広島自治体問題研究所
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2023年5月号 読者会資料

 (2023/05/18)
 
広島自治研読者から、グループで学習会を開いた時の資料が届きました。
参考にしてください。
 
DL:119.docx

(2023.5月号 公務労働.docx)
56624バイト

2023年5月号読者ノート

 (2023/05/16)
 
編集局から
全体の奉仕者である公務員は、個別具体的な市民の要求を公共のために実現していく必要があり、そのためには広い知識と専門性が求められます。 しかし、公務労働の民間化、コスト面だけを見た運用によって、「全国どの自治体でも同じサービス」といったサービス業としての公務員像が要求されています。本来の専門性のある公務労働について改めて考えます。
 
目次
◆直言 公共を取りもどそう 小山国治

 この間のコロナパンデミックでの公共衛生現場は多くの人には、こんなに脆弱になっていたのかと。我に振り返ったことでしょう。しかし、この言葉は自民党・公明党には届いていないようで、厚労省の交渉現場でも高裁でも、「国民の命を守り切る」という強い医師の言葉は確認されていないのです。一方で人の命を奪うミサイルや武器などのを購入する軍事費には、大幅増額する岸田政権には強い怒りを覚えます。そもそも、2010年にまとめられていたインフルエンザ防止対策に十分な実施がされていなかったことが、今回のパンデミックが起きたとは、公共行政ではないと、憲法虫の行政になっており、早期に回復させましょう。
●特集● 公務労働の専門性
公務員の専門性をめぐる現代的攻防ライン 二宮厚美

 二宮先生のこの文章は、新自由主義、維新政治が行ってきた過程が、全体の奉仕者としての専門性を奪い、新たな官治主義、官僚主義を育てて、公務労働の存在をなくしてきたのだとわかりました。改めて公務労働の奥深さ、公共性=共同性が地域社会に存在すべきで、分裂・分断状態の解決を図ることの役割りが、公務員にはあるということを確認できました。大阪の地域社会はすでに分裂と分断が維新政治により行われ、公務員はいなくなっているのですね。大阪の地域から、他の地域にこれらが広がっていますが、さらば、維新政治を刊行するすべは、このような憲法に基づいた、全体の奉仕者論をわかりやすく、国民が理解しないといけないのだと思います。公務員とは何か、働く意義の価値観を取り戻すことが、今必要でしょうね。
住民の「いのち」と尊厳にかかわる公務労働 岡ア祐司
 保健・福祉の公務労働の専門性を4つから解明し、公務労働者の運動の道筋を提言しています。20数年間の間で繰り広げられた、公務労働の後退を、階級社会の現実から掘り起こし、専門性の実務的あり方を具体的に現場で示すことが求められています。住民と公務員を分断させる新自由主義改革の克服と、幅広い住民との共同が深部から湧きださなければならないのです。公務労働の役割を、第1に住民の生活困難や「いのち」の危機など地域における社会問題を対象にしている事、第2に困難を抱え厳しい状況にあっても自分らしく生きたい、人として尊厳されたい、社会に参加したいという個人の切実な要求をつかみ、それを当事者と共に歩みながら実現する専門的力量を持っている。第3に政策・制度を活用し、かつ政策・制度の裏付けを必要とする専門労働であること、第4に、地域における保健・医療・福祉の連携・協働を作り、住民の「いのち」と生活の継続に必要な社会行政計画を策定する政策能力を持っていることを挙げています。これら4つの専門性は、第1が第2を発展させる土台になり、第4の専門性が第3の条件を作るなど其れぞれが相互に関連しているのです。現在作られてきた制度は、市場化・商品化の政策の下で、必要に基づいてではなく、経済的負担能力に基づいたサービスが提供されているのです。資本主義国家は、市民社会の上にそびえたつ権力であり、強制力や暴力性をもっています。しかし社会矛盾の発展、諸権利の確立など歴史的にそれからの実現のための政策・制度を国と地方に迫る社会運動の発展を、階級国家も無視できなくなったからです。保健・福祉の公務労働論は運動論を内在させ専門性確立や役割論を明らかにしています。階級社会の中で変質される保健・福祉の公共性・権利性を市民・当事者と共に戦い再生・発展させるとういう歴史的使命を公務労働者は担っています。
人権としての学習権保障を実現する公務労働─学びの自由と権利を保障する社会教育職員の専門性をめぐって─ 長澤成次
 社会教育職員の専門性を論ずるときに前提とすべきことは、自治体教育委員会事務局に置かれる社会教育主事、図書館に置かれる専門的職員である司書・司書補、博物館に置かれる専門的職員である学芸員・学芸員補は、いずれも国家資格として法制度上に養成制度を有していますが、公民館主事に関しては専門職養成制度を持たず任意設置となっています。
又この間の教育基本法の改正により、官製ワーキングプア―を再生産する仕組みになっています。このような弊害を十分理解して、公民館・図書館・博物館に置いて住民の学習の自由な学びの公共空間においてこそ地域づくりを担う住民自治力が豊かに形成されるためには、司書・学芸員の社会的保障がされることが、必要ですね。

保育現場の実態から保育労働の専門性を考える 橋光幸
 保育士の世界では、年長クラスの保育士は、多忙との同義語だと敬遠されているとか。筆者が言う、5歳児保育の楽しさは、通常保育に加え、日々「クラスだより」を綴る時間を捻出することから、保育内容を可視化させ、保護者に伝え、自らも振り返って次の保育に生かせているからだと言います。このような実践が、今現場では出来なくなっているのでしょう。保育を付か組る言葉として、子ども一人ひとりと良質なアタッチメント(愛着)を形成できなければ保育は成立あり得ず、経験があろうがなかろうが、安心感がないと子どもはいろいろなことに興味をもて新しいことに挑戦することが出来なくなっていくことを、保護者は認識を深めていきたいものです。
 子どもの主体性ばかり強調する保育行政は、客体とは誰かから教えられる行為について子どもが学ぶという行為があり、理解して創造力を増していく年代だということを理解できていないのですね。公立保育園の果たす役割がちょっと不足していますね。株式会社方式をこのような現場に持ってくること自体が間違いですね。

住民訴訟を通じて公務労働の専門性再生と外部化見直しへ 林 敏夫
 指定管理者制度で、株式会社が請け負うことになると今回のような本末転倒の事になります。利潤を搾り取る学童で、人件費の指導員の安上がりに尽きる時、公的基準も自分の立場に変えて取り繕うのですね、その管理を行う市のこの事業に対する、味方の欠如は、常勤すら言葉が理解できていないところを見ると大変な怠慢ですね。ずさんな指定管理に住民が訴訟へ発展させていく流れを、掴むためには専門性の内容にじっくりつかんでおくことがた移転大事ですね。子どもの成長・発達に対する専門性の記述に対する裏付けが現場の職員には求められますね。また住民には、保護者会という組織が作られていることが不可欠でしょう。
 FOCUS 医師の倫理規範から「オンライン資格確認義務不存在確認等請求訴訟」提起へ 佐藤一樹
 今回のマイナンバーで健康保険証資格認定に使え、マイナンバーを早期に手続しないとまた罰金を付けるなど、一法令の根拠を十分理解されていない実態が明らかになりました。法律の委任がない省令で国民に義務を課し、権利を制限する規定を設けることは禁じられているのです。また、プロフェッションとしての医師の倫理規範を、古くはピポクラステスの時代から現代まで、医師はプロフェッションとして、営利ではなく、人の病や悩みという公益に奉仕し、それを天地神明に誓って尽力してきたのです。また、どの時代でも倫理上も法律上も、医師は患者の個人情報について守秘義務を負っていることは変わりないのです。このような状況を自民・公明にの人たちは知らないのでしょうか。また早多くの事件が露呈していますが、間違って他人の情報が記載された、マイナンバーカードが出回っているのです。
ZOOM IN 海洋放出ではなく汚染水発生量の抜本的な削減を 柴崎直明
 東日本大震災と東京電力福島第一原発の事故から12年の歳月が過ぎました。この間汚染水の海上放流が大きくなっていましたが、今回の報告を見る限り、この汚染水の解明についての地質的分析が大きく問題あることが分かります。科学的研究をもっと重要視して解明しなければいけないのに、多額の工事費でもって、地下水バイパスや、凍土壁の工事など、まさに出来当たりの事を行ってきたことが判明されています。早期に、科学的根拠に基づく工事の実施で、環境防護を行ってほしいものです。
【連載】
書評 保母武彦監修・しまね地域自治研究所編『しまねの未来と県政を考える─島根発・地方再生への提言2』 藤田安一

 今我が国は、政府主導による急速な軍事大国化、都市重視の成長戦略、中央集中型のデジタル化などの推進によって、地方はますます自主性を失い、国による自治体の下請け機関化が急ピッチで進んでいます。今回島根での県政について、住民自治を支柱とする地方自治をよみがえらせ、持続可能な地域の再生を願っている多くの人々に依拠した本が出ました。
連続企画 「新型コロナ」から日本の社会を考える 第32回 コロナ禍における地域福祉
─豊中市社会福祉協議会の現場から 勝部麗子

