広島自治体問題研究所
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2022年1月号 読者ノート

 (2021/12/23)
 
目 次
 広島自治研会員の皆さんあけましておめでとうございます。
昨年のコロナ禍の総選挙での結果に一喜一憂して落ち込んでいましたが、岡田先生のあいさつを読み、また頑張っていく道を確認していきたいと思います。

◆新年のごあいさつ 憲法と地方自治の危機に立ち向かおう 岡田知弘
 総選挙での比例票の比較で、前回比自公両党は148万票増で、政策協定を結んだ4野党の合計表は248万票増でした。野党共闘のこの2年間を見ても、このことが進化することで「憲法を暮らしの中に生かす」ことが実現につながると思います。維新党の大阪の実態を広く国民に正すことが必要ですね。
◆直言 観光にみる物質代謝の攪乱 中林 浩
 観光白書で、「どう儲けるか」が大半を占めていると言われますが、本来は「どう楽しむか」ではないでしょうか。また、オーバーツーリズムで、大気中の二酸化炭素が280ppmから410ppmに上がり、気候変動を起こしていることに注意したいものです。マルクスの物質代謝論を読んでみたいですね。
●連続企画● 「新型コロナ」から日本の社会を考える 第19回 コロナ禍のもとでの保育の状況と国・自治体の対応、保育制度改善の課題 井上晶子
 保育は、人生の土台を作る乳幼児期を豊かにするものであり、今回のコロナ禍で、その大切な「職員増で、ゆとりある保育を」体験された保育師が短期間ではあるが生まれたとのことは、長年の保育現場の惨状に対し、大きな実体験をされてことでしょう。また、自治体の動きの中で、代替保育、感染を広げない対策、ワクチン優先接種などが、実施されてきたことは、自治体間の差によるとはいえ、保護者との連携で変えていきたいものです。
●特集● メディアでつながる市民自治
 ●メディアのローカリティと地方自治 山田健太

 今や膨大な情報が身の回りに流れ、その選択が出来なくなって、コモン(共通の場)は規模縮小しているように見えます。「2万」という数値が大きな意味を持ってモノであると、郵便局、コンビニ、書店、新聞販売店数とまさにもっとも基本的な住民自治の寄り添う範囲です。
 日本という国は、毎朝、新聞が自宅に届けられる制度が整備されて、テレビやラジオの受像機さえ買えば、そこから見る・聞くことが出来る唯一の国だそうです。これに対し、マスメディアの役割も見逃せませんが、これにもローカリティ(地域性)という分け方が対抗的に生まれています。
 デモクラシー(民主主義)の存在を見るとき、その地方紙の存在があるかないかで、その地方政府の腐敗があるかないかが分かるのだそうです。地方ごとの多様で、豊かな知識や情報が自由闊達に流通している環境があることで、人々は成長し、社会は最善の選択をしていくことが出来るのです。

●コミュニティ放送で語りはじめた若者たち 松浦さと子     
 1992年に制度化されたコミュニティ放送が2021年11月の段階で、全国337のラジオが地域レベルの公共的な放送インフラとして活躍している。
 この本質を放送法から述べていくと、健全な民主主義の発達に資する、「不偏不党」「公平」はあっても「中立」という言葉はありません。大切なのは、「できるだ多くの角度から」です。実際の例が上がっていますが、共有できる基盤を深く掘り進む内容に努められています。
 住民自身が平和に対する対話できるスキルを身に着けてラジオを使いこなすことだと言われています。

●フィラデルフィア市民はいかにして地域テレビPhillyCAMを獲得したか─アメリカ住民闘争27年、真の公共メディアはこうして誕生した 魚住真司              
 
公共メディアが一部のものに支配され、自由を失っていたとは、それもアメリカ独立宣言の都市のことは驚きです。
 このPACが現在果たしている役割が、30ドル出せば、誰でも利用会員になり、ワークショップを受け、番組制作に係れるのだそうです。メディア製作者代替経路になっているとは、

・中海テレビと市民運動の関わり─中海物語を題材に 上田和泉
 中海を対象にケーブルテレビが生まれ、地域課題を取り上げて、ただ放送することが目的ではなく、年月がかかっても問題解決まで地域の人と行動を共にすることで新たな地域づくりや活性化につなげると言ことが番組政策の理念だそうです。
●大阪 住民自治、市民協働を伝える市民ジャーナリズム ローカリズム×ジャーナリズム 市民の直接的行政参画の具現化に向けて いしだ はじめ
 地方自治破壊の維新の会の大阪での対抗メディアとして2021年2月から試験放送をはじめました。
 身近な行政に目を向け、住民から行政への要望や提案、地域のことについて住民参加による行政が行われることが重要だとの理念のもとに生まれたようです。
 2つの住民投票で、市民が自分たちのメディアをもつとこれからの活躍を期待します。

●2021衆議院議員総選挙から何を読み取るか─今後の展望に向けて 川上 哲
 総選挙で共同行動した勢力が、マスみから攻撃され共闘が意味がなかったと報じられている中、科学的に明らかにする資料として掲げられました。
 日本社会の推移で、新自由主義、勝ち組負け組の格差容認主義で、一定の基盤を作っている維新の構造が明らかにされています。この構成は、最も裕福層が集住する地域であり、「勝ち組」・中間サラリーマン層を中心としたものであることが言われています。
 都市部での投票率の上昇を生んでいる元のようです。これからはこの層に対する、政策的理解を得ながら進めないと深刻な地方自治制度に替えられていく恐れがあります。
 しかし、都市部での得票率の向上は、一方で共闘の戦いが生んでいるという面もあるのではないでしょうか。このことが深刻かもしれませんね。

●連載
●人つながるI すべての人に星空を─「病院がプラネタリウム」の実践 
高橋真理子
 
夜空の星の構成が138億年と捉え、今流れている星の数々の声を届けるとは、私達の生命の材料がすべてこれら星から生み出されたこと、その命のリレーがずっと続いて、今ここで一緒に星を見ている事が出来たとを投げかけています。一度みなさん体験しましょう。https://hoshitsumugi.org/first/
●公立美術館の光と影 第3回 公立美術館にとって住民とは 武居利史
 
公立美術館の運営経費で展覧会収入はホンの一部であり、何らかの公的支援や寄付金がなければ立ち行かない。イベント館にしないように、社会教育施設として、住民を美術の愛好家・主役として育てる、教育普及事業をしっかりやる美術館でありたい。広島県内の美術館はどうだろうか。
●シリーズ 地域発信 旅と暮らし 第4回 旅から暮らしへ 八須友磨
 
この地域発信は、自然界に私たちをより戻してくれる神様からのひと時を送ってくれますね。八須さんも新しい人生に入られました。マタギの修行、薪づくり、猟・どれも神様と一緒の作業なくては達成できませんね。
●検証 津久井やまゆり園事件を人権の視点から考える 第5回 背景要因はいまだ解決していない─神奈川県とかながわ共同会の責任について 小野 浩
 
やまゆり会の法人としての在り方が、障がい者施設としての在り方と一致しない、これを監督する県の在り方も人権という観点から立っていないことが明らかです。なぜこのような流れが放置されているのか、一人の犯罪者でかたずけ用としているのか。
●くらしと自治と憲法と 第8回 ジェンダー平等と日本国憲法 藤枝律子
 
ジェンダー平等が叫ばれ後、今日までどう日本社会が動いてきたのか、総選挙が現わしています。社会及び家庭における男子の伝統的役割を女子の役割と伴に変更することが男女の完全な平等の達成に必要である。それを改善する積極的差別是正措置が行われるために、法律改正を項目を挙げて明らかにしていきましょう。まずパリテ法から。
●@NEWS 東京都 都立・公社病院等の地方独立行政法人化への定款が可決 石橋映二
 
公的病院のコロナ禍での果たした大きな役割をマスコミは挙げていないのでしょうか、地方独立行政法人化と難しい言い方をしていますが、儲かる医療法人化であることは、都健康長寿医療センターが、有料個室化を25%になったように明らかな変貌が待ち受けているのです。税金の投入削減と利益優先の経営体制への道が果たして都民の福祉を向上させることになるのでしょうか。
●ローカル・ネットワーク
●Jつうしん
●自治の風─東京・多摩から 第3回 わたしたちの手でまち・社会・未来≠デザインする〜価値観を共有するのではなく、共有できる価値観をその人と発見しカタチにする〜 妹尾浩也
●BOOK REVIEW
●編集後記



