広島自治体問題研究所
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2020年4月号 読者ノート

 (2020/03/18)
 

目次
  事務局として気になった記事にコメントを載せます。一緒に読み合わせしましょう。あなたの感想や意見もお寄せください。コロナ対策は公衆衛生の普及から、
●特集● 児童相談所がんばれ!
  今の日本社会での子どもの虐待のひどさには、みなさん心を悲しませるものがあると思います。資本主義社会の中で、弱者がどのようになっているのか、日本の安倍内閣はこのことに、何ら改善のめどを立てようとしていません。現在頑張っている方々の意見を聞きましょう。
•児童相談所における子ども虐待対応の現状と課題 (川松 亮)
 今回子どもの虐待問題の実態と児童相談所の在り方について、大きな課題があることが述べられています。子どもを保護育成する親の問題から発生する虐待問題と本来子どもの発達に対する相談内容とでは大きな性格が違うことが述べられています。また児童相談員の職員の体制についても、日本社会の貧困さを、イギリスとの比較から述べられており、厚生省が画一的に発する施策が、現場の実態とかけ離れたものであるということが指摘されています。
 児童相談員の専門性を培うには10年という経験が必要であるにもかかわらず、職場実態は3年間での交代にならざるを得ないほど、厳しさがあると。ソーシャルワーカー力の蓄積を、地域社会と連動した形で培うことを提案されています。一ケースワーカーが平均155.2ケースを担当するなど、改めて私たちは知るべきです。イギリスが約16.8ケースと言います。
 これからの子どもの問題は、社会が大きくずれていく中で、ますます違った課題になると恐れています。大きく耳を広げてみて、よく学び合いましょう。また同じようなことが保育園の保育士も関わっています。

•座談会 何が課題? どう改革する? 児童相談所問題 ─野田市の心愛さん死亡事件の二つの報告を踏まえて (浅井春夫・小宮純一・仙田富久・畑井田泰司)
 児童相談所の在り方について本当に課題が多くあり、子どもに接する大人社会の在り方がどう作用しているのでしょうか。この課題での現行の児童相談所の方々は、野田市の心愛さんの死亡とこれに関わる児相のあり方に本当に回答を出してください。マスコミの方々の意見を聞きながら、実務者の方との格差を感じました。本当に今日県・市の連携がなっていないのでしょうか。
•一時保護所─その現状と課題─ (樋口真理)
  一時保護所とは、「一時」的であるのが望ましいが、現状では保護所内に分校並みの教員を配置することが必要かと思うほど滞在日数が多くなっているようです。ここでは子どもの権利は、十分な保証はなく、大人の都合なのです。このような現状を改革するため頑張っておられる方からの実情報告であり、敬意を表したいと思います。
  一時保護所の役割は、ガイドラインから、「緊急保護」「アセスメント保護」「短期入所指導」があります。世の中の変動に合わせるのなら、マンパワーや、施設整備、設置基準など多くの課題が生み出されていますが、自治体任せになっていないでしょうか。安心して次のステップに向かう力を蓄えられる場所になってほしいものです。


My Voice
Change! Yes,you can!
 (奥山眞紀子)

 今まこそ、児童相所生まれ変かわる必要があるのでしょう。まず子こどもの権利擁護の最後の砦であることに誇りを持って、業務を遂行することが最も重要です。特に、虐待対応は危機対応であり、組織の士気を高めることが欠かせません。職員に求められるのは、子どもと向き合い、どんなに小さい子どもであっても、「あなたを守りたい」という強いメッセージを伝え、「守りきる」という意識を共有することが大切です。
•地域社会とのさらに深い連携を (杉山 春)
 餓死事件での両親は、困窮の中で育ち、虐待、ネグレクトを受け社会的な力を育ててもらえなかった人たちで、子どもらのけが、発達の遅れなどをきっかけに行く詰まり、さらに経済的にも追いつめられていたのでしょう。今児相に求められているのは、地域社会とのさらに深い連携と、役割分担でしょう。上位下達では届きませんね。
•子どもの生活と権利を守り、働きがいのある職場にするために (川ア二三彦)
  何をなすべきか、児童相談所職員だけでなく、連携、連帯すべき多くの人たちとともに知恵を集める時ではないでしょうか。
•資料 ある児童福祉司の一日
 多くの手間のかかる行動が矢継ぎ早にあげられていますね。ご苦労様です。
•児童虐待を考える 本棚
 18冊の本の紹介がありました。
•子どもの貧困対策に「地域格差」 大阪府内43市町村への施策調査結果報告 (藤井伸生・堤 惇一郎)
  大阪府下の43市町村を対象に子どもの貧困調査されて、2015年に計画が策定され、2016年に調査、2019年に再調査されています。子どもの貧困に対する格差問題があげられていますが、このことでの大阪府のとらえ方でイニシアティブをとり、人的・財政的援助を含め市町村を支援していくことが必要と述べられています。
 子どもは社会で育てる、子どもの貧困は大人の貧困であり、その抜本的な解決は労働政策の改善を含む府民のくらしを支える施策の充実なくしてあり得ないと。子どもの貧困調査で明らかになった事象が図で8つ示されていますが、自治体が取り組んでいる事業の学習支援事業について、75.8%の自治体が取り組んでおり高い数値が出ています。
 が、塾産業など大手民間企業の参入が進んでいることの明しになっています。行政にまとわりつく利潤の追求が、ここにも顕著に表れており、これを活用する府政にもなっています。どう考えるべきでしょうか。

•全世代型社会保障検討会議「中間報告」を読む (芝田英昭)
 社会保障全体の今後の方向を決める検討会報告書が6月に出されるようで、自民・公明の両方からこれに向けて意見が述べられ、検討会議として中間報告が提案されています。改めて私たちもこの社会保障政策の根幹を勉強してみましょう。
 かねてより自民党政策の社会保障削り政策は批判の的になっておりますし、今回の「全ての世代が安心できる社会保障改革」に向けての中間報報告も、自民党の内容は、給付の見直しというよりも、全世代に満遍なく負担を課すことにあり、公明党の案は、現世代の負担を減らしその分を高齢世代の負担増で賄う方向を鮮明にしたものとなっています。
 私たちは社会保障制度を論じる場合、財源を無視した議論は無謀ですが、人権視点が欠落した中での改革議論も本質を見失う可能性が極めて高いことを知っています。従って個別性だけを取り上げて考えるのではなく、社会保障制度を、生活保障、人権原理から鳥瞰し全体の整合性を勘案して論じることが肝要です。社会保障財源は、応能負担原則による税や社会保険料で賄うべきであり、サービス利用時の一部負担(利用者負担、患者負担、窓口負担等)は利用抑制の謗りは免れず、人権原理からは到底受け入れられません。

•日米貿易協定と日米デジタル貿易協定の何が問題なのか (内田聖子)
 今や日本は世界の中で自由貿易を推進する先進国になっているそうです。その日本が、アメリカとの貿易協定を物品に限らす、サービス分野、デジタル商取引にまで広がる自由貿易協定を、2020年1月1日発行させています。この交渉自体、交渉前から自らのカードを示し『ウインウイン』どころか、非対称・片務的な協定を結んでいるのです。この影響が日本国内の農業・地域経済に大きな影響を及ぼしています。
 またこれらは「第一段階」のものであり今後「第二段階」交渉がいつ行わるか非常に注意しなければなりません。デジタル貿易とは、5Gの導入やAIを用いた産業ロボット、自動車の自動走行、電子マネーなどを通じた電子決済、さらにインターネットでのモノやサービスの購入などがあります。これらは米国のグーグルやアマゾン、ウーバー、中国のアリババなどに代表される企業が提供しています。
 しかし、この分野は世界中で統一されたルールがなく、米国・中国・EC・インド等新興国および途上国という四極で対立しています。この中で日本は米国に追随しています。今後、協定作りにあたっては「有害条項」として批判されている投資家対国家紛争解決(ISDS)や医薬品特許延長保護期間の延長などに対し削除・無効化し、環境(気候変動対策を含む)保護や労働者の権利保護などの条項を強化するよう働きかけることが望まれています。

●連載●
•新連載 再生可能エネルギーと環境問題 第1
回 ためされる地域の自治力 (傘木宏夫)

 各地での再生エネルギーの開発がいま大きく進もうとしていますが、この焦りが各所の環境破壊(5点が示されています)を生んでいるのでしょ。改めてこの問題の原則について、おさらいとして、現代のエネルギーの消費の在り方が浪費型で、かつ大都市部集中型であり、生産においては植民地型となっている、このまま放置しては環境破壊が必然として起こることを振り返りましょう。
 再エネの導入に際しては、個別具体に評価し、地域社会において許容できる開発の範囲で進めるべきです。

