広島自治体問題研究所
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待った!呉の日新跡地に「複合防衛拠点」

 (2024/03/15)
 
 2024年3月5日、防衛省が、呉市の日本製鉄跡地を「複合防衛拠点」として整備する方針を打ち出した。日鉄や広島県、呉市と協議を始めたい考えだという。
 昨年9月末に事実上閉鎖した後も、利活用策は具体化していなかった。詳細は明らかになっていないとはいえ、防衛省が今後、130ヘクタールもの跡地が放置される可能性が薄らいだことが、地元にとって本当に前進だと言えるのであろうか。
 ただ、産業振興の観点で、防衛省案がベストの選択肢といえるのか。県や市が「まず話を聞く」と冷静な対応をせざるを得ないのはうなずける。利活用策は国と日鉄だけの問題ではない。地域にとって最善手を探る努力が必要だし、長期の行うことも必要だ。
 国が跡地を海上自衛隊呉基地に近接する複合防衛拠点と位置付けるとし、装備品などの維持整備・製造基盤、ヘリポートなどの防災拠点と部隊の活動基盤、岸壁などの港湾、の3機能を整備する計画の説明を行ったようだが、慎重にこの内容が、43兆円もの防衛費予算で行わることに気を付ける必要がある。
広島湯崎英彦知事は、「未来に希望が持てる利活用を検討する」と言っているようだが、米半導体大手が東広島市で最先端製品を生産し、三原市には国内最大級のデータセンター計画が進んでおり、防衛施設より最先端産業の方が人材確保や将来を考えても確かにメリットは大きい。
 ただ、跡地解体には10年かかると見込まれ、海軍工廠(こうしょう)の配管などを引き継いだ排水設備や土壌に汚染はないのだろうか。そんな土地に企業の進出を働きかけるには早くから準備が必要であり、今後大変な仕事が待っているし、新日鉄の課題でもあるはずだ。
 他方、日鉄呉と同時期に高炉休止した川崎市は、JFEスチールと連携して跡地を水素エネルギー供給拠点に再生させる計画を既に進めている。広島県と呉市は日鉄呉跡地を産業用地にする調査を2024年度から始める予定だが、川崎市に比べ、いかにも遅い。
 そもそも国が防衛費を5年間で約43兆円に大幅増額する中での動きであることを認識せねばならない。円安で割高になった海外製の装備品購入を控え、為替の影響を受けない国内防衛設備の拡張をなし崩しに進めることは許されない。
 たちまちは、この防衛省からの打診に待ったをかけ、早期に県民総意の意思決定を作る必要がある。
 こんな重大なことを平和都市広島の隣にできるとは、知らない人が多くまた、戦後旧軍港は、旧軍港再建法で、平和的産業立地を掲げてきたことを知らせて立ち上がってください。
 広島県知事自身が、防衛相の下請け機関になることは避けてほしいことです。
DL:177.pdf

(旧軍港転換法の運用実態一考察(山本理佳).pdf)
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