     


2021年12月号 読者ノート 

 (2021/11/19)
 
目 次
 自治体職員の在り方が問題になって久しいですが、会計年度任用とは、全くのワーキングプア―を固定化するものになっています。広島の地域とくらしでもこの問題について投稿されていますので、読んでみてください。
◆直言 自治体の窓口は住民の権利を守る砦でなければならない 鈴木 勇
 今多くの自治体で窓口業務のデジタル化がすすんでいると言われています。
 ここで明らかにされた税務職場での住民との具体的やり取りについて述べられていますが、これらの言葉は、素人では理解できないものであり、自治体職員の経歴が積み重なれて初めて語ること出来たと思います。
 デジタル化用語についても、不慣れな人にはさっぱりわかりません。デジタル化を含め科学技術の発展は、住民の利便性につながればうれしいと言われますが、突如、税務問題で困っている住民には、この理解はできないでしょう。
 住民にとっては、問題回答に即答が行われることが必要であり、放置・遅延されることは、権利侵害であると訴えることになるのではないでしょうか。
 窓口に来た住民はまだしも、役所に来ないで問題を理解できない住民は巷に多く放置されていくのではないでしょうか。税とは住民の基本的義務と権利であることで、期間をもって教育される前提にした税務行政を私たちは強めていかなければと思います。

●連続企画●「新型コロナ」から日本の社会を考える 第18回 3回目のワクチン接種と検査拡大を急げ 渋谷健司
 今回のコロナ禍で、第5波で示された、「自宅放置」による死亡が生まれたこのことは、皆保険制度の破綻とさえいえる極めて衝撃的な出来事でした。
 今の日本を見ると、医療制度は「広く薄い」という病院機能の弱点、民間の中小規模の「総合」病院が乱立している、医師は臓器別専門医の割合が高く、臓器を広く診断できる総合診療医の割合が諸外国に比べ低い、これらを弱点として挙げています。
 今後コロナについて、ワクチンの普及で管理が可能となりつつあり、コロナの季節性変動やワクチン効果に鑑みつつ、各自の感染リスクを判断しながら科学的な個別対応を進めていくべきであり、人流抑制やロックダウンなどを主軸とした戦略から脱却すべき時です。

●特集● 会計年度任用職員制度導入から1年半─自治体非正規労働者の悲鳴
公務非正規運動の前進のための労働者調査活動 川村雅則

「定員の適正化」の下、人員削減やコスト削減がまかり通り、働く人の生活が問題視されなくなり久しいものです。正規職員が非正規職員へ入れ変わった、しかし住民から行政サービスの需要は増加・多様化して、何等かの対応が必要となるが、安易に非正規職員をあてがうのです。
 これら非正規職員には、任用と任用の間に空白期間を置く、勤務年数上限を設ける、時間外の支払いはおろか交通費さえ支給されないなど最悪な実態が作られるのです。
 公契約条例の制定に多くの自治体が困難さを持っているようですが、公共事業費の契約時には積算根拠を明確に表すことは、公契約上必要不可分であり、契約その整理を行うことから明らかにできるようです。しかし現実との乖離も抑えておくことが大切ですね。
 調査には、地域の研究者・研究機関という社会資源も活用して、プロジェクト方式で組織的に行うことが大切ですね。

改善図られない会計年度任用職員制度─自治体非正規労働者の現状と課題 曽我友良
 この制度作成期間でのマニュアルで、待遇の低い国基準を押し付けるかのように例示するとともに、制度開始3か月まで改善に必要な財源を確保し得なかった総務省の対応の遅さなど、全国の自治体にはマイナスに作用したようです。
 一方公の施設管理に関する規定が、株式会社などの民間事業者、NPO法人などに拡大され、そこで働く労働者の権利が抑圧される大きな不利益を生んでいます。そのことから、採用後、2・3日で、口々に出てくる「こんなに大変な仕事だとは思っていなかった」「こんなに低賃金では仕事に見合っていない」という声があふれ出しており、対話から団結、改善、対話とこの流れを早期に作らなければいけません。

公務非正規女性全国ネットワークの調査を実施して 瀬山紀子
 「はぬねっと」の行動力に感心しました。女性の低い年俸のアンケート踏査報告を厚生省の会議室で行い、マスコミを使うなど、先進を走っています。厳しいコロナ禍での、女性の悲鳴をまとめたものだったのでしょうね。このような活動でもって世間に知らせ、改善の声を深め、一住民として公の仕事の大切さを訴えるまさに地方住民自治を実践されています。会計年度職員とともに、一住民であるというとらえが出来ることが大切ですね。正規・非正規と区別せずともに一住民として自治体改善に手を合わせてくださることを期待します。
会計年度任用職員制度開始前後にあった、ある役場でのこと 匿名
今回の会計年度任用職員制度が当初職場待遇改善であるかのような宣伝でしたが、それはまさに逆で、改悪の手段として使われてきたようです。今後ともこれらの改善に正規職員も組合に働きかけ、国民一人一人に公務労働に対する考え方を変える働きを、大きな視点でもって運動を作り上げていきましょう。まさに正規職員化が出来なければ公務員としての意味がない制度です。
◆第63回自治体学校特別講演
コロナ禍2年目 地方自治をめぐる情勢と対抗軸(下) 岡田知弘

  2回に分かれた報告文ですが、一挙に読んでください。又メモってください。コロナ禍で浮かび上がった数々の対抗軸について報告されています。本来あるべき地方自治体の像が見えてきたと言えます。これらが新たな政治・経済・社会への展望として進化していくことでしょう。命を重視する地域づくり・国づくりが災害の時代そしてグローバル化がすすむ時代だからこそ求められている。「儲ける自治体」ではなく一人ひとりの住民の福祉の向上と幸福追求権を具体化すること、住民と科学者、専門家の協力による調査研究活動の更なる発展が必要不可欠です。「人間復興」論は古くから繰り返され進化してきたようです。ソーシャルディスタンスという言葉を見直し、「人のつながりは生きる力。物理的な距離は離れていても、社会的な距離はより密にしなければならない」そういう意味で密にしたソーシャルディスタンスに変える努力をしていきましょう。コロナ禍での変化した地域の調査を行いましょう。
誰が、何の目的で、どのように使うのか─「自治体DX推進計画」と自治体デジタル政策の課題 久保貴裕
 総務省の「DX推進計画」か、行政の公正性を脅かし、住民サービスを大きく後退させる恐れがあります。デジタル制作は国のトップダウンではなく、住民の熟議と合意で決めるべきです。本当にこのことの理解がなければ、今自治体の政策決定過程に、『デジタル化』の名のもとに、首長の強力な主導権を発揮する場づくり、利害関係のある企業から人材を要職に登用し、決定事項を一部民間へ横流しする組織化に使われかねません。 
 公務員の「全体の奉仕者」としての意味がここで壊されていくのです。
 今国は各自治体の個人情報条例の規制緩和・撤廃を求めているとか。標準化の名のもとに、自治体独自の判断を削除する手段に使われそうです。スマートホンの拡大に躍起になって、やがては趣味趣向、交友関係、支持政党、思想信条などのプライベート情報が集積され、権力や企業にプロファイリングさせられてしまいます。
 窓口は、憲法に基づく住民の基本的人権を保障するために、担当職員を介して住民を最善の行政サービスに繋ぐ役割を担っています。廃止すればセーフティネットの機能を失わせる恐れがあります。
 デジタル化の技術は職員を削減してこれに置き換えるための代替手段として導入するのではなく、職員が「全体の奉仕者」として従事する公務労働の質を高めるための補助手段として活用すべきですね。