•自治体清掃はどこへゆく 第2回 清掃の仕事 (福田日輪)
 ゴミ収集は清掃部での実は本の一部ではあるがとても大事な業務なのです。戸別収集とステーション収集との違いが明らかになっています。また「ふれあい収集」という独自の収集のメリットも出ています。多様な収集方法と、直営方式委託方式の内容が身近な言葉で書かれています。
•おんなのRun81 人と人、人と社会、広島と世界をつなげる (安彦恵里香)
 広島市在住の方の発言です。真面目に社会問題を語っても浮かない場がほしいと活動を開始されています。活動的な姿が目に浮かびます。
•@NEWS 620日は「世界難民の日」 (織田朝日)
 難民問題に対する政府の政策は人権侵害になっているようです。戦争や迫害、生命の危険を恐れ、自国を離れ、他の国へ避難する人々を難民と呼びます。日本では1以下の難民認定率だそうで、これを守ることが入館の仕事のようです。ちょっとおかしいのではないでしょうか。今の世界に目を開かない日本は、大変遅れた国なのでしょうね。市民として恥ずかしい思いです。
Jつうしん
•史跡さんぽ58
 (藤原宏志)
•おいでよ49
 長野県泰阜村 (横前 明)
 人口1600人で140年間合併のない村、「都会を追随しない村づくり」がもっとうだそうです。
•編集後記


児童虐待対応の基本的な流れ
児童相談所における児童福祉士一人当たり相談件数2018年度3

2020年3月号 読者ノート 

 (2020/03/02)
 

目次
 事務局として気になった記事にコメントを載せます。一緒に読み合わせしましょう。あなたの感想や意見もお寄せください。今回年末担当者が入院し遅れて申し訳ありませんでした。
●特集● 自治体の経済政策と地域再生
 自治体の経済政策が今日グローバル化の波にどのような力が存在しているのか、改めて見直して勉強しましょう。
•グローバル化の加速に翻弄されない地域経済をつくる (鈴木 誠)
 膨張するグローバル経済が、明らかにされています。日本の2018年度国際収支は19兆4144億円の黒字となっているのです。一方地域経済は、21世紀以降日本の賃金抑制が顕著で、先進6か国の中で2000年の日本の製造業従事者の賃金を100としたら、2010年ではありますが、日本は101.4に対し、イタリアが145.9、イギリスが143.9、ドイツが121.5です。グローバル競争をリードする大企業の本社が東京など大都市圏に集積し、海外直接投資や貿易などで稼いだ利益も集中させています。かたや地方、特に山陰・四国・九州の各県では、10年間の県内総生産が全国平均を下回るだけでなくマイナスに至り、就業者の減少率も著しく高い状況を迎えた県が生まれています。
 またグローバル化の影響のみ非ず、環太平洋連携協定(TPP)の影響が国内農業に自由化の波をかぶせています。今公共サービスの規制緩和・民営化が、特に民間資本の少ない農山村・過疎地域では、雇用や所得、消費の源泉となっているコミュニティの維持、災害防御等につながる経済を壊しだしています。
 「自治体戦略2040構想」は、人口減少の原因や対策には一切言及せず、人口減少がもはや避けがたい社会経済の前提条件であることを強調します。そして、自治体が住民サービスを安定的に供給する条件として、AIやロボティックスによる無人の事務作業割合を高め、それを担える民間企業が参画できるよう規制を緩和していく重要性を訴えています。
 上下水道の民営化の動きが活発化していますが、民営化によって、公共サービスはグロール競争をリードする海外資本が担うことも許可されています。種子法改正で、大きく農家が民間の生産した安価な種子や農薬など農業資材を購入する道を開いたのですが、このことはコメだけでも300種近い品種を作り登録して、国土に広がる多様な土壌や気候を生かしたコメ作りを続けてきた歩みを閉ざすことに及ぶのです。
 地域経済の自立を託す自治体独自の地域産業政策をつくる作業が、中小企業振興条例の制定とともに提起しています。幅広い住民自治の運動が、グローバル競争に翻弄されない中小企業政策や農業政策の再構築を後押ししてくれることでしょう。

てい談 中小・小規模企業から見た自治体の経済政策 (岡田知弘/荻原 靖/中山 眞)
 珍しい鼎談です。中小企業事業者を取りまとめている二つの異なった団体の活動に対し、紹介されています。中小企業家同友会は、すべての都道府県に約4万7500人、民商は、全国約600の民主商工会約17万人の規模を持っています。それぞれがアベノミクス7年間を総括していますが、恩恵は同友会では20社があったと言っていますがあとはなかったようです。消費税増税の影響は、同友会では、大きな影響が、5.2%、5割を超える企業が影響が出るとの判断で、消費税の転嫁ができたというのが、44.8%となっており、事業者税ではないかとの意見が出ています。この消費増税の導入とともに廃業した業者さんの原因の言葉で「一つはレジスターの交換、カード支払いの設備と費用、二つは人員不足によるサービスの低下、三つは、食品表示法の改正の影響を掲げていました。またキャッシュレス取引の問題点が指摘されています。この手数料約2兆円が大手銀行へ行くとのことです。また中小企業振興条例の活動について、多くの地域からの報告があります。ぜひ読んでください。これら活動をとおして、中小企業業者は地域社会のインフラであるだけではなく、ライフラインであるという認識を広めていきたいものです。群馬県の建設協会が『限界工事量』
https://www.mlit.go.jp/common/001177327.pdfなる提案をしており、このことは各地に当てはめて検討したいものです。また経済評論家の内林さんが『FEC自給圏』https://www.nhk.or.jp/chiiki-blog/900/241791.htmlを提唱されているようです。これらにも触れてみましょう。 
•帯広市の地域経済政策と地域再生 (稲葉典昭)
 十勝・帯広は本当に日本の農業地域であり、そこでの農業振興が、地域経済の中心として息巻いている感じがします。それが起きている根拠に、帯広市中小企業振興基本条例制定から10年がたっていることを挙げています。中小企業事業者を地域の産業育成の中心的担い手としての位置づけをきちっととり、政府の言う人口減少問題に対する具体的な対応策を掲げて一極集中政策を押しとどめ、十勝での活動を現状分析と提案、施策の完成度を高めることに費やしてきたからだと思います。各種実態調査で乗るいい事項の設定は、きめ細やかなものでしょう。また食と農、環境とエネルギーなど新たな産業と雇用、中小企業の人づくりを目標に実施しているようです。こうした取り組みから十勝街づくり研究会が誕生したようです。北海道大学・帯広畜産大学など地場研究機関の参画もうらやましい限りです。
•気仙沼市中小企業・小規模企業振興基本条例の実現 (千葉哲美)
  気仙沼市の中小企業振興条例の制定に向けた活動報告です。すでに多くの指摘があるように東日本大震災で多くの産業が壊滅的な影響を受けた時、それを担ったのが小企業事業家だったという点に、あらためた確信するものです。水産業が主力な気仙沼市での産業起こしでは、復興と合わせ公的支援が大きく個別企業を支えていたと、特に今回グル―プ支援の形での補助体制を作ったことが、地域に結びつきの輪を残すなど大きく地域貢献となったことが報告されています。一方中小企業振興条例の議論の中で、小企業は選別淘汰の対象としか見ていないということに対し、小企業者を持続的発展を促すものとして小企業条例の制定を掲げています。
•世田谷区産業ビジョンと経済産業政策 (田中耕太)
 大都市東京都下の世田谷区の地域産業政策の概要が出されています。数々の先進的な行政を打ち出し、大人の経済政策が行われているのかと考えました。地区の経済規模は、毎年のごとく詳細に調査され分析されているようです。特にサービス業の大きな発展は地域を代表するものであり、こそには人と人の結びつきが根本にある条例を作ってきたことでしょう。このことをあらわすものとして、世田谷区産業ビジョンで、世田谷独自の新たな価値の創造、量的な豊かさではなく区民生活の質的な充実を図るなどの視点が人に向かっています。またビジョンで、7つの「ありたい姿像」を提案しています、この言葉でチェックしているようです。建設業振興でも、災害時に地域の災害対応力の向上につながるものとして取り組まれているようです。

2020年度政府予算案と地方財政への影響 (平岡和久)
  2020年度予算について酷評していますが、まさに前年度からの地方財政政策の継続を基本とする、新自由主義的緊縮再生と集権的地方財政改革で、疲弊した地域と自治体財政の困難回復は程と遠いことが示されています。
 アベノミクスが2000年代の小泉政権下の構造改革路線を一定修正し、金融緩和とともに『機動的な財政政策』を打ち出したが、超金融緩和は円安と株高をもたらし、一時的公共事業拡大で、マクロの需要を支えたこともあり、企業利益は増大した。
 しかし、補正予算による公共事業等の財政出動が一過性である一方、2014年4月の消費税引き上げや社会保障関係費等の抑制といった緊縮政策が日本経済に継続的な悪影響を及ぼしており、ブレーキをかけ続けながら、時々アクセルをかける状態にあります。
 この中で今回の消費税増税は日本経済に深刻な影響が表れることでしょう。2011年度から地方一般財源総額実質同水準ルールが導入されています。この制度のもたらす地方財政の悪化は経常収支比率の推移で明らかにみることが出来、地方自治体に社会保障関係費の伸びの裏付けとなっています。その中で、軍事費は1.1%増と過去最高を更新しているのです。
 自治体現場が緊縮政策や自治体戦略2040構想に追随して自治体リストラと緊縮財政を先取りするのではなく、必要な地域財政需要に対する住民合意を基に地域財政需要にこたえるぎりぎりの努力を続けるとともに、自治体財政の充実とそのための国・地方財政の抜本的な改善を国に求めていかなければなりません。