 コロナ禍の中で、社会福祉協議会が大きく変わったそうです。3つの命のリスクと戦ってきた。生活資金の貸付業務に邁進させられた。生活保護になるくらいなら死んだほうがましとの言葉にこれが本当に役立つ施策なのか疑問に感じた。孤立する高齢者が増え続けている実態があり、離れても繋がろうと新たな施策が生まれた。子どもサロンも青空のもと医師の監修をしっかりして、運営した。
 社会保障の在り方について@.入りやすい生活保護の在り方A.今後の支援にかかわる人材確保の財源や体制強化が不可欠。B.ソーシャルディスタンスで人と人との関係や距離を考えること。多くの体験を持つ人々とのつながりを見ること。C.地域活動にも警鐘を鳴らした。誰一人り取り残されない社会の実現は、このコロナで浮き彫りになった多くの課題と向き合うことから始まりのですね。

@NEWS 私たちはなぜ入管法案に反対しているのか 出井博文
 入管法案が今話題になっていますが、本来日本の難民認定の基準が議論されていない実態があります。そのことは日本の難民数が100名と非常に少ないことに現れ、今回はその強制送還をやりやすくするための法案であり、根本問題が語られていないのです。わかりやすく広く知らせてほしいものです。
検証 津久井やまゆり園事件を人権の視点から考える第17回 今だからこそ真相究明を 藤井克徳
 今回で17回になり事件から7年が建って、改めて今日的課題に何も答えていないと、国際的評価からも指摘されているにもかかわらず何も当時と変わっていないと感じました。この優生思想および非障がい者優先主義に対する社会的反応が鈍いのでしょう。身近におられる方々の連携した動きがもっと欲しいと思います。やまゆり園事件と固有名詞が出て優生思想がなくなるよう、社会思想家の努力や、私たち一般人の働きが大切ですね。
人つながる㉖ マタギ発祥の地、現代マタギとして生きるために。 益田 光
 マタギとは、東北地方の奥山にいて「山の神」を信仰する猟銃集団の事です。独自の宗教観、儀式、猟銃道具、マタギ言葉などの文化的特徴を有するのです。このような宗教観をもって、AIやらメタバースなど、仮想現実に引きこもりがちな現代に、対応してみるのも一つの試みでしょうか。人類には深い信仰があるのですね。
くらしと自治と憲法と 第23回  性的指向と性自認に関する人権課題の解決に向けて 西山 朗
 同性婚を憲法は禁じていないことが述べられこれを制度的に制定していないことが違反であると地裁でも出ています。この法整備が進まないのは、同性愛は心の中の問題であり、先天的なものではなく後天的な精神の障害、または依存症です」「性的少数者のライフスタイルが正当化されるべきでないのは、家庭と社会を崩壊させる社会問題だからです」と主張する神道政治連盟国会議員、など伝統的家族観を重視する勢力と政治が密接につながり、ジェンダー関連の政策決定に大きく影響を与えているからなのです。
BOOK REVIEW
ローカル・ネットワーク
Jつうしん まいづる市民自治研究所
自治の風─広島から 第6回完成のメドが立たない二葉山トンネル工事の異常な実態 越智秀二

 広島からの発信はこれで最後となりました。改めて広島の課題も、大きく日本の動向を反映しているものだた感じ、これ等一つ一つに真摯に関わっていきたいものです。
編集後記
 

2023年4月号読者ノート

 (2023/03/16)
 
編集局から
2020年4月にスタートした会計年度任用職員制度。任期が原則一年であり更新の回数は2回が上限と総務省の文書にあるため、2023年3月で再任用されることはなく、再びの「公募」となります。これにより自治体による雇止めが行われることが見込ます。自治体DXによる公務員削減の方針と合わせ、ここで新たに官製ワーキングプアについて考えます

目次
◆直言 北陸新幹線延伸京都ルートの建設は地方自治の蹂躙 大田 直史

 新幹線工事における各種の規制が整備されていない実態が明らかにされ費用負担による自治体財政の崩壊、地域資源の汚濁による産業の崩壊など、危惧されています。また、今進める手立てが、自民党ある種の議員のPT発言だとは住民の意向無視の蹂躙は許されない憲法95条の蹂躙です。
●特集●会計年度任用職員制度─雇用破壊と分断の渦中で
「官製ワーキングプア」の是正─持続可能かつ質の高い自治体運営のためにも 早津 裕貴

 会計年度任用職員制度の法律には、「雇用上限を3年にせよ」とも、「再度の任用」時に必ず「公募」をせよ」とも書かれていないのです。平等取り扱いの原則及び成績主義を踏まえ、地域の実情等に応じつつ、適切に対応されたい」とされているのです。国際的に見ても「常識」ではありません。総人件費の管理ないし総人員の適正化といった観点からは、有期やパートタイムだからと言って、一律にカウントしないことが正しいとは言えません。
また、人員の適正配置を実現する定員管理とはいかにあるべきか」といった観点をもとに、定員管理の在り方そのものを見直す時期に来ているのではないでしょうかと言っていますが、この基準を見たことがないのです。今回の会計年度任用職員制度で、給与決定、勤勉手当、などの明確化が、供えられていますが、「非正規」の増大と「正規」の多忙化は表裏一体の関係にあり、そもそも「身分」が違うといった意識がある限り、全体としての状況は上向かないでしょう。
 公務における歯止めのない雇用の劣化を「民間も苦しいのだから」と諦め、切り捨てるのか、それとも、一定のコストも受け入れつつ、持続可能かつ質の高い公共サービスを実現し、それを社会・経済の好循環、国家の維持・発展の一助として行くことを志向するのか、そういったことを真剣に考え、議論することが、今後ますます重要になってくるように思われます。

全国アンケートから見えた自治体職場における会計年度任用職員制度の問題点
 −「おかしなこと」を変えてゆくために 佐賀 達也

 会計年度ごとに任用を再度行うなど、公務員としての資質をそぐ制度が、新自由主義の世界から発信されたが、早くもこの誇りと怒りのアンケートの強さに、綻びだしています。そもそも最低賃金制度を応用してそれ以下の賃金に押しとどめようとするなど、全く通りに反した行為であるが、時の安倍内閣の横柄さに、一時タジロいてしまっていたのです。自治労連のこのようなアンケートに実施に感服するとともに、早期にこの制度の廃止に向けて、緊急提言の実施を求めていきましょう。女性差別の典型として、多くの自治体のジェンダー平等に弾みがつくことを期待します。
悲惨な事件の背景にある、役所と住民の間の遠のく距離 上林 陽治
 公務員の立場が公務の市場化により、まさに支えるべき資格のないものになっているのです。作り出された無縁社会の中で、言うなれば誰のものでもあり、誰の物でもなかった公共という領域が市場に飲み込まれてきているのです。この実態が説明されており、当事者としての公務員が住民との間が3つの側面から市民と組む員を現わしていくと、市場化が進んだ保育関係の中で、公務サービスはすでにその機能をなくしているのです。調整者の役割しかなかったものが場合によって調整者でさえないかもしれなくなっていくのです。今、若い公務員の退職者が増加しており、10人に1人以上は30歳前に辞めている現実があるのです。一層悲惨な出来事が発せしかねないというリスクを社会に内包して暮らしている人がいるのです。
会計年度任用職員のホンネ
 本当に働く誇りを奪う制度であり、早期に改善されなければ、公務の仕事は無くなってしまいますね。駆け込み寺ではなく、裁判所があればいいのですが。
会計年度任用職員制度の実際と矛盾─公民館での経験から 匿名
 実務者からの声ですが、公務に関する仕事の責任者としての議員の働きかけを述べています。効果があればいいのですが。またこのような差別をかって吏雇員制度撤廃・職場民主化運動を経験したことがあります。差別撤廃に労働組合が立ち上がってほしいものです。
FOCUS 沖縄のPFAS汚染、血液検査結果から見えた現状─命の水を守りたい、土も川も海も、子どもたちにつなげる全てを守るために。 新垣 千秋
 PFASとはペルフロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物と呼ばれる有機フッ素化合物の総称で、その結合が強く脂分や水分など外部からの影響を受けにくい合成化学物質です。健康被害につながる恐れがあることから世界中で調査研究する動きが広がっています。
 腎臓がんや精巣ガンなどの発がん性、甲状腺や肝機能障害、高コレステロール値、低出生体重児、免疫力の低下、発達障害等、人体への影響が指摘されているだけでなく、破傷風とジフテリアのワクチン接種で生成される抗体の量が半分であった事や新型コロナウイルスに感染してもその抗体ができにくいこと、中世脂肪とALT値に関連があるとのする研究報告等もあります。
これらの被害の予測がされており、この調査だけでも沖縄での広がりを止めなければならないのに、汚染源、嘉手納基地への調査が出来ないとは、情けない問題です。日本全国に広がるPFAS汚染に対し早期に対応策を取ってください。参照:NHK https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221124/k10013899691000.html

