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2022年8月号読者ノート

 (2022/07/29)
 
編集局より
 2013(平成25)年12月4日に施行された交通政策基本法では、交通に対する基本的需要の充足が重要であるという認識のもと、基本理念に対する国・地方公共団体・交通関連事業者及び交通施設管理者それぞれの責務を定めています。住民が好きな時に好きなところに行く権利を保障することを考えた時に、国と自治体と、日頃からその恩恵にあずかる住民自身はどのように向き合うべきでしょうか。
目次
◆直言 「財政危機」に備える  森 裕之

 コロナ禍で国の財政出動が大きく変わっています。円安の陰で、円の価値が下がり外国人労働者の確保が難しくなる、そうなれば国は再び財政引き締めに舵をきらざるを得なくなる。その最大のターゲットが地方財政にほかならないというのです。自治体への地方交付税の支出を下げて、国民生活に使う金が少なくなるのです。地方自治体は「赤字にならない」ことを最大限務め、財政破綻の警告としています。財政危機に直面した自治体のできる主な手段は、法定外税を作るなど市独自の財源を確保するか、相対的に不要な公共サービスや公共事業を削ることの二つです。家計危機の際に何を節約するかは、他人ではなく自分たちで決めるのと同じこと。これからの財政民主主義の厳しい実践に向けて学習しましょう。
●連続企画● 「新型コロナ」から日本の社会を考える 第26回 コロナ禍が浮き彫りにしたフリーランス・名ばかり事業主の実態と救済の必要性  清水亮宏
 フリーランス・名ばかり事業主の実態には、多くの問題があり、各種の取り組みが行われてきたようです。労働者として認められないとは、その違いは何なのでしょうか、労働者は労働基準法によって守られていますが、フリーランスにはこの法律は、「救済の困難性」があるようで、救済の手段乏しいと言わざるを得ないのです。独占禁止法違反や下請け法違反に対して指導等を行う国の機関として公正取引委員会が存在しますが、法違反の認定に至るハードルが高く、時間も要するのです。実効的な保護のために4点が提案されています。
●特集● 住民の足を守ろう─権利としての地域公共交通
●移動する権利を実現する自治体へ─コロナ禍を超えて─  西村 茂
 
コロナ禍による移動の変化を、「促進」から「制約」の180度変換が起きています。そもそも、「移動しない/させない」という政策の意味は、基本的人権について、関わるものであり、移動は個人の生活だけでなく、社会の成立に不可欠です。この中で、テレワーク、オンライン授業など大規模な社会実験が行われたのです。テレワークは通勤や出張が「強いられた移動」であると意識され、これが地域格差が生まれたりしており、この変化の中で、政策として、外食、旅行、買い物、通院を控えるという短期間の変化が出てきます。移動の頻度が減っただけでなく手段も密になる公共交通は嫌われ、車、自転車、徒歩など「私的な」手段が好まれました。
 次に「すべての人が持つ移動する権利」「手段を選択する自由」を法律で定めているフランスの実態を追求しましょう。2019年12月にモビリティ(働きやすさ、可動性、流動性)基本法が制定されこれにより交通権はモビリティの権利に、交通税はモビリティ税に改称されました。その背景には「黄色いペスト」運動、格差への抗議運動が存在していました。この運動の発端は移動・公共交通の地域格差だったのです。交通権は今年で40年の歴史がありますがその国でなぜ移動の格差があったのでしょうか?自治体が区域内すべての公共交通の路線・運賃・時刻表・サービス内容を組織する権限を持っています。しかし旧モビリティ税は「「都市」交通のための資金と考えられ、課税できるのが都市の自治体に限定され、カバーしていたのは56都市圏のみでした。2012年には236都市圏と増加したのですが、課税できない公害や農村部は残り、多くの「空白地」が生まれていたのです。コロナ禍によって人の移動行動、意識は変化し、密になる大量輸送サービスに疑問が投げかけられ、公共交通は今後、運賃収入減とコスト増加が予想されます。今後は、自治体が自由になる財源(地方税など)の確保、公共交通からモビリティに視野を広げることがますます必要になっています。
移動権を確保するためのバリアフリー  藤田博文
 バリアフリーの実態について筆者の体験が綴られています。ぜひ全文読んでください。私たちが感じる以上の事が、原点だと気が付きます。「いつも誰かに助けられることを前提に生活する姿を想像してみてください、きっと相手に気を使ってしまって家族や友人と純粋に人生を楽しむことが出来ないと思います。確実にバリアフリー化がすすんだことは間違いありませんが、人として移動の権利を享有しているのであれば、誰の手も借りず、誰かの善意に頼ることなく自由に移動ができることこそ権利を実感できるのではないでしょうか。
●公共交通に今求められる「環境への配慮」  加藤博和
 EST(直訳すると「環境的に持続可能な交通」となるのです。)によって交通活動は持続可能になる」このことの手法を彫り上げます。交通に伴う環境負荷を削減するアプローチには、交通技術(EST1)と交通活動(EST2)の2つがあります。 EST1の典型は燃費向上や再生可能エネルギー導入で、多くの場合、自動車メーカーや電力会社の取り組み状況とそれを交通主体が選択するかどうかで決まり、地域による違いは大きくありませんが、費用・利便性と環境負荷は相反することが多く、容易ではありません。本当に環境負荷削減につながる保証はなく、科学的な予測分析や、定量評価によるチェックが必要です。
今回「環境負荷削減のために使える者でなければ、公共交通は生き残れない」ことが表明され、「だれ一人取り残さず、人にも環境にも優しい交通」の追求が施策担当者が意識する必要があるようです。

ローカル鉄道に国・自治体・住民はどう向き合うべきか  地脇聖孝
 地方の鉄道路線の配線危機が叫ばれ、バス転換や第三セクター転換がされることが起き150年の歴史がどう追い込まれてきたのか。輸送密度という㏠1キロメートル当たり輸送量の基準でもって図られてきたのです。また国鉄再建法施行令では、特定地方交通線の選定基準が輸送密度4000人と定め基準未満の路線は相当とされてきました。特定地方交通路線83線区、3157.7キロメーターのうちの38線区、1310.7キロメーター(全体の41%)が最終的に私鉄・第3セクター鉄道への転換を選びました。いつしか鉄道は限られた利用者が全てを負担し、公的関与がないのが当たり前という風に市民も信じ込まされてきました。公的関与の一つとして@(上下分離)し、、「下」は政府または自治体が全面的にバックアップすること、A災害復旧を公共事業とすることは待ったなしです。しかし、災害復旧を望んでいても、JR6社は1割の負担額にも難色を示しているのです。JRが公共交通事業者としての役割を放棄するなら、線路をJRから分離し、住民の手に取り戻すシナリオも検討されなければなりません。鉄道路線の廃止手続きを認可から届け出に変更した鉄道事業法を見直す機運も出ています。日本では路線が自治体の所有であっても、地方交付税算定の基礎となる基本財政需要額はもちろん、その根拠となる測定単位の対象にさえされていません。一方で道路・港湾は対象です。
公共財である公共交通の存続が、収支や輸送密度を尺度として機械的に論じられるのは、世界でも日本だけと思われます。およそ先進国、EU格国では、PSO(公共サービス提供義務)の考え方が普及しておりします。
公共交通の担い手のほとんどが民間企業であることで、PSOの実現が困難と認められるのであれば、経営形態の変更(再公有化)など思い切った議論にもタブーなく踏み込むべきでしょう。住民が主体的に関与し、納得して受け入れた転換を作り出す、沿線自治体協議会の法定化が必要でしょう。

●ポートランドにみる持続可能な都市交通経営の財源構造  川勝健志
 日本の公共交通は「社会に必要なサービスを提供する公益性を求められる一方で、収支をやりくりしなければならない、極めて危うい状況」にある。ポートランド都市圏での交通街づくりの基本が、周辺部に暮らす人たちが中心部に集約された都市機能にアクセスできるように公共交通を整備しようとしている点です。又トライメットという特別区制定により、公共サービスを提供する役割を担っているのです。このトライメットの収入は、全体の6割が交通税で構成され、これに連邦や州・地方からの補助金を加えると実に75%以上が公的負担になっており、運賃収入は全体の2割もないのです。また連邦からの補助金は老朽化した車両や関連施設の修繕や取り換えを行うために設けられた「補修プログラム」を積極的に活用し増価させています。また交通税は都市圏内の民間事業者や地方自治体に対しては給与総額に、自営業者に対しては圏内で稼得した純所得に課税されるので、税収は景気の動向に左右されやすい仕組みと言えます。又サービス向上を目的に資本拡張に向けた投資を賄うための資金確保に、交通税率を毎年0.01%づつ引き上げることになっていたのです。教訓として、第1に独立採算性原則からの脱却です。第2に特に鉄道のような巨額の投資費用がかかる資本事業に対しては、中央政府が恒常的で安定的な財源の移転を行ことです。第3に交通街づくりのプロセスに住民参加の機会を保障する仕組みを構築するということです。
警察法「改正」と内閣のインテリジェンス体制  白藤博行
 サイバー警察局・サイバー特別捜査隊の創設が2022年4月1日より施工された。この部署が、国家公安委員会と警察庁の所掌事務にされたのです。デジタル社会に特有な警察事象であるサイバー犯罪に対処するため、警察法が警察の事務と組織を新たに定めることは当然であるように見えます。しかし、この改正が、戦後警察法の基本理念・根本精神を壊すという事であれば、話は別です。
かって警察法2条と同36条を「警察法の脊柱」とまで「日本警察というのは架空のものであり、法的に言うと、47の都道府県警察があるだけであって、日本警察という単位一なものは存在してはいけない」と断言されていましたが。肥大化する警察庁を民主的に管理・運営することが大きな課題としてなっています。

●自治体問題研究所第62回総会報告
 岡田理事長挨拶で、「憲法と地方自治が戦後最大の危機にあり、しかもその局面が一段と進化している」と。新理事長に中山徹奈良女子大教授がなりました。
“適疎”の町村づくりを発信する─第26回 小さくても輝く自治体フォーラムin大川村 
 @小さな村から地元の創意工夫が図られ、地域の固有の資源を手掛かりに6次産業への活発な活路を見出す。A住民と議員が、首長と行政職員と議員を使いこなして、活発な議論と相互作用の生じる場としての「討議広場(フォーラム)としての議会」が問題提起されました。B「365日村の事を考えている議員」という存在の重要性とその自覚、C住民の会話の中に普段から村政や議会などの政治の話を増やしていく。D多様な生き方の実現が地域の魅力アップにつながる、E移住者と住民が交流して共感を作る事が大切。F数ではない、風通しの良い空間で個性を生かせれば地域はよくなっていくGコミュニティ社会を組み合わせて適疎な町を作る、Hないところに価値を見つけて誇りを持ち、それを外にアピールすることが大事だ。I自分たちの街をありのままを受け入れる。J画一的な基準でなく、よさはどこにあるのかを見極めて、どんな街にしていくかという心構えが重要。K地域の伝統を次世代につなげていく作業は、意識的にやってほしい。などの提言が出されています。
●東京 神宮外苑再開発問題の今とこれから  原田 暁
 神宮外苑のスポーツと緑地が都会の高層ビル群に変わるのだそうです。又この計画の推進には三井不動産・伊藤忠商事などの大資本が暗闇に入っていたのです。大きく地元の高校生などの参加や都議会での追及の波が訪れています。もう大東京に巨大建築群はいらないでしょうに。1000本のイチョウのためにも頑張ってください。
連載●
●人つながるP 「復帰50年」ハンガーストライキ 沖縄の自治を求めて  元山仁士郎

