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目 次 コロナ危機が第5次になろうとし、オリンピックの中でもコロナが蔓延しているとか、菅内閣の凶暴さ、無能さが国民の怒りに変わろうとしていますね。 ◆直言 コロナ禍における中小企業振興を考える─中小企業振興基本条例の課題と可能性─ 大貝健二 コロナ禍での中小企業関係者の皆様にはお見舞い申し上げます。 この間政府の対応を見るとき、緊急宣言は行うものの、十分な補償と支援は、自粛要請に代わっています。各地の信用金庫等での信用保証を受ける際の経費の補助、プレミアム商品券の発行など、緊急的な対応が多くみられました。しかし、そのような緊急的な対応に加え、地域の中小企業をはじめとする事業者の被害実態を踏まえたうえで、実態に即した個別企業支援を行い、地域の産業政策へ昇華させる必要があるのではないでしょうか。市町村レベルでの中小企業振興基本条例の制定数は、2020年12月末時点で605を超える数ではありますが、その機能がまだ十分発揮されていないことが分かります。いかにして、「条例に魂を吹き込むか」をさておき直ちに実態を踏まえて独自作を策定し、実施してほしいものです。 ◆『住民と自治』創刊700号記念 地域から変革を─『住民と自治』700号に寄せて 宮本憲一 1963年3月 自治体問題研究所が設立された。まだ当時は研究者も日本国憲法の地方自治がよくわかっていなかった。この当時初めて憲法によって、地方公務員は、国民全体への奉仕者であることが理解できるようになっていた。当初の自治労幹部の中には経済主義から学習活動や政治的行動を毛嫌いする傾向があり困難な時期であった。また、総評が分裂し労働運動に亀裂が入る中、3代目に宮本健一氏が理事長になった。住民と自治誌も700号を迎えたが、最後今の時期、戦後史の奇跡と言われる革新自治体を抑えて起きた歴史、初期から中央政府に対抗して「憲法を暮らしに生かす」京都蜷川府政が出発点となったこと。この時代として1990年代半ばから1980年代初めまでを革新自治体の時代と言えるのではないか、現代社会の研究者の書いた昭和史の中には革新自治体について1行も触れてないものもある。宮本氏の「戦後日本公害史論」が、公害・環境政策における革新自治体の成立と成果が書かれており、今の時代、温暖化防止の戦略は企業に主体をゆだねるのではなく、地方・住民や自治体の地域戦略に委ねなければ具体化しないであろうが、地域の自治力が衰退しており、いま改めて住民自治の旗を高く掲げ、革新自治体時代を超えるような住民・研究者・自治体労働者・地方企業家・政治家による地域からの変革が求められている。 『住民と自治』創刊700号に寄せて@ 岡田雅夫 環境問題にかかわって、運動の幅が広がらない問題について、私たちの生活全体、それを文化と呼びたいのですが、その文化とどうつながっているのかがよく見えない。環境問題は人生の一部なのです。そのつながりが見えないと多くの人はついてこないのでは。同じことが、「住民と自治」についても言えますね。「自治」が本来私たちの文化を発展させるための手段だということが見えなくなっているように思うのです。 資料 戦後地方自治のエポックと自治体問題研究所・『住民と自治』 広島自治体問題研究所は全国何番目でしょうか。? ●連続企画●「新型コロナ」から日本の社会を考える 第14回 コロナ禍と農業の困難 勝又真史 コロナ禍の中農業部門の時代的困窮が明らかになりました。2020年2月27日の「全国一律休校宣言」で学校給食に対する多大な影響が出ていました。また一般家庭での外食の減り・家庭弁当の増加で、販売構造の急変、観光農園、農業体験イベント、輸入品の減、結婚・葬儀の花の減、畜産関係での、牛乳、食肉の消費減など多彩に、困難な状況を生み出されました。しかし、TPP,日米貿易協定など「お米が過剰で安くて困っている農家がいる一方で、買うに買えない人たちがいるなんておかしい、政府は何やっているのか」と、現実が多くの人にも見えだしました。日本の食料自給率は38%で、コロナ禍に入り、過度の貿易自由化に歯止めをかけ、各国が自給率向上政策を強化することが、自国民を守る正当な権利であることが証明されました。今の日本農業の課題として@食料自給率向上を放棄した食糧の輸入依存、A農林水産物・食品の輸出額目標5兆円という輸出依存、B労働力の海外依存-の脱却が必要です。 ●特集●住民自治にとって公文書管理・情報公開とは何か─「知る権利」と民主主義の発展のために─ 公文書管理法施行10年、情報公開法施行20年の記念の年です。住民自らが主権者として行政の在り方をチェックしていきましょう。 公文書管理問題の現状と民主主義 瀬畑 源 公文書法の作成過程で、福田元首相が中心になって成立したとは。行政文書とは、@行政機関の職員が職務上作成・取得したもの、A組織的に用いるもの、Bその機関が保有しているもの、の3つを満たすものとされています。 安倍内閣時の行政文書問題は、公務という仕事を私物化していることの証でした。一方沖縄県などの行政文書管理がなっていないなど、多くの県市町での職員の研修不足があり、格差が野放しになっているようです。