の研究者・研究機関という社会資源も活用して、プロジェクト方式で組織的に行うことが大切ですね。

改善図られない会計年度任用職員制度─自治体非正規労働者の現状と課題 曽我友良
 この制度作成期間でのマニュアルで、待遇の低い国基準を押し付けるかのように例示するとともに、制度開始3か月まで改善に必要な財源を確保し得なかった総務省の対応の遅さなど、全国の自治体にはマイナスに作用したようです。
 一方公の施設管理に関する規定が、株式会社などの民間事業者、NPO法人などに拡大され、そこで働く労働者の権利が抑圧される大きな不利益を生んでいます。そのことから、採用後、2・3日で、口々に出てくる「こんなに大変な仕事だとは思っていなかった」「こんなに低賃金では仕事に見合っていない」という声があふれ出しており、対話から団結、改善、対話とこの流れを早期に作らなければいけません。

公務非正規女性全国ネットワークの調査を実施して 瀬山紀子
 「はぬねっと」の行動力に感心しました。女性の低い年俸のアンケート踏査報告を厚生省の会議室で行い、マスコミを使うなど、先進を走っています。厳しいコロナ禍での、女性の悲鳴をまとめたものだったのでしょうね。このような活動でもって世間に知らせ、改善の声を深め、一住民として公の仕事の大切さを訴えるまさに地方住民自治を実践されています。会計年度職員とともに、一住民であるというとらえが出来ることが大切ですね。正規・非正規と区別せずともに一住民として自治体改善に手を合わせてくださることを期待します。
会計年度任用職員制度開始前後にあった、ある役場でのこと 匿名
今回の会計年度任用職員制度が当初職場待遇改善であるかのような宣伝でしたが、それはまさに逆で、改悪の手段として使われてきたようです。今後ともこれらの改善に正規職員も組合に働きかけ、国民一人一人に公務労働に対する考え方を変える働きを、大きな視点でもって運動を作り上げていきましょう。まさに正規職員化が出来なければ公務員としての意味がない制度です。
◆第63回自治体学校特別講演
コロナ禍2年目 地方自治をめぐる情勢と対抗軸(下) 岡田知弘

  2回に分かれた報告文ですが、一挙に読んでください。又メモってください。コロナ禍で浮かび上がった数々の対抗軸について報告されています。本来あるべき地方自治体の像が見えてきたと言えます。これらが新たな政治・経済・社会への展望として進化していくことでしょう。命を重視する地域づくり・国づくりが災害の時代そしてグローバル化がすすむ時代だからこそ求められている。「儲ける自治体」ではなく一人ひとりの住民の福祉の向上と幸福追求権を具体化すること、住民と科学者、専門家の協力による調査研究活動の更なる発展が必要不可欠です。「人間復興」論は古くから繰り返され進化してきたようです。ソーシャルディスタンスという言葉を見直し、「人のつながりは生きる力。物理的な距離は離れていても、社会的な距離はより密にしなければならない」そういう意味で密にしたソーシャルディスタンスに変える努力をしていきましょう。コロナ禍での変化した地域の調査を行いましょう。
誰が、何の目的で、どのように使うのか─「自治体DX推進計画」と自治体デジタル政策の課題 久保貴裕
 総務省の「DX推進計画」か、行政の公正性を脅かし、住民サービスを大きく後退させる恐れがあります。デジタル制作は国のトップダウンではなく、住民の熟議と合意で決めるべきです。本当にこのことの理解がなければ、今自治体の政策決定過程に、『デジタル化』の名のもとに、首長の強力な主導権を発揮する場づくり、利害関係のある企業から人材を要職に登用し、決定事項を一部民間へ横流しする組織化に使われかねません。 
 公務員の「全体の奉仕者」としての意味がここで壊されていくのです。
 今国は各自治体の個人情報条例の規制緩和・撤廃を求めているとか。標準化の名のもとに、自治体独自の判断を削除する手段に使われそうです。スマートホンの拡大に躍起になって、やがては趣味趣向、交友関係、支持政党、思想信条などのプライベート情報が集積され、権力や企業にプロファイリングさせられてしまいます。
 窓口は、憲法に基づく住民の基本的人権を保障するために、担当職員を介して住民を最善の行政サービスに繋ぐ役割を担っています。廃止すればセーフティネットの機能を失わせる恐れがあります。
 デジタル化の技術は職員を削減してこれに置き換えるための代替手段として導入するのではなく、職員が「全体の奉仕者」として従事する公務労働の質を高めるための補助手段として活用すべきですね。