●連載●
人つながるH 不登校生のための「居場所型」家庭教師─自分らしさを受け入れる居場所づくりをめざして─ 藤野荘子

子供にとって、学校と家庭は大きな居場所でありその片一方が崩れて、不登校になり、「学校」という世界が社会との懸け橋として機能しなくなった。2019年からその架け橋を復活させる家庭教師として派遣する活動を立ち上げたそうです。どんな子どもも、心に自分のなりたい姿やこんなことをしたいという希望を持っている。この確信のもとに行っておられるようです。
公立美術館の光と影 第2回 置き去りにされる作品の収集と管理 武居利史
 日本の美術館の限界が書かれています。収集予算の不足、情報公開の立ち遅れが、これらを生んでいます。優れたコレクションは、美術館自体の価値を高め、住民の自主的な学習、教育や研究への活動を大生にしていくようです。この文化世界の発展のためにも変革してもらいたいものですね。
シリーズ 地域発信 旅と暮らし 第3回 ユーコン川の歌 八須友磨
 作家のユーコン川でのサケの命の綴りは、大自然の中でこそ、自分の命が連綿と流れていることが体験でるようで、アライグマとの並列に並び眺める自分がいるなどすごい体験でしたね。今生活している場所の選定には、大きな木に改めて自分の命の置き場を考えたようです。オーロラの大爆発の体験はすさまじかったことでしょうね。
検証 津久井やまゆり園事件を人権の視点から考える 第4回 自分のことは自分で決める 小西 勉
 やまゆり園での人権無視の施策の当事者はどう答えているのでしょうか。施設再建でもってことを終わろうとしているのなら、被害者の人たちの人権は再び壊されていくことでしょう。改めて障害を持った人も、一人の人間として施策で打ち出し出発し、その人の意見を聞き、施設の在り方から解決してほしいものです。
くらしと自治と憲法と 第7回 憲法18条と「経済的徴兵制」 布施祐仁
 日本国憲法第18条「奴隷的拘束及び苦役からの自由」は徴兵制への禁止が目玉になっている。しかし、「経済的徴兵制」の余地がまだあることに注意が必要です。アメリカでは、徴兵制について1973年停止されてはいるが、「選抜徴兵登録制度」はまだあるようです。米国が行った中東の2か国との戦争時、この経済的徴兵制で集められたようです。様々な制度拡大でもって今自衛隊は維持されていると。日本の自衛隊職員のなり手が少なくなっており、「日本版GIビル」が日本で働いているようです。憲法25条・26条の完全実施を早めましょう。
@NEWS 沖縄県 北谷町議会の新たな動き─住民と議員の力で地方から「土地利用規制法」廃止を 新垣千秋
 この項目について広島自治研の月報11月号にも投稿されており、広島県には1240人の地権者が該当するようです。基地を持つ限り人権の侵害は防がれないと、多くの町でこの法律の廃棄を求めています。立法事実がない法律が今の時代に作られているとは、まさに戦争へ進む国なのでしょうね。
BOOK REVIEW
ローカル・ネットワーク
Jつうしん
自治の風─東京・多摩から 第2回 多摩地域での財政白書づくりについて 大和田一紘

 財政分析が10年来「市民の手のよる財政白書」が、26冊発行されている。この勉強を広島でも起こしていきたい課題です。
編集後記
 

2021年11月号読者ノート

 (2021/10/21)
 
目 次
 総選挙最終版となり、政権交代の結果が出ることを願います。
◆直言 地方から気候危機打開を 桑原加代子
 明らかな気候危機打開策の方策が示されていると感じました。新潟県の原発問題が、地域への還元なく不安だけを呼び起こすものになっており、農業と気候の関係でのエネルギー開発は自治体の指導の下に対策が作られればいいと思います。ここに現わされた、気候変動も厳しいものですね。
●連続企画●「新型コロナ」から日本の社会を考える 第17回 「コロナ禍」の医療崩壊を逆手に取った「地域医療」の縮小・再編を許すな! 長尾 実
 コロナ禍の中、病床削減が続いていたとは、怒りを感じます。第5波での「自宅療養者」を作り出した現実は、「医療逼迫・崩壊」であった証です。全国合計で、当初推計が13万6818人だとのこと、これが実際は最高時20万7672人だったとは。まさにこれが、政治と行政の責任による「人災」であると言われるのです。また驚くことは、「地域保健医療計画の見直し作業に、新型コロナウイルス感染症」対応が一言も触れられていないのです。県が策定する計画ですので、この件は入れて検討するのが筋というものです、監視していきましょう。病床削減で補助金をもらって減量経営していこうとする計画は、かっての稲作農業における「減反政策」と似通った、医療分野における「減床政策」と言えます。愛知県、名古屋市、岐阜県の事例が載っていますが、広島県はどうでしょうか検証をお願いします。第「6波」に向けて今の地域医療政策を一旦止め、新型コロナウイルス感染対策に会った病床計画を作ってもらいたいものです。
●特集● 建設残土の真実と規制の課題─熱海土石流を忘れない
 熱海の土砂崩壊は、大きく全国を揺るがしました。またリニア新幹線で出る残土は、東京ドーム約50杯だとか、地域住民の声を受けて立ち上がりましょう。
建設残土と環境破壊・災害 畑 明郎
 建設残土は、公共事業から出るものが大半だとか?であるならば、公の責任が大きいのではないか。各自治体で条例を作ってはいるが、その監視態勢まで整えることを追求しておきましょう。また多くの土砂の中に、ヒ素やマンガン・フッ素など自然から由来するものがあり、土壌検査を付帯しておくべきです。残土は、産廃と同様に逆有償取引(お金を出してて引き取ってもらう)であり、建設廃棄物として、法規制に転化していきましょう。
熱海市伊豆山の土石流が教えること 塩坂邦雄
 熱海の盛り土崩壊で下流地域の被害は、全国でもありうることと関心を持ってみました。映像から2点指摘されていますが、@通常土石流は、山土で茶色が多いのになぜ黒なのか、A梅雨前線が停滞し、累加雨量が500ミリメートルを超えているが、なぜ伊豆山だけに発生したのかと、問いかけています。このような見方が最初に必要でしょう。また今回の調査にドローンで撮影されたとは進歩したものです。工科学的に検証されていますね。
迷走を続けるリニア中央新幹線の残土処分 樫田秀樹
 リニア新幹線工事から出る残土量が、約70の工区から5680万立方メートルだそうです、その処分地が、事業認可から7年経っているにも関わらず、半分も決まっていないとは。その主因が、リニアは「国家『的』事業」という「民間事業」であると言います。民間ならば残土の処分予定地を確保していなくても、事業認可が受けられるとは。また各地での地元説明会での議論で、損得が働き、上流下流関係を無視したり、景観に配慮の欠く場所であったり、決まらない内に工事が開催され、仮置き場が設けられているようです。住民との合意がないままでの工事開始に、行政が監視できていないようです。この欠陥を早く是正する法律が決定されないと、仮、仮置き場で、災害発生を呼びますね。住民の権利として、声を大きく発生することも必要ですね。
三重県紀北町 県外からの残土搬入禁止を求めて 近澤チヅル
 地元町議・県議・国会議員の連携が示されています。町長が残土問題に無関心を装うとは何らかの業者との結びつきがあることを明らかにすることが大切です。残土監視を町がしないこと自体、住民のいのちとくらしを無視している姿だと、真っ先に正すことが必要でしょう。参考資料に出ている全国の量を見た時、公共工事が圧倒的に多いことに気が付きます。有効利用率79.8%とは、認可事業にすればこれが守られるのではないでしょうか。広島県での残土調査結果はどうなっていますか。広島県土砂取り扱い条例が制定されていますが。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    
第63回自治体学校特別講演
コロナ禍2年目 地方自治をめぐる情勢と対抗軸(上) 岡田知弘

  コロナ禍に、政治が大きく曲げられようとしていることを述べています。「コロナ失政」の根本的原因を、小泉内閣以来続いてきた新自由主義的な「構造改革」の累積による公共の後退と変質にあり、中でも保健所や公立・公的病院の統廃合、そしてそれを促進した市町村合併、さらに三位一体の改革による公務員削減とアウトソーシング、市場化・民営化の促進が規定にあると述べています。それに加えて安倍政権以降、政官財抱合体性の強まりの中で、「お友達企業」を優遇したり、「忖度政治」を横行させ、その中で公共サービスの基本になる公的データー・公文書の改ざん・廃棄が行われたとのことです。これが政治の科学性、公平性を否定していくことになりました。ぜひ全文詳読ください。 
◆『住民と自治』創刊700号に寄せてC
住民主体の公衆衛生を学ぶ場に 菊地頌子
自然エネルギーの内発的発展に資する「失敗の共有」を! 山形 定
ひたすら駆け抜けた46年 700号おめでとうございます 新屋康夫
いつまでもワクワクドキドキ満載の『住民と自治』誌に 芳野 孝
●連載●
公立美術館の光と影 第1回 コロナ禍で問われる集客至上主義 武居利史