•東日本大震災からの復興政策 できたこと、できなかったこと (井上博夫)
  東日本大震災から9年がたち、この災害復旧復興について、政府が昨年総括文書と、継続体制の閣議決定を行っています。これを踏まえての報告書です。多くの人員と新たな問題を全国民に訴えた課題に対する整理をきちんとおこなうことが私たちに課せられています。ぜひ皆さんの立場から振り返ってください。政府か掲げる成果と課題が私たち国民の視点からはどうだったのでしょうか。
•水道再公営化をみる欧州の旅─パリ・ロンドン─ ロンドン編 (尾林芳匡) 

  前回のパリからロンドンに移り、イギリス最大の労働組合団体からの聞き取りです。ユナイト労働組合は組合数140万人で、10エリアに分かれており2007年から現在の姿になり、労働党を支持している団体です。公共の水に戻す言葉として「私たちこそ所有者だ」運動を2013年に立ち上げたようです。民営化された英国の水道の実態を伝えた時に、スコットランドとの比較から民間のあまりにもひどい実態が明らかになったようです。債務ゼロで出発した民営化事業が25年間に債務が560億円になっていること、投資家の報酬の取り分だけが借金になっているとのことです。また水の漏水率は20から25%になっているのです。この再公営化に向けて掲げられたっテーマは、@証拠に基づいた政策A新しい水道公社は市民参加の統治でB環境にやさしく弱者にも保障される21世紀型の水道、でした。さまざまな対決路運を打ち砕き公営化への闘争を続けているようです。いま日本で行われようとする民営化を絶対阻止していきたいものです。
●連載●•新連載 自治体清掃はどこへゆく 第1回 民間委託の波の中で (福田日輪)
  今回清掃事業の民営化の問題が、鎌倉市からの報告となっています。現業職場の民営化の辿り方はどこも同じのようです。今回報告される福田さんのすべてを経験してきた自分の同僚がこの鎌倉には多くいるとのことです。これら諸氏の団結力を期待したいと思います。この中で、「声かけふれあい収集」事業
https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/gomi/koekake250401.htmlとはどう生まれたものでしょうか。これから期待して読んでいきたいと思います。
•最終回 子どもの未来図 第12回 子どもの未来を描くための手がかりB 沖縄の子ども ─国の主権が侵害されたままで住民の人権は守れない─ (浅井春夫)
 今回で最後となる時、沖縄の子どもの歴史が語られています。戦後の10年間は子どもにとっても児童福祉法の適用のない地域だった。その後本土と同じと言われながら、その格差是正は一向に進まないいました。、アメリカ軍基地下の影響で、日本の主権が侵された政治行われ、それに対し、まずは子どもの貧困対策に特化した政策が先行させ、近年ようやく『オール沖縄』の思想と行動の下、安倍内閣打倒で一致した行動がとれるようになり、子ども対策が進むようになっています。戦争のない国づくりこそ、子どもの未来図を描けるのですね。
•おんなのRun80 俳句と歩む我が人生─自然と豊かな風土のなかで─ (鳥羽しま子)
 句会に入ったのが60歳からとのこと、新たな地元の自然と向き合う時間が持てて、また世の中の移り変わりを結びつけながら句を作りあう仲間との時間素晴らしい人生ですね。
•@NEWS 性暴力を許さない社会へ (雪田樹理)
 性暴力に関する歴史的経過が述べられています。女性に対する当時の「道具」として人格を認めない社会の反映だったようです。このことがいまでも通じている現代社会に早期に訴え改める根本的な働きかけが、フラワーデモですね。また性教育の今後の進展を望みます。
Jつうしん
•史跡さんぽ57 (成瀬龍夫)
•おいでよ48 北海道蘭越町 (金 秀行)
•編集後記


DL:77.pdf

(国の東日本災害復旧・復興総括.pdf)
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2020年2月号 読者ノート

 (2020/01/20)
 
目次
 事務局として気になった記事にコメントを載せます。一緒に読み合わせしましょう。あなたの感想や意見もお寄せください。今回年末担当者が入院し遅れて申し訳ありませんでした。
●特集● 公立・公的病院の再編統合と地域医療
 今回の公立・公的病院の再編統合の一方的な報道に対し、広島県でも大きな話題になりました。地域に生きる、公立・公的病院と地域医療のつながりの現状を再度学習しましょう。声を上げていきましょう。
•公立・公的病院の再編統合と地域医療 (長友薫輝)
 今回公表されたリストは、100万人以上の地域に存在する病院を除いている、非科学的なデーターを使用している、地域の声を聞いていないなど、全く政策としては、ただ単に病床数を削減するための施策となっています。ここで確認しておきたいことは、現在4つの医療機能区分という基準で病院経営が判断されているということです。それは、高度急性期、急性期、回復期、慢性期の4つで最も診療密度が高いものが高度急性期だそうです。この基準でのみ判断されることがいかに、地方の中小病院にとっては、また地域経済の循環、包括ケアシステムの構築にとって、相容れない基準ではないのか、市民に知らせてほしいことです。なぜならば、数値でもって経営実態が明らかにしようとするあまりその周辺がネグレクトされて、本質を見失っていくのです。公的病院での取り組みで、地方自治、そして住民自治の観点で、地域医療構想、地域包括ケアシステムをとらえ直し、地域から実情を反映した中身に造り替えていってほしいものです。
•「診療実績データの分析」の概要と問題点 (塩見 正)
  今回医療費抑制に使われている診療実績データーの分析項目は9領域・17項目だそうです。それらは、公立・公的病院が患者・住民の命・健康を守るために果している役割・機能の一部にすぎない検証項目であり、非科学的で一辺倒な側面を使っていることが述べられています。ここで明らかになる医療実績は、患者の実態を踏まえてモノではなく、治療のみで評価されています。さまざまな病気になっている患者層の反映はここではされていないのです。脳卒中になるのは老人から若者まで様々な層がなります。この層に対してその治療はさまざまであるはずですがその判定はされていません。今回それに加えて、医師・看護師不足などでの困難さは対象外になっているようで、100万人以上の地域での病院を配慮したとはまさにこの最たるものです。A基準、B基準と分け、病床数の削減のみ追求できるようにしたデーター分析で発表されているようです。アクセス悪化の評価で使用されている「20分の時間」は、自動車のアクセス距離を挙げたもので、高速道があればそれを使うとし、料金判定をしない、無意味な判断です。まさに地方切り捨て、公的責任の放棄を前提に「地方創生」を謳っているのです。今医師の削減が行われ、地域に安心して住むことができる体制が確立しない政策がとられていることを国民は知るべきです。医師の増員を要求しましょう。
•地域医療体制と人減らしにつながるカラクリ (長尾 実)
 公立・公的病院の「成果主義評価制度」の成果として「公表リスト」は発表され、今後、病院職場では職員の業務実績に対し『成果主義に基づく評価制度』が導入されていきますが、その評価の仕方と瓜二つではないかと言っています。その流れに沿っていくと、次は評価結果が賃金に連動する成果主義賃金であり、「公表リスト」の評価結果により、各種補助金等への連動が打ち出されてくるのではないかという懸念が表明されています。まさに病床削減等を強制する『必要病床数』は、平均在院日数の短縮、受療率の低下、マンパワーの確保困難による診療・入院制限など様々な要因で年々減少傾向をたどっているのが現状のようです。しかし、都道府県単位や、地域医療構想区域単位、4つの病床機能ごとでみると差があり、このままでは『必要病床数』に達しないことが明らかになったようです。今 多くの公立・公的病院が『赤字」経営を余儀なくされている中、病院の経営改善と称して、病床数の削減や、病床機能の見直し転換のダウンサイジングが強行されています。これは地域医療後退の「悪魔のサイクル」なのです。国が目指す「必要病床」の実現は、全国で156000床もの病床削減が必要であり、深刻な地域医療の崩壊が起きかねません。またそれは、地域経済への深刻な打撃へ結びつきものです。 
•地域医療を守れ─北海道の深刻な地域医療の現実と運動 (沢野 天)
 広大な大地に広がる北海道での地域医療の守り手からの報告です。広さ、寒さ、人口減少など多くの課題を持っているところでの活動の基本を学びましょう。議会と首長、医療関係者、自治体労働者と道民との結びつきを強調しています。今回北海道で55の施設が掲げられたことから見ても大変なことだったと思います。「必要な医療が受けられないのでこの町に住み続けることができない」という市民の声は、日本どこでも聞かれる言葉でしょう。国の責任を追及することがいま必要ではないでしょうか。日本国民運動として立ち上がってほしいものです。安倍内閣打倒ですね。
•国立徳島病院存続運動の成果と課題 ─住民運動を元気に輝かせる行動力と「戦略と戦術」─ (井上 純)
 徳島での病院存続の新しい戦術として、災害ハザードマップを活用している点が報告されています。これから日本では、災害が頻繁に起こるであろう時代に入り、病院の果たす役割を調査し、災害防災拠点に整備することが必要です。市民と労働組合の連携、市議会・自民党議員を巻き込んだ署名の倍加、などよくまとめられた運動方針です。ここに掲げられている、4つの教訓を見ておきましょう。@考え方の違う方々と行動を共にしても意見を認め合い決して批判はしないこと。A問題が発生した際でも『協力協働』が継続できるよう、常に建設的で冷静な言動に徹すること。B団体・政治家とは常に対等平等であり、一部の主義主張に偏らないように同じ距離感で組織運営を行うこと。C地域住民とともに行動する時も、組合員と同様に情報共有の努力を行うこと。
•「公表リスト」に掲示された公立・公的病院との懇談、自治体アンケートのとりくみ(三重) (新家忠文)
  三重県での取り組みは、10年来に地域医療の取り組みを反映した報告となっています。7施設と県との懇談した内容がを中心に報告されていますが、地域医療構想そのものの問題点として、医師不足解消されるのか、職員と地域の救急体制確立は大丈夫かと掲げてアンケート調査に入っています。この課題に対して今回の公表そのものが全く答えるものではなく、三重県との懇談でも。独自に自治体病院等と自治体が、地域の医療を「地域完結型」にしていく展望を描く責任を問う取り組みをしてきました。病床削減は地域包括ケアシステムの構築なしに進めることができないとの一致を見ていたのです。「医療・介護総がかり行動」を県内に広げる計画のようです。
•宮城県の「水道事業民営化」と住民の課題 (中嶋 信)
 宮城県知事の発案で水道事業の民営化をより強力に行うコンセッション方式が提案され、住民を抜きにどんどん計画されているようです。今回掲げられたコンセッション<公共施設運営権>方式は、資産は公有で経営を民間事業者が担当売る方式で、民営化の度合いが高まります。そもそも公共サービスは、「国民が健全な生活環境の中で日常生活および社会生活を円滑に営むことができるようにすること」<公共サービス基本法・第3条>を、基本理念とします。
•水道再公営化をみる欧州の旅─パリ・ロンドン─ パリ編 (尾林芳匡)
  水の委託管理問題の専門家である筆者からフランスでの再公営化の報告です。官から民へとの合言葉が、水道事業にも及び、多くの国で民間化が進みましたが、2018年ごろから各国での再公営化が起こってくることになり、その経過が報告されています。パリ市では、1987年に官民混合会社が設立され、出資割合は70%がパリ市、多国籍企業が14%・14%づつ持ち、再公営化まで続きました。水道料金は民間経営の不透明化により上昇し、174%にまでになっていました。この間汚職が明らかになる、知識の乏しいものが仕事につかされたり子会社が進むなど労働条件の低下が問題化してきたのです。2010年に再公営化に取り組みましたが、容易なことではなかったようです。公社に管理能力のある人がいない、ITソフトを民間が握っている、独自システムの開発が必要、担当した企業は、外される際にもタダでは収益を手放さないのです。そのために、消費者に対する啓発、消費者と連携した運動、憲章を創るなど多大な努力をし、2016年にやっと賃金格差の解消、価格の7%の値下げ水質もよくなり、稼働率も高く、監督の強化がされる、低所得者層への配慮、パリ周辺都市との連帯や国際的連帯を挙げることができるまでになっています。水道事業だけではなく、社会政策、環境政策など幅広い活動ができるようになっています。ここで憲章についてあげておきます、水は地球のものですべての動植物が享受しなくてはならない、水は組み上げた所と近いところで使う、再生していない水は捨ててはならない、水資源を守ることは政府の義務である、十分な量の水は人権である、水資源を守るのに適した人は利用者そのものである、などが述べられています。
•書評 中島正博著『「競争の時代」の国・地方財政関係論 一般財源は自治体の自由になるのか』 (纉c但馬)
 地方交付税の性格変化が2007年以降集権化し、本来の自由度を失っている実態が描き出されています。頑張った自治体にはそうでなかった自治体から地方交付税が賄われている、という問題意識から出発しています。
●連載●
•おんなのRun79
 地域の中での難民支援 (櫻井美香)