 沖縄復帰時に建議書については前回話があり、その実現はいまだ何も出来ていないことでした。その復帰時に向けて、ハンガーストライキで抗議した人の話です。本当にこの50年本土の人間として何もできなかったことをお詫び申し上げます。 
公民館における出会いと学び 第2回 女性たちのエンパワーメント  田中純子
 
公民館での人の変わり方が良くわかりました。公民館での「学び」は一人ひとりが自分の問題に気付き、人とつながって豊かな人間関係を築きながら、問題を乗り越える力をつけていく可能性をもっているのですね。
●くらしと自治と憲法と 第15回 参政権と選挙制度をめぐる問題  只野雅人
 国政選挙での投票率が50%を割る事態になっていることから、選挙制度の問題を考えて行く必要があります。非常に高い問題供託金は「真摯を欠く立候補を抑止し候補者の乱立を防ぐためのものだ」と言われるが、高額の供託金は議員の資格について財産または収入」による差別を禁じる憲法44条の趣旨に反しています。異論の存在が有権者選択を広げ、また政治に活力をもたらす面もあるでしょう。第2が選挙運動の規制の問題です。他の民主主義諸国に比べて極めて厳しいものとなっています。公正さを確保するため、候補者はいわば一律平等に、不自由を甘受することになるのです。第3が、小選挙区と政権選択は、二大政党制の追求から生まれたのですが、一党優位型の多党制に戻ってしまった。政権交代が起きず、野党が脆弱なままでは、国会審議から緊張感が失われ、また有権者の関心も低下せざるを得ません。これらのため検証して行くべきでしょう。
●シリーズ 地域発信 小さい林業で森を編集 第2回 地域にひらく自伐型林業  滝川景伍
 自伐型林業の定義の多様性に、この豊かさが現れています。大型林業機械のために大規模林道を作り林野を壊すこれが大きな問題でした。壊れない作業道を道幅2〜2.5メートルでいいのですから使う機械も、ミニユンボというショベルカーです。これ1台を使って、持続的再生可能な林地の開発ができるのですから、かって圃場整備を計画した時、自由形圃場整備工事を行った町が思い出されます。又この林地には地元の人のコミュニティの場も用意されているとか、地域財産として末永く守っていかれることでしょう。
●おきなわ定点観測 第5回 「慰霊の日」を前に─久米島・伊江島・宮古島と沖縄戦の記憶  関 耕平
 かっての沖縄は軍事基地として戦争を呼び寄せる施設や、軍隊が住民を守るものではなくむしろ命を脅かす存在であることを、観念ではなく、まさに歴史的事実として実感させられる島々の記憶は、沖縄の人は忘れていないのです。しかし、近年の自衛隊基地増設は如何なものでしょうか。
@NEWS 吹田市が市民課業務委託計画を撤回  寺坂美香
 吹田市で市民課業務委託計画を撤回されたようですが、この成果の教訓として@労働組合による発信A住民運動B弁護士意見書の問題点指摘C市議会の良識があげられています。是非参考にしてほしいものです。
●ローカル・ネットワーク
●自治の風─静岡から 第4回 浜岡原発のいま  酒井政和
 浜松原発の再稼働を許さない運動報告があり、また静岡県知事もそれを表明しているのですから大変な成果です。これからも見守りたい活動です。
●編集後記

2022年7月号読者ノート

 (2022/06/28)
 
編集局より
 もともと社会が持っていた歪みがコロナ禍で浮き彫りになったように、子どもの困難はよりつよく明らかになっています。子どもの権利条約で保障されるべき様々な権利が脅かされ、特に子どもによる自己決定、自分の意思を表現する権利が奪われています。こども家庭庁は果たして子どもの視点を尊重するでしょうか。特集では真の意味で子ども自身の声を発するための様々な取り組みを紹介することで、子どもの権利保障に正面から向き合いたいと思います。
目次
◆直言 最低賃金と公務員労働者の不条理 政村 修

 最低賃金の適応について自治体労働者、国家公務員の初任給手当(高卒初任給15万600円=時間額897円)などが、不合理な実態が綴られています。春闘の後半であるにもかかわらず、物価上昇の急激な変化に対応できて異なことが明らかにされています。この物価上昇率は「消費税3%に匹敵」と言われ、賃金上昇は2%とは賃下げになるのです。最低賃金を大幅に引き上げ、「生計費」に見合った水準にしていくことが急務です。
●連続企画● 「新型コロナ」から日本の社会を考える 第25回 コロナ禍で浮き彫りとなった非正規労働者・シフト制労働の問題 川口智也
労働分野での働き方で、シフト制労働者を生み出しているのです。居酒屋で働く若者たちの多くが、具体的に働く曜日や時間を明確な記載なく一定期間ごとに「システム表」などを作成して、学校の授業などとの調整をしながら、実際に働く日時を決定するのが一般的なのだそうです。このようにシフトによって働く日や時間が決まる労働者が「システム制労働者」です。シフト制であることを理由にして、休業補償を拒む企業が後を絶たない、シフト制労働者は、休業補償がなければ無収入になってしまいます。このことが、コロナ禍で多く発生していたのです。そのためコロナ禍での学生で、大学生活が困難になり退学した生徒が多くいます。またシフト制の労働者の多くは女性であると言われています。シフト制であっても、労働契約書や労働時間を特定することが可能な場合があり、書面がない場合でも、過去の勤務実績から労働日・労働時間を特定することが可能ですから、休業補償の支払い義務を認めるべきです。抜本的にシフト制労働者の問題解決の法改正を行うべきです。
●特集● いまこそ子どもを主人公に─コロナ禍が浮き彫りにした子どもを取り巻く困難と子どもの権利
「子ども期」の権利保障の総合的視点─子どもの権利条約に学ぶ 増山 均
 子供期の大切さは、この期がいかに人生にとって極めて重要な時期であり、その時期をいかに充実した時間として過ごせるかは子供の基本的権利だということを私たちは基礎に置かなければなりません。
 ウイズコロナで、制約されていることがいかに子どもの発達を阻害しているのか、「友達と会えない、思いっきり外で遊べない、」の言葉に工夫した取り組み晴10(せいてん活動)が行われていたのですね。子どもの権利条約を再度振り返り、多面的・複眼的にとらえ、権利の総合的保障を行いたいものです。6つの柱建がされておりますが、その言葉の次に来る「すべての子ども・・・」というものを並べてみるとよくわかります。私は、「楽しみや心地よさを獲得できる文化や芸術への参加」、「失敗しながら育つことは子供の基本的な権利であり、その独自性は甦育(そいく)と呼ぶべきもの」を思い知りました。

川崎市子どもの権利条例の今 市古博一
 川崎市が子ども権利条約制定、最初の市だったのですね。また筆者はその制定にかかわりその後を見守っている人だと。ここに書かれている追跡は、まさにこれからも権利条約を再び輝かせる土台ではないでしょうか。このような活動者が広島にもいませんかね。
コロナ禍で社会の周辺にはじかれる子どもたち〜子どもの貧困と虐待の現実 浅井春夫
 コロナ過という子育て・教育の分岐点という指摘に、統計数値が語っています。まさにインフラが一時的であっても機能不全・低下した状態に遭遇したのです。給食は「もぐもぐタイム」として徹底指導が学校で行われていたのです。様々な体験的学びの中で人間的な知恵を獲得すること、そのためには自分自身が、“助けを求める権利”があることを学び、体験することが子育て・教育の課題としてあるのではないでしょうか。
社会の分断という現実の根底には、人間にはまっとうな自立した人間と反人間の厄介者がいるという新自由主義の人間観があり、そうした人間観が刷り込まれ、人間関係の在り方に大きく影響していると感じます。

子どもの学習権保障のゆくえ 南出吉祥
 学校教育の課題が、@教育費の私費負担割合の大きさ、A教職員定数・学級定員の問題、B教師の長時間過密労働問題など基礎的な条件整備から、いじめや不登校問題などへの対応、特別支援や外国ルーツの子への配慮など学校教育をめぐる課題は山積みになっており、学習権保障を実質化していくための道のりはかなり厳しい現状にあります。
 このような現状の中で、学習権保障は、「学ぶ機会(教育機会)を確保する」というだけにとどまらず、学習を可能にするための基礎条件も含めたものであり、学習教育を充実させるだけでは、学習権保障の実質化は進められません????基礎的生活条件の補償がされたうえで、初めて勉強に向かう姿勢が担保され、そこに学習が生起してくるのですから、「学びを苦行に変えてしまう場」(学習権を阻害する場)、にしない剪定が「学習支援」なのです。
学習支援という言葉から想起されやすい「勉強を教える」というよりは、「勉強に向かうことに付き合う」というようなニュアンスでとらえておくこと。学習権の定義や「学習とは何か」という問題にまで深めています。現状での狭く局限化された学習観を超えて、子供たちの生活現実に根ざした形での学習をどこまで実質化し展開していけるかということが、学校教育も含めた公共の施策として求められているのでしょう。

「ヤングケアラー」の現状と支援を考える〜民間団体の支援と行政の役割〜 濱島淑恵
 この言葉に初めて接しました。定義として、家族にケアーを要する人がいる場合に、大人が担うようなケアー責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行っている18歳未満の子どもとされています。この現状把握は2010年代半ばに入ってからで、2020年度になってから行政による調査が実施され始めました。民間団体として「ふうせんの会」の取り組みが紹介されています。https://peraichi.com/landing_pages/view/balloonyc/
トピックス 保育の「質」及び保育労働者の就労環境の向上をめざして─川崎市保育問題交流会の調査から 川岸卓哉
 株式会社が保育園の経営を行うと人件費の切りつめが激しいことが明らかになりました。このような調査が全国で行われ明らかになることが大切ですね。この運動を保護者と連携して行うことも大切ですね。
自治体DXの争点A デジタル改革と自治体の個人情報保護〜個人情報保護条例改正の論点〜 庄村勇人
 個人情報保護の観点が、2023年4月より変わります。これまでの自治体が独自に行っていた保護の施策が国の機関へ「一元化」すること、さらに自治体が個人情報保護に関する独自の対応を「制約」されることになるのです。国や自治体の個人情報保護制度の内容を見ると「OECD8原則」(収集制限の原則、目的明確化の原則、利用制限の原則等)が具体化される形で規定整備されており、この点では国の法律と自治体の条例とは共通する内容を持っています。個人情報改正の目的の一つとして個人情報について「保護と活用のバランス」を言うとしても、「活用」の概念がデジタル技術の進展に伴い変化することがあります。
自治体は個人情報保護のため必要であれば国のガイドラインを変更させるくらいの主張もすべきですし、徳島市公安条例事件における「条例が国の法令に違反するかどうかは、両者の対象事項と規定文言を対比するのみでなく、それぞれの趣旨、目的、内容及び効果を比較し、両者の間に矛盾抵触があるかどうかによってこれを決しなければならない」という規範に抵触しなければ条例を制定できることを確認しておきます。
 問題が見つかれば国よりも早期に発見し、リアルな住民と接し、いち早く対応することができるのが自治体です。