FOCUS 多摩の水道水がPFASで汚染─血液検査で判明した深刻な健康リスク 根木山 幸夫
 沖縄軍事基地だけでなく横須賀の基地から、PFASの流出に対し軍司令官が謝罪しているとの報告もあり、日本全国に汚染が広がっていることが分かった。早期に飲料水の検査基準を明確にして、体内蓄積を観測してほしいものです。飲料水基準を明確にし、PFAS踏査を徹底的にしなければ新たな病原体への抵抗もなくなるなど死活問題になります。各種の製品に含まれているのならその製造会社の責任も明らかにしてほしいものです。21世紀の初めにわかり、今まで恐れていなかったものが、突如として脅威に代わることがこれからの科学進歩の中で、多く現われることでしょうが、早期に対応すべき役所が鈍感ではたまりませんし、地方自治研者も、知恵を集めていきましょう。広島県調査参照
平成20年度環境ホルモン環境汚染状況調査結果一覧表https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/eco/g-g2-h20-ichiran.html

ZOOM IN  沖縄県・与那国島 与那国を軍事要塞の島から東アジア交流の島に 山田 和幸
 沖縄県の南の与那国は、「日本最西端の国境の島」と海の道を通じて東アジアの人と、モノと文化が往来した歴史から「日本と東アジアを結ぶ交流の島」と島づくりビジョンが2005年に作成されたのです。このような住民の動きに対し、防衛省は、この島を米軍のミサイル基地化にすべく、自衛隊員の住民を大量に投入し、町政を一変させてきました。今やそう避難計画が前面に出される事態になり、島づくりは放棄されているのです。このような軍隊に占領された自治体に、私たちは無関心ではありえないと思います。自立ビジョンを作った原点に町政の動向へ、動くよう支援したいものです。
2023年度軍拡予算と琉球弧 川瀬 光義
 2022年末に閣議決定された「安保関連3文書」はアメリカ製兵器「爆買い」などによる軍拡、及び種子島から与那国島に至る琉球弧の軍事基地化、特に「敵地攻撃能力」保有のためのミサイル基地化を推し進めるものとなっています。人々の生活向上より軍事を最優先にする朝鮮民主主義人民共和国について「先軍政治」などと言われていますが、日本の先軍ぶりも似たり寄ったりです。琉球弧を再び「捨て石」とする自衛隊員の増強は、目を見張る増え方です。第15旅団の師団化計画に関し、隊庁舎の調査設計費が約2億円に盛り込まれているのです。この弧に含まれる島国住民への住民投票は実施されておらず、軍事基地化の工事をどんどん進めることでないがしろにされています。不適切な土地買収費の支出も見られるようです。
●連載●
検証 津久井やまゆり園事件を人権の視点から考える
障害者と家族、地域住民の人権と福祉労働者・公務員の権利
─地方自治の視点から、事件の再発防止とこれからを考える(下) 池上 洋通

 この課題の根本が語られているようです。1960年から1970年代に高校の保健課で用いられていた文部省検定教科書には、結婚する相手を選ぶときには「家計の調査」を行い、家族や親族などに障がい者がいた場合には、「不良な子孫を生まないようにするための手立てをすること」などと記されていました。都会から大きく離れた地域や山村などに、障がい者の生活施設が作られる「隔離」も存在していました。「家族の負担は当然のこと」とする日本社会の支配的風潮、これは江戸期や明治憲法下の「救貧」の制度思想であり、憲法13条の、各個人の自己実現の保障を国政の最大尊重義務とする規定を正面から否定するものです。自治体職員・施設職員の人権保障と民主的な職場の構築、人権教育の豊かな展開が必要です。
くらしと自治と憲法と 第22回 日本国憲法の三原則の関係を考える 土肥 有理
 日本国憲法の三原則、戦争放棄・基本的人権の尊重・国民主権の構造がどのような関係にあるのか、憲法の生まれた時代から来たものは何か。まず憲法の構造は、前文と全10章からなり、近代市民憲法以来の特徴を持っています。但し、日本は国連から人権状況を国際水準に引き上げるよう求められているため、条文の理念に法律が追い付いていないと言われています。第2章で、戦争放棄を独立した章として扱っていることもあまりありません。第3章で、幅広く人権規定を設け、第4章以下でそれを実現するための統治機構を定め、第10章では念押しで最高法規性を確認するという構造になっています。
重要な戦争放棄の規定で積極的平和の状態を目指し、この保障する動きがあって人権が花開く余地が生まれ、維持管理作業を誰がどのように担うのか、これが3つ目の原則国民主権にかかわります。国民は政治だけに注意力することが出来ず、統治を委託される権力であり、これをチェックする仕組みとして、国会・内閣・裁判所があり、特に立法たる国会が重視されています。最終的にチェックするのは国民の役目であり、定期的な選挙や最高裁裁判所裁判官の国民審査、請願権などによって保障されています。統治行為論や、野党の求めがあったにもかかわらず国会を開かない、求められた文章を開示しない、挙句の果てにデーターを改ざんするというのは、自らの職務を放棄するのみならず代表制原理を機能させないことでその背後にある国民の意見を封殺するという意味で、国民主権の否定であり、ひいては民主主義そのものへの攻撃と言えるのです。多様性を認めたうえで議論して最適解を見つける営み、これこそが憲法の目指す民主主義と言えます。

シリーズ 地域発信 耕作放棄地に挑み果樹園の再生を!
 第5回 いまだ人生は「夢の途中」 渡辺 卓也

 都会から農村への転身をストレス解消の生活で、人生100年の世界が開かれているようです。掲げられた人々のこだわりを継ぐ人が現れることを期待します。NPOなどの法人化、農福連携、ソーラーシェアリング、安心安全な農産物を求める消費者との協働、さまざまな可能性を探りながらこの畑を次世代に繋いでいきたいと最終回の言葉にされています。夢を持つということの楽しさを味わいましょう。
人つながる㉕ 埼玉県唯一の村で教えてもらった大切なこと 高野 晃一
 東秩父村での協力隊入所時、「あ、ここは時間の流れ方が違うな。とてもゆっくり時間が流れているな」と感じることが出来たとは、この感性が人を見る目を養っていたのですね。又お母さんとの会話が成立したのです。今はボランティアで、自分のできる小さなところから、恩返ししようとされています。自分で育てた野菜を食べたり、お金ではない物々交換をしたり、人間らしい昔ながらのくらし、‥、それを今の人たちは出来ていないし、本来人間はそうでなければならにというお母さんのメッセージ。二拠点生活を送る高野紘一さん。
書評 芝田英昭著『占領期の性暴力−戦時と平時の連続性から問う』 艮 香織
BOOK REVIEW
Jつうしん
自治の風─広島から 第5回 補助事業採択に一石を投じる判決 深屋 進

 広島からの全国への報告ですが、補助事業の申請にはもっと気を付けるべきだと忠告されています。当時の市長がこの補助事業化する動きに、議会。国会議員を使っての実務を指導した結果、効果のないことになり、補助金返還命令を農政局から受ける大失体になったのです。一首長の思いが、結果的に補助金返還を生んでとして裁判所は認めています。住民の監視の目が動かいたのです。
編集後記
 

2023年3月号読者ノート

 (2023/02/24)
 
特集:農と共にあるまち―生態系をいかした持続可能な農業
 生態系の一部である人間として、食糧問題がいのちに直結する以上、食料精算を担う農業のあり方に寄り添い、持続的な発展について考えます。
目次
◆新春対談 岸本聡子氏(東京都杉並区長)/中山 徹氏

 「参加」をキーワードにまちづくりを語り合う
 今回新しく杉並区の口調になった岸本房子さんの話は、ヨーロッパでのシンクタンクで過ごされた経験と、日本の杉並区民の気象をよくご存じであるように感じました。直営化民営化をシンプルに分けた仕方をしない、そこにいる働く者、子どもを預けている保護者、自治体職員の声を聞き判断することが大切だと。ヨーロッパではグローバル企業が多く、日本はまだ社会福祉事業団みたいな組織が多くこれとの連携が取れると言っています。❹こマで、自治体が、自分たちの地域の中で何が一番合っているやり方なのか選択できない。民営化さえすればうまくいく、という乱暴なともいえる前提で押し付けられて、しかも線引きは附いても全然議論できなくなっているこの指摘は本当に大事だと思います。
 一方地域サービスは市民が協力しながら作っていくとのやり方で、情報公開して、みんなで意見を出し合って時には手足を動かしてよりよくしていくと言ことが必要で、そのやり方の選択肢は無限にあるそうです。
「公」を行政だけが担うものとせず、もっと広くとらえて、そうした力を街づくりや地域の課題解決に生かすことを前提にデザインしていく。
 また市民参加型予算」と「地域化課」が述べられています。住民が提案する、選ぶ、そして執行される、それが地域に戻ってくるという、住民の地域に対するオーナーシップだとか、自治体に対する信頼が高まっていくことが大事である。
かっての「自治のゆりかご」という考えは、現代に働いている世代にはあまり受け継がれていないと思います。だからこそそこは新しい魅力を発信していかなければならない。市民のニーズを把握してそれにぴったりと合った政策をする、それが「地域化」だろうと。大学が多くあり、「気候区民会議」などを開いているようで、専門家が直接審議会に出られていますが、キャリアを積むためにトレーニングのチャンス、いろいろな仕事をやるチャンスを若いうちから重ねていくことが管理職の役目だと、公務員として誇りと自信を持ちながら、地域社会にどうなってほしいのか、余裕があって創造力の生まれる公務員になってほしいと訴えられています。