また、政府が改善と称した行為は、的外れな「改革案」となっているようです。公文書管理の元に、情報公開法の住民の活用が主権者として、きちんとされていくことが必要ですね。 自治体の公文書管理の現状と課題 早川和宏 自治体における文書主義(記憶ではなく、「文書」によってなされる)は、ある意味当然のこととして日常業務に組みこまれています。自治体の公文書管理を考えるうえで、重要なのは「誰にとって大丈夫か」という視点です。@職員個人A同僚・後継者B現在の住民C将来の職員・住民にとって大丈夫というレベルの検討が必要。また、自治体において統一的な公文書等の管理を実現するためには、条例という形式がどうしても必要です。ライフサイクル管理とは、文書を人に見立てて、その出生(作成・取得)から死亡・第二の人生(廃棄・公文書館等への移管)まで一体的に管理するというものです。 自治体の情報公開制度の現状と課題 三木由希子 情報公開条例は1982年の山形県金山町で制定され、この後自治体間の格差が広がっており、これらがどのような状態にあるのかは、抽象的な意味での民主主義の話ではなく、自治において健全な民主主義の実現にどのくらい行政、議会、そして住民が関心を持ち、努力しているかのパロメーターの一つだと言えます。広島県は公文書管理規則で対応しており、条例は制定されていません。市町では安芸高田市が条例での対応となっています。 情報を共有することで市民自治がすすむ─まちで開発情報の公開に取り組んで─ 遠藤哲人 なぜ開発情報は非公開なのかは、市全体として開発に重点をかけている実態が白日の下にさらされるから困るからなのです。情報公開をめぐって、綱引きをしましよう、「審査請求」「裁判」もできるのです。開発事業には、@みんなの要求実現につながるのかAみんなで決めたかB優先順位がそれなりに高いかC財政的な見通しがあるかD環境への配慮をしているか、などの論点を立てて判断すべきです。 自治体への情報公開請求を社会保障運動の力に─大阪社保協がやってきたこと─ 寺内順子 大阪社会福祉協議会が行ってきた、情報公開の活動で、福祉事業の実態が明らかになって、改善の手立てが進んでいる様子が分かります。情報公開制度と行政手続法は、私たち住民運動のためにある法と制度ではないか、しかし、使ってこそ意味があります。大阪府、大阪市は全国の最高水準の情報公開請求運動です。 2021年博物館法改正議論を取り巻く現状と課題 栗山 究 博物館法が改正され、盛り立てるとして「文化で稼ぐ」ことができるようになったといいますが?しかし、博物館の学芸活動は人々の過去‐現在‐未来を接続する営みです。住民と職員(学芸員)が学びあい、相互に探求し、資料を「未来の市民」に継承していく展望があることが、博物館の公共性の中身です。 自治体問題研究所第61回総会報告 2021年5月30日(日)Zoomで開催 ●連載● 人つながるE SDGs すてきな出逢いの実感! 藤岡亜美 フェアトレード(定義、発展途上国の生産物を,その生産者の生活を支援するため,利潤を抑えた適正な価格で,生産者から直接購入すること。労働条件や環境保護などにも配慮して行われる)の言葉が分からず、開発途上国での生産物を適正価格で販売するという暮らしをされた人の、生活体験がつづられているのですね。 最終回 シリーズ 地域発信 いいからかん日和 第5回 一人一人の暮らしから セトヤマ ミチコ 一人前の親になり、子育ての体験から、田舎の自然の広さが子どもにとって十分発達の糧になっていることを認識できたとのこと。17年間の身の振り替わりがつづられ、一人一人が当事者として行動すること大切だと。 中の人が語る。図書館と、人と、まちと 第5回 オープンデータについて 相宗大督 オープンデーターを開放し、個人の思いを実現させる資料として新たな使われ方がされるになり、「誰かが書いたものを、自分の力に」する作業が生まれるのです。このような仕組みを作る図書館の仕事に期待したいものです。 くらしと自治と憲法と 第3回 日本学術会議会員任命拒否問題と学問の自由 小沢隆一 学実会員としての任命権を剝奪された人の訴えです。改めて学問の自由の歴史的展開を確認しました。教育による天皇制イデオロギー注入の柱として教育勅語が作られ、科学も政治に従属して戦争遂行に動員された苦い経験から、教育の自由を据えて、再出発した日本です。学術会議は、学問研究活動の成果を持ち寄って、政府に対して様々な提言や勧告を行う機関です。 BOOK REVIEW ローカル・ネットワーク Jつうしん 自治の風─信州から 第4回 住民自治の基盤に「地区自治」を─「松本モデル」を語る 手塚英男 松本市には35の「地区」があり、「地域づくりセンター」が設置されその総括のもとに緩やかに連携しながら「支所・出張所」「地区公民館」「地区福祉広場」がおかれ、これら「地区常駐職員」が、地区住民とともに足元の地区の学習・福祉・健康を担っているのです。このような単位が広島にもほしいものです。 編集後記
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