●連載●
人つながるO 川原地区に立つ「団結小屋」美術館 石丸穂澄

 戦いの中に美術が生まれるとは、ダムの時代を負わせるという広大なこと、「自分の居場所から発信したい」との連携し、石木川ダム建設反対の声が大きくなることを期待します。
新連載 公民館における出会いと学び 第1回 市民とともに学び合う公民館 田中純子
 社会教育としての公民館活動の根本をかたり数多くの目的を述べています。地域の人、一人ひとりを人生を豊かいにそして持続可能な社会づくりに貢献する公民館、この職員の果たす課題は本当に大きいと思います。
くらしと自治と憲法と 第14回 自治体議会─議員の多様性と反対派・少数派の役割 植松健一
 議会の現状から住民代表機能の欠陥、議会運用の欠陥があげられています。議会の民主主義の確立が本当になおざりにされています。ここでの少数派の存在がはたしている効果を改めて確認したいと思います。
検証 津久井やまゆり園事件を人権の視点から考える 第10回 施設運営における地方自治体の責任〜指定管理者制度と民間移譲 松尾悦行
 社会福祉施設での公から民への流れが、ケアワークが家庭から離れて社会化し、福祉サービス市場が広がりましたがその地域サービスは、低賃金で不安定な労働条件の非正規雇用で働くエッセンシャルワーカーによって、かろうじて成り立っているという根本的な矛盾があるのです。
 指定管理者制度そのものの弊害として、民間事業者によって少ない公費でより効果的かつ効率的なサービス提供を確保することが目的である。指定期間を定め、事業者を公募して選定し直すため、利用者の落ち着いた暮らしが定期的に壊され、支援者との人間関係が切断されやすいのです。第三に、民間事業者は公の介入をあえて求めないし、県のかかわりも控え気味にあるため、民間の柔軟な力を生かすという大義名分と県の運営指導が両立しにくく、お互いの責任があいまいになりやすいのです。家族の思いや支援者の願い、その労働条件を軽視することにもなり兼ねません。

シリーズ 地域発信 小さい林業で森を編集 第1回 地域おこし協力隊で林業を始める 滝川景伍
 地域おこし協力隊という制度が、2009年に創設され全国各地の市町に派遣されてきました13年の歴史が横たわっており、今回の人も卒業しており、3年間の市町村職員としての身の置き場と成長が実れば、地域活性化の担い手として、大きな役割が果たされているのだと期待します。林業という第一次産業のこれからの往くへを作り出す、「自伐型林業の普及と推進」を見てみたいと思います。また佐川町の姿も見たいものです。
おきなわ定点観測 第4回 復帰50年を迎えて─「屋良建議書は生きている」ことの二重の意味 関 耕平
 沖縄本土復帰50年が5月15日だったのですが、そこでの記事として、岸田首相の発言が、一言も触れていないことがある。また、「基地のない平和な島」という沖縄の人々の思いに対して50年にもわたって本土が答えず、復帰当時と変わっていないからこそ建議書の訴えは今も「生きている」のではないかとの思いは同感です。かっての沖縄問題研究会の活動を振り返りたいと思います。屋良建議書の読み直しをしましょう。https://www.archives.pref.okinawa.jp/wp-content/uploads/R00001217B-1-1.pdf
@NEWS 復帰50周年と沖縄の現状〜県民の願いを地方自治にのせて〜 安里嗣頼
ローカル・ネットワーク

 今年沖縄県知事選挙が行われる。復帰50年後の事態を改めて問い直される時期になった。米軍吉の司令官は、基地容認の沖縄県知事の誕生と沖縄の米海兵隊吉は恒久基地として使用する」、『返還後も沖縄で自由に作戦行動が取れる」と言明しているのです。軍政下で「自治は神話」と言われた状況が今なお続いています。
BOOK REVIEW
Jつうしん
自治の風─静岡から 第3回 コンパクトシティ構想と住民運動─みなと町・清水のまちづくり 川瀬憲子

 コンパクトシティー構想が発生するのは、平成の大合併で集約された勢いがまだ続いているのでしょう。この合併の弊害は、災害時の危険な視野を吹き飛ばしているようです。
編集後記

 

2022年6月号 読者ノート

 (2022/05/31)
 
広島自治研会員みなさんへ・・事務局より
この住民と自治誌を読むことを毎月お会いしたいものです。事務局のものの考えを添えてみました。あなたのご意見を挙げてみてください。
編集者より
特集:災害と避難 誰ひとり取り残さない協働の地域づくり

相次ぐ災害に対して災害の恐ろしさばかり強調され、市民があきらめたり、逆に油断したり、あるいは行政にお任せしたりしまいがちです。そうではなく、「我がこと」として災害に立ち向かい、自助・共助・公助の枠組みを超えて命を守るための協働をどのように実現するか。国・自治体はそこに対してどのように責任を持つのか、具体的な事例から学びたいと思います。



目次
◆直言 住民の現実から自治を問い返す─「住民」の実像なき地方行政がまかり通る危機 平野方紹
 住民とは、現実に即した捉え方が出来ているのかの問いですが、「住民」像がとらえきれていない、政策が行われている、災害・防止対策で、うまくいく訳がありません。ここに描かれた地域の実態が、どうこれから掴んでいくのか、本当に急がなくてはなりませんね。危機的状態です。
●連続企画● 「新型コロナ」から日本の社会を考える 第24回 公的病院の拡充、医療体制の抜本改革を─コロナ禍で可決された都立病院廃止条例 本田 宏
 日本の公的病院の削減が西南戦争後の激しいインフレとその後の松方政策が地方財政を厳しく陥れたことにより、全国にあった公立病院の多くが廃院となり、一方松方病院は自由に開業した、医療を民間に任せた動きが出たとのことです。戦後新日本は、無医村解消を目指して、「人口10万対150人」の医師の養成を達成するために、1973年までに全国に1県1医科大学を設置したのです。しかし1983年に厚生省の吉村仁保険局長(当時)は、医師養成の目標は達成したとして、医師過剰時代の到来を宣言し、「医療費亡国論」を唱えたのです。以降経済界、政治家、官僚が連携して広めていると言われています。このような取り巻きから、公的医療費の積算する統計資料の扱いがズサンデアルト記載されていますが、医師の需給推計で、OECDが常用する「単純平均」ではなく「加重平均」で医師不足を矮小化したり、労働時間推計も過労死ラインを超える時間外労働や高齢医師の長時間労働を前提にするなど問題が指摘されるのです。このような政府資料による恣意的な誘導に載らないよう、日ごろから気を付けたいものです。コロナ時のマスコミ報道から今となっては、全く気に留めもしない姿勢に、マスコミの政府迎合が気になりますね。また、医療費もさること、薬価の程度のひどさも注意しなければいけません、この緊急時に日本での薬業は国民に必要な薬物を手に持っていないのですから。
第64回自治体学校案内in松本
 昨年と同じようにZOOM開催が計画されています。広島県会場も作りたいものです。
●特集● 災害と避難 誰ひとり取り残さない協働の地域づくり
 自助共助のみの災害対応が今の政府のやり方なのに、国民はあきらめているのか?体験が生かされていない問題がありますね。
「生活防災」─「ふだん」と「まさか」をつなぐ─ 
矢守克也

 ここで改めて保育所での幼児教育の実態が参考になります。いつもの外歩きについても、その子たちの避難の力量考慮するとともに、お互いを見詰め合うところから危険なことへの避難を告げることができるとか、日ごろをこのような観点に置き避難経路や所要時間の把握などの質的向上にさせることが行われているのですね。これからの災害常習時期、「想定外だ!」ということではなく、防災は特別な活動ではない、「ふだん」の生活、言い換えれば日常のくらしが、そのまま、防災、つまり「まさか」の時に備えになるような、そんな「生活=防災」を目指しましょう。3.11の岩手県野田村保育所の事例はぜひ読み返してください。また「防災=福祉」そして「防災=健康」と発展してくのです。
 一部の人たちだけで担う特殊な活動ではありません。むしろ、そのポイントは、ごく普通の人たちが,いかにして、「ふだん」と「まさか」を上手につなぐか、ということになります。つまり防災を「ふだん」化させることは、自ずと、防災を「わがこと」化にもつながります。
 