 ◆連続企画 「新型コロナ」から日本の社会を考える 第 31 回
コロナ禍で顕在化したDV─支援の現場の「今」 岡村 晴美

 コロナ禍ので、ステェイホーム、在宅ワーク、学校休校等を余儀なくされ、DVを受ける被害が増加し、2020年度のDV相談件数は、過去最多の19万30件を記録し、2019年度の1.6倍になっています。DVになり離婚となりすぐ慣れない環境、子どもの教育のためにはしがみつかないければいけない状況にあることを、私たちが知っておかなければならない。DV被害者のおかれた現状について、そして、支援者に対する誹謗中傷について、どうか関心を持ってほしいと思います。
◆直言 まちの財政を身近なものに 財政勉強会のネットワークを 内山 正徳
 財政は首長のものではない、国と自治体との関係等々、課題が並べたあり、難しそうと食べず嫌いが多いいようですが、理解が深まるともっと楽しいものになるようです。「街の財政を身近なものに」を旗印に自治研ネットワークを作ろうとの名呼びかけです。
●特集● 農と共にあるまち ─生態系をいかした持続可能な農業
 農がこんなにも減少して日本人の食料はどうなるのか心配です。農の社会的機能を維持するためのコミュニティーを作り地域の環境と循環を守ることが必要。生体系の一部である人間という意識を感じます。
三重の危機に直面する日本の食と農 清水池 義治
 食料輸入、日本農業の縮小・解体、農業政策の3つの観点から。
食料輸入の不確実性が数値としてカロリーベースで、2021年38%の自給率をみんながどう見るのか、輸入されてきたものを耕地で測れば、推定1200万haで、日本全体面積460万haの3倍です。食料輸入なしでは現在の豊かな食生活は成り立たないのです。
また2007年の食糧危機以降の価格の高止まりが今後も続き、途上国の経済発展による需要増加を受け、2030年にかけて名目価格は穏やかに上昇が続きそうです。
@@
[1農業の実態
一方、食料自給を担うべき日本の農業は縮小・解体が進んでいます。表1を参照してください。 今酪農農家の衰退は激しく、所得で見れば、2021年から2022年度にかけて一挙に半分以下になり、かなりの割合の経営が赤字に転落すると思われます。このような危機にあるにもかかわらず、1961年に制定された農業基本法は規制緩和などを行う新自由主義化により「無効力化」されています。そもそもアベノミクス農政改革の対象は日本農業のセーフティーネットの破壊にありました。日本の食と農をどうするかというビジョンを実は持っていなかったのです。経済成長や技術革新のための手段にすぎず、農業の現場実感と乖離した不毛且つ有害な、市場競争を万能と考える新自由主義から決別が必要です。
新しい農業政策の核は、@食料自給力向上による食糧安全保障の長期的確保、A食と農における環境保全と気候変動への対応、B農村地域の社会経済的基盤の強化の3点と考えるようです。

都心への一極集中から地域での農業へ─循環型地域社会の再生こそ 長谷川 敏郎
 農業をどう見るのか、工業的農業の行き詰まりは、人類の未来に深刻な影響を与えています。アマゾン流域に開発で未知のウイルスの発生が起きているなど、大きな問題を起こしています。長谷川さんは島根県の山村で農林業を営んで、自宅では農作業とテレワークとリモート会議の連続の中で、生態系と持続性・循環を求めるアクロエコロジーの探求を行っているそうです。日本食糧危機と農業危機が同時振興している「日本から酪農・畜産の日を消すな」の運動が広がっています。まさに農地の減少は最高時(1961年)に比べ200万ha減少し3分の2になっています。ゆがんだ日本農業に市場原理主義=新自由宇主義政策を持ち込み、「成長産業化」、「儲かる農業」政策でさらに農村と農業の破壊を加速させてきました。これに代わる「アクロエコロジー宣言」が農民連から出されています。*農民連第24回定期大会議案(2020年12月03日)ではアグロエコロジーについて「環境に負荷をかける化学肥料や農薬を減らし、作物残さなどを再利用し、自然の循環を促進する環境にやさしい農業と食のあり方」と定義している。地方自治体での様子は長年国の農政の下請けにされ、その時々の政策に振り回され行政として正しい判断として実施したことが時代の積み重ね中で「合成の誤謬語病」が生じ、まさに現在の地域農業の衰退はそれに当てはまるものですね。何よりも食料とエネルギーは住民生活と地域産業の基盤でこれを抜きにした「住民福祉」などありえないのです。
デジタル化は日本農業の救世主となるか〜その恩恵と限界を考える 行友 弥
 DXという名の根本的行先はどこなのでしょうか、特に農業関係でのこのÐXは、さまざまな技術開発を生むことになるでしょうが、農業は多様な生態系を支え、人と自然が出会う場でもあります。このことを根本的に抑えていかなければ、技術者の自己満足や机上の空論に陥るリスクが伴います。住民が総出で定期的に草刈りをし、用水路にたまった土砂や落ち葉を掻きだしていますが、このようなコミュニティー機能をどう育成するか、ことなくして、DXで変わることが出来ないことを肝に置いていきたいものです。そのための予算の削減は許されません。
「有機農業公園をつくろう」身近な農の風景で食と農をつなぐ 久保田 裕子
 有機農業公園が足立区に10年前から存続していることに驚きを感じました。この運営が広く各地に広がらないのはなぜでしょうか。ここに挙げられた運営の実態が広がることは農業の進化に少なからず生きていくことでしょうが、その根本に、自治体が存在しなければいけない、この運営実態が明らかにならないと広がらないのではないでしょうか。NPO日本有機農業研究会(日有研)をもっと知りたいものです。* https://www.1971joaa.org/
足立区有機農業公園:https://www.ces-net.jp/toshino/index.html  指定管理者制度で運営されています。

年間を通じて学校給食において 100%地元産有機米を達成 鮫田 晋
 米作りでの有機米の技術の継承として雑草を代掻きの時の作業を応用して、効果が大きく、始めることが出来たということですか。除草ではなく抑草だと言われています。有機米での効果が7項目上がっていますが、どれも当然の事であるかと思います。学校給食の果たす役割がこんなにもつながるとは、持続的つながりを生み、自然と共生する地域づくり、人づくりが教育ファームとして確立したのでしょう。行政としての効果も大きく、計り知れないものがあったと、市長の弁明を聞きたいものです。食育の重要性が、子どもたちの発達につながればと思います。*いすみ市長太田洋から、皆様へメッセージをお伝えします。〜全国に生産物が販売される仕組みを作ることにより、地域が豊かになるよう様々な取り組みを進めています。環境と経済の両立で始めた有機の米作りの取り組みで作った無農薬米は、全国で初めて学校給食の全食に取り入れました。
●連載●
人つながる㉔ 自立・自律・侍立─福島県二本松市で営農型太陽光発電に取り組む 近藤 恵

 営農型太陽光発電とは、同一の土地で太陽発電と農業を同時に行う土地利用形態を言います。農業の忙しく二束のワラジは履けないなど出来ないと思われますが、これが、設備の進化、低価格化しており大型農業機械が入ることが可能となる発電ピークの調整でできるようになったそうです。このような進化が進んでいるのです。
くらしと自治と憲法と
  第 21 回 憲法 53 条違憲国家賠償請求事件 伊藤 真

  憲法53条「内閣は、国会の臨時会の招集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない」と規定されています。これを安倍内閣は放置し98日後ようやく臨時会が招集されたのです。そして冒頭で衆議院を解散して、圧勝したのです。このようなことが、裁判所に「憲法の番人」として憲法保障の役割を果たすことを期待していますが、最近多くの意見審査会での役割が保たれていません。国会召集権が個人の議員に属さないと、政治的責務にすぎないと居直っています。「公益的なもの」「国会に対する義務にすぎない」と国会議員の権利、国民の議員が有権者から託された職を遂行するため、個人としての具体的な経済的利益と人格的利益を持っていることを認めるべきです。
シリーズ 地域発信 耕作放棄地に挑み果樹園の再生を!
   第4回 仕留めた獲物の命をいただく 渡辺卓也