 美術館とは、その開催方法が外国と日本では違うとは、日本では、一時的に国内外から借り集めてきた作品を並べる企画展で集客を行う、外国では、コレクション展示を重視するとのことで大きな違いがあります。コロナ禍で集客ができない美術館は苦悩しているようです。全国に美術館は401館、そのうち公立は、254館だそうです。
地域発信 旅と暮らし 第2回 ユーコン川にカヌーを浮かべ 八須友磨
 人間社会に別れを告げ、川に入りカヌーでユーコン川をたどる。一人で約5か月をかけて3000キロを。焚火や荒野の声、鳥や、クマ、オオカミ等々との接触、魚草花から生きる命を綴りながら自己見参する。自然の一部分となって今の社会に戻ってきたのですか。うらやましい。!!!
検証 津久井やまゆり園事件を人権の視点から考える 第3回 家族にとっての「やまゆり園事件」 平野泰史/尾野剛志
 障害を持った人たちの保護者団体がどのくらい組織されお互いがつながっているのか、背後の保護者の在り方が気になります。職員が足りない、予算がないと施設側が言うに決まっています。大変でしょうが、人間であること、発達できるものだという基本を支えに活動してください。
くらしと自治と憲法と 第6回 主権者としての学びと「学習権」の保障─「九条俳句」訴訟判決の意義─ 佐藤一子
 学習権とは、「読み書き」などの基礎的教育にとどまらず、「問い続け、深く考える権利」「想像し、創造する権利」「自分自身の世界を読み取り、歴史をつづる権利」であるととらえられています。主権者としての学びを保障する社会教育、公民館1万4000館、図書館3300館、博物館1300館、類似施設4400館があったと言います。そこでの政治的中立性が問われた「九条俳句」公民館だより不掲載事件は、この学習権を明らかにした判決でした。
@NEWS 岩手県北上市に浮上した廃棄物焼却発電施設計画 及川三男
 突然の施設の起こりに、地域計画との整合性が取れないとの意見で反対されています。行政としての在り方が問題ですか。
BOOK REVIEW
ローカル・ネットワーク
Jつうしん
自治の風─多摩から 第1回 多摩の地で、地方自治の歴史的バトンを引きつぐ 荒井文昭

 先輩の研究所の活動が連載されます。「革新自治体の後退」から、どのようなバトンをつないでいるのか楽しみです。
編集後記
 

2021年10月号読者ノート

 (2021/09/27)
 
目次
◆直言 沖縄県の裁量的判断の正当性を認めた最高裁裁判官の反対意見 大田直史

 沖縄辺野古地域が持つサンゴの保護の取り組みが最高裁で戦われ、敗訴とはなったものの少数意見の、活用での行動が述べられています。一方での強引な強硬姿勢に対し、自然を相手にする戦いにも私たちは支援していきたいものです。
●連続企画●「新型コロナ」から日本の社会を考える 第16回 コロナ禍における学生の困難と支援の課題 小林雅之
 高等教育を受けようとする学生に就学支援制度があるということが、当たり前ではなく周知されていない、その制度の平等性に多いに問題があるなど、コロナ禍になって改めて明らかになっています。大学に入ればアルバイトをせざるを得ないから、入ればアルバイトをする社会になっており、このアルバイトがコロナ禍で大きく様変わりしたようです。中退者がコロナ禍の前より減ったとは、支援制度の効用が出ているのですね。しかし、新たな学生の就学意欲を支える制度として、国はもっと学生支援を行ってもいいのではないでしょうか。授業料の半減、入学金の撤廃など・・
●特集● 長期化するコロナ禍と「セ─フティネット」の穴
  生活困窮者に対する「セーフティネット」がコロナ禍でどのような作業を及ぼしたか張り直しか、あり方の再検討か深めてみましょう。
「不平等ウイルス」による貧困パンデミック 吉永 純
 コロナ禍パンデミックの中で、貧困部門について、相談員の皆さんから見た問題点が8項目にわたってあげられています。新たな言葉として、女性の貧困―シーセッションと言い、この間女性の自死者数が、前年度比885人14.5%ととなっています。またこの間の生活保護の現状は、この制度に対する、忌避感情が強まっていること、未曽有の生活の危機に会っても、生活保護が最後のセーフティネットとしての役割が果たせずにいることが報告されています。平時からの給付制度の拡充と使いやすくしておくことが述べられ、大阪裁判所の2021年2月22日の判決の意義を広めていきたいものです。
住まいの困窮者の現実と保障の課題 佐藤和宏
 今回のコロナ禍で、今までの居住保障の理念の不確立が露になったと言っています。居住困難化は長期的トレンドの住宅不足の表れである、公営住宅の減少、家族依存の住宅から、持ち家制度への移行、これらが崩れ、ホームレス、ネットカフェの増加などを生んできました。これら低家賃借家の減少が、今回可視化されているのに過ぎないのです。もはや「安定」のトライアングルの綻びが明らかである以上、必要な理念は、雇用や家族の「安定」や持ち家政策に固執しない、一人ひとりの生存と尊厳を実現する居住保障を目指すことではないでしょうか。 
コロナ禍で浮き彫りになった非正規雇用の新たな課題 原田仁希
 コロナ禍で日本経済の脆弱性を露にしました。飲食業・宿泊業・イベント業などのサービス産業が特に被害を受け、シフト労働制の弊害が黒書としてまとめられています。シフト制労働とは、所定の労働時間がなく、週ごとや月ごとに労働時間が決定される働き方ですが、コロナ禍で、企業が休業や営業時間の短縮を強いられる中、シフト制労働者は、シフトが全くなくなったり、大幅にシフト削減されたりしました。このシフトカットについて企業は休業手当を支払わなかったのです。家族内の労働分配が、多就業家族世帯という型で、収入源を複数持たないと生活できない、それくらい低賃金が広がっていることが明らかになりました。これらの人々への援助も行われていますが、周知度が低いのです。長年続く新自由主義社会が雇用の流動化や不安低下、そして低賃金化をもたらし、働く貧困層を大量に生み出していたところに、コロナがとどめを刺した、と理解できます。
対立でなく連帯を─女性が心身ともに自立するための互助 松元千枝
 相談会開催のテクニックとして、女性を対象とする時の大切なことが述べられています。UNでの報告で、3人に1人の女性がが暴力の被害にあっていると調査報告を出し、「影のパンデミック」として告発しているのです。また女性のケアは誰がするのかと根本的な問いかけがされ、雇用だけでなく、家庭内でも調整弁としてされていると告発しています。このような女性との懇談で、最も必要なことは当事者が委縮せず安心して話ができるよう、「価値判断をしない」「相談者の意見を尊重する」などがスタッフとして重要だとしています。一方相談する場としての役所は、窓口職員の雇用の安定や勤務の見直しが必要ではないかと問うています。制度情報を届けるには、その制度を必要とする人ほど、制度にたどり着くまでの障壁が厚いといった逆転減少があることに注意が必要です。
困窮者への貸付支援の現実と改革課題 角崎洋平
 コロナ禍で、生活困窮者に対する支援制度として、生活福祉資金貸付と特例貸付が、この間五月雨式に制度延長され、緊急小口資金で、約72万件、総合支援資金で約35万件に上り過去最高の貸付金額になっています。しかし、この脆弱な実施体制の下で、この業務に携わった職員の人の悩みが出ています。この貸付には、償還免除されない世帯もかなり多く残っており、これらの人の生活の支援が、償還期間10年間あり、これに沿う体制が確立していないのです。そもそも貸し付けは、将来返済する見込みが十分ある場合に実施されるべき支援です。が、貸付に適さない世帯にあっては、償還免除の検討も行わなければ、立ち直れないことが生まれる場合もあるのです。生活保護の柔軟運用を、「入りやすく出やすい」制度にしていきたいものです。
「断らない相談支援」が育む連携体制─座間市生活困窮者自立支援事業の実践 林 星一」
 生活困窮者とは、就労の状況、心身の状況、地域社会との関係性その他の事情により、現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなる恐れのあるもの です。この人たちとの接点を築く過程で、庁内連携体制と「つなぐシート」を生み出したのです。
 アウトリーチ(Outreach)は直訳すると、「外に手を伸ばす」ことを意味します。 福祉分野では、「支援が必要であるにもかかわらず届いていない人に対し、行政や支援機関などが積極的に働きかけて情報・支援を届けるプロセス」のことを言います。
 生活保護者と決定する前に、その人の様々なケースをまずはよく聞くことから「相談は断らない」と決め、出来るだけ早く相談者を窓口につながること、つながった相談を受け止めることを優先に考え、相談現場で見えてきたことを次の展開に生かそうと考えるのです。行政や制度だけでは解決できない課題について、地域の方々と連携をしながら解決を模索し、ともに成功(失敗)体験を共有することが地域連携の構築につながっていくと。「つなぐシート」は、職員が相談者の同意のもとで相談内容を記載し必要な行政サービスに「つなぐ」ためのシートです。座間市のこのような取り組みと、行政として、@生活不安に関する相談の受け皿A多岐に及ぶ瀬策を包括的に市民に届けるハブB相談現場で気づいた課題から自治体独自の政策形成の課題を柱にしているとは感心しました。