 日本社会の中で、難民の方々はひっそり生活しています。同じ人間として支え合うことの必要性が説かれています。彼女達の実態に触れてみてください。
•@NEWS 横浜市が国保の短期証をとりやめ (佐藤長世)
 国民健康保険料の滞納による『短期証』、「資格証」の交付は避けて通れないものだと思っていましたが、これがゼロとなった横浜市について、やればできるのですね。しかし、滞納整理が強められる、機械的な差し押さえがおこなれないかの危惧は?大きくなります。しかし、国保だけの取立てではない滞納整理専門官が作られ、国保精神なしでの請求行為が弱者に襲ってくるのでしょうか。
•子どもの未来図 第11回 子どもの未来を描くための手がかりA 福島の子ども─そのコミュニティを支援する国であるために─ (浅井春夫)
 福島原発当初からの危惧であった放射線の子どもたちへの影響が語られています。また、原発避難者の生活が3パターン化している報告があります。このような影響を与えた責任者は、すべからず避難者に寄り添うべきです。子どもの成長発達に関しては、国が責任を持つべきであり、甲状腺の検査で、調査対象が約37万人ありながら、受診者が約18万人とはこれでは話になりません。広島原発被害者の思いが思い起こさせますね。
Jつうしん
•史跡さんぽ56 (戸崎曾太郎)
•おいでよ47 群馬県高山村 (後藤幸三)
•編集後記
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2020年1月号 読者ノート

 (2020/01/07)
 
目次
 事務局として気になった記事にコメントを載せます。一緒に読み合わせしましょう。あなたの感想や意見もお寄せください。今回年末担当者が入院し遅れて申し訳ありませんでした。
●新年のごあいさつ● 国と地方自治体を主権者の手に取り戻そう 岡田知弘
  2020年みなさんの昨年度来の安倍首相の評価について、どう表現されますか。岡田先生の短い文章を参考にしてください。まさに地方自治・住民自治を破壊する策動が進んでいます。
●新春インタビュー● 宮本憲一先生に聞く 地球環境の危機とSDGs─地方自治の力で「環境権」の確立を─ 聞き手 多田哲子
  このインタビューの中で、地球環境問題が、世界の危機になっているということに、若者が敏感に反応していることを讃えています。日本で公害という言葉を生んだ宮本さんの発する言葉に一つ一つうなずくばかりですが、環境政策ができるだけ市場原理で動いていく現実と、環境権を確立した自治体づくりを行い、環境問題を切り開いていく自治体が描かれています。次の言葉書きが気にいりました、「環境を維持する範囲内で経済や社会は持続できるのであって、地球環境が維持できなければ経済や社会の持続性はあり得ない」ということばです。もう一つ、「今自治体職員は、人事制度などの仕組みもあって、住民の方よりも上の方しか見られないようになっていて、自治体職場に閉塞感が漂っています。分断されていることと、情報の統制が大きいためだと思います。」です。
●特集● SDGs(エスディージーズ)と自治体
 SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)とは、2015年9月の国連サミットで採択された『持続可能な開発のための2030年アジェンダ』に基づき、「だれ一人取り残さない」を基本理念として、世界が2030年までに達成すべき17の目標と各目標を実現するための169のターゲット(達成基準)から構成されています。
 現在、メガバンクがこぞって、環境(Envirounment)・社会(Society)・企業統治(Governance)を重視して投資するESG投資を打ち出したこともあって、産業界では競ってSDGsを標榜する事態となっています。しかしこの本旨を深く問いづづけていきましょう。  

長野県におけるSDGsの取り組みの展開と地域循環共生圏 中島恵理
 長野県での環境学習の歴史を振り返ってみると大きなことがわかります。地域資源を大切にし、学ぶことが地域の習慣になっているような気がします。そこに環境省からの職員が参加した取り組について報告がされています。まとめてみると、広く中小企業者の理解を深めていったのだと読み取れました。ここの掲げられている、長野県での化石燃料への支出額が、産業分野別に見積もられ、数値化して現され、大きな額が県外に流失していると明らかにされています。このような算出方法で広島県を見た時どうなのでしょうか。地域資源の防災体制に、県が先頭を切って取り組むことの有効性が明らかになったと思います。具体的な報告が楽しみです。
利根川源流のまち 水と森林と人を育むSDGs未来都市─「みなかみユネスコエコパーク」─ 小野宏和
 都心から1時間の距離にある地域での活動で、未来都市に向けての住民の活動状況が知りたいものです。町の呼びかけに対する市民の声が聞きたい、森林資源の持ち主の声、バイオマス活用の生活の実態、教育に親しんだ子供たちの声、みんながこの活動を通じて、今後どのような主体が作りだされて行く地区なのだろうか、見守りたいと思いました。
三郷町SDGs未来都市計画─人にもまちにもレジリエンスなスマートシティSANGOの実現に向けて─ 三郷町役場まちづくり推進課
 三郷町の大きな課題が、156本の支流が合流する場所であり、大規模な貯留施設や非常用電源の確保などレジリエンスな強靭・回復力のある体制を構築するまちづくりが明確となっています。これに向けて町全体での体制づくりの基本に、この計画が立てられています。2018年に設立された「地域新電力会社(株)三郷ひまわりエナジー」に注目したいと思います。今回掲げられた「住んで良し、働いて良し、訪れて良し、学んで良し」の標語がどれだけ町民23,000人に共感が持たれているのか知りたいものです。 
「大阪・関西万博」 SDGsを掲げるにふさわしいアセスメントを 傘木宏夫
 大阪・関西万博を、より市民的な立場での推進を願う立場から、環境アセスメントにいくつかの提案を行ったにもかかわらず、その提案事項を無視する態度が鮮明にされています。このようなことで、はたして将来気品のある環境の創造に引き継がれるのでしょうか。今まで関西の汚濁物の体積地として、いまだに完成していないところで、一方的に自然の生態系が進歩して張り付き始めている環境下で、アセスメントとして、このような実態を反映した評価指標を事前に提案されたことは、素晴らしい活動だったと思います。カジノ誘致に取り組み、その場所に関西万博を開き整備するなど、この目的優先で行うならまさに自然破壊の実態しか残らないでしょう。産業廃棄物場所の再生にどう生かしていくか、多くの国民が知る必要があると思います。カジノではなくこのアセスメントを生かした新たな事業化を提案してください。
●第24回全国小さくても輝く自治体フォーラムin南牧村報告
  「自治体戦略2040構想」と「移住・定住・定着」 宮下聖史