 この地域の野獣の頭数が、鹿が400頭以上、イノシシが300頭前後いると思われるそうですが、捕獲してから解体処理までの施設や衛生管理、販路の確保によって獣肉の地産地消が拡大すれば、農山村にとって活路が見いだせるかもしれません。
検証 津久井やまゆり園事件を人権の視点から考える
  第 15 回 障害者と家族、地域住民の人権と福祉労働者・公務員の権利
  ─地方自治の視点から事件の再発防止とこれからを考える(上) 池上洋通

 障碍者問題のまとめに入ります。憲法と障碍者の権利条約をもとに、個人としての障碍者の自立」−目指すべき根本的課題の冷機、障がい者に対する認識と国民の意識―「社会的な抹殺と隔離に関する歴史的経過、基本的人権の具体的な補償と地方自治の重要性として、政治の最大義務は、各個人の幸福追求権の実現―自己実現を権利として保障することであると述べています。ここで、「市町村最優先、都道府県優先の原則」が掲げられています。また障碍者の人権保障の具体化とは5項目が19条・20条・21条の条約項目に沿っても、挙げれています。
「緊急 1000 万円カンパ」へのご協力に感謝いたします
J つうしん

 広島県からは14個人団体から¥273,000が送られています。ありがとうございました。
自治の風─広島から 第4回 河井疑惑、まだ終わっていない 被買収議員は立候補するな! 山根岩男
 広島風土というか、裁かれるべきは、「氷代や餅代・陣中見舞い・当選祝いなどの金銭感覚」ですが、慣行であるならば見直すべきでありいまだに裁判が開かれていない状態で、中にはこの選挙に出る人も出ています。このような広島県の民主的成長の遅れを早期に変えたいものです。
編集後記
 
 

2023年2月号読書ノート

 (2023/01/27)
 
編集局
2023年4月に行われる統一地方選挙を迎えるにあたって、それぞれの自治体において、地域の課題が争点になります。これからの地方制度・行政がどのような方向に進むかを理解することで、自分の考えるまちづくりにはどのような政策が必要なのか、その政策を実行する裏付けはあるのか。選挙を前に争点の立て方を考えます。
目次
◆直言 未完成のまま22 年が経過した都区制度改革 吉川 貴夫

 大都市での自治体では統治できない人口規模のため、東京都と23区の計24自治体が一体性と統一性に配慮しながら行政運営が行われている。この原則が実際は守られていない。特別区制度と地方自治の民主的な発展を阻害するものになっているとは。広島市の区間の財政的調整を制度として行うことによる調査を広島市でも行って明らかにしていくことが必要ではないか。
◆連続企画 「新型コロナ」から日本の社会を考える 第30回
旅館業法改正案の問題点─令和4年秋臨時国会の審議断念 黒木 聖士

 コロナ感染の広がる中、宿泊業者の中で、感染者宿泊拒否が出来るよう改正案が出来たとか。このことは、この期間宿の泊まる際に、予防接種をした証明をもっていかなければ泊まることが出来ない事態が発生していました。このことからも、この改正案に対する見方を確立しておかなければ、間違った差別、人権侵害を生んでいくことになります。
 人類は感染症と共生していかなければならない運命にあり、誰しもが感染症に罹患する恐れがあること、感染症患者らが差別されてきた歴史への反省を踏まえれば、感染者ましてや感染の疑いのあるものを社会生活から排除するのではなく、患者・感染者の基本的人権を最大限尊重しながら、政府が十分な情報公開を行い、広く市民間で議論をすることを通じて、さまざまな知恵を絞りながら、感染防止対策を模索していくことが必要です。
 このコロナ禍で、ホテルでクラスターがほとんど発生していない事実が報告されています。

●特集● 統一地方選挙の争点の立て方
自治体を小さくする勇気を 自治体政策に不可欠な自立の精神 福嶋 浩彦

 自治体政策で、隣の町にあるものを求める、一見市民の声で、成長期にはこれが大きな力になりましたが、「現在の社会の仕組みを維持したいから人口減を止めよう」ではなく、人口が減ってもみんなが幸せに生きていける持続可能な社会の仕組みの変えよう」に転換して政策を建てることが重要です。「うまく小さくして質を高める」という視点が大切です。市民合意を作る方法を明確にし、新たな創造は、市民が納得し、みんなで知恵を出さなければ進まないのです。利用者の声だけが市民の声になると、公共施設再編成に総論賛成でも各論反対になります。納税者のの立場で議論に加わる「自分ごと化会議」が松江市で行われたようです。「私はどんな社会で暮らしたいか」を前提の出し合うためには、正確さ情報を得て自分なりに考えたいという人がたくさんいます。2000年4月に施工された地方分権一括法で、国の府庁からの通達は廃止され通知になり、これはあくまで技術的助言で、強制力はなくなったのです。自治体は国より市民を見る目があるのですから独自性の発揮が求められます。
市政と選挙に主権者市民の主体性を取り戻す 「市民マニフェスト選挙」でめざす市民自治 松本 誠
 明石市の「市民自治あかし」は、政策提言市民団体として13年前に市政運営の三原則とし、「市民の行政への参画」と「情報の共有」「協働のまちづくり」を全文に掲げる「自治基本条例」の制定をおこし、これがて『明石市の憲法』となっています。「市民自治のまちづくりとと市政」を目指すことを宣言したことで「市民自治あかし」は、「市民マニフェスト選挙」として市長候補者に「市民が作る市民の政策」を提案する事を展開してきました。中間検証評価も行い、今春4回目を迎えます。参照:https://shiminjichi-akashi.net/
第33 次地方制度調査会での議論は、どのように地方自治に影響をもたらすか 榊原 秀訓
第33次答申は非常に理念を述べており、その具体化は今後の課題だと思われますが、地方議会の在り方は独自に議会改革として進めるべき課題です。今回挙げられた課題の整理を行ってください。この報告書にもあるコロナ問題は独自課題としてまだ十分な議論を終えていないとみられます。しかし、政策形成をAIに委ねるいわばAI民主主義によれば、議員や議会は不要のものとなるといった議論です。この主張は、実際には首長や職員も大幅に不要とする民主主義や自治体の存在自体を軽視するものと考えられます。DXやAIによる自治体の変容は予想以上に大きなことが予想され、議会、行政、さらには、統一地方選挙で選択を行う住民もそのことについて真剣に言考えなければなりません。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000854239.pdf

自治体は、住民の個人情報と安全を守る対策を取るべき 久保 貴裕
 DX時代に危険な実態として、個人情報のデジタル企業への横流しを促進して、新たな構成での資料にされていく危険が明らかになりました。一刻も早く自治体でのこのような取り決めの改善と市民もこのような動きに注意していく必要を感じました。「まさに自治体は今「デジタル化狂騒曲」ともいうべき現状です。保育・子ども関係が述べられていますが、自治体の仕事は人的繋がりがあり、他の分野面での実態も明らかにしてほしいものです。
 デジタル臨調は「穴グロ規制の見直し方針」を打ち出し、国民の安全を確認するために設けられている「目視」「実地監査」「定期検査・点検」「常駐・専任」「対面講習」「書面提示」「住訪覧縦覧」の7項目の規制を「アナログ規制」と一括りにしてまとめ緩和撤廃するようです。9669項目の規制条項ありこの中について十分な調査を行って実施するようにしてほしいものです。安全を守る専門職員は必要不可欠であり、デジタル化はあくまで職員の補助手段として活用されるべきです。国が施策として進めるのではなく、自治体が「住民福祉の増進を図る」という役割を担っており、住民の個人情報と安全を守る対策を直ちにとるべきです。

山形県遊佐町 少年議会の活動を通じて まちづくりの客体から主体になる取り組み 解説 荒井 文昭/インタビュー 齋藤 愛彩
 こども会議の発生と経過体験が語られ、大人と子供の目の違いが解った。こどもの意見を大人がどのように扱うことがたいせつだか振り返ってください。子どもたちの議員としての発言は、忖度のない純粋なものでしょうね、大人は是非参考にしていきたいものです。
http://www.town.yuza.yamagata.jp/ou/kyoiku/shakyo/shounengikai_2021html

 地域・自治体からボトムアップ「Local Initiative Network」からのお誘い
 東京都の小金井市・中野区・世田谷区・多摩市・杉並区の5区長が揃っての、硬直した権威主義的計画行政から地域や市民が主導するまちづくりへの転換が図られ、公契約条例による労働報酬を底上げし、地域が豊かになる改革を進める。デジタルデモクラシーで、伝統的既得権、と「新自由主義的な公的セクター解体」が交錯する政治構図から、現状をよりよく修復し、再生させていく社会包括型の「いのちの政治」を目指していくそうです。「政党の選択肢」ではなく、地方から変える、と言います。https://peatix.com/event/3448503
住民と自治』定価改定のお知らせ
  住民と自治誌が3月号から800円になります。
斎藤文男先生逝く90 歳、民主主義への熱い思い 宮下 和裕