災害ケースマネジメント 一人一人の復興を切れ目なく目指す制度(鳥取県の取り組みから) 西尾浩一
 今回の災害ケースマネジメントが、鳥取県で制度化(条例制定)されたようです。各種災害時にはこのような支援事例が起こされ、支援されてきたことでしょう。しかし一人ひとりの災害について細かく調査し支援するまでには到底今の時世ではできないと思われていました。そのような時世の捉え方から一歩進んだ、制度として、災害が起きる前から対応が行われ、きめ細やかな支援活動を、県・市町被災者の連携で行う補償が、制度として動くということは、国民の願いであり、これからの災害時にとって必要ではないでしょうか。先生を待つから、アウトリーチ型、オーダーメード型の取り組みで一人も取りこぼさないことを願いたいものです。災害時の補償基準の拡大が大きな課題ですね。
犠牲者ゼロを目指す地震・津波対策の取り組み〜南海トラフ地震に備える官民が協働した黒潮町の防災対策〜 宮上昌人
 黒潮町が津波で沈んでしまうことから、茫然として災害対策が作れない状態から、犠牲者ゼロをめざす体制作りを作るように変化した経過です。避難しようともしないで諦め(避難放棄者)たところでは、多くの市町の職員の貼り付けしても、地区住民をまとめる活動は困難です。この課題をどうクリヤーしたのでしょうか。計画自体が机上の空論とならず、それぞれの地区の課題に即した計画とすることに徹し、「地区脆弱性踏査図」として整理されています。また、それに対応した「個別つなみ避難カルテづくり」が全世帯ごとに作られています。避難施設体制の維持管理が、天気などで崩れないよう、住民主体の対策づくりの維持管理ができるような組織の成長を作ることが要になってきます。対策施設の維持管理がもっぱら住民に押し付けられていると認識されることの無いよう、行政として、こと細やかな手立てを示す努力がこれらの過程で示されなければうまくいかないでしょう。避難施設としての基本的責任は行政がきちんと取り、官民共同の維持管理体制の工夫が必要であり、住民にとって、避難所の環境はより豊かな場所として日常的に、子供から年寄りまで参画できる場であってほしいものです。また要配慮者対策は、行政が責任をもち共助・公助が両輪で対策を進めなければなりません。黒瀬町の取り組みの中で、土地所有者に無償で借りられる体制が行政が作り上げているのは素晴らしいことですね。
誰ひとり取り残さない支援を目指して─災害支援ネットワークおかやまによる継続支援と実務の備え 石原達也
 既存のNPO組織が災害時に支援センターとして立ち上げられ、引き続き支援センターの活動を定式化して継続しています。この災害支援ネットワーク岡山はNPOでの活動に、12の役割を定式化し、SNSを活用して、臨機応変に現地に派遣されているようです。支援の中で、復旧ロードマップを作り、物資支援の明確化と保険会社などの支援体制の取り組みを可能にしています。また災害用語の説明に役立つ「サイガイペディア」が作られています。災害時の事業者の支援を全体把握できるように、全体像化され、対応が明らかにされています。ちょっと組織的に分かりにくい面はありますが、これに関連する人々の多さと資金作りには感心します。
潜在的要支援者への災害時の緊急支援─自治体における取り組みに関する調査研究より─ 岡田裕樹・佐々木 茜
 潜在的要支援者とは、自然災害が頻繁化する中、避難時に支援が必要な多くの高齢者や障碍者の事で、被害を受けている時、自治体としてこれ他の人々の把握をどのように取り組んでいくのか明らかにする報告です。日本の障碍者数は身体障碍者は436.0万人、知的障碍者は109.4万人、精神障碍者は419.3万人で、合計964.7万人と推計されています。一方障害福祉サービスを利用している障がい者は約127.0万人で総数の約13%程度です。すなわち、障害があっても障害福祉サービス等の支援を利用していない人が一定数いることが分かります。これに対する自治体の調査実態は、潜在的要支援者を把握しているが369自治体(42.5%)、把握していない「が481自治体(55.4%)でした。又潜在的要支援者に対する災害時支援、防災に関する支援について、「検討したことがある」が304自治体(35.0%)で、「検討したことはないが548自治体(63.1%)であり半数以上の自治体では潜在的要支援者の状況把握されておらず、また災害時の緊急支援も検討されていないことが分かりました。障がい者が災害時に取り残されることのない、誰もが安心して地域生活を送ることができる仕組みが広っていくことを願っています。広島県の実態はどうでしょうか。
ウクライナの原発危機および原発自治体アンケート調査が浮き彫りにしたもの 池田 豊
 今回のウクライナ侵略における原発施設への攻撃が、現実に起こり、これに対する恐怖を多くの原発自治体職員は持った事でしょう。福井県知事が首相に連絡して自衛隊の対応を訴えたとの報告は、現自治体首長として真摯な姿を示しました。このような原発事故対策が改めて検証された結果を見てみると、原子力防災体制の貧困、住民防護対策の後退と変質がより鮮明になりました。自然災害だけに焦点を置かず、このような原発に対する周知も、原子力施設・機械の耐用年数が過ぎる今日、高めておかなければいけない課題です
●連載●
おきなわ定点観測 第3回 生活・生産のなかにある「たたかい」─続・伊江島のこと─ 関 耕平

 沖縄の人々の戦中・戦後はまだ続いています。現在戦争をする国づくりに向かう中、現在の沖縄について本土の人はよく勉強するべきだと思います。阿波根昌江さんが作られたムチドウタカラの家にもぜひ参加したいものです。反基地闘争は、単に「何か崇高なもの」とみるのではなく、「生活と戦い」があり「生産と戦い」があったとの認識が披露されています。
くらしと自治と憲法と 第13回 憲法尊重擁護義務をめぐる三つの誤解 永山茂樹
 憲法99条「天皇または摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う」は憲法の尊重用語義務を定めです。が3つの誤解が生まれていることに対する意見です。憲法を守る義務の項目の発生原因をさかのぼると、おのずとこの憲法が国民が制定した民主憲法であるから義務の書き方も、欽定憲法とは違うのです。
 国民も普段の努力をもって憲法擁護に努めなけらば行けませんね。

シリーズ 地域発信 野草と歩む つちころび野起き 最終回 第4回 地域で、野草で、バトンをつなぐ 鶴岡舞子
 女性たちが野菜料理を作る会話は、奥深い・身近なものとなっていますね、未来の子供たちにつながってけばいいのですが。改めて日本食の、味覚が、日本の文化と言われ、ユネスコの文化遺産に登録されたのですね。手作りで作り出されていく姿勢が、百円均一で手軽にこそこそ良いものを使い捨てられる価値観が問われていますね。春の七草から始まり、季節季節の野草を香り、つみゆく草の有毒・無毒の判断を高めていくことが繋がっているのですね。
人つながるN 福祉のフェアトレードを社会に広めるマジェルカ 藤本光浩
 障がい者が作業所で制作している製品が、一般の人にとって「支援される側」から生まれたものという認識だったのか、自主製品に魅力やクオリティを求め、顧客に対する訴求効果を高めて販売する概念で取引されているマジェルカとは。一度は見てみたいものです。
検証 津久井やまゆり園事件を人権の視点から考える 第9回 障害をもつ人を権利主体として保障する法制度は、日本に十分に整備されているか 瀧澤仁唱
 ドイツでの障がい者の権利を保障する制度が、「障害を持つ人の権利に関する条約」の批准に現れていると説明されています。それは、批准に当たってドイツでは国内法の整備が必要なく法制度が存在している条約だったのです。日本では署名から批准まで、7年の要否を費やし、2014年1月となっていますが、その後の国民が社会保障の権利主体として明確に扱われ、その権利実現の制度が法整備として整うことがなかったのです。具体的権利を行使できる法規定や機関がない限り、真の差別禁止及び平等化は図られず、人権保障もないのです。憲法25条の否定につながった津久井やまゆり園事件がそれを現わしています。
 また、国際障害分類(ICIDH:障害の有無を問わずに、また国や地域を問わずに適用できる、「人の健康状況や健康に関する状況、障害の状況などを記述すること」を目的とした分類です。)、国際生活機能分類(ICF:人が日常生活を送る上では、身体的なものだけでなく、社会も含めたさまざまな「機能」が必要になりますが、それらの機能は、複雑に絡み合って「相互に作用している」という考え方からICFは生まれています。)の法制度の取り入れはどうなっているのでしょうか。

@NEWS 司法の役割を放棄した諫早(いさはや)湾干拓・開門確定判決に対する請求異議訴訟判決 堀 良一
 諫早湾干拓における裁判で、確定判決を付き返す不当判決が最高裁から出された。「著しく審議誠実の原則に反し、正当な権利行使の名に値しないほど不当なものと認められる場合があることを要する」という厳格な判断基準から行われていないのです。
書評・・「アフターコロナの公衆衛生 careの権利が守られる地域社会をめざして」表者 庄司慈明
 コロナ禍でのドキュメントは映像では見ることができるが、その時に終わってしまい、検討が出来ない。この本が詳細に時系列でコロナの災害を退治する社団法人での取り組みを記載されており、その間に考える課題を明にしていると評価されています。現代社会の公衆衛生を立て直すには、このようなきちんとしたデーターを踏まえて対策を考えることが必要でしょうね
ローカル・ネットワーク
BOOK REVIEW
Jつうしん
自治の風─静岡から 第2回 止まらない巨大開発─沼津鉄道高架事業と住民運動・訴訟 川瀬憲子

 バブル期に計画された典型的な環境破壊型の巨大開発がこの沼津鉄道高架事業となっています。区画整理事業で減歩率が東海の鉄道用地ではゼロであるとは、地域全体へのしわ寄せは多大なものとなっている事でしょう。費用便益分析が、0.816とは公共性がないに等しいですね。この地域がアニメの聖地巡礼とは、新たな取り組みが期待されますね。
編集後記
 

2022年5月号読者ノート

 (2022/05/20)
 
編集局より
日本国憲法施行75年。昨秋の衆議院議員総選挙の結果を受けて、改憲への国民投票が現実味を帯びてきました。日本国憲法の一条一条にこめられた、個人としての人権の尊重と付箋平和への決意、そしてそのための権力のしばりが狙い撃ちされようとしています。国民投票制度も、公平性から見て多くの課題を残しています。主権者として憲法改正の論点を検証します。
 
目次
◆直言 今こそ「保育とは何か」という観点を 馬場紘平

 おむつを持ち帰る枚数が1枚になる、この感動を保護者として子供の成長が目に見える形で体験されています。私にはその記憶がないのですが、このこと一つとっても「保育とは何か」をみんなで考える場にしてほしいものです。
●連続企画● 「新型コロナ」から日本の社会を考える 第23回 コロナ禍が問う「図書館の自由」─ホームレス・女性・非正規雇用という視点から 山口真也
 図書館へ入るのに身分証明書や、料金を払ったことがないことに気づかされました。図書館の自由宣言で歌っている、基本的人権の保障としてある、図書館。その自由を守っている非正規職員の方々の身分の不平等を私たちは気づかなければいけないのです。
 そもそも、路上生活者の生活が図書館の周りで会った時、彼らに取って大きな生活保障の基盤に違いありません。その図書館が、「路上脱出・生活SOSガイド」などを発行していたとは、また、この図書館を支えている女性差別・ジェンダー不平等を、コロナ禍で、一層明らかにされ、この解決が求められています。これまでも、やりがいと引き換えに低賃金を多くの女性に押し付けたまま、薄氷の上を歩くように、図書館の自由はかろうじて維持されてきたことを、私たちは認識するべきですね。