 全国小さくても輝く自治体フォーラムの活動が、16年の歴史の経過の下に開かれました。大きく地方自治の後退が行われていく時代になっており、この活動は貴重な実践報告ではないかと思います。「村ガールプロジェクト」の活動など、真摯に生み出されてきた活動ではないでしょうか。このような活動を広く実践するための場づくりになっていけばいいと思います。各自発的な活動を通じて、周りの人に結びつくことが、大事であり、これを壊す活動が、連携中枢都市圏構想であり、2040構想だと思います。
第1分科会「移住・定住」の報告 宮下聖史
 「田園回帰1%戦略」で、移住者確保は少しづつ継続すること、子どもへの心配りとして保育園や小中学校だけでなく、高校、大学への進学を想定した施策の展開が述べられています。また、移住者について『数』ではなく『人』を見ることから、お試し暮らしの活用の提案がありました。一歩引いて移住者との懇談が有効でしょうね。
第2分科会「地域資源活用・地域振興」の報告 水谷利亮
 地域経済振興の基本的な考え方が5つのポイントで示されています。@基盤産業として域外マネーを獲得している産業は何か、A基盤産業は持続的・安定的か、B基盤産業で生み出された付加価値は域内に落ちているか、C非基盤産業は所得を生み出しているか、D再投資は域内で行われているか、です。この点検から始めましょう。他に再生エネルギーの活用で、村外エネルギーとの関係も報告されています。段階的に自家消費の枠を広げることが必要なのかもしれません。
第3分科会「都市・農村交流」の報告 山口誠英
 農村と都市の交流実践の報告が群馬県神流町・群馬県川場村・滋賀県日野町の3町村から出ています。農村側と、都市側双方の「ギャップ」を如何に埋めていくかが重要だと報告されていますが、それぞれの経過年数を見ると、2009年から、1980年から、10年間など豊富な経験を持っておられます。この課題での実践を学びに行きたいものです。
台風15号等による房総半島南部の被害と自治体の対応 山口純一
   台風15号の被災状況が明らかになっていますが、今回の台風は大変まれな方向から来たので、災害として未経験なことが大きな負担となって、今日まだ復興に向かっていない問題があります。湾岸道路から2時間でつながる地域でありながら、この困難を生んでいるのが旧伊倉町で、かって100人いた職員が行政センターに30人しか在籍しておらず、災害対応ができなかったとの報告です。また千葉県の迅速な対応がなく、森田知事の責任ある行動もなく、防災ブルーシートを県が市町村に取りに来るように指示したとか、まったく災害対応の基本がない県であったようです。災害時、長期間の対応放置で多くの問題が出てきます、何のこともなかったように日常生活に戻れるものが、戻れなくなる、この責任をどう問い詰めようとするのか、個人責任ではないことは明白です。憲法に基づき早期に日本の災害発生時に責任を果たせる政府の確立を望みます。公務員の数がたりません。
●連載●
@NEWS 地元の「同意は得られていない」、羽田新飛行ルート計画 秋田 操

 羽田空港の新ルートの開設において、アメリカ飛行会社が12便、日本が12便となるそうです。明らかに航空圏をアメリカ軍に握られている日本の実態の反映です。しかも、国土交通省はこの開設でガイドラインの検証を行わないとは嘆かわしい実態です。ぜひとも関係議会での声を上げてください。危険度の判定は、国民の安全安心を保証するために必要です。
子どもの未来図 第10回 子どもの未来を描くための手がかり@ 災害遺児─その時を支援する国であるために─ 浅井春夫
 東日本大震災で、災害遺児が総数で241人出ていたという報告です。災害の後、児童たちに保護者がいないのですから、この課題に早急に真摯に取り組む市町村の役割は大きなものが必要です。また長期に支援するケアーマネジャーの役割は本当に大事だと思います。これから多くの災害が予想されますが、子どもを見捨てない社会を創っていきましょう。
おいでよ46 宮崎県木城町 半渡英俊
Jつうしん
史跡さんぽ55
編集後記

2019年12月号 読者ページ

 (2019/11/26)
 
 目次
 事務局として気になった記事にコメントを載せます。一緒に読み合わせしましょう。あなたの感想や意見もお寄せください。
●特集● 大阪市廃止(大阪都)構想の幻想
 2015年5月17日に実施された「大阪都」構想住民投票が、最近のダブル選挙で再び、大阪維新の会の候補が勝利し、2020秋の住民投票へのスケジュールを提案しています。この大都市で早10年の月日は立ちながら、府民の分断は続いているのです。大都市でのこの問題を再度学習してみましょう。
•大阪市が廃止になったら財政はどうなるか (森 裕之)
 大阪維新の会がこの「大阪都構想」を押し出すやり方が、ポスト・トゥルース(=真実などどうでもよい)を政治文化に持ち込んで行われてきたと言います。知性が感情に凌駕されてしまえば、もはや現代社会は成立しえません。この流れの中で大阪府について、私たちは、財政問題を見る中で、奪われる一般財源、財政調整交付金などに実態を知り、また周辺市町村との関係の悪化、「二重行政」「経済効果」のまやかしなど、常日頃から理性的に分析する力を活用すれば、知性を取り戻すことができるのではないでしょうか。多くの大阪府民の方の早い知性復帰を願います。
・みんなで、「大阪市廃止構想」と呼ぼう!─維新の「組織されたポピュリズム」への対処─ (村上 弘)
 今や大阪維新の会は、「組織されたポピュリズム」に変貌していると。また大阪都構想という表現は、事実は大阪市廃止構想であり、実態を迷わすものだ。大阪市廃止で失うものを語り、維新が主張するメリットにファクト・チェックを少し行い、これらに翻弄されているリベラルな方々を目覚めさせましょう。また大阪維新の会のユニークな特徴をを3つ上げています。本当に政治の右派的な要素を兼ね備えています。維新のダークサイド・ニュースを普及しましょう。ただ黙っていたらだめです。
•大阪市の地域産業政策の発展に向けて (本多哲夫)
  大阪市の地道な中小企業振興の内容が記載されています。大きな企業が発展すれば下の中小企業も発展する、元気のある企業だけに目をやってきたかっての大阪市の産業政策の失敗をカバーするものです。大阪産業創造館の暦を学んでいくことも大切です。各区役所で中小企業と連携して地域活動を行うことが、中小企業のモチベーションを高揚させ、地域の活性化を呼んでいるとの報告です。地域住民が、「わが町工場見てみ隊」と子どもを参加させ、毎年繰り返しているとか。地道な支援体制の発展が、これからの大阪市廃止のため危機に瀕しているようです。区役所単位での活動が、これから府で行われると、その性格も、参加者の意識も大きく地域から離れることでしょう。このような取り組みは広島でもやっていきたいものです。
•大阪維新による再度の大阪市つぶしに抗して (山中智子)
  大阪市会議員の山中さんからの切実なる声が聞こえてきます。維新の会・公明党・自民党までが大阪都構想住民投票の道をひたすら走っているようです。ここで紹介されていることは、「広域を一元化しても大阪の成長につながるものではないうえに、市を分割して作られる特別区たるや、財政・権限ともに一般市にも及ばない半人前の自治体になり下がるばかりか、初期コスト・運営コストがかさんで、住民サービスはカットせざるを得なくなるということがいよいよ明確となった。」、このことば、当時の住民投票の結果が出た時の住民の声であり、再度呼び起こすことが、いま求められているようです。百害あって一利なしの、大阪市廃止構想ですね。
•東京都区制度の現状と課題から何を汲み取るか─大阪都構想による住民自治の後退─ (川上 哲)
  大阪が目指す都構想を実際行っている東京都の区政の問題点があげれれています。結論的には、普通地方公共団体としての基礎自治体ではなく、特別地方公共団体として位置づけられ、都との財政負担調整会議を毎年行い、自由の利かない団体になることです。そもそも地方自治制度と経済成長に関係はありませんし、大阪都構想が実現したからと言って大阪経済がよくなるなどという保証はどこにもありません。それよりも同構想の実現によって大阪市の住民が失うものの方が大きいということを改めて認識することが重要です。失った自治権の取り返しは非常に難しいのです。
•直言 今秋の台風被害に思う (岡田知弘)
 この直言で安倍首相の行動が、20分とか6分の災害会議を行いリーダーシップを発揮したと、マスコミの追及をかわしているのでしょうか。災害時の会議ではその報告を聞くだけでも、20分以上かかり、現地の状況を十分認識をしないと、対応策は作れないのです。ここにある提言、機動的な災害対応官庁の設立、地方公務員の職員の増員、国土保全のために農林業の振興、地球温暖化に対する抜本的な対応と熱エネルギー循環の分散化を図ること。全く同感です。
•進むマイナンバーの利用拡大とプロファイリング (K田 充)
 マイナンバーの導入が国の機関でまさに矢のごとく進んでいることが述べられています。2040構想でのAIの活用の基礎データーとしてマイナンバーの利用拡大が必要であるとともに、個人情報保護の観点から、プロファイリング阻止の市民運動の活発化が訴えられています。そもそも、この狙いが、政府の定めた指標に従って『必要とする者』か『必要でない者』かを選別するものです。総務省・スマート自治体研究会での報告で、業務をコンピューターに合わせることを自治体に押し付けようとしているとの報告がありました。システム共通化が自治体の独自性の放棄による地方自治の形骸化を促すためのインフラともなるのです。EUは2016年にすべての加盟国に個人情報保護を義務付ける『一般データ保護規則』を制定しました。日本でも早期にこの制度の確立が求められています。
•東日本大震災 被災地自治体の今─福島訪問調査から見えてくるもの─ (千葉悦子)
  東日本大震災と原発事故から8年7か月の経過し、現地の状況がつぶやかに報告されています。故郷をやむおえなく離れた方々の思いは、さぞ無念なことでしょう。これらを引き起こした当事者が、どう対応しているのか、怒りに燃えます。この文章で、帰還をあきらめてはいるが、故郷への思いは募るとの言葉が多く語られています。地道な活動で、帰還を自治体として政策化している職員の方々に敬意を表します。政府が『寄り添い』を多用していますが、「揺れ動く個々の環境や意識に適した多様な解決策選択肢を用意する」のが寄り添うということで、それとは真逆な「画一的で標準化を志向する」では、いけないとともに、避難者が見えなくしていくことになります。各自治体に政府は、支援の縮減、打ち切りが始まっていることに警告を発揮していきましょう。
•指定管理者制度 2018年導入状況等調査結果の概要と制度運用の到達点、課題 (角田英昭)