 福岡自治研の創始者の冥福をお祈り申し上げます。
ZOOM IN 高知県・四万十市 子どもの教育、人権、命を守るために
大学誘致失策からの新たな地域創りに向けて 有原 陽子

 まさに市民の声を聴かない市長・教育委員会の姿です。看護大学を中学校の跡地に誘致するとして学校のプールもすぐ解体するなど、子どもの状態を無視したものであり、行政ではありませんね。頑張ってください。
●連載●
人つながる(23) だれもが安心して楽しめる映画館 平塚 千穂子
 障害を持った方々が、楽しめるシアターニュニバーサルシアターが東京都北区に生まれたそうです。ここでまた映画製作に取り組まれ、新しいツールや言語、習慣や価値観が違っても、根っこの部分で「心」は伝わるというコミュニケーションの本質を描いた作品です。タイトルは「こころの通訳者たちWhat a Wonderful. World」
https://www.bing.com/search?q=%E3%81%93%E3%81%93%E3%82%8D%E3%81%AE%E9%80%9A%E8%A8%B3%E8%80%85%E3%81%9F%E3%81%A1%EF%BC%B7hat+a+%EF%BC%B7onderful.+%EF%BC%B7orld&qs=n&form=QBRE&sp=-1&pq=%E3%81%93%E3%81%93%E3%82%8D%E3%81%AE%E9%80%9A%E8%A8%B3%E8%80%85%E3%81%9F%E3%81%A1%EF%BD%97h

くらしと自治と憲法と
第20 回 信教の自由〜統一教会の被害者救済法案との関連で 櫻井 義秀

 統一教会の、批判のやり方で、信者の宗教的人格を認めたうえで、公共の福祉を害する教説と実践を批判するのが、信教の自由が認められた社会のあるべき姿だと。しかし、統一教会には建設的な日韓関係の構築を損なう教義や歴史認識があります。日本の植民地支配に対して食材を迫る協議と実践があり、そのために多額の献金を要求、嫁不足の一環として合同結婚式で未信者の韓国人男性と結婚させられ、韓国に渡った約7000人の日本人信者たちの苦難の人生が生まれているのです。
シリーズ 地域発信 耕作放棄地に挑み果樹園の再生を! 第3回 ともに畑を耕す仲間たち 渡辺 卓也
 有機野菜コーナーでの野菜作りの基本は落ち葉を肥料として使うことだと、昔の百票がやっていたことで、化学肥料などを使う必要がなかった土づくりでした。自然のサイクルにもっと興味を持っていきたいものです。オーガニックコーナーも同じですか。
@NEWS 住民無視、工事強行再開に踏み切る事業者 年明けから緊迫 東京外環道トンネル 丸山 重威
 大型公共事業で、裁判でも判決が出ているのにその解決を行政が行わない。なんという事態なのか怒りを覚えます。そもそもこの被害を起こし原因が明らかになり、しかしその責任者が不明とはどういった発注なのでしょうか、やればいいと見逃す行政姿勢に、税金が使われているのですから大きな問題です。住民のあたりまえの生活と申請を復活させてほしいものであり、裁判判決を愚弄するものに厳しい対応を司法当局も行ってほしいものです。
書評 稲葉一将・稲葉多嘉生・児美川孝一郎著
『保育・教育のDX が子育て、学校、地方自治を変える』 石井 拓児

 デジタル化が保育関係で素早く行われており、この問題点について各保育関係者はすぐさま掴まなければデータ連携に飲み込まれてしまいます。この本はデジタル化の問題点を鋭く分析しつつ随所で問題克服のための具体的な課題を提起しています。
書評 編集委員 上間陽子・川武啓介・北上田源・島村聡・二宮千賀子・山野良一・横江 崇
『復帰50 年 沖縄子ども白書2022』 佐藤 桃子

 沖縄の子の声を聞こう、ここに今ある沖縄と将来への沖縄が見られます。多くの本土の国民がこの本に触れてもらいたいと思います。
BOOK REVIEW
年賀広告
Jつうしん
自治の風─広島から 第3回 高炉の火が消えても、平和の灯は消させない 奥田 和夫

 呉市には、旧軍港都市転換法が生きています。軍港拡大に反対の声を上げていきましょう。
編集後記
 

2023年1月号読者ノート

 (2022/12/15)
 
目次
◆新年のご挨拶 市民生活の向上、地方自治の発展、地域経済の活性化をめざして 中山 徹

 昨年度最も衝撃的だったのはロシアのウクライナ侵攻で、まるで、戦前に戻ったのかのようでした。国内では、少子化に歯止めがかからず、高齢化が進んでいます。政府は地方創生からデジタル化を進め、具体的なサービス供給を民間に委ねようとしています。
 これがデジタル田園都市国家構想なのです。
今年自治体問題研究所は創立60周年を迎えます。

◆直言 社会のデジタル化とスマートシティ 山田 健吾
  我が国の行政事務のデジタル化は、2002年の「行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律hが制定されたことから始まり、基本法が2016年に成立し、2019年にオンライン化法が大幅に改正されデジタル手続法となりました。そして、2021年にデジタル改革関連法が成立その目的は、紙媒体などの情報をデジタル・データーに置き換えに留まらず、私たちの生活空間や労働環境など作り変えることになりそうです。
 その最終法案として「デジタル田園都市国家構想基本方針で、スマートシティを100地域で構築する目標です。これらスマートシティーへの合意がどう得られているのか、デジタル化にともなう個人情報などの規制や調整はどうなっていくのか、数々の問題がコントロール不可能となっていきます。デジタル化を再編整備し、地方自治の再生を図ることが必要です。

◆連続企画 「新型コロナ」から日本の社会を考える 第29回 新型コロナと介護 伊藤 周平
コロナ禍で、パンデミックの発生が甚大な影響を及ぼし、医療など日本の社会保障の制度的脆弱さお浮き彫りにしています。医療崩壊とともに、2022年11月末まで累計5万人近くを数える新型コロナによる死者数が出ており、介護現場も低く据え置かれた介護報酬と政策的帰結としての人でず足による老人福祉・介護事業の倒産件数が2020年には118件と過去最多となりました。また介護報酬の抑制は給付抑制策の帰結しており、介護専門性の劣化が進んで廃校に至った介護福祉養成学校も出ています。コロナ禍で在宅介護が広がり、家族介護者の負担が増大しています。高齢者施設では、新型コロナのクラスター発生が相次いでいますが、全国で850件と過去最多と記録していますが、そもそも高齢者施設では、感染疾患に感染対策が脆弱であることが大きな原因です。高齢者施設への医師や看護師の派遣施設内診療体制の確立が難しいことを示しています。その中で、厚労省のPCR 対策の遅れが大きく、定期的、頻回の検査の実施が必要なのです。
 当面の課題として。第1に定期的なPCR 検査を全額国庫負担で実施、第2に感染者を直ちに入院治療に移せる医療提供体制の整備、第3に、利用者減少などに伴う減収を公費で保障があげられています。
 安心できる介護保障の仕組みに向けては、介護保険法は廃止し、自治体の責任で高齢者や障碍者への福祉サービスの提供を行う税方式の総合福祉法を制定すべきです。

●特集● ジェンダー差別を超えて多様性の時代へ
 「ジェンダー」とは社会的・文化的性差を指しますので、「社会的性差による格差指数」とするべきでしょうか。ジェンダーギャップ指数で日本は2020年で、0.650で146か国中116位で、2006年が、0.645でした。
今回の特集では、@ジェンダー差別を生む構造がどのような所にあるのか,Aどのような思想のもとに成り立っているのかを知り、Bどのような人もありのままの自分でいられる社会の在り方について
 考えていきましょう。

文化の多様性とジェンダー平等 松岡 悦子
 世界の共通の目標となれる一方で、ジェンダーと相いれない文化や道徳観を持つ社会が世界には多くあるでしょう、日本がこのジェンダー平等の大きく遅れていることに、なぜ気が付かなかったのか、大きな遅れと言いつつ、それを正すのは、経済レベルで気が付くのか、文化の在り方か、日本が国連の定める勧告や目標を自分たちに関係のない他人事のように見なしがちなのは、未来に目標を定めて、それに向かって社会を変えていくというあり方に抵抗を覚えるからのように見えます。ですが、社会を変えずに現状維持を保とうとすることは、未来志向で動く欧米とのずれを一層広げることにつながると思われます。
 道徳観は文化によって異なり、ジェンダー平等という概念は必ずしも世界共通の価値になっていないと言えます。ジェンダー平等は欧米の一部の人たちが重視する民族自決の概念だという見方もできるでしょう。
 文化に優劣はなく、自文化の基準で他の文化を判断をしてはならない。これは文化相対主義と呼ばれ、異文化に対して寛容であれという点で、とても重要な考え方です。また、多様な文化の存在を認めつつも、世界は共通のルールを良くして居ます。グローバル化がそれを促進し、共通のルールがなければ議論の基礎を築けず、問題解決に至らない場面がたくさんあります。より普遍性の高い概念を用いて多様で異質なものを含みことであり、普遍性のレベルを上げていくのです。グローバル化の問題は多々あるとしても、私たちはローカルな文脈を考慮に入れつつ、普遍性の高い概念を用いてより多くの人々を包み込み、未来志向で社会を変えていくことが今求められているのだと思います。