●特集● 何のため、誰のための憲法「改正」か
自民党「日本国憲法改正草案」と現在の改憲論議 愛敬浩二

 自民党の憲法改正に向けた出発点は、自民党が結成された時からだと思いますが、10年まえに「日本国憲法改正草案」が発表された2012年4月27日を見てみたいと思います。この時点で、自民党は、自由に自分たちの本音を述べたようです。問題点として@保守的・復古的改憲A平和主義の根本的改編B人権保障の弱体化C統治機構の「微調整」D立憲主義の形骸化が、あるようです。この改憲草案を支える憲法思想は、
●日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち国民統合の象徴である天皇を頂く国家であって、国民主権の下、立法、行政及び司法の三権分立に基づいて統治される。
●我が国は先の大戦による荒廃や幾多の大災害を乗り越えて発展し、今や国際社会において重要な地位を占めており、平和主義の下、諸外国との友好関係を増進し、世界の平和と繁栄に貢献する。
●日本国民は、国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り、基本的人権を尊重することとともに、和を尊び、家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する。
●我々は、自由と規律を重んじ、美しい国土と自然環境を守りつつ、教育や科学技術を振興し、活力ある経済活動を通じて国を成長させる。
●日本国民は、良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するため、ここにこの憲法を制定する。と前文となっています。
 この前文の最大の狙いは「利害・価値観を異にする諸個人が自らの自由・権利のより良い保障のために社会契約を結んで政治社会(=国家)を形成し、自らの自然権の一部を政府に信託する)という「社会契約の論理」を否定することになります。まさに人権保障の弱体化と立憲主義の形骸化に進むのです。
「国防軍」と緊急事態条項が明記されたらどうなるか 纐纈 厚
 2018年3月25日開催の自民党大会で、改憲4項目案が公表され「国防軍」の名称を避け、「自衛隊」の憲法明記に切り替えています。憲法第2章は、かって日本が行った侵略戦争の発動として戦争の手段を取らないことを宣言したものです。
 しかし自民党案では、直ぐ後の2項で、「前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない」との断りを入れて。侵略戦争の発動は放棄するが、自衛権の発動としての戦争はその限りないとしているのです。
 現行憲法がいかなる戦争も否定しているのに対し、草案は自衛のための戦争を肯定しているのです。
 現在、自衛隊は自衛隊法という法律によって、その組織を認められています。ただ、日本国憲法では軍事や軍事組織、ましてや戦争行為などを全く想定していません。
 自衛隊が「国防軍として憲法に明記されることは、同時に、武装による自衛権行使を前提とする安全保障政策を一層強化しようとするものと言えます。
 日本をもう一度、「戦争のできる国家」としていいのでしょうか。
 もう一つの国家緊急権は、緊急事態を理由に憲法を停止する措置で、憲法の最大の任務、人権の擁護を停止させることになります。人権の停止状態に置くことは、近代憲法の役割を根こそぎ否定することです。
 基本的かつ有効な災害対策は、災害が起きていない平時から防災訓練や避難訓練などを繰り返していくことが大切とされています。大切なことは、これまで以上に具体的かつ実践的な護憲運動の展開が不可欠で、日米安保や自衛隊に頼らない平和づくりを紡ぎ出すことだと思います。護憲運動が最大の抑止力になるはずです。

「危機」便乗・改革幻想の中の地方自治改憲論 河上暁弘
 日本国憲法の三大原理と「地方自治」の関係
日本国憲法の三大原理を実行あらしめるうえで決定的に重要なのが「地方自治」で、国民・住民に最も身近自治体レベルにおいて保障・具体化されるもので、またそれら諸原則が侵害された場合の被害は自治体レベルにおいて最も早く深刻に現れるからです。
地方自治の本旨」が抽象的・不明確
近年の地方自治をめぐる改憲構想が、政党や地方自治体から出ていますが、「地方自治の本旨」という文言が抽象的・不明確ではないかという批判がありますが、この文言を改め、住民自治、団体自治、国と地方の適切な役割、補完性の原理等という具体的な文言に変えることが必要という意見もあります。
具体的な案の問題点
ただ、そうした中から出てくる具体的な案を見ると、

●「地方自治の本旨」規定を削除し、地方自治を「住民に身近な行政」に限定したり、
●外交、安全保障といったものを「国の役割」とし、地方自治体の役割を限定することが意図されている可能性をもっています。そして、
●近年の「有事法制」の整備・確立などと相まって、軍事協力への自治体の動員、自治体の下請け・末端機関化をもたらす危険性があります。
●また、補完性の原理にしても、自治体の「全権限性」を前提とした権限配分における自治体優先の原則という文脈だけではなく、自助優先論・自己責任論を前提とした公助後退・福祉切り捨て・自治体丸投げ(国の撤退)といった新自由主義的改革推進の論理として展開されてきたこともあり、その内実が問われます。
●また、自治体への権限配分や地方財政・財源の充実化そのものは憲法を変えるまでもなく法律・予算等によって可能であることです。

このことにより、新自由主義的改革の徹底化のための改憲構想だと言えます。憲法改正よりも、
憲法理念の実現・実行のための日本の政治・行政の大改革を!!!
緊急事態条項とは、
@不当な目的で発動されやすい・A期間が無限定に延長されやすい、B過度な人権制限が起きやすい、C司法救済の困難性という致命的な問題点があることにまずは格別の注意が必要です。
 なお日本国憲法は「緊急事態」を想定していないというのではなく、例えばどのような「緊急事態」(大災害や軍事攻撃等)にあっても、憲法の停止・人権の包括的制限といった「国家緊急権」の行使及び軍事力の行使禁止し、かついかなる場合においても事前または事後の司法救済の道を閉ざすことを前もって認めることはしない という選択をしていると考えるべきでしょう。

国民投票法制定15年 国会が積み残す課題と市民の役割 南部義典
 憲法改正における国民投票の実態が、「現行法のままでは国民投票が執行できない」に尽きることが分かりました。又この投票自他の持つ、既存の選挙との大きな違いとその対応が、いまだ明確になっておらず、これらにたいし、一足飛びに行うと、反国民主権、非民主主義的な政治癖にはかならないことも分かりました。キチンと行政事務を行うことが、課題ですね。 
憲法学習と住民自治─地域と学校で主権者を育てる重要性 宮下与兵衛
 憲法の基礎は国民の政治意識の向上が成長しているかどうかだと思っていました。
 今憲法9条に対する認識が、改憲派から批判されていますが、このような言葉に若者が同調しやすい現状に危機感を覚えます。
 世界の若者は小学校時代から政治教育が行われているとか、それらが一国の大統領選挙でも、生かされている時代になっています。
 それに引き換え日本の若者の政治意欲の未熟さは46年間お政府の、教育に対する取り組みから生まれているとのこと。大きな弊害になっているのですね。
 主権者意識の向上は体験から生まれているとのこと、ここで長野県竜野高校での憲法学習が載っていますが、生徒による主権者教育として40年近く行われているとか、この活動により、地域づくりの主権者が育っているのだと思います。  
 文部省の行おうとしている人材育成ではなく、生徒の街づくり参加も「人格の完成」と「平和で民主的な国家及び社会の形成者」、つまり主権者の育成になってほしいものです。

憲法改正国民投票におけるメディア規制の必要性について 本間 龍
 憲法改正の国民投票時の、マスメディアの規制は、今現代の日本のマスコミの実態を良く知る筆者から見れば、国民が様々な情報に接して塾路する機会が失われる危険性が大きくなるとの、これこそが、国民投票における最大の問題点であり、早期規制が図られなければいけないのです。
 今回のロシアのウクライナ侵攻で改めて明らかになった「情報戦」を私たちは深く考えておく必要があります。  
 また、日本国民の3割は保守で(自民党支持)、2割が革新(野党支持)で、後の5割は無党派(浮動層)です。このことでこの浮動票をどう扱うかが大きな課題なので、自民党の広報が電通であるという実態が、非常に大きいのです。このことに早く護憲派の人々も見直さなければいけませんね。

自治体DXの争点@ 自治体情報システム「標準化」の問題点と課題 久保貴裕
 自治体情報システム「標準化」は、自治体独自の住民の要求に基づく独自施策の抑制にはかざるを得ないという課題に、私たちは真剣の考える手段を持たなければいけません。
 行政が国の基準で測られること自体、民主主義の住民自治の本旨に反するものであり、
 急速な標準化でもって作られたシステムには大きな欠陥が生まれるのです。
 今回携帯スマホの通信が60時間も途切れたという事態が発生しました。これ自体今後同じような事態が起きないとは言い切れないのです。特に電波事業の不安定さは、この間の新自由主義経済でもってブラックボックス化されている課題が、どんどん出てくると思われます。
 「標準化」する20業務でこれ以外は、自治体の責任で行う業務と、一方的に国が責任を負わない事態が生まれかねません。多くの住民の生活状態の中で、責任をもたないというこの業務は、時代遅れの再来になる恐れがあります。この業務を請け負うベンダは「標準仕様」の身に力点を置き、オーダー・オプション業務での破格の請求を行っていくことでしょう。
 今回システムの整備で4点の指摘がされています。自治体クラウドの性能移管が、評価されていませんが、大きなブラックボックスがあるのではないでしょうか。これを極めたから直ちに発信されるのがいいのではないでしょうか。この作業に主権者である住民や業務担当者の意見を十分に聞き反映されることを希望します。

[連載]
人つながるM 高知県へ移住し、地域の山を育てる「自伐型林業」に取り組む 滝川景伍

 「自伐型林業」とは環境に配慮した持続可能な林業経営を目指すもの。地域の山に根ざし、必要最低限の機械を使って、出来るだけ山に負担の少ない方法を選んで、100年、200年と続く山づくりをしているそうです。
 小さな林業は災害にも強い、山の恵みの多様な提供方法やサービスが今後必要です。まずは地域の山の木で炭の販売を行い、製材やモノづくり、林業観光にもチャレンジしたいそうです。
 林業の世界にもこれからもっとイノベーション(物事の「新機軸」「新結合」「新しい切り口」「新しい捉え方」「新しい活用法」(を創造する行為)のこと。)が起こる分野だそうです。

おきなわ定点観測 第2回 軍事基地強化が進む沖縄─伊江島のこと─ 関 耕平
 今ウクライナの攻防で、沖縄基地は深刻な様相を示しているようです。また関さんも危機感を覚えるそうです。軍事基地沖縄が持っているこの危機感が、岩国にもあるのではないでしょうか。宮古島が自衛隊基地として工事が進み基地に植えられているハイビスカスが可哀想だと語っています。このことは本土にいる私も感じぜぬにはいられません。
検証 津久井やまゆり園事件を人権の視点から考える 第8回 死刑は何事も解決しない 寺中 誠
 死刑存続の国とない国での違いが語られています。この犯罪が障害を持った人々の存在を頭から否定する犯人の主張に多くの人々が怒りを示す一方で、逆にその意見に一部共感するような発言の登場を許すことになったのです。
 しばしば指摘されるヘイト・スピーチによる二次加害が報道の大きさととも相まって社会全般に広がったのです。
 また確信犯のうちでも、信念に基づき大きな被害を引き起こすものを、犯罪学では「ミッション犯罪」と呼びます。2011年7月に、ノルウエーで起こったミッション犯罪は、一時国内に死刑復活の動きがあったようですが、死刑廃止国である同国では、拘禁刑の上限が21年、さらにそれに加えて保安上の理由によって保安官措置が可能となっています。閣僚は「この事件によって政策が変わったり、死刑などの厳罰化が進行することは、むしろ犯人の要求に屈することになる」と指摘し、死刑復活や移民政策の引き締めなどを行わないことを言明したのです。
 刑罰の効果に依存する体制は結局、社会内にはびこる排除意識や次の犯罪につながる危険性に十分対応できていない人ではないでしょうか。