◆『住民と自治』創刊700号に寄せてB
ジャーナリストの基本を胸に刻んだ第400号記念の交流会で 池上洋通
住民自治を支える自治体労働者の姿に期待 照井 健
58年という歴史に感動 原 千鶴
私と全国の仲間のつなぎ手 山崎 勇
第63回自治体学校を終えて
●連載●
人つながるG 人が集まり、人がつながる─ある蕎麦屋の話─ 栗原洋一
シリーズ 地域発信 旅と暮らし 第1回 未知なる旅 八須友磨

 八須さんの新卒1年8か月後の旅立ちの話が、はじまりました。どんなことかと思えば、大自然に一人身をおき、それにまつわる人とのはなしです。これが今の社会すんなりいかないのが実情です。アラスカに行く前の大きな出来事化、東京から青森まで歩いていくとは。若さゆえか。
検証 津久井やまゆり園事件を人権の視点から考える 第2回 人権保障の歴史・意義と人権のにない手 井上英夫
 人権を視ない優生思想の起こした殺人事件に対し、私たちは、人権について、再度歴史から保障の意味、理念の具体化としての社会保障・社会福祉の原則、「人権の担い手」の使命と責務を改めて考えて行きましょう。世界大戦が悲惨な結果を生まれ、そこから人権ということが始まったと言います。そして、日本国憲法はそれを具体的にした文章であり、70数年たった今でも、その内容は発展させることができる可能な文章になっていると。最近「ケア労働」者が「人権の担い手」として浮かび上がっています。ケアということが、このような「担い手」でなければ理由が8項目にわたって挙げられ、なすことが5項目にわたって記載されています。すべての人は、人間とは何かを問い続けるものだと言います。
くらしと自治と憲法と 第5回 憲法25条 生存権条項─コロナ禍における生存危機と医療を受ける権利 伊藤周平
 コロナ禍で、日本はどう変わったのか、社会保障の制度の脆弱さがもろに出ているにもかかわらず、時の政府は、「まずは自分でやってみる。そうした国民の創意工夫を大事にしながら、家族や地域で互いに支えあう。そして、最後は国が守ってくれる」と言います。支えあえない地域・家族関係がつがないからこそ、社会保障の仕組みが必要であり、国や自治体には、私たちが払っている税金を使って社会保障の仕組みを整える責任があるのです。このことを抑え政府の言葉を見ると、共助・公助という広辞苑にもない意味のないつくり言葉が飾り立てているのです。病院へ行かず自宅待機だとは、コロナ患者は放置することを政府が言ったのです。最早、この政府は機能していないのです。
NEWS 横浜は燃えた─横浜市長選挙圧勝をもたらしたもの 岡田 尚
   横浜の市長選の前段からのカジノ住民投票闘争からの市民の戦いにこの市長選挙が結論を出したということですね。菅首相の地元での戦いで、きれいな結論を出して、これからの戦いが見えてきます。20万の署名が力になったと報告されています。
Jつうしん
自治の風─信州から 第6回(最終回) 学校と地域をつなぐ環境教育支援の輪─中信地区環境教育ネットワーク─ 傘木宏夫

 民間の活動で、役所としてわからないのが、コーディネーターの存在です。物事のつなぎを行うのは役所では、公務員が段取りを尽くしているので、その価値を見出せないのです。10年の長期にわたる活動を真から育て上げた人の言葉ですね。これからの環境問題の取り上げ方が、新たな活動に育っていかなければ、地球が滅びます。かんばってください。
編集後記
 

2021年9月号読者ノート

 (2021/08/29)
 
目次
◆直言 新型コロナ感染症に対する有効な医療と予防を 尾関俊紀

 新型コロナ感染対策から1年半を、民主医療組合の活動を振り返り、組合と医療従事者、行政の繋がりが大切であり、「目の前の患者さんにできる限りのことをしてあげたい」という医療従事者の士気が綴られています。この間医療とケアの大切さをわからせ、新しい日本社会の道が見えてきた気がします。
●連続企画●「新型コロナ」から日本の社会を考える 第15回
 コロナ禍と文化─大阪からの報告─ 田坪文一/藤田直子/澳 利子

   文化を経済的な視点からしか見ない大阪府・市のコロナ禍での活動状況を見ると、本当に社会活動を守る自治体なのか、疑問が先に立ちます。すでに大阪市内には公的な芸術劇場が全くないという状況ですが、広島市にもないと気が付きましたが、文化活動での大小の、新旧の芸術活動家をいかに支えるか、これからの大阪の活動を見ていきたいものです。コロナ禍での芸術文化の振興に係るルールの確立がないといけないので、このような事態の中でも作り出すことが行政には求められるのですね。芸術分野での、自由闊達な活動を保障するプロ基準・支援事業基準など、まさにルールのないこと自体問題ではないでしょうか。
 ●特集●「廃炉時代」がやってきた─原発の不都合な真実と負の遺産
 福島第一原発事故は、原子力発電の危険性をまざまざと見せつけたのです。偶然が重ならなければ、我が国の歴史は終わっていたのかもしれないことに、真摯に向かい合いましょう。
 「廃炉時代」がやってきた─原子力発電の後始末 大島堅一
 日本の原子力発電所の運転開始は、1966年東海発電所からで、40年後に福島事故が起きているのです。事故後廃炉決定した原発は21基、2021年7月時点で再稼働新規制基準審査中の原発24基、そしてうち現在再稼働にこぎ着けたのが9基です。高レベル放射能廃棄物がウラン鉱石並みの放射能レベルになるまでの期間は約10万年です。
 また大島健一さんが作成した後始末事業の全体像では、複雑な処理区分がされており、これらの解消は次世代へ残されることなのです。廃炉計画に携わる省に、環境省がありますが、身近な廃棄物として取り扱う基準を放射性セシュウムであれば、100ベクレル/キログラム以下が、8000ベクレル/キログラム以下で除去土壌が設定され、再利用に使われているのです。
 このようなダブルスタンダードを生んでいることは大変な問題です。廃炉時代であると、きっぱり原子力発電を中止させなければ、思わぬ人体への被害が起こるでしょう。

原発の負の遺産─核のゴミ処分場選定問題と地域民主主義のあり方 小田 清
 破綻した「核燃料サイクル」計画という「原発神話」が今北海道の自治体に覆いかぶさっているようです。今まで原発工事を、トイレのないマンションづくりと批判されていることに相対するために、この神話は形を変えたのです。
 放射能レベルを隔離するため、「文献調査」と称して、原発処理場を地下300メートル以深に埋設するための地質調査活動だというのです。2007年高知県東洋町から始め、自治体の首長を丸め込め、突如として計画書を認める議会を開き決議され決定する準備を行う体制づくりを「原子力発電環境整備機構=NUMO」が行ってきているのです。
 北海道議会では、原発のごみ処分場の設置を認めない条例を作っていますが、各市町までは、徹底されていないのが現状のようです。見守っていきましょう。早期に原発稼働ゼロにしていきたいものです。