東京・国立市 多様な性を尊重するまちづくり 木山 直子
 国立市での多様な性に対する条例が、2018年4月に施工され、その施策の中心施設が、パラソルという小さな小さなセンターで、行政から民間委託されてSOGI、個人の性の在り方を示す言葉をとおしてじわじわジェンダー平等の社会が実現する活動が、紹介されています。ここで気づいたことで、医療者向けの研修を実施したところ参加者がゼロだったと言ことがあります。???参考:https://www.nijiirodoctors.com/aboutus
ケア労働者の処遇改善のためには「ジェンダー平等」の社会が不可欠である 森田 進
 日本における女性の蔑視の傾向が依然として変わっていない。この変化をどう生み出すのか、ジェンダー平等を強く社会に広めなくてはならない。特に医療関係での女性の扱いが、大学入試制度の当選点数の規定で、100点を取っても女性は80点しか認められないとなっているなど、この社会規範がそもそも、女性社会の劣悪さを象徴しています。ケア社会の介護においても制度立案の政府自体に、この女性蔑視が絡んでいたので、今や崩壊に向かっているのですね。「女性中心の家事労働について、若いものからの変化が生まれているのですが、社会化するとこの壁が大きく立ちはだかっていることが明らかで、政治社会での女性比率の向上など、早期に解決できない問題に加担に取り組む政党が大きく伸びていけるようにしたいものです。
労組内での意思決定の場における女性の参画の現状について 岡上 則子
 労働者組合の女性部での活動が、多くの男性に訴え切れていないと感じるのは自分の偏見なのでしょうか。看護婦の父親として今まで来た裏方には、このような女性部からの働きかけはなかった。組合の意思決定に女性の意見の反映割合が小さかったからなのでしょうね。労働組合のジェンダー平等は、率先して行われてほしいものです。食事の下ごしらえをこれから自分が出来るようにならなければと思います。
シンポジウム 「法整備と SOGI」 に参加して 編集部: 松川 遥
 LGBTに対する関心が高まる中、自らが当事者であることをカミングアウトし、それによる困難を周囲に知らせしめることは重要な過程ではありますが、強い差別が残る現状で自身が当事者であると名乗り出る必要のある法の在り方であってはならない。このシンポジュームで話題に上がったのは、日本社会の宗教右派による、根深いトランスフォピア(トランスジェンダーへの嫌悪)に基づく情緒的な反論です。思想や価値観がスピーディーに変わる時代の中で、自分の信念・価値観が揺るがされている人の不安があるように、この変化の速さはあっという間に、違った方向に社会通念が誘導されうるという事でもあり、誰もが暮らしやすい社会に向けて、たゆまぬ努力が必要になりますね。
自治の視点が問われた─区画整理 再開発住民運動集会を終えて─ 遠藤 哲人
 自治の視点で都市計画自体の作成が行われた時、その段階での当局と住民との間にどのような関係が作られていたのか。このことが大きく性格づけられたものになっていきます。一方新自由主義はこの糧で、自治体ではなく一事業者として、市民に犠牲を押し付け、利益を業者側に与えることを任務としちきます。ただの地方統治機関である以上に、独占資本の先導者化しているのです。暮らしなどに構わず、潤沢な開発行政に、国が大枚を与えているのです。このような地方自治体の姿に、横浜市での敵を作らず、公共性の錦の御旗を掲げた交渉が目を引きます。市民、自治体職員、議員、市長の総合力で、都市計画の話が出来ればいいですね。
●連載●
人つながる(22) NPO法人フリースクール「てだのふあ」
〜子どもたちが安心して過ごせる居場所づくり〜 山下 吉和

 子供の多様性の中に不登校があるのでしょう。全国にあるフリースクールの数が500あると、不登校の受け皿を官民一体となって増やしていくことが、喫緊の課題ですね。子どもたちの太陽が輝く場を確保することは素晴らしいことですね。
検証 津久井やまゆり園事件を人権の視点から考える
第14回 津久井やまゆり園の地元住民としての想い…考え、行動 鈴木 哲夫

 やまゆり園の問題は、地域から障がい者差別をなくさなければならないとの声が沸き起こり、「障害の有無にかかわらず共に生きる社会について考える会」が生まれたようで、自らに内に秘める「差別意識」の克服と合わせ、犯人が「障がい者は役に立たない」として障がい者の基本的人権、生存権を全否定したことが「事件」の本質と考え、まず何よりも人権の大切さを学ぶためにその根本となる憲法を学び、「差別を許さない社会を目指してできる活動は積極的にやろう」と努力されてきたようです。
おきなわ定点観測 第10回 日本国憲法の“真価”を私たちに問い続ける沖縄 関 耕平
 沖縄生活9か月間で、基地をはじめ沖縄で起きている問題が、日本全体で受け止めるべきことだと強く感じられたそうです。明治憲法から日本国憲法へと変わる際に追加された2つの条項は、「戦争の放棄」(平和主義)と「地方自治」。これが日本国憲法の“真価”ですね。キャッチャーとして今後とも沖縄問題に、受け止めていきましょう。
シリーズ 地域発信 耕作放棄地に挑み果樹園の再生を! 第2回 荒れ地を開き安心安全なみかんを育てる 渡辺 卓也
 ミカン栽培での無農薬・有機農法を実施されるまでの不安は大きかったことでしょう。小鳥のさえずる農場での栽培が、自然循環を豊かにしているのでしょう。耕作放棄地の無農薬は、自然に劣る実態だった、これが整理されて築く自然の中に育つミカンは、味はどうでしょうか。全国的な無農薬ミカン栽培はどのくらいあるのでしょうか。
@NEWS ユニチカ跡地住民訴訟と住民自治の展開 御代田 桜子
 企業融資と土地の全面移譲が行われる際の協定書が、住民運動の成果で守られているようです。ここにも、住民監査請求や、住民訴訟が出てきますがそのまとめ方が大切ですね。130名の原告団の一致した運動がこれを支えていると思います。https://yunichika.jimdofree.com/
BOOK REVIEW
ローカル・ネットワーク
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Jつうしん
自治の風─広島から 第2回 鉄道のある暮らしを未来へ 佐々木 隆一

 国民の足を守る国労からの報告で、JR本州3社の「内部留保」が、7.5兆円にもなっているとは、大きな額が、中央新幹線に使われるのでしょうか。住民との今後の連携を期待します。
編集後記
 

2022年12月号読者ノート

 (2022/11/24)
 
編集局
四日市公害ぜんそく裁判が結審してから50年。経済成長第一の政策の結果、環境破壊は公害という形をとり生物学的・社会的弱者に集中した被害をもたらしました。環境汚染は複雑で見えにくく、地域住民による科学的な検証とそのための運動・学習のネットワークが不可欠です。公害を教訓として環境基本法および個別法が制定され、国際的にもSDGsが提唱され維持可能な開発目標を掲げています。私たちは過去の失敗を正しく受けとめ、維持可能な内発的発展に進んでいけるのでしょうか。
 目次
◆直言 いまこそ、地方公務員の長時間労働解消を 重野幸介

 新型コロナ感染症拡大以降、全国で地方公務員の長時間労働が続いていることに、労働基準法違反であることの認識が誤解されており、すでに2年以上が経過した時点で、見直さなければいけませんね。最近の自治体DXのための業務の標準化は、地域の特性に沿った地方自治を破壊することが出ています。中には「行かなくてもよい役場に」などというスローガンを掲げる自治体が出てくるなど、密接であるべき住民と自治体の距離が広がろうとしています。
●特集● 四日市公害裁判から50年 公害から今何を学ぶか
 1972年の公害闘争が、多くの課題を環境破壊という形で生物学的・社会的ジャンク者に防衛闘争として立ち上がりました。それから50年国際的にSDGsが提唱されるに至っています。持続的可能な内発的発展に進む方向を学びましょう。
公害経験の継承を通じた協働のまちづくり─維持可能な内発的発展に向けて─ 除本理史
 公害での各地の司法上の紛争が終結したことで、公害患者と被告企業、自治体など様々な関係主体が、協働し地域発展を目指すという方向転換が期待され、持続可能な内発的発展に結びついた事例が綴られています。宮本氏の内的発展の「目的」「方法」「主体」をまとめています。この用語に関知してください。
 NPOとして団体として、「環境再生まちづくり」「脱炭素社会をめざして」と取り組みを起こしていることが、報告されています。
一方、公害紛争の中で、解釈の視点が立場によって異なり、それらの間の分断や対立が生じた影を、「困難な過去」と表現されています。このような地域での公害経験の継承に取り組むにあたって、重要なのは多視点性(多様な視点から解釈を許容しつつ、「過去」からの学びを促す姿勢)が重要だと言っています。公害経験の継承に正面から取り組むことが協働のきっかけになり地域の歴史を知り地域の将来を考える可能性を生むのです。