くらしと自治と憲法と 第12回 憲法13条幸福追求権の「個人の尊重」「公共の福祉」論と自民党改憲案 清水雅彦
 日本国憲法13条は、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」と規定しています。
 自民党改憲案で、「全て国民は、人として尊重される」と変えていますが、「個人」として尊重されなくなるということは、「人」として扱われても一人ひとりの個性・考えまでは尊重されなくなることを意味します。
 個人として尊重されなければ、日本でさらに集団主義が強まる可能性があります。
 「公共の福祉」は人権と人権が衝突した場合の調整原理と考える学説が多数説になっていきます。「公共の福祉には「国家的利益」の意味はありません。其れなのに、自民党は「公共に福祉は分かりづらい表現だからという理由で、憲法学が積み重ねられてきた議論を無視して、「公共の福祉」を「公益及び公の秩序」という表現を使うことで意味まで変えてしまっているのです。
 つまり、自民党の論理からすれば、従来の人権の制約原理は人権と人権が衝突した場合に調整するというものであったのに、今後は国家が優先する場合に人権を制約することになってしまいます。
 デジタル改革関連法は、国民のプライバシー権や自己情報コントロール権よりも国家による国民監視と企業の個人情報利用を優先するものです。
 日本国憲法下では、これら法律は国民の権利・自由を制約・侵害する違憲立法であると主張することができます。しかし、自民党の改憲案が実現したら、これらの法律は「合憲」になってしまうのです。

シリーズ 地域発信 野草と歩む つちころび野起き 第3回 野草でつながる地域の交流 鶴岡舞子
 昨今の移住ブームを表して、今の社会変化の中で、「何を残したいか?」を問われている時代に入っているのではないか、ブームで入った人が、地域を好きになって長く暮らしてもらえるような人を増やせる取り組みや、選択肢がたくさんあることがより良いと思う。植物の中にも、外来種が多く生き残り、在来種がひっそり過ごす中、外来種の反乱で、これを除草剤で駆除するにあたって、在来種も一緒に駆除されていくような現象が、生まれていないか、見た目でなく、本質を見抜く力が試されているのか。野草の活用が地元ではなったことであり、移住してきた筆者の都会的センスでの活用を、地元もゆったりと見つめていかされてきた。野草の「摘み草のお店つちころぶがオープンしたようです。
BOOK REVIEW
ローカル・ネットワーク
Jつうしん

自治の風─静岡から 第1回 リニアと大井川の水問題 林 克
リニア新幹線工事中、命の水が毎秒2トン減るとの調査が出て、この水の完全復活工事が出来ないとのこと。地域にとってそもそも論であることに、JR東海は無視しているのか、環境アセスでの調査でこのような結果が明らかにされたことが素晴らしい。
編集後記
 
 

2022年4月号読者ノート

 (2022/03/15)
 
編集者より
高度成長期に敷設された多くの水道管が多くの自治体で耐用年数に到達し、更新や長寿命化のコストをどのように負担し安全を担保するか、岐路に立たされています。そうした背景から2018年改正された水道法は、「公共サービスの成長戦略」にもとづいて水道民営化と広域化に道を開き、その動きが広がりつつあります。憲法が保障する生存権と公衆衛生についての国の責任の規定を堅持させ、いのちの源である水道をどう守るか、水の自治に改めて光を当てます。
事務局より
 コロナ禍で日本は変ですが、世界は第3次世界大戦が起ころうとして危険です。第二次世界大戦の教訓が生かされていないのですね。
日本で、憲法改悪が進むことと同じことが世界で起きているのです。

目  次
◆直言 パートナーシップ制度は「無縁社会」克服の鍵となるか M畑芳和
 全国で147自治体でパートナーシップを公的に認証する制度が創設されている。婚姻制度が、家族関係の維持に関する意思の存否やその生活実態に関わらず、一律に民法上の扶養義務を課さられることが、家族の機能であるとする明治以来の家族観に深く根ざすものだ。パートナーシップ制度を同性間の婚姻制度の代替として留め置くのではなく、同性婚を正面から認めるとともに、パートナーシップ制度は男女を問わず人と人との親密な関係性を証明するものとして再定義する。この流れが奔流となりますね
●連続企画● 「新型コロナ」から日本の社会を考える 第22回 コロナ禍が浮き彫りにした日本の精神医療の構造的問題 竹端 寛
 コロナ禍で、三蜜問題でのクラスターが異常に多い問題ことが明らかになった、その中で精神科病院でのクラスター発生率は異常です。8050問題などから、個別解決策として家族にあてがわれて年齢利差による扶養が崩れて、異常が生まれるのです。このような精神科の扱いは世界から見ると異常で、いまだに27万人近くが入院し遅れた扱いをされています。世界では、精神障害のある人は、地域の中で支えることが「グローバルスタンダード」になっているのです。日本の精神病院は、民間経営が多くその存在を地域に戻すのか、自治体としての役割が大きく問われています。自治体の政策転換を3つ提案され@精神保健機能の拡充を通じら相談支援体制の拡充、A訪問看護や往診など地域支援体制の拡充、Bハウジングファースト(安心して暮らせる住まいを確保することを最優先する考え方)です。これらをセットで行うこと。
●特集● 水道の広域化・民営化と水の自治
 高度成長期に敷設された多くの水道施設が作られ、自治体で耐用年数に到達し、更新や長期寿命化のコストをどのように負担し安全を担保するか、岐路に立たされています。そうした背景から2018年改正された水道法は「公共サービスの成長戦略」に基づいて水道民営化と広域化に道を開き、その動きが広がりつつあります。憲法が保障する生存権と公衆衛生についての国の責任として堅持させ、命の源である水道をどう守るか、水の自治に改めて光を当てます。
あらためて水道の民営化を考える 尾林芳匡
 そもそも論から、確認しますと、水は命の源であり飲用に適する水として供給する施設が水道です。この原則を水道法が規定して、目的に挙げていますので確認しておくことが必要です。@適正かつ合理的なものであること⓶計画的に整備する。B保護育成するC清浄にして豊富低廉な水の供給をD公衆衛生の向上と生活環境の改善に寄与する。ことが出来ることです。これらは憲法に規定される生存権と公衆衛生についての国の責任を明確にしているからなのです。
このような大原則の中、民間事業者の参入を容易にし、民間事業者の収益の確保や増大のために、経費削減や利用料金高騰をやらせる事はできないのです。
水道法の改定で問題点として@更新費用の不足や人材確保の遅れなど、現在の水道事業が抱える課題の改善につながらない。⓶国や都道府県が下ろしていく広域化方針により、地域の良好な水源の活用とは、異なる実情に合わない計画が作られる恐れがあるB民営化により、水道事業が営利本位に変質し、更新費用の削減や料金の上昇がもたらせされる恐れがあります。
民営化はなぜ進められるのかと、問われると、地方自治体や地域住民にとってメリットはなく、あくまで水道事業を通して収益を上げようとする経済界が、繰り返し実現を求めてきたにすぎないのです。従って現在でも、次に挙げられるか所ぐらいしか進んでいないのです。大阪市⓶宮城県B東京水道株式会社の事例を参照してください。広島県もかなり進んでいますが、広島市、尾道市等での参加は見送られています。 

上工下水一体の民営化を探る宮城県 中嶋 信
 宮城県での民営化の推進企業体は、「宮城型管理運営方式」と言われ、あずさ監査法人・ジャパンウオーター・日本総合研究所などの「有識者」、三菱商事・「三位物産・丸紅・日本政策投資銀行など「民間事業者」、及び「行政関係」の国と県、4市1町です。
 水道法の改正当初から「官民連携の推進」が追記され、民間資金を活用する政策に対応するもので、目的外である景気対策に、公共サービス事業が動員できることになりました。
公共サービスの多くは国や地方公共団体によって担わされています。住民が「健康で文化的な生活」を営む上で欠かすことのできない事業です。公共サービスの新たな形は定かではなく、企業や県民の参画を飛躍的に高める具体策は示されていません。水道事業の転換など行政枠組みの改造に野心的な姿勢を示しています。民間企業の裁量が水道事業の公共的性格が薄められ、大手企業集団の利益追求手段の性格が強まることが危惧されます。住民主権の観点から、これからの水道事業の在り方を県民全体で議論する課題が残されました。水源をどう有効活用するか、情報を積極的に広げ、住民や自治体・議会等とともに、豊かな水道事業の姿を示すことが求められています。しかし、実際に維持管理に当たる子会社の株の51%を保有し、実際支配するのは、フランスの国際的水企業ヴェオリアの子会社=ヴェオリア・ジェネッツです。ヴェオリアは各国の水道事業民営化に参入し、多くの問題を起こして、再公営化するなど混乱を招いています。公務公共サービス労働組合協議会は組織内の議論を通じて、「公共サービス実施における6つの原則」を定式化し、その普及を図っています。@必要充足性の原則⓶市民参加及び近接決定の原則B共同実施の原則C公共の規律の順守の原則D公開・透明性の原則Eディーセントワークの原則です。

急浮上した奈良県域水道一体化を考える  浅野詠子
 水道の歴史を振り返り、住民に返すことが基本です。多くの人々の知恵と苦労によって生まれた水源を、何のわだかまりもなく捨て去ることの危惧を述べています。今剰余金が出ていると一般会計に繰り入れた町がありますが、これこそ計画的ではない見方で水道の運営がされているのではないか検証が必要です。維持機能を図りながら進行し、需要を生み出すことがなくては、循環はできないのです。水の流れは循環がうまくいくか、スムーズに行っているかにより守れるのですから。奈良という地域の地形に敏感になって見直すことも必要ですね。これからの気候変動に対応した更新事業を事前に計画していくことと、健全な水循環とは、弱い町、強い町らが連携して健全な循環を作ることから自治が強くなりますが、一か所に集中させ、これが支配するやり方は、多くの危険なリスクを生むことになります。水道の広域化は、山村軽視の風潮を根付かせ、治水・利水の区分は透明性をもって明らかにさせてほしいものです。多くのダム建設の神話が見直される時期に来ています。維持管理の検証がどうなっているのでしょうか。誰が行っているのですか、
大阪市の水道コンセッションとPFI管路更新事業 植本眞司
 大阪での水道事業に対する住民運動が、維新の会の大阪都構想との戦いの中で、自民党を含め闘われたことが述べられ、新自由主義の最先端の維新の会が、水道事業の民営化は欠くことのできない事業であるということで、反対の戦いが組織されていったのです。この中で、水道法の改正によりコンセッション方式により、民営化技術が法的にバック承認され、作り上げたことが示されていますが、水道事業の持つ根源的な計画、設計、施工管理、の過程での技術的継続を担う職員の存在は、大きなウエイトを占めています。これが人の命を預かるものですから余計慎重に行われなければいけませんし、更新事業となるとその変更は多岐により、そのコストの算定は掘り返して初めて明らかになるから、そのリスクを民間が追うことはできないでしょう。これらのコストが生まれる限り、市民にこのことを理解される努力をしない限り、増加する費用負担をどこで解消するのか研究する必要があります。狭小な場所での工事ですからより緻密な設計が必要です。このようなことをちょっと待て命の水の再生ですね。
『水の学校』6年間のあゆみとその先へ 大谷 奨
 水の学校の6年間がこれからの環境の学校へつながっていくようです。このような地道が課題での役所としての取り組みは、珍しいと思いますが、このような地下に眠りながらも命を支えていることの結びつきを教育で十分やる必要があると思います。向井森林組合の学校が小学校で組織されたことがありましたが、楽しいことが大前提に新しいことに触れるいい機会だと思いました。この武蔵野市の取り組みが全国に沸き起こるといいですね。
小諸市水道事業の民営化で見えてきたこと 高橋要三
 市民と行政・民間が行った水道の将来を見守る活動が生まれています。行政がこの視点に立つ動機が明らかにされないと、この市民団体が、水道料金値上げの根拠にされ、困った立場に落とされますので十分注意が必要です。市民に安全・安心な水を送り続ける持続的な組織の要は、それを担う技術者集団で、この人たちが、非・正規とかは県ではよいことにはならないということを市民は最初に抑えておくことが必要です。よくあるてチェックシステムに市民が参画できる体制を作るとはすばらしいことですね。
学校から給食調理場が無くなる─倉敷市の公共施設再編と子どもたち 末田正彦
 学校給食が大規模センターに統合されることに市民団体が良くする会を作って戦っています。このような戦いの根源は、公共施設の再編であり、新自由主義の先頭に出ていることが、明らかにされています。まさに学校とはないか、公共施設とは何か、考え合意形成をすることが必要です。行きつく先は、学校の統廃合の訴状を阻止することになります。学校の廃止、統合について「地域コミュニティの核としての性格を有することが多い学校の統合の適否の判断は、教育的観点のみならず、地域の様々な事情を総合的に考慮して検討しなければならない」と文部省が言っているのですからこれに市民がどう答えるかになります。
●連載●
人つながるL 「森のハープ」でご縁をつむぐ 阿久津 瞳