廃炉中も続く使用済燃料リスク─地域社会からの廃炉監視を─ 尾松 亮
 廃炉決定後、依然として使用済み核燃料の維持管理が問題です。この管理に住民が入っていなければ、防災時の的確な補償がないということになります。この保管方法として「乾式貯蔵施設」がアメリカなどでは進み、その維持監視条件がいつの間にか、緩くなる恐れが出ているからです。当初15年という期限を設けているが、それが過ぎるとどうなるのか明確にされていないのです。
再稼働の危険性と原子力規制委員会 樋口英明
 福島原発事故から10か年が経過したのですが、「原子力緊急事態宣言は解除されていないのです。この論文で、福島原発事故に驚くべき奇跡が起こっていた、それで東京都民の被害がまぬかれていたのだといいたいのです。それが、まともに作られた原子炉格納容器ではなく、どこかに脆弱な部分がありそこから圧力が漏れていたので、大爆発に至らなかった。
 この原子炉は点検中で、貯蔵プールに隣接する原子炉ウェルに「シュラウド」の取り換え作業のために、普段は貼られていない水が張られており、溶鉱炉が冷やされたことなどが明らかになっていたのです。3月15日は日本の運命の分かれ道だったのです。
 このような危険性に対して、現在の原子力規制委員会は全く反省もなく、老朽化した原子炉の再稼働を許しているのです。厳しい検査をしていないことが、伊方原発運転差し止め裁判で、計画書の中に、南海トラフ地震の際、この伊方原発には、181ガルという地震規模が来ると書いてあり、これを見逃し認めているのです。
 そもそも南海トラフ地震は「東日本大地震災」の10倍の規模だと言われているのですが。?このような現実の裁判所、政府、事業者を私たちはもっと目を見張らなければなりませんね。

◆特別企画 戦後76年目の夏─平和を願い、声をあげる人々
全国でくり返される米軍機低空飛行の実態─最新の事例と国内法適用に向けた課題 有田崇浩

 最近、繰り返される米軍機の低飛行訓練、観光ごとき東京スカイツリー周辺に飛行する問題が明らかになりました。法的に根拠がないにもかかわらず、自民党と政府がこれを黙認、いや追認して必要だと岸防衛大臣が回答する時代になっているのです。
 まさに日本を「占領地」扱いにしていることに怒りを覚えます。軍隊を持つ国の住民被害を自民党は野放しにしていくのですから、これを退陣させなければいけません。
 (北広島町の上空には広島、島根両県にまたがる自衛隊の空域があり、米軍が「エリア567」と呼んで訓練に使う運用が続く。 広島県は全国的にも米軍機の低空飛行が際立ち、16年度に1227件だった目撃情報は米軍厚木基地(神奈川県大和市など)から空母艦載機が岩国に移転した後の18年度に約1・5倍の1843件となった。)

馬毛島の軍事基地化と私たちの闘い 山内光典
  無人島を自衛隊が買収し飛行訓練基地として作り上げることが、種子島の西方にあるようで、町の声として、交付金や関連施設の経済効果を強調する声が増えているとか。住民自治に対してどう取り組むのか、大切な場面が報告されています。陸海空の訓練場としてこのような無人島を売り払う住民の姿勢が問われるとき、どう対処するか、メモっておきたいものです。
宮古島の空・海の平和をミサイル基地配備で壊さないで! 上里清美
 日本国憲法を無視した防衛相の宮古島周辺の軍事基地化の戦いが述べられています。防衛省関係者がどんどん住民として入り込み、町政に癒着を進め協力を強制しだすのでしょうが、ここに住む住民の生活・自然環境、命の水の確保など、自然からの恵みを守ることを最大限生かした戦いをしてほしいものです。
災害時、誰も置き去りにしないために─西日本豪雨災害での避難所「まきび荘」の教訓 山中弓子
 災害時の福祉的避難所を、第一次避難所として役だて、即活用するためには、ガイドラインの改定が行われたとのこと。高令者が不安を持たずに避難所を訪れやすくすることが目的であり、国際基準である「スファイア・スタンダード」にある、@尊厳ある生活への権利、A人道支援を受ける権利、B保護と安全への権利、が最低限守らなければならないのです。災害時にはたくさんのNPOがありますが、これらの連携のきずなとなっているようです。全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD) | つながりは、そなえ。
◆『住民と自治』創刊700号に寄せてA
 あなたの「住民と自治」への接触はいつからどんな思いがありますか。
「全体の奉仕者」論と「不断の努力」を 原田松美
『住民と自治』とともに 岡庭一雄
これからも地方自治の発展に寄与を 近藤よしえ
自治体民営化の転換の力としてさらに 尾林芳匡
●連載●
@NEWS 合理的配慮の提供義務化─障害者差別解消法改正の意義と今後の課題 M畑芳和

 障がい者権利条約の批准が2014年で障がい者基本法ができ、2016年に障がい者差別解消法が成立し、この法の見直し時期になり改正された内容が記載されています。3点あげられています。また、今後の課題として、差別の定義規定、間接差別、紛争解決機関の設置などがあげられています。
人つながるF 国際子ども食堂 愛媛県松山市にオープン─料理を真ん中に子ども・留学生がつながる─ 山P麻里絵
 国際子ども食堂の目的を、@子どもの貧困と向き合う、A学生の成長ステージ、B在留外国人の新しい活躍の場・居場所と上げ、活動されています。
検証 津久井やまゆり園事件を人権の視点から考える 第1回 津久井やまゆり園事件と人権─連載にあたって 井上英夫
 2016年7月26日に起きた津久井やまゆり園での障がい者殺人事件は、人権後進国日本の現状を現わしており、人権先進国に転換するためには、働く人々が人権意識を高め、人権のためにたたかうことが大きな力になるのでしょう。まずケア労働者自身が、人権への理解を深め、人権意識獲得のためにたたかい(憲法97条)、人権を守り発展させるための「不断の努力」(同12条)を続けることこそその「職責」というべきでしょう。
中の人が語る。図書館と、人と、まちと 最終回 第6回 図書館と人とまちと  相宗大督
 図書館理念として、ランガナタンという人の「図書館学の五法則」がありますが、最後の「図書館は成長する有機体である」は、ただ本を読むだけの場所から情報を共有する場所となることができれば、そこから何らかの合意形成がなされるかもしれませんを言い表しているのですね。
くらしと自治と憲法と 第4回 住民投票 庄村勇人
 最近、住民投票の実施者の設定により、この意義が十分尊重されることなく違和感を生むものが出ています。違和感の原因は、ポピュリズム型の政治を行う首長による提案の場合、「討議」が不足したままの場合、時間的余裕を描いた場合、また最近は住民投票条例削除の動きが出ているなどがあります。
 条例上の住民投票には「結果を尊重する」旨の規定がおかれており、その結果には法的拘束されない「諮問型」住民投票です。これは、「間接民主制によって市政を執行しようとする現行法の制度原理と整合しない結果を招来」しかねないといった理由です。

ローカル・ネットワーク
Jつうしん 
自治の風─信州から 第5回 命の水を守ろう─こもろの「水」を考える会 神津真美子

 市民が、「こもろの『水』を考える会」を作り、指定管理者制度のよって請負った(株)水みらい小諸を監視していこうとしています。民間企業として営利を追求する性格を持つこの企業にどう監視していくのか。「広島県の水みらい」もありますが、
編集後記

2021年8月号読者ノート

 (2021/07/18)
 
目 次
 コロナ危機が第5次になろうとし、オリンピックの中でもコロナが蔓延しているとか、菅内閣の凶暴さ、無能さが国民の怒りに変わろうとしていますね。
◆直言 コロナ禍における中小企業振興を考える─中小企業振興基本条例の課題と可能性─ 大貝健二
 コロナ禍での中小企業関係者の皆様にはお見舞い申し上げます。
この間政府の対応を見るとき、緊急宣言は行うものの、十分な補償と支援は、自粛要請に代わっています。各地の信用金庫等での信用保証を受ける際の経費の補助、プレミアム商品券の発行など、緊急的な対応が多くみられました。しかし、そのような緊急的な対応に加え、地域の中小企業をはじめとする事業者の被害実態を踏まえたうえで、実態に即した個別企業支援を行い、地域の産業政策へ昇華させる必要があるのではないでしょうか。市町村レベルでの中小企業振興基本条例の制定数は、2020年12月末時点で605を超える数ではありますが、その機能がまだ十分発揮されていないことが分かります。いかにして、「条例に魂を吹き込むか」をさておき直ちに実態を踏まえて独自作を策定し、実施してほしいものです。