 指定管理者制度が始まり15年になり、総務省が2019年5月に2018年度調査『公の施設の指定管理者の導入状況等に関する調査結果』を発表しています。この分析が述べられています。私たち身近な公の施設の統廃合が、地域コミュニティーの減退につながり、地域が無味乾燥して、ぎすぎす感を感じてしまわなければと思っています。指定管理制度の問題点について、私たち公務に関わる人間には身近でも、多くの一般の人々にその苦しみを理解してもらう機会が少ないことが大きな問題であり、自らが地域に訴えていかなければいけない課題だと思います。しかし、この報告書でも明らかのように峠は越えていますが、朽ちる道へ落ちていく感じがします。改めて、社会教育施設での、指定管理者制度は阻止するべきだと思います。広島でもその集いをやり市民に大きく訴えていきましょう。
●連載●
•おんなのRun78
 役者と布絵との共演─地域にはいろいろな人がいると実感できるきっかけを!─ (渋沢やこ)

 布で作った紙芝居とは見てみたいものです。動きが立体化して、演じられるものが身に降りかかってくるのでしょうね。想像するだけでも楽しくなります。地域の人の顔がよく見えることでしょう。
•@NEWS 横浜市のカジノ誘致の動きに対して市民が立ち上がる (菅野隆雄)
 横浜市の市長のように選挙時には白紙の状態を装い、突如このような提案を行うことが、最近の日本では多く異様な気がします。民主主義をないがしろにする首長は、絶対に許してはいけません、頑張ってください。この住民投票の経験を若い多くの人が体験することを期待します。
•子どもの未来図 第9回 格差・貧困と学力─学力の格差が表面化する転換期を考える─ (浅井春夫)
 学力の言葉から、思考能力、判断力、表現力などを考えました。これが、乳幼児期から学童期において、体験的まなびのチャンスを多く蓄積することを通して、抽象的思考を獲得する基礎が形成されるとは、大切な時期の貧困、格差は社会責任ですね。小学校4年生からこの格差が広がるようです。支援の在り方を、効果的に配置してください。
•最終回 行こう Zoo-Zoo-Zoo 第6回 動物園のこれから (森角興起)
 1882年に動物園が上野の地に産声を上げてから130年以上の月日がたったようです。この動物園にも限りない歴史があり、いま到達しているのが、「市民が動物や環境に興味を持つ入口であると同時に、具体的に生きた動物たちを保存していくノアの箱舟たらんこと」ということです。
•おいでよ45 甲良町 (野瀬喜久男)
Jつうしん
•史跡さんぽ54
•編集後記

2019年11月号 読者ページ

 (2019/10/23)
 
目次
事務局として気になった記事にコメントを載せます。一緒に読み合わせしましょう。あなたの感想や意見もお寄せください。
●特集● 都市再編時代の再開発
•アベノミクス都市再開発のいま (岩見良太郎)

 今多くの都市の再開発を正当化すると名目に、イノベーションだとか、コンパクトシティー化、公共施設再編という言葉で、一見財政支出は不問にされています。ここで行われたものが、地域全体のバランスある発展を基本に組み立てられたものであるとの装いを、立地適正化計画と掲げています。しかし、これらの開発は、「全体最適」という口実によって、「個別最適」を犠牲にするものであり、「選択と集中」政策の言いかえでしかないのです。青森、富山での実践結果が物語っているように、最初は大きく取り上げられますが、時間の経過とともに地域全体が崩れていくのです。
 まちづくりは、何よりも個々人の生活圏、身近な地域における住民自治から出発しなければならないのです。

•東京「企業主権」で進む東京の再開発 (遠藤哲人)
 いま東京でマンション建設がいままでのまちづくりと一変した民間業者の主導で行われている実態が報告されています。かって美濃部都政時代に住宅建設に立ち向かった計画が存在しており、これらがいま、民間主導の下で、大規模な高額者のための、まちづくりに変えられて、一般人が立ち入れなくなっているようです。大企業の事業掘り起しから虫食いの再開発、かって自分たちが立てた計画を、民間業者が取り替えた計画承認の立場に転換している行政の姿など、市民・住民犠牲の再開発の横行に対し、今こそ、鼓した人々が声を上げ、組織を作り、議会、市民運動、労働運動の共同で、道を切り開くよう呼びかけています。参考例として、徳島市新町西区での再開発取りやめの運動が紹介されています。長くて粘り強いそして幅広い運動は勇気を与える経験だと称賛されています。
•さいたま市 大宮駅周辺で急速に進む巨大開発計画 ─首都圏広域地方計画・スーパーメガリージョンを追い風にして─ (渡辺繁博)
 2都心4副都心構想と、大きな呼びかけですが、これが政令指定都市化に向けたさいたま市の掲げたものでした。ここで述べられている都市開発は、国の国土形成計画を取り入れて、市民の目を上側に注げて、飾り付けられ、町内会長までも、その推進組織に組み入れられたようです。大宮周辺地域戦略ビジョン、約190haもの広さを「公共施設の再編による連鎖型まちづくり」と、すごいビッグアイデアだと称賛した県知事の話も、気に留めておきたいものです。しかし、経済誌が、皮肉にもこの計画の欠陥を指摘している記事を掲載しています。まったく企業の利益を優先し、高い価格を市が負担するはめになっているようです。大きな構想を打ち上げることにより、さいたま市の財政負担は莫大な額になり、住民の生活には大きなギャップが生まれていることが紹介されています。この開発事業に対応した学校、保育所、公園、児童館や公民館などの整備計画を市は全く持っていなかったというのです。国の大言壮語に踊らされることなくしっかりした社会動向に対する見通しを持ち、市民の願いを聞き取り、美しく・安全で快適な市民のよりどころとなる駅周辺整備となるよう願っています。
•川崎市 一体誰のためのまちづくりか 鷺沼駅前再開発に伴う区役所・市民館・図書館の移転に反対する住民運動 (小久保善一)
  川崎市宮前区の区役所移転が、住民の声を無視した形で進んできたようです。この論文には公共施設再編整備計画書の作成について述べられていませんが、多くの委託事業の中に、このような大きな施設があるとは、またこれに付随する市民会館・図書館などを新しい土地に移すことにより、ドミノ式にその跡地の再開発が描き出されるのでしょう。大きな金が動く中で、市民生活の向上や、市民の声は受け取られなくなっていく、川崎市政の変化が読み取れました。区民の声10%しかない計画を広げようともしないくせいに怒りを感じました。まさに、現実は、事業者と市があらかじめ事業計画を決めて、市民が全容を知る前に短期間のうちに決定・実行しているように見える。とはどこかで聞いた言葉ですね。
•徳島市 無謀な再開発をひっくり返したあきらめない市民自治の力 (加戸 悟)
 徳島市民は、「住民投票条例」を作り上げている町なのですね。過去の経験からあきらめない市民自治の力が、今回の無謀な「新町西再開発の白紙撤回」の運動を支えたとも言えるのでしょう。市民の怒りをコツコツと広げる活動の経験は、時代を超えて活きていくものなのですね。このような体験を作り出すことがいま求められているのだと思います。またこの間の裁判闘争、市長選挙などで核となった出来事に力を集中していることもわかります。
 徳島市の住民投票署名での、受任者作りで、3000人の数を集めきることができることは、「市民の力」の根拠であり、このような活動を市民運動の起点として広島県でも作りたいものです。だけどこの開発に徳島県が同意をしていないとは、これの経過が知りたいものです。