多視点性による公害経験の継承─倉敷・水島の公害資料館づくり─ 林 美帆
 倉敷・水島のコンビナートでの公害資料館を作るにあたって、「公害」を見る複数の視点、環境や人権、健康)があげられています。視点が複数になることで、ある視点に限定されることはありません、複数人で作り上げることで「みんなの歴史」となり、参加者が自分の歴史として語り出すという効用があるのです。水島の歴史が語られていますが、古くからの新田開発の歴史があるのですね。改めてこのような振り返りが必要ですね。
消えないPFOA汚染─大阪府摂津市からの告発 増永わき
 PFOAが、耐水性、耐油性に優れた有機フッ素化合物で、フライパンのテフロン加工など様々なものに使用されてきた。ダイキン工業の製作所周辺の畑で農作物を作り、非汚染地域の70倍もの検出があったのに、摂津市は全く動こうとはしていません。このようなことが今の社会でも残っていることに驚きを感じました。企業自治体の責任は、今からでも遅くなく、解消の点検を行ってほしいものです。
住民の学習をつうじた公害経験の継承 清水万由子
 1967年四日市公害患者9名がコンビナート企業6社に対して損害賠償訴訟を起こし、1972年伊都地方裁判所で米本清裁判長が下した判決が出されました。
 判決は、「人間の生命・身体に危険のあることを知り得る汚濁物質の排出については、企業は、経済性を度外視して、世界最高の技術・知識を動員して防止措置を講ずべき」であるとして、国・自治体についても、「当時の国や地方公共団体が経済優先の考え方から公害問題の惹起などに対する調査検討を経ないまま、旧海軍燃料廠の払い下げや条例で誘致を奨励するなどの落ち度があったことは窺われる」としています。
 この判決文を契機に住民運動の大きな刺激になり、石油コンビナートの取り消しなどを起こした地域も現れたのです。これらの地域では住民が重ねた学習会が大きな力になっています。住民が学習会を通して獲得した主体性は、住民アイデンティティの核心にある地域環境(アメニティ)の価値も含んだものだったのです。今、このような公害地域での経験の継承という課題が自治体や公害被害者団体、大学などが公害資料館を設立し、展示解説、語り部講和、現地研修、公害資料の収集・保存・整理・活用などに取り組んでいます。公害の経験を通して確認された「価値」を地域において具体化し、現実のものにすることが、公害経験の継承であると考えます。先人から受け継いだわが町の環境をより良いものにして次世代に手渡していくための継承は、重要な意味を持つと考えます。

インタビュー 公害被害者救済から地域再生のまちづくり運動へ 森脇君雄・上田敏幸・傘木宏夫
 歴戦の勇者の思いを感じますね。公害という言葉がなかなか使えなくなっているとは、かって被害者の集団作りと、認定漏れになった人の補充闘争が残っているのですね。医師との共闘が、民医連が中心になっているようです。かっての戦いの分裂に労組があったとは、今は被害者中心に戦われているとか、公害という言葉から街づくり運動が生まれるとともに、語り部の継続が大切だとか。環境を監視することが、経済界からの圧力から消されないようにしないといけないし、原点に立った公害被害者運動を続けることが大切ですね。
資料 公害とそれに関連する主な出来事
 1891年っから2021年までの動きの中で、1946年の新憲法発布、1963年三島・沼津の石油コンビナート反対運動、1970年「公害国会」開催、1972年ストックホルムで国連人間環境会議開催。1974年大気汚染防止法改正など多くの系列が記載されていますが、2011年東日本大震災の原発被害に対する環境破壊がいまだ続いていrことに疎くなっていないだろうかと反省しています。
ZOOM IN 大阪・枚方市 市役所移転を止めた「市民の力」 野口光男
 枚方市の住民運動は、革新市政の経験から粘り強く市交渉と、学者を呼んでの学習会、議員団主催の全戸ビラ配布、毎週の考える会の事務局会議の継続など、優れた活動が目に入ります。一方の維新の会の無謀な予算増額、民間優先の活動に怒りを覚えます。又役所の住所変更は地方自治法第4条の特別議決という項目があり出席議員の3分の2の賛成が必要だとか。大型開発事業は、総事業費781億円が855億円に増額されるなど広島市の総合開発と同じことがされています。
FOCUS 医療を人質にマイナンバーカード取得強制 松山 洋
 マイナンバーカードの強制的取得に、医療保険制度をかますとは、河野大臣の智弱な発想だと、批判されています。これが及ぼす、地域医療の崩壊、認知症増加による忘れ放題、自治体での保険証発行義務の負担など、ようやく5割になったマイナンバーカード取得者数をどう見ているのでしょうか。
●連載●
人つながる(21) だれでも なんでも「アートスタジオ大山」─声を出せない人の声を拾う 尾曽越理恵

 素晴らしい活動場所だと感心しました、「表現は自発的なもので、その結果生まれる独自性を大切にした」という発想も、生活困窮者の集まる場での展覧会は、お互い引きつけ合うことでしょう。
くらしと自治と憲法と 第19回 日本国憲法前文の先見性 只野雅人
 憲法第2段落最後の「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から逃れ、平和なうちに生存する権利を確認する」と一節を改めて学びましょう。この条文を作るときの参考文案は「大西洋憲章」にあるとか、この条文に関する判例で、長沼ナイキ訴訟での札幌地裁判決が上がっていますが、高裁で平和的生存権には具体性がなく、裁判で主張することはできないと判断されています。この項目が全文にあり、個々の人権規定解釈の指針になる以上、憲法第3章が保障する個々の人権の問題として、その趣旨を生かした解釈を考えてゆくことは可能なはずです。75年前に制定された前文に盛り込まれた先見性ある視点をどう生かしてゆくべきかが、平和的生存権を宣言した「私たち」に問われているのですね。
検証 津久井やまゆり園事件を人権の視点から考える
 第13回 障害者権利条約日本審査の総括所見の意義 赤松英知

 障害者権利条約の締結国に対し、国連本部では、建設的対話と称して、この条約の実施状況の聞き取りが行われるのです。政府はもちろん、この条約に関係する団体からもこの会議に参加できるのだとか。この建設的対話から、今回津久井やまゆり園事件での政府の対応にも鋭く意見が述べられています、今後の不備に関しての進展させる方策が実施されることを期待します。
おきなわ定点観測 第9回 沖縄のメディア・ジャーナリストの矜持─2人の記者との出会い 関 耕平
 沖縄のジャーナリズムの質の高さがあげられています。旧陸軍幹部が行った沖縄県民徹底抗戦を指揮した幹部を、自衛隊員は18年間集団参拝し敬意を表明していたとは、驚きです。又硫黄島に射撃訓練場を作り米軍に使わすことを、「島を外国に売り渡すのか」と批判したジャーナリストの言葉は、私も反省すべきことです。
公民館における出会いと学び 最終回 第6回 住民に寄り添いともに学びを創る職員 田中純子
 岡山市の公民館職員の働きで、地域を見つめ、住民に寄り添い対話を重ね、住民とともに学びを誘導し実践につなげていくためには、職員自身が学び続け、経験の中でその専門的な力を育む必要があることに気づかれたのでしょう。非正規職員では出来ないことですね。
シリーズ 地域発信 耕作放棄地に挑み果樹園の再生を! 第1回 セカンドライフへの道のり 渡辺卓也
 大変なセカンドライフの出発ですね。それも無年金・未収入で借家住まいとは、奥さんも大変でしょうね。この点での対話も大変だったことでもありましょうが、それまでの援農の体験の不純が、導いた行為でしょう。農業とは本当に苦しいけれど、その喜びをどう感じるかにかかっています。頑張ってください。
@NEWS お粗末な市長暴走の顛末 辻 よし子
 あきる野市長の暴走とは、本当に保守対決できる政治家がいないのでしょうね。独断での特養施設建設に関して、もっと静かに説得できなかったのでしょうか。目的と手段のかけ離れはなくしてほしいものです。
『住民と自治』読者・自治体問題研究所会員のみなさまへ
 どこの世界でも物価の値上がり、住民と自治誌の値上げが、今後の自治研運動にどうつながるか、会員拡大が望めない情勢の中大変厳しい世の中、早く岸田内閣打倒です。
BOOK REVIEW
ローカル
・ネットワーク
Jつうしん

自治の風─広島から 第1回 原爆「黒い雨」被害者を支援する活動について 牧野一見
広島から6回にわたって掲載されます。期待してくださいね。
編集後記
 

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