◆『住民と自治』創刊700号記念
地域から変革を─『住民と自治』700号に寄せて 宮本憲一

  1963年3月 自治体問題研究所が設立された。まだ当時は研究者も日本国憲法の地方自治がよくわかっていなかった。この当時初めて憲法によって、地方公務員は、国民全体への奉仕者であることが理解できるようになっていた。当初の自治労幹部の中には経済主義から学習活動や政治的行動を毛嫌いする傾向があり困難な時期であった。また、総評が分裂し労働運動に亀裂が入る中、3代目に宮本健一氏が理事長になった。住民と自治誌も700号を迎えたが、最後今の時期、戦後史の奇跡と言われる革新自治体を抑えて起きた歴史、初期から中央政府に対抗して「憲法を暮らしに生かす」京都蜷川府政が出発点となったこと。この時代として1990年代半ばから1980年代初めまでを革新自治体の時代と言えるのではないか、現代社会の研究者の書いた昭和史の中には革新自治体について1行も触れてないものもある。宮本氏の「戦後日本公害史論」が、公害・環境政策における革新自治体の成立と成果が書かれており、今の時代、温暖化防止の戦略は企業に主体をゆだねるのではなく、地方・住民や自治体の地域戦略に委ねなければ具体化しないであろうが、地域の自治力が衰退しており、いま改めて住民自治の旗を高く掲げ、革新自治体時代を超えるような住民・研究者・自治体労働者・地方企業家・政治家による地域からの変革が求められている。
『住民と自治』創刊700号に寄せて@ 岡田雅夫
 環境問題にかかわって、運動の幅が広がらない問題について、私たちの生活全体、それを文化と呼びたいのですが、その文化とどうつながっているのかがよく見えない。環境問題は人生の一部なのです。そのつながりが見えないと多くの人はついてこないのでは。同じことが、「住民と自治」についても言えますね。「自治」が本来私たちの文化を発展させるための手段だということが見えなくなっているように思うのです。
資料 戦後地方自治のエポックと自治体問題研究所・『住民と自治』
 広島自治体問題研究所は全国何番目でしょうか。?
●連続企画●「新型コロナ」から日本の社会を考える 第14回 コロナ禍と農業の困難 勝又真史
 コロナ禍の中農業部門の時代的困窮が明らかになりました。2020年2月27日の「全国一律休校宣言」で学校給食に対する多大な影響が出ていました。また一般家庭での外食の減り・家庭弁当の増加で、販売構造の急変、観光農園、農業体験イベント、輸入品の減、結婚・葬儀の花の減、畜産関係での、牛乳、食肉の消費減など多彩に、困難な状況を生み出されました。しかし、TPP,日米貿易協定など「お米が過剰で安くて困っている農家がいる一方で、買うに買えない人たちがいるなんておかしい、政府は何やっているのか」と、現実が多くの人にも見えだしました。日本の食料自給率は38%で、コロナ禍に入り、過度の貿易自由化に歯止めをかけ、各国が自給率向上政策を強化することが、自国民を守る正当な権利であることが証明されました。今の日本農業の課題として@食料自給率向上を放棄した食糧の輸入依存、A農林水産物・食品の輸出額目標5兆円という輸出依存、B労働力の海外依存-の脱却が必要です。
●特集●住民自治にとって公文書管理・情報公開とは何か─「知る権利」と民主主義の発展のために─
 公文書管理法施行10年、情報公開法施行20年の記念の年です。住民自らが主権者として行政の在り方をチェックしていきましょう。
公文書管理問題の現状と民主主義 瀬畑 源
 公文書法の作成過程で、福田元首相が中心になって成立したとは。行政文書とは、@行政機関の職員が職務上作成・取得したもの、A組織的に用いるもの、Bその機関が保有しているもの、の3つを満たすものとされています。
安倍内閣時の行政文書問題は、公務という仕事を私物化していることの証でした。一方沖縄県などの行政文書管理がなっていないなど、多くの県市町での職員の研修不足があり、格差が野放しになっているようです。また、政府が改善と称した行為は、的外れな「改革案」となっているようです。公文書管理の元に、情報公開法の住民の活用が主権者として、きちんとされていくことが必要ですね。 

自治体の公文書管理の現状と課題 早川和宏
 自治体における文書主義(記憶ではなく、「文書」によってなされる)は、ある意味当然のこととして日常業務に組みこまれています。自治体の公文書管理を考えるうえで、重要なのは「誰にとって大丈夫か」という視点です。@職員個人A同僚・後継者B現在の住民C将来の職員・住民にとって大丈夫というレベルの検討が必要。また、自治体において統一的な公文書等の管理を実現するためには、条例という形式がどうしても必要です。ライフサイクル管理とは、文書を人に見立てて、その出生(作成・取得)から死亡・第二の人生(廃棄・公文書館等への移管)まで一体的に管理するというものです。
自治体の情報公開制度の現状と課題 三木由希子
 情報公開条例は1982年の山形県金山町で制定され、この後自治体間の格差が広がっており、これらがどのような状態にあるのかは、抽象的な意味での民主主義の話ではなく、自治において健全な民主主義の実現にどのくらい行政、議会、そして住民が関心を持ち、努力しているかのパロメーターの一つだと言えます。広島県は公文書管理規則で対応しており、条例は制定されていません。市町では安芸高田市が条例での対応となっています。
情報を共有することで市民自治がすすむ─まちで開発情報の公開に取り組んで─ 遠藤哲人
 なぜ開発情報は非公開なのかは、市全体として開発に重点をかけている実態が白日の下にさらされるから困るからなのです。情報公開をめぐって、綱引きをしましよう、「審査請求」「裁判」もできるのです。開発事業には、@みんなの要求実現につながるのかAみんなで決めたかB優先順位がそれなりに高いかC財政的な見通しがあるかD環境への配慮をしているか、などの論点を立てて判断すべきです。
自治体への情報公開請求を社会保障運動の力に─大阪社保協がやってきたこと─ 寺内順子
 大阪社会福祉協議会が行ってきた、情報公開の活動で、福祉事業の実態が明らかになって、改善の手立てが進んでいる様子が分かります。情報公開制度と行政手続法は、私たち住民運動のためにある法と制度ではないか、しかし、使ってこそ意味があります。大阪府、大阪市は全国の最高水準の情報公開請求運動です。 
2021年博物館法改正議論を取り巻く現状と課題 栗山 究
 博物館法が改正され、盛り立てるとして「文化で稼ぐ」ことができるようになったといいますが?しかし、博物館の学芸活動は人々の過去‐現在‐未来を接続する営みです。住民と職員(学芸員)が学びあい、相互に探求し、資料を「未来の市民」に継承していく展望があることが、博物館の公共性の中身です。 
自治体問題研究所第61回総会報告 2021年5月30日(日)Zoomで開催
●連載●
人つながるE SDGs すてきな出逢いの実感! 藤岡亜美

 フェアトレード(定義、発展途上国の生産物を,その生産者の生活を支援するため,利潤を抑えた適正な価格で,生産者から直接購入すること。労働条件や環境保護などにも配慮して行われる)の言葉が分からず、開発途上国での生産物を適正価格で販売するという暮らしをされた人の、生活体験がつづられているのですね。
最終回 シリーズ 地域発信 いいからかん日和 第5回 一人一人の暮らしから セトヤマ ミチコ
 一人前の親になり、子育ての体験から、田舎の自然の広さが子どもにとって十分発達の糧になっていることを認識できたとのこと。17年間の身の振り替わりがつづられ、一人一人が当事者として行動すること大切だと。
中の人が語る。図書館と、人と、まちと 第5回 オープンデータについて 相宗大督
 オープンデーターを開放し、個人の思いを実現させる資料として新たな使われ方がされるになり、「誰かが書いたものを、自分の力に」する作業が生まれるのです。このような仕組みを作る図書館の仕事に期待したいものです。
くらしと自治と憲法と 第3回 日本学術会議会員任命拒否問題と学問の自由 小沢隆一
 学実会員としての任命権を剝奪された人の訴えです。改めて学問の自由の歴史的展開を確認しました。教育による天皇制イデオロギー注入の柱として教育勅語が作られ、科学も政治に従属して戦争遂行に動員された苦い経験から、教育の自由を据えて、再出発した日本です。学術会議は、学問研究活動の成果を持ち寄って、政府に対して様々な提言や勧告を行う機関です。
BOOK REVIEW
ローカル・ネットワーク
Jつうしん
自治の風─信州から 第4回 住民自治の基盤に「地区自治」を─「松本モデル」を語る 手塚英男