 「人と自然のご縁をつむぐ」のテーマで運営されるよう養蜂業とハーブ制作とは。文化を備えた起業家。この姿が持続的経済発展を支えるのか
新連載 おきなわ定点観測 第1回 連載開始にあたって─沖縄の「日常」とその衝撃─ 関 耕平
 広島自治体問題研究所での講演から身近な人が沖縄に行かれて、これから連載がはじまります。期待したいと思います。広島自治研とかかわった先生がこれで、5人になりましたか。「理解」を打ち砕く「洗礼」を受けられたとか。
検証 津久井やまゆり園事件を人権の視点から考える
 第7回 知的障害のある人、家族、福祉労働者の人権侵害とその責任、地域住民との関係 鈴木 靜

 社会福祉施設での事件の問題について根源から見つめ直されているようです。知的障害者と切るのではなく知的障害を持つ人と位置づけ、そのケアをどうするのか、またその保護者、支援者の姿を明らかに制度化することが言われています。今回福祉労働者の人権の実態が明らかにされ、ケアの本質は、自己決定権の補償であり、人権が保障されるとは、十分なケアを受けての独立生活の保障です。今やこの考え方を理念に留まらず、北欧では制度として保障されているのです。また社会的には、地域住民との関係まで詰めておくことが述べられています。人権保障を整える基本は、具体化する法制度やケアの在り方、職場の在り方の議論が乏しかったのですね。この両輪が合わない動きから事件が発生しているのです。
公立美術館の光と影 第6回(最終回) ICOMでの議論から見える世界との距離 武居利史
 博物館定義から改めて幅広い視点が提起されています。世界的定義案は、博物館とは、社会とその発展に貢献するため、有形、無形の人類の遺産とその環境を、教育、研究、楽しみを目的として収集、保存、調査研究、普及。展示する公衆に開かれた非営利の常設機関である。としておりますが、日本は依然として美術における西洋崇拝が強く、美術館自体を近代化の象徴と考えているのですから、この差は大きいですね。
くらしと自治と憲法と 第11回 憲法から見た日本税制の課題 浦野広明
 日本の税制の不備が説明され、このことが、総選挙での野党共闘政策に盛り込まれたのです。この点に確信を持つためにも学習してください。総合累進所得税の提起が行われています。「所得、法人、資産の税制、及び社会保険料負担を見直し消費税減税を行い、富裕層の負担を強化するなど、公平な税制を実現し、また低所得層や中間層への再分配を強化する」ことです。この個別課題は、憲法30条、13条、14条、25条、29条らから出てくることを、税の在り方でまとめること説明されています。このようなものが身について始めて確信できるのでしょうね。
シリーズ 地域発信 野草と歩む つちころび野起き 第2回 振り返れば一本道  鶴岡舞子
 東京の通学混雑から農村への脱出を一本の道として選び、他力本願で巣立ってきた彼女の道は、今日発展している移住という流れを先取りした試みでもあったのか。地域おこし協力隊に入会して、土着を身に付ける過程で、野草を種類が豊富なのでうまくいくかは別として、食品や原料など新たな資源として活用や利用方法のアイデアをたくさん思いつくのです。ただし、量産が出来ず、栽培が厳しいのが大きな壁です、お手本になるようなものはなく、手探りで可能性を形にしてこられたなのです。このことが一本の道の根幹になったようです。
@NEWS 次世代健康調査中間報告まとまる─カネミ油症事件の今とこれから 三苫哲也
ローカル・ネットワーク
Jつうしん

自治の風─東京・多摩から 第6回(最終回) 歴史を掘り起こす 森松徹夫

 三多摩自治研の歴史を振り返り、自治研本部の流れにも大きく関わった歴史が述べられています。ここでも小金井市職労の300人の読者がいたことが大きく述べられていますが、自治体労働者の糧としての「住民と自治」誌の果たしてきた役割が明らかですね。
編集後記
 

2022年3月号読者ノート

 (2022/02/23)
 
編集者から
 博物館法改正の動きが表面化し公立博物館(美術館を含む)が岐路に立っています。
 公立博物館は、「国民の教育、学術及び文化の発展に寄与する事を目的」として戦後の社会教育法体系に位置付けられました。
 いま公立博物館は、「観光立国」政策の下、「文化観光拠点施設」へと変えられようとしています。地域に密着した市民とともに歩む取り組みに学び、これからの公立博物館のあり方を考えます。

目次
◆直言 差別発言をのりこえ多様性が生きる社会へ 額賀和子

 「LGBT」が議会の中で区を滅ぼすとの発言がされると、この議員に対する異議がSNSで広く明らかになって行くことの時代的背景が述べられています。議会という場の在り方が、多くの区民に関心を深め土壌を成長させてきたのでしょう。靖国派と言われる議員がなりを潜める時代になったのか、この急成長を振り返ると多くの多様性を生んできた文化が、区に培われてきた成果だったのですね。
●連続企画● 「新型コロナ」から日本の社会を考える 第21 回 市民の健康度を高めよう─新型コロナ感染症を抑え込みこれを機会に公衆衛生の機能強化を 長島芳昭
 2020年2月4日、ダイヤモンド・プリンセス号の乗客から新型コロナが検出され、新型コロナウイルス感染症は今や国内に大きな災いを生んでいます。
 この対策が、これからどう作られていくのがいいのか、
 公衆衛生の進化と衰退
 そしてこれから作る課題 が整理されています。
「強い兵隊」を作るために国民体力法が制定され、
 敗戦後の国民生活脆弱・貧困・不安な生活からの脱却のため保健所法が作られ、乳幼児健診母子健康手帳が市町村に一元化されました。
一方新自由主義の広がりから、保健所の地位は、崩され、地域保健法に保健所長までが民間に下ろされてきました。
  こういう時に、今回の新型コロナが発生し、多くの犠牲者が作られています。これからの公衆衛生機能強化を実現するためにどうすべきか。
     1.原則 
   2、具体的な展開 
   3、市民生活の感覚に依存して健康度を高める 
   の項目が述べられています。
 実際の保健所に配置されている業種(衛生監視・食品衛生・環境衛生・医務・薬務等を分担し、採用職種は、獣医・薬剤師・検査技師・理学系、食品関係です)の多さに改めてその大事さが分かります。
 個人の症状も大切であり、その人を育てている環境に目をやる人の構成も保健所なのですね。その所長は剣客でなければいけないのです。

●特集● 博物館法改正の論点と市民と共に歩む公立博物館
 
博物館法の改正23年4月1日施行となる。
文化審議会答申と博物館法改正問題─市民の学びの自由と権利を保障する博物館の自由をめぐって 長澤成次
 博物館法は、1951年12月㏠公布・1952年㋂1日の施行から70年が経過しています。単独での改正は、今回2回目となるもので、憲法・教育基本法のもと、社会教育法の精神に基づき制定されてきました。
 したがって基本的人権としての思想・良心の自由、表現の自由、学問の自由などの自由権的諸権利と「教育を受ける権利」「(学習権)などの社会権的権利は、社会教育機関としての博物館においても十分に保障されなければなりません。
 しかし、新自由主義の広がりの中で、教育委員会制度・首長部局移管・地方分権一括法などとの関連の中、不安項目があげられています。今回挙げられて文化観光推進法との軋轢は如何に解決されるのでしょうか、これらについて押さえておきましょう。
  1.「文化観光」概念の導入によって観光が目的とされて文化が手段化される危惧
  2.「文化観光拠点施設」へと「機能強化」され、「収集・保管、展示・教育、調査・研究の基本的機能」が後景に退いてしまう危惧
  3.事業展開が、博物館の自由で自律的な学芸活動を阻害する危惧
 付帯決議が付いた文化観光推進法の問題点、「満足度」「来訪者数」「リピーター率」などKPCAサイクルのもとで、博物館・美術館等の事業が展開されることの違和感が述べられています。
そして、博物館法の根幹に関わる第1条・目的が変更される可能性があるのです

会員相互が教え学び合う─平塚市博物館の取り組み 浜野達也
 平塚市は6分野に学芸員が配置された、総合博物館・考古・歴史・民俗・地質・天文学が「地域の再発見」という活動方針のもと連携しているのですね。
 まさに主権者市民を巻き込んだ活動なのです。
その特徴は、
  ・行事の結果を出版物や展示という形であるものにまとめ、行事が館の財産として生きていく仕組みを作っている、
  ・行事は参加した市民が調査・研究・収集・保管・展示・普及という博物館のあらゆる機能に関わる活動を目指して取り組んできたことです。
  ・まさに多くの会が出来ており、
 ここでは「石物を調べる会」が紹介されていますが、長年の活動履歴が記載されており、参考にしてください。
  年に一度の温泉旅行がカギですね。
 令和3年版平塚市行政概要で、人口257,504人、博物館概要から主な教育普及活動25分野、開催回数120回と参加者数1,728人と報告されていました。

町田市立自由民権資料館のとりくみ─町田自由民権カレッジの実践を通して 松崎 稔
 その街で起きた市民の要求にどうこたえていくか、町田市の博物館の生まれ方は、町田市の市の対応として自由民権運動に対する認識が、大きくかかわっていたように思います、
 「町田自由民権カレッジ」の実践の特徴が
   第一に卒業生が専門性を高め、講師を務めるまでに成長している。
   第2に、自主学習組織で現在も活動を続けている
   第3に多くの市民に活用されることが新たな一歩なると考えられた知識や知恵を効率良く習得することに
  偏重しつつある風潮に対して、より深く学び考えたい、自分で調べ解決するもしくは考える力を養いたいという要求が、博物館の発足にあたっての市民のニードをどうとらえるかが大きな課題ですね。
 また、多様な学び方のニーズにどのようなカリキュラムを改編するかなど当初の目的を失わないで考えることが必要ですね。

