広島自治体問題研究所
  広島自治体問題研究所

お問い合せ  

 アクセス

 
戻る  一覧

2017年度総会と市民公開講座 報告 1

 (2017/06/15)
 
2017年6月10日、広島市内で市民公開講座と広島自治体問題研究所の総会が開かれました。
総会に先立ち、市民公開講座として
「憲法・地方自治・教育法制について
−自治体首長と教育委員会の新しい関係と課題−」
と題して、竹内俊子(広島修道大学名誉教授)先生が記念講演されました。
「大転換」された教育行政
先生は、(以下要約)
 地方教育行政の組織及び運営に関する法律(以下地方教育行政法という)の改正(2015年4月1日施行)に伴って、教育委員会を中心とする地方教育行政のあり方が大きく変更されました。「根本的に転換した。」という表現をしている人もいます。私は、「大転換」、といい、2015年からを「その2」と名付けています。
憲法と教育行政
 教育行政は、本来憲法が保障している、教育を受ける権利をよりよく保障・実現するためにその責務を負っている行政機関、国および地方公共団体が行う行政ですから、教育行政のあり方は、憲法の基本原理に照らして、すべての国民に「教育を受ける権利」が十全に保障されるように制度化されなければならないのです。
教育と地方自治
 しかも、教育に関する事務は、日本国憲法の地方自治原理のもとで、地方公共団体の(自治)事務とされてきました。
 従って、今日の教育委員会制度改革(地方教育行政制度改革)は、憲法と地方自治の原理に照らして評価判断されなければなりません。
 教育とは崇高な精神活動
 さらに憲法学者としては、教育というのは、すべての人間に、自分の外の世界を見、聞き、読み、考える力を付けさせる、いわば、知の世界を紹介し、自分の外の世界を、知る、変える、作り変える力を育む、これは社会の一人前のメンバーとして育てるということでもあり、極めて崇高な、精神活動の領域の問題です。
 ですから、精神活動の領域に、国家が手を突っ込み、その内容と方向をゆがめるということは許されないわけです。このことを精神的自由、精神活動の領域に関する国家の不介入原則といいます。一般的には教育の自由という言葉で説明されています。
 教育の自由
 教育に関する法制度・行政制度の意義を考える際には、教育を受ける権利、人間の精神活動の領域としての教育の自由、地方自治の原則を見失わないことが重要です、
今日の教育制度の課題
 また副題を自治体首長と教育委員会の新しい関係と課題していますが、
これは地方の教育行政を担当する、地方公共団体が処理する教育に関する事務を、管理執行する地方教育行政法の21条の規定である行政機関である教育委員会の制度が、
2015年4月以降、従来の制度と
 @何についてどのように変更されたのか、Aその変更はどのような意味を持つのか、B新しい制度は日本国憲法のもとで、教育行政の基本原理とどのような関係にあるのか、Cあるべきか、
 すなわち、現行制度の内容と特徴を整理して、今日における課題を考えてみたいと思います。  と講演の趣旨を述べられました。
 戦後教育の原点は
学校教育法の提案理由の中に、
…従来の教育における極端なる国家主義の色彩を払拭いたしまして、真理の探究と人格の完成を目標といたし 、心身の発達の段階に応じまして、適切なる教育を施すことを目的とし
 従来の教育行政における中央集権を打破いたしまして、
画一的形式主義の弊を改め、地方の実情に即して、個性の発展を期するために、地方分権の方向を明確にいたし( 、(4)学校教育法提案理由01947(昭22)年3月 17日・衆 議院本会議(国務大臣高橋誠一郎 ))
と明確に示されていたことを教えられました。

 このような目的で生まれた敗戦直後の教育行政が、反動的な動きで、大きく変えられ、今日の教育の荒廃をもたらしてきましたが、2017年6月15日の共謀罪の策動と同じようなことが、教育行政では1956年に、第二次国会乱闘事件のときに起きていたと知りました。

講演の後総会が開かれ、別紙議案が議決されました。


 
DL:69.docx

(2017年度総会報告 事業計画 役員.docx)
29678バイト

戻る  

連絡先 〒730-0051 広島市中区大手町5丁目16−18    

Tel: 082(241)1713 Fax: 082(298)2304  E-mail: hjitiken@urban.ne.jp