•神戸市 「神戸市都市空間向上計画」について (小田桐功)
 この論文で「立地適正化計画」の矛盾点が明確に表しています。行政・国がこの計画の本質を明らかにせず、独善的に執行している意味が分かります。そもそも都市計画法の理念は、「都市の健全な発展と秩序ある整備をはかり」「農林漁業との健全な調和を図りつつ、健康で文化的な都市生活および機能的な都市活動を確保すべきこと」であるのに対し、「立地適正化計画」は、人口減少社会の下でも、民間活力を謳い、駅前開発の参入事業者への補助金対策など優遇策を設け都市再開発を最優先したものとなっており、住民福祉の向上を謳う日本国憲法の精神とは相いれないものです。ここの神戸市の計画案に対する緻密な点検活動を参考にして、各地の計画をチェックしてください。市民への広報活動はどうであったか。基準となる駅から徒歩20分の適用が市民生活や地域の特性に合っているのか、人口減少の推移年が20年か50年先なのか、地価の変動がみられるかどうか、被災対策と整合性があるかなど、具体的な声を集めてください。
•滋賀県 滋賀県内の立地適正化計画調査結果から見えるまちづくりの課題 (瓜生昌弘)
 滋賀県自治研からの報告であり、広島県としても参考にしたいものです。そもそも立地適正化計画の持つ、いわゆるコンパクトシティづくりの計画が、居住誘導区域や都市機能誘導区域を設置し、人口増加に伴いはらんでいった市街地を人口減少に対応して縮小させていくという狙いを持っています。県内の作成状況を概観して述べられていることは、誘導区域設定率が40%を超えている、。将来人口を増加する市町は少なく現状維持ないし、減少する方向である。計画内で、居住区域外のことがあまり触れられていない。ことが明らかになっています。この計画が既存の交付金事業の補助率がかさ上げされる仕組みとなっており、そのことが計画策定の目的になっていることが特徴です。この計画を批判するうえで、この計画自体がまちづくりの計画であり、本来のまちづくり手法から点検する4点があげられています。神戸市の報告ととともに参考にしてください。
第32次地方制度調査会「中間報告」を読む
 この調査会は2018年7月5日に発足し、内閣総理大臣が『人口減少が深刻化し高齢者人口がピークを超える2040年ごろから逆算し顕在化する諸課題に対応する観点から、圏域における地方公共団体の協力関係、公・共・私のベストミックスその他の必要な地方行政体制の在り方について」諮問したものの中間報告に対する意見の紹介となっています。
•行政合理化論が団体自治や住民自治を越える? (平岡和久)
 第32次地方制度調査会の中間報告は、人口構造の変化を地域類型化し5つを提示し、地域類型を絞る施策を出しており、町村会から厳しい批判が上がっています。類型化でもって画一的な方策を市町村に押し付けることは現に戒めなければなりません。二つ目は、2000年代以降構造改革、行政改革によって削減された地方公務員をさらに削減することを前提にすることで課題設定がされていることです。三つ目は、緊縮政策を前提とした上で、地域や組織の枠を超えた連携を進めれば、公共部門の責務や団体自治・住民自治を破壊し、超えるべき対象となることです。今後の焦点は、市町村の自主性を尊重するよりむしろ、圏域単位の行政を押し付けようという議論に注意することです。
•ステルス化した「圏域マネジメント」論と「トロイの木馬」 (本多滝夫)
 調査会で圏域マネイジメントの批判が多く行われた結果、中間報告の言葉が@ひとりに着目した方策、Aインフラ・空間に関する方策、B技術を生かした対応を行うための方策と変えた言葉で表現されていますが、事務局を担う総務省自治行政局はすでに、合併協議会をモデルとした、中心市の市長を会長とし、地方議会議員、有識者をも構成員とする『圏域運営協議会』を立ち上げ、行政基盤を新たに構築する法制化を創ろうとしています。圏域マネイジメント論を隠し、そしてその舞台裏では『トロイの木馬』の設計が進んでいるのです。
•小さくても輝く町村自治の発展を (藤澤直広)
 「地方自治」の本旨を国がたがえたのが今回の中間報告です。今回は『圏域行政』を掲げ、「自分たちのまちのことは自分たちで考え、行動する」ことから切り離そうとしています。住民福祉の増進を図るという地方自治体の目的達成は、「人」でありAIが取って代われるものではないのです。滋賀県日野町には、毎年、20数校3000人以上の生徒たちが、修学旅行などで農村生活体験をやっています。自然に触れ、人々と交流し、田舎に残っている助け合って生きる社会を体感します。離村式では『もう帰りたくない』という発言がありますが、このような心の交流は「AI]ではできません。
•風穴を知っていますか?─第6回全国風穴サミット in東京─ (傘木宏夫)
 風穴とは、山の地滑りで石が積みあがった斜面などで、その隙間から自然の冷風が噴き出す場所のことです。このような自然現象の発見を通じて、心行きかう交流を全国に呼び掛けています。
•書評 岡田知弘著『公共サービスの産業化と地方自治 「Society5.0」戦略下の自治体・地域経済』 (岡庭一雄)
 この本は、既刊「自治体戦略2040構想と地方自治」(自治体研究社)において問題点を指摘したことに引き続き、各自治体で具体的に運動を起こしていくために「公共サービスの産業化」を体系的に学ぶことのできる教科書として活用してください。
●連載●
•おんなのRun77 秩父のFMラジオ局! 街も人も元気にしたい (磯田恵美/山中優子/出浦ゆみ)

 地域の人たちが出られるFMラジオ局が秩父に誕生したとか。この局を作る11人のスタフの心意気が楽しみです。「人と人、地域をつなぐメディアが必要です」
•@NEWS 東京五輪 晴海選手村土地投げ売り住民訴訟原告団見解発表 (淵脇みどり)
 東京五輪の問題で、東京都知事が、晴美選手村の土地を建設業者に投げ売りし、業者による跡地にマンションとして売り出していくに協力したことを追及しています。広島アジア大会の選手村も同じような売り方がされています。このような都民の財産を企業集団に売り出し、儲けを保証するやり方は、まさに産業化した自治体行政ですが、都民の利益を放棄しているのではないでしょうか。
•子どもの未来図 第8回 子どもの貧困と世代間連鎖 ─生まれた家族で子ども格差があるのはしょうがない?!─ (浅井春夫)
  乳幼児期から低年齢児童期における貧困生活は、学習的知的な主体的体験に乏しい暮らしになりやすく、そうした@感情・意欲を育む格差を生み、A認識・操作能力の形成の格差を広げ、B努力という具体的な行動の格差に連動し、結局はC希望(人生へのチャレンジ権)を生み出す格差へとつながっています。
私たちは、貧困の連鎖を放置しないで、どの時期にどのような支援と権利の保障をし、政策的な対応をしていくのかを真摯に探究しているのかが、国及び私たちに問われているのです。

•行こう Zoo-Zoo-Zoo 第5回 動物園の運営費 (森角興起)
 動物園の人件費の在り方が、動物園に参加者にとってよく理解できるようになることが、もっと必要ではないのではないでしょうか。動物の命を守っている人の生活・余裕により、その運営は大きく格差が生まれると思うからです。参加者は、動物園では生きた動きが目に巻きつけられるものであり、その管理され方との共感がすぐ反映していくでしょう。
•おいでよ44 酒々井町 (小坂泰久)
•Jつうしん
•史跡さんぽ53
•編集後記

2019全国自治体学校参加者位置図( 2020年7月11日から13日広島市で開催されます。)
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(2019全国自治体学校参加者位置図.pdf)
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2019年10月号 読者ページ 

 (2019/09/18)
  目次
事務局として気になった記事にコメントを載せます。一緒に読み合わせしましょう。あなたの感想や意見もお寄せください。
●特集T● 全世代型社会保障「改革」と人権    
 安倍内閣が2019年6月に発表した「骨太方針2019」の中で謳われている「全世代型社会保障の構築」の本質と、それに対抗する人権を尊重した社会保障改革の財源論、スウェーデンの職業教育の実態から社会保障における就労支援の在り方を、探る企画です。