  松本市には35の「地区」があり、「地域づくりセンター」が設置されその総括のもとに緩やかに連携しながら「支所・出張所」「地区公民館」「地区福祉広場」がおかれ、これら「地区常駐職員」が、地区住民とともに足元の地区の学習・福祉・健康を担っているのです。このような単位が広島にもほしいものです。
編集後記
 

2021年7月号読者ノート

 (2021/07/08)
 
目 次
 今月は、広島県政白書に追われて遅くなりました。改めて地方自治体県政とは、を問い直す機会となり、広島県湯崎知事は何をするために、県知事となったのか問うことになりました。皆様のご意見をお聞かせください。
◆直言 公務労働に「正規」も「非正規」もありません─自治体労働者の誇り─ 荒田 功
 私たち公務労働者の中で、一般行政部門の公務員は約93万人、会計年度任用職員は員は約93万人、会計年度任用職員は63万人、臨時的任用が約6.8万人、特別職非常勤職員は約0.4万人(2020年4月)だそうです。かって吏雇員制度のある時、同じ職場での身分の差別解消に労働組合は率先して人間性を問うたものです。このことを思い返すと、いつの間にか元に帰っている差別が、労働者を分断しているのですね。
●連続企画● 「新型コロナ」から日本の社会を考える 第13回 新型コロナ禍と女性 片岡佳美
  今回のコロナ禍で、私にとっては、新しい世の中の見方が指摘された気がします。資本主義という生産様式が作る社会システムでは、固定的性別役割に依存して成り立っている。というのです。ケアの最終責任を家族(の中の成人女性)に負わせるものであるからにほかなりません。福祉を家族任せ(女性任せ)にしないこと、また、弱い者が生きるために連帯を、地域で常設化・制度化し、安定させることが重要です。この点に自治体も気を揉んでほしいものです。
●特集● 自立分散型再生可能エネルギーをめざして
 サステイナブル(維持可能な)社会に、「大規模」や「スピード感」という言葉はなじまない。分散して存在することに特徴のある再生エネルギーにこのことが言えるのですね。
●自律的に自立した地方都市モデルに向けたネットワークの組み替えと再生可能エネルギー 山本達也
 エネルギーが社会の形を決めるということが記載され、エネルギーを取り出すにもエネルギーは必要であり、エネルギーシフトに向けたネットワークの組み換えが起きる。エネルギーの「エネルギーの「質」を示すエネルギー収支比(Eout/Ein)は、EROI(Energy Return on Investment)として知られており単位のつかない数値で表されます。「エントロピーの法則を学びましょう。自然と現代社会との関係性を再構築することが必要です。
●西粟倉村の地域資源の利活用と循環型地域経済─「自然エネルギー社会」構築の課題について─ 井内尚樹
 西粟倉村の再生エネルギー構築で出したのは、2004年4月合併問題の時の住民の「100年の森林構想」の意思の高さだった。地域内部にある森林・温泉・小水力発電・地域起こし協力隊35名、これらがどのように取り込み活動してきたのか、現地研修をしたいものです。自然エネルギー生産を行い脱炭素社会の構築とは、この架け橋は何か。
●北海道における雪氷冷熱利用の可能性 山形 定
 地域の気象環境からの発想です。その土地その地域での自然のタイプから、農産物の保存、熟成と貯蔵庫の建設コストをどう抑えるかが課題のようです。ジャガイモの貯蔵庫について、体験がありますが、この技術と生産量とがマッチするのは大変限られることのようです。「雪氷冷熱利用」とまた新しい言葉に会いました。このような研究がこれからも出てくるのでしょうね。
●地域資源とエネルギー創出、地域経済・産業を結び付けて─ソーラーシェアリングと木質バイオマスの挑戦 小山田大和
 耕作放棄地の活用が、地域を掘り起こす手立てになって、お酒まで作り出しています。第1次産業を各種取り入れて自立させる活動に、町議会も再生エネルギー条例を可決しています。筆者は都会から農村に入り活動された報告です。この機転も知りたいものです。
●インタビュー 自治体によるエネルギーの地産地消事業─群馬県中之条町 山本政雄/聞き手:傘木宏夫
  群馬県の中之条町での地産地消での電力株式会社運営の様子です。卸が、旧一電で8割を占める厳しい状態の中で、果たしてこの小電力会社が地域影響力を持ち還元できるのか、推移を見たいものですし、地元町民・業者の繋がりの発展を期待します。参考に出ている全国の自治体電力会社が38あるようです。
●特別企画● 豪雪と異常気象
 ●2020-2021豪雪断章─北陸から 本誌編集部

  気候変動が、自治体の弱体体制、土木事業者の変化などで、寒い時期の住民の生活補償に自治体が責任取れなくなっているのです。豪雪に対し社会資本の崩れとみられますが、国の制度はどう変化しているのでしょうか。国は寒冷地補償は行っているが、自治体がその体制を崩してしまっているというのでしょうか。広域補助自治体県土木事務所がこのような体制を補完してきた歴史がありますが?。
●住民の理解があってこそできる長野県栄村の豪雪対策 高橋真太郎
 栄村というと豪雪の村と認知されていますが、そこでの憲法が生きていたという話です。村独自に「雪害対策救助員制度」が、1977年に生まれ憲法25条の理念に基づき制定されました。生活保護法の第4条3項の「急迫した事由がある場合に、必要な保護を行うことを妨げるものではない」というの規定を援用し、豪雪は急迫した事由にあたると判断、社会福祉の観点から雪害を「降雪と時間的、空間的文明状況(過疎・高齢化)とが競合して、社会的規模で人々の日常生活に障害を及ぼす事象である」という仕掛けと、冬期間の住民の雇用対策でもある」という制度設計は、見事です。
●パリ協定と1.5℃特別報告書 寺尾 徹
 地球規模での温暖化対策に、CO2の削減が大きくかかわっている、これを削減するために、2050年までに、実質ゼロを目指すという計算式の説明がされています。この説明をもっと聞かなければ難しいですね。また、SDGsに対する批判とした『「人新世の「資本論」』」という本があるようです。
●第63回自治体学校案内
●連載●
人つながるD 島根県美郷町「おおち山くじら」地域ブランドによる人おこし、地域づくり〜一頭の駆除イノシシからはじまった山くじら物語〜(下) 安田 亮

 いつの時代も喜怒哀楽の泥臭さや人間臭さのドラマが、その人や地域、暮らしを魅了して、町内外問わず人と人を結び付け、地域の人や暮らしの潜在能力を引き出し、地域づくりにつながるものなのですね。この探求を行う行政力が必要ですね。
●シリーズ 地域発信 いいからかん日和 第4回 未来のために暮らしを創る セトヤマ ミチコ
 「デジタルで何でもできる時代だからこそ、丁寧に暮らす中でうまれたモノ、自分の手でしか生み出させないモノに価値を見出してくれる方は増えています。」との信念を持つこと。未来のために暮らしや仕事を創る、もがき想像し実践することで未来の子どもたちに誇れるバトンをつなぐ、それを作るのが私たちの世代なのではないでしょうか。
●中の人が語る。図書館と、人と、まちと 第4回 共有することと「思い出のこし」 相宗大督
 図書館が「思い出を集め」公開することにより関係者間の共有の知恵となる、読書感想を共有して、共感を呼び広げることが出来る。このような活動での交流が文化を生むのでしょう。
●くらしと自治と憲法と 第2回 表現の自由と「政府言論」 榊原秀訓 
  「政府言論」とは何かが分からず、「表現の不自由展の問題」が出て、行政との価値判断との争いが起こったということは理解できました。政府がその事象に対する考えを述べた時に起こるようだとは、予想されます。???
●@NEWS 地域新電力を脅かす卸電力市場「超高騰」 傘木宏夫
 今回の電気料金の値上げがこのことから起きたのかと、改めて電気自由化後の市場の未形成を感じます。再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT法)により、FIT電気の仕入れ価格と卸電力市場が連動することになったため、FIT電力を主力とした新電力会社にダメージが起きているようです。
BOOK REVIEW
ローカル・ネットワーク
Jつうしん
自治の風─信州から 第3回 「地域の未来を見つめる住民」─再生可能エネルギーと向き合う 望月克治

 住宅地にソーラーが入り込み、近隣住民とのもめごとが増えているようです。「再生エネルギー」は大事だとの意思が働いていますが、周りの人たちとの交流が大切ですね。
編集後記

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