●連載●
人つながるH 不登校生のための「居場所型」家庭教師─自分らしさを受け入れる居場所づくりをめざして─ 藤野荘子

子供にとって、学校と家庭は大きな居場所でありその片一方が崩れて、不登校になり、「学校」という世界が社会との懸け橋として機能しなくなった。2019年からその架け橋を復活させる家庭教師として派遣する活動を立ち上げたそうです。どんな子どもも、心に自分のなりたい姿やこんなことをしたいという希望を持っている。この確信のもとに行っておられるようです。
公立美術館の光と影 第2回 置き去りにされる作品の収集と管理 武居利史
 日本の美術館の限界が書かれています。収集予算の不足、情報公開の立ち遅れが、これらを生んでいます。優れたコレクションは、美術館自体の価値を高め、住民の自主的な学習、教育や研究への活動を大生にしていくようです。この文化世界の発展のためにも変革してもらいたいものですね。
シリーズ 地域発信 旅と暮らし 第3回 ユーコン川の歌 八須友磨
 作家のユーコン川でのサケの命の綴りは、大自然の中でこそ、自分の命が連綿と流れていることが体験でるようで、アライグマとの並列に並び眺める自分がいるなどすごい体験でしたね。今生活している場所の選定には、大きな木に改めて自分の命の置き場を考えたようです。オーロラの大爆発の体験はすさまじかったことでしょうね。
検証 津久井やまゆり園事件を人権の視点から考える 第4回 自分のことは自分で決める 小西 勉
 やまゆり園での人権無視の施策の当事者はどう答えているのでしょうか。施設再建でもってことを終わろうとしているのなら、被害者の人たちの人権は再び壊されていくことでしょう。改めて障害を持った人も、一人の人間として施策で打ち出し出発し、その人の意見を聞き、施設の在り方から解決してほしいものです。
くらしと自治と憲法と 第7回 憲法18条と「経済的徴兵制」 布施祐仁
 日本国憲法第18条「奴隷的拘束及び苦役からの自由」は徴兵制への禁止が目玉になっている。しかし、「経済的徴兵制」の余地がまだあることに注意が必要です。アメリカでは、徴兵制について1973年停止されてはいるが、「選抜徴兵登録制度」はまだあるようです。米国が行った中東の2か国との戦争時、この経済的徴兵制で集められたようです。様々な制度拡大でもって今自衛隊は維持されていると。日本の自衛隊職員のなり手が少なくなっており、「日本版GIビル」が日本で働いているようです。憲法25条・26条の完全実施を早めましょう。
@NEWS 沖縄県 北谷町議会の新たな動き─住民と議員の力で地方から「土地利用規制法」廃止を 新垣千秋
 この項目について広島自治研の月報11月号にも投稿されており、広島県には1240人の地権者が該当するようです。基地を持つ限り人権の侵害は防がれないと、多くの町でこの法律の廃棄を求めています。立法事実がない法律が今の時代に作られているとは、まさに戦争へ進む国なのでしょうね。
BOOK REVIEW
ローカル・ネットワーク
Jつうしん
自治の風─東京・多摩から 第2回 多摩地域での財政白書づくりについて 大和田一紘

 財政分析が10年来「市民の手のよる財政白書」が、26冊発行されている。この勉強を広島でも起こしていきたい課題です。
編集後記
 

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