•インタビュー 雨宮処凛さんに聞く 「ロスジェネ」と貧困問題 (雨宮処凛/聞き手 M畑芳和)
 「ロスジェネ」とは、ロストジェネレーションの略で、今の30代半ばから40代半ばくらいまでの世代、いわゆる就職氷河期に社会の入り口でつまづいたり、非正規化した人たちを指しています。この時期の人たちの代表格である雨宮処凛さんのインタビューは、流れをつかみ、今ある時代についてどうするかが述べられており、私たちが貧困問題を考えるときのおさらいをしています。押さえておきたい活字が多くあります、子どもたちとコミュニケーションをとってみてください。自己責任非正規職員若者バッシングプレカリアート1995年「新時代の「日本的経営」という報告書」、生再設計第一世代30万人、「犠牲の累進性」、貧困バッシング2008年年越し派遣村メニューを出さない役所、などの言葉をつかんでください。
•「全世代型社会保障への転換」の目指す方向と対抗軸 (芝田英昭)
 社会保障財源の調達は大きな課題です。政府は、就労層や国民一般だけに負担を求め、社会保障における企業責任を問うことをしていません。世界各国での事業主保険料割合表が出ています。日本は25.6%であるのに、イギリス29.5%ドイツ34.6%、フランス42.1%イタリア34.5%、スウェーデン38.2%です。2010年の「国民健康・栄養調査」のみが、所得調査を行い、所得と健康度合いの関係性を示す資料を提供しています。これが明らかにしたことは生活習慣の乱れと所得の低さは相関関係にあることでした。このような調査をなぜ引き続き行わないのでしょうか。健康自己責任論を振りまくための落とし穴としたのです。このように政府は必要な資料を隠す、行わないなど非常に偏見を持っていることに注意したいものです。また今後知事を使っての地域医療構想の推進を図ろうとしています。県単位化が進む中で、県知事をその手先にしようとしているのです。このような政府に対して展望ある社会保障改革の対抗軸として、3点提案されています。これをぜひ確信として、広めて行きましょう。@市町村職員地住民の共同、A国保税応益割の廃止、B標準報酬月額の上限撤廃、です。
•「全世代型社会保障」と介護労働者の処遇問題 (井口克郎)
 社会福祉事業推進を曇らせ、若者層に高齢者をバッシングさせるイレオロギー的論調として、「高齢者は優遇されている」「シルバー民主主義」などのレッテル張りが目につきます。また消費税による社会保障の「充実」と、「目くらまし」を振りまき、本来行われるべき大企業や富裕層の負担強化を隠しています。この論文では、介護労働者の処遇改善策について、課題を提起しており、今政府が行っている「リーダー級」職員の待遇改善の欠陥を指摘し、要介護者や一般庶民の消費税増税が、サービス利用に躊躇を生む恐れを指摘しています。一方現在、過疎化の進む地域での、医療・介護保障の拡充で、高齢者も若者層も住み続けられる地域の創造が、急務になっていることを訴えています。社会保障制度が地域の雇用創出や経済振興策の手段として機能させることが大切です。
•消費税に頼らない社会保障財源のあり方 (梅原英治)
 冒頭の言葉、「消費税は法の下の平等、生存権、教育権、労働権などの人権を侵害します。社会保障は人間らしい労働生活を基礎に、人権に即した応能負担原則に基づく財源によるのが正しい在り方です。」に確信を持ちましょう。
消費税の持っている実態から、社会保障等の人権はどのように破壊が進んだのでしょうか。財源の限界を指摘し、財源の性格を明らかにしています。経済の順調な発展こそが、そこから生まれる租税と社会保険料を生み出すのです。消費税はこの健全な経済発展を阻害する働きを作り出す大元になっているのです。これに対して5点を指摘しています。また社会保障と消費税を組み合すなどと政府は言いますが、できもしないうそだと述べ、消費税の社会保障財源化は「社会保障関係費の抑圧装置」として機能してきたと告発しています。社会保障財源の在り方として、所得再分配の再建のため2つの柱を提言しています。人間らしい労働、税制に応能負担原則徹底が論じられています。

•「高等教育の無償化」施策の動向と課題 (姉崎洋一)
 高等教育の無償化が日本ではなぜ進まないのか、この流れが歴史的に追跡されています。いまや国際的にもスタンダードとなっている問題について、政府は、あれこれの制約をかけ、真の無償化にブレーキをかけていることを見ておかなければいけないのです。また、憲法26条第2項後段「義務教育は、これを無償とする」について憲法学者、教育学者の間でも意見が分かれている実態が明らかにされています。この学説論争も「政策」から人間らしく生きる上での教育の無償化に入りつつあるようです。今後多くの大学生の運動を支援するとともに、自治体として独自の奨学金制度を設ける条例づくりに参画したいものです。
•スウェーデンの職業教育 (奥村芳孝)
 スウェーデン社会での教育に対する立場は、移民政策が大きく関与しているのだなと思います。社会福祉事業の根幹は働きながら安定した生活を保障する・その中に教育も含まれているのだと感じました。高校教育のプログラムの中で、職業プログラム参加者が28%もあること、導入プログラムといわれるものが14.7%もあるのですから、複雑といえば複雑ですが、社会として必要な労働力を供給する立場なのです。また成人教育も盛んなのに驚きます。教育の前に経済的援助がついていることにも感心します。
●特集U● 第61回自治体学校in静岡
•報告 第61回自治体学校in
静岡を終えて (川瀬憲子)

 静岡市での全国自治体学校開催は今回2度目とか、当日参加者約700人トータル950人と成功したようです。来年は広島市での開催、頑張りましょう。
•浜岡で原発の危険性を体感、静岡で新エネルギーの検証 (岡村哲志)
 普通の生活の中に原発がある浜岡原発の現地報告です。改めて世界一危険な原発という言葉が身についたのではないでしょうか。ペレット内に残った死の灰は無害になるまで10万年かかるとか津波の高さの試算は22.5mとか、中電の対応はどうなっているのでしょうか。また市民レベルでの地産地消のエネルギーの取組の交換が行われ、全国からの報告もさぞさまざまだったことでしょうし、外国資本のメガソーラーの問題も提起されています。
•「ふじのくに茶の都ミュージアム」と茶・農業生産者との懇談 (照井 健)
 静岡の茶園は大政奉還により駿府で職を失った武士たちが苦労を重ねて開拓したとか。歴史と農業の関係を掘り起こしています。また小規模基盤整備が試され進んでいることは、多様な変化についていくことができる気質を表しています。世界農業遺産「静岡の茶相場農法」とは、驚きましたし、それを支えているのが40代の若者たちだとは、クリエイティブな仕事だからでしょうか。
•富士山世界遺産センターと自衛隊東富士演習場をめぐる (山本 剛)
 富士山は文化遺産で、信仰の対象です。その富士山に向かって大砲が撃たれるのです。どう位置付けるのでしょうか。現地駒門の駐屯地は、住民生活の中にあり、今回の現地参加者は日常人ではなく自衛隊の見張りの対象となり職務質問されたようです。この市街地に戦車、装甲車が通常の車両として行きかうなど、これに慣れた生活も、要注意です。岩国・呉を抱えている広島も研究してみないといけませんね。
•問われるべきは沖縄差別を放置してきた日本政府の不作為(やるやる詐欺) (川瀬光義)
 いま日本の周り諸国で起きている地方の抑圧について論じています。香港での住民運動、ウイグル人の自治区に対する中国政府の動き、台湾での国民党と独立志向政党の動きなど、これらを対岸視しないで、沖縄の辺野古軍事基地解消の課題に対する政府自民党の「やるやる詐欺」に対し、私たち自身の問題として、自己点検することが大切だとと言っています。今回の参議院選挙前に市民連合と野党間で、13項目の政策合意が作成されたことは素晴らしい自己点検から生まれたと評価しています。
•書評 寺島 渉著『地方議会改革の10年』 (江藤俊昭)
 寺島さんは、住民と自治に議会改革の講座を持って、10数回の連載をしてくださった方で、住民自治の高まりで議会改革が進むと評されていました。この人の経験が豊富に入っている本です。新人議員・いや議員全員の方は是非読んでください。実践してください。
●連載●
•おんなのRun76
 布の絵本、その「ひと針の行動」から (渡邊順子

 子どもの成長を願う親たちに、「テレビ子守」「育児ノイローゼ」対策の解消を訴える手として、布の絵本作りを提唱されています。絵本の根底には『人権・環境・平和』の願いがあり、その実現に向けてこの活動を38年間されてきたそうです。

•@NEWS 憲法から見た「あいちトリエンナーレ2019 表現の不自由展・その後」 (清水雅彦)
 突如として展示物に対する言いがかりが起き、展示が中止になったこの事件、この問題にある表現の自由21条の課題と憲法尊重に義務違反99条が取り上げられています。「国益」「公益および公に秩序」「国家の安全と社会秩序」などの言葉がどんどん実践されており、これに歯向うことがいま求められています。
•子どもの未来図 第7回 子どもの貧困─GDP世界3位の国で、なんでヒンコン?!─ (浅井春夫)
 この表題の疑問は多くの国民が持っていますが、どう行動すればいいのかわかりません。先生は絶対的貧困と相対的貧困とを理解することが大切だと言っています。子どもパッシングを行った三原じゅんこ議員に大きな怒りを覚えます。長期休暇で痩せる子が出現している社会の中で、食生活の貧困は、生活リズムの形成のためにも改善が必要です。
•行こう Zoo-Zoo-Zoo 第4回 動物園と環境教育 (森角興起
 動物園は「教育」で朗んじられ、今は「情操教育」から「環境教育」へ進化しているのです。この横浜では、動物園から学校へ出前講座が行われているようです。後継者作りでもあるとか。試行錯誤の続く活動です。

•おいでよ43 下條村 (金田憲治)
J
つうしん

 広島から橋本事務局長が投稿しています。平和宣言について述べています。
•史跡さんぽ52
•編集後記

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