宮城県 リアス・アーク美術館 教育施設であることへのこだわりについて 山内宏泰
 この宮城県リアス・アート美術館が、運営母体が気仙沼市と南三陸町で構成される気仙沼・本吉地域広域行政事務組合の教育委員会だと。
 2011年の東日本大震災に被災した後も、全事業が再開しているのです。
 1990年当時、「海の文化資料館」という目的で設置計画が立ち上がり、その後「美術館」へと目的が途中変更され、美術館でありながら地域の歴史、民俗、生活文化系資料の常設展示を持つ変則的な施設としてオープンしています。開館と同時に「税金の無駄遣いをする厄介者、裏切り者」といったレッテルを張られることになったそうです。それゆえ、学芸員のミッションは、地域密着型施設と信用を得ることにつくと言います。
 地域に密着した事業を継続させ、地域住民参加型の文化祭を開催する教育普及事業として、「出前授業」と銘打って訪問型の事業をするなど多様性を備えた博物館になっています。
 そもそも「学芸員」という中身は、何の為に必要なのか、
  どういった仕事をし、
  何が出来るのか が綴られています。
  自信をもって地域密着型博物館施設を名乗れる理由、
    それは美術館を出て、地域住民とともにまちをつくる、その活動にエネルギーを注いだ結果と言えます。
  「同じ現場で、同じ目標に向かって活動する仲間として価値観を共有する」、それ以上に分かりやすい地域密着はないと言っています。
  教育施設であるということは、その務めは「学びの機会の提供」である。あることで地域住民の20%が理解していて80%は理解できていない状態ならば、理解していない80%のために学びの機会を提供する、それが教育施設の務めだと。昨今、多くの文化施設が娯楽目的の商業的な展覧会等を盛んに催しています。そういった施設と混同されることで、博物館は社会施設であるとの認識が、一般に相当低下してしまっています。
   また同時に学芸員が教育職にあたる専門家であるとの認識も見失われています。
   教育者であるがゆえに、学芸員は地域に寄り添い、地域の過去、現在、未来を考え、地域の発展と安定を願い、厳しいこともいい嫌われることも覚悟しなければなりません その覚悟がなければ、地域密着などと語ってはいけないのです。

美術館活動に市民はどう参画できるか─和歌山県立近代美術館の場合 青木加苗
 夏休みの美術館はコレクションによる展覧会であるため、実際に出品予定の作品をみんなで直接見る機会を設けることが出来るのです。展覧会の内容そのものに影響を与えることも珍しくなく、展覧会企画自体に、研究会活動が大きく関わっていきます。
 美術館は人々の学びの場を「提供」しているのではなく、
 美術館を「自分ごと」として考える市民によって支えられているのだという事実があるのです。
 美術作品を多様に見ることが、美術の楽しみへの入り口だと位置づける「なつやすみの美術館」では、美術史的な解説は一旦傍に置いて、来館者の疑問や自由な解釈をより歓迎しているのです。
 「美術館を市民に開く」とは、美術館を市民や子供たちの作品発表会場所に使うことだと思われます。
 しかし、美術館とは単なる展示会場ではなく、調査研究・収集保存・展示公開・教育普及問一連の活動が有機的につながることで、地域の文化や人々の知的。同型的な営みをその地域内だけでなく外にも、そして過去から未来へと伝えて行くための存在です。
  美術館における市民共同の可能性は、美術に関心がある人のためだけでなく、美術や美術館に関心を持つ市民を増やす活動を行い、そこに様々なレベルで関われる学びの場を設けることが、美術館の存在を安定的につないでいくための心強い支えになりますね。

2022年度政府予算案と今後の地方財政の焦点─アフター・コロナの自治体財政─ 森 裕之
  2022年度政府予算は
   コロナ禍に対応した運営が行われました。端的に言えば、緊急事態に対処するために膨大な財政支出が進められました。そのための国による財源措置も慰霊づくめでした。これは平時における緊縮財政ベースの運営とは全く異なった事態と言えます。
  これに対して、
     1.五里霧中の行財政運営 
     2.財政運営指針としての「骨太方針」  
     3.2022年度政府予算案と地方財政 
     4.これからどうなっていくか、どうするべきか
     補論:財政危機と市民運動―最近の堺市の事例― 
  の角度から述べられています。
 注目すべき点として、
 ・自治体の総常勤職員数の変化です。1994年には3328万2492人をピークにほぼ一貫して減少し、2018年には273万6860人にまで下がり、それ以降は増加へと転じていますが、それでもコロナ禍真っ只中の2021年5月1日時点でさえ280万661人にまでしか回復していない。
 国は次々と新しい政策課題を加えていき、それらを実施することに膨大な資源を投入してきました。それは、地方版総合戦略(地方創生)国土強靭か地域計画をはじめ新しい計画や条例を絶えず策定させられることになり、おまけに流行のPDCAサイクルやKPI (客観的な重要業績評価指標)の設定などの「科学的」なマネジメントを進めることが求められました。
  今後コロナ禍が収束すれば、さらに自治体のデジタル化やグリーン化が強力に要請されもはや現場では限界を超えて来るのは間違いないでしょう。
  また「骨太方針2021」の項目は全部自治体の行財政運営と関連していると言えます。
  第1は、デジタル化です。
  第2はデジタル化やグリーン化(環境・エネルギー)と密接に関係しているもので、いわゆるスマートシティの推進です。
  第3は、生産性を高める社会資本整備です具体的には集約・廃止を含めた公共施設等の適正化を図り、公共施設等総合計画・個別計画の見直しを促進するという点にあります。
  これまで人口20万人未満の自治体への優先的検討規定の導入を要請するとしています。
  第4が、地方創生の加速です。
 
  公共事業については前年度並みの予算確保が行われ、その中でドローン点検を活用した老朽化対策や土地利用規制・避難計画等を強化した防災・減災対策への重点化が図られています。
  国際的に、為替相場がさらに円安へと傾いていくことになり、円安になれば食糧やエネルギーなどの輸入物価が上がることになり、所得が一向に上がらない国民の生活困難がさらに広がりいわゆるスタグレーションが起こり円安が進んで国内の預金等が減ると、円の供給が減少して金利が上がる状況が発生します。そうなれば、政府の債務利払いも大きくなり、財政運営がさらに難しくなることが想定されます。
  財務省の方針を最も体現しているのは、財政制度等審議会が発する「予算の編成等に関する建議」です。地方財政の歳出抑制を図るため、「建議」では使用実績を踏まえた地方財政計画への財源形状の適正化や不用額の精算、社会保障費の効率化、公共施設等の縮減、民間資金・サービスの活用を求めています。
 災害リスクと関連させつつ、居住人口がさらに減少するような立地適正化計画の目標を設定すべきことも提言しています。ただしこれは災害対策というよりも、財政削減の視点から出されているものです。
 これからの自治体は、財政破綻(赤字財政)を避ける事を前提として、自分たちの地域の経済社会にとって必要となる事業やサービスを推し進めていくことです。そのためには、国が設定する重要課題や財源措置を巧みに利用していくことが必要です。それは思想信条はともかくとして、国が提示する補助制度や地方交付税措置の仕組みと内容をきちんと理解して、それを各自治体の財政と行政サービスのために活用することです。
  地域での優れた実践が国全体を動かすという点では、これまでの歴史が証明してきたことです。ぜひそのような視座に立って、2022年度からの行財政運営に取り組んでください。
  大阪堺市は2021年2月に「堺市財政危機宣言」を出し、それに基づいて「財政危機脱却プラン」を押し進めようとしています。これは要するに歳出を見直して削減していくという計画です。
  財政運営の内容を決めるのは最終的は市民です。今後も厳しい財政運営が進むのであれば、それを市民学習を通じた広範な社会運動へと展開していき、財政を真に市民の手に取り戻してほしいと思います。

●連載●
人つながるK 「てま里」へおいでよ!─自分たちの居場所は自分たちの手で 井上可奈子

 里にあるちょっとした居酒屋か、そこでの出会いがスムースに行われる限り、大きな拠点として人が集まるでしょう。社団法人として性格が明確で、町からの支援もあって、ちょっと泊まることが出来るのかなと、関心がもたれます。今なら8500円で泊まれます。
https://www.tripadvisor.jp/Hotel_Review-g1121370-d17542752-Reviews-Temari-Nanbu_cho_Saihaku_gun_Tottori_Prefecture_Chugoku.html

公立美術館の光と影 第5回 「表現の自由」はなぜ制約されるのか 武居利史
 表現の自由を勝ち取る戦いで、公立美術館で多くの調整が起こると言われています。多額な開催費用の負担が、この自由を奪っているからです。この自由がこれからもっと大きくなり、誰もが楽しめる文化教養の場にしてほしいものです。眼を開き見守っていきましょう。
シリーズ 地域発信 野草と歩む つちころび野起き 第1回 摘み草のお店「つちころび」 鶴岡舞子
 野草とは何か、あちこちに雑然と生えているものか、どうしても限られた土地にしか生えないⅯ歩の家、私はの草を積んで遊ぶなどしたことがアリマせんが、改めて除くと蜂に刺されたり蝶の子どもの糞にあったり、社会的薬草だとはなかなか思いもつきません。改めて見つめ直してみたい野草です。
くらしと自治と憲法と 第10 回  憲法9条 戦争放棄・国家非武装をめぐって─安倍改憲策動を封じても岸田壊憲が進む 大内要三
 拳法9条がもはや世界から看板倒れになったのは、イラク戦争に加担して以降です。安倍内閣が長期に続きはしましたが、改憲までできなかった、しかし、岸内閣は発足と同時に、憲法改悪を宣言し、議席数でも安定した体制を維持しています。自衛隊がどんな役割をしているのか、改めて私たちは告発しなければいけないのです。軍事同盟が今回のウクライナでの大きな分かれ目として挙がっています。日米安保同盟が私たちの主権を脅かい、敵を同じくする者が結んでともに戦う約束をしているのですから、今新たな自衛隊基地増設が石垣島周辺で広がっていますが、危険な事態であることは、今回国民は知らなければならないと思います。岩国基地での海兵隊員のストレスは、大変なものがあり、この影響が周辺都市に波及していることを告発しな変えればなりません。岸田の提案ある敵基地破壊の軍事予算は国民一人6万円弱になっていることも合わせ、確認したいことですね。
@NEWS リバティおおさかのいま 吉村智博w
BOOK REVIEW
ローカル・ネットワーク
Jつうしん

 今月号に広島自治研からの報告が載っています。県政白書での作業が掲載されていますので読んでください。
自治の風─東京・多摩から 第5回  戦争遺跡多摩火工廠≠ニその後の変遷を追って〜多摩市平和展を軸にした市民の取り組み 神子島 健
 多摩の大地に米軍事基地関係のレクレーション基地が長年潜んでいることが書かれています。都民のためでなく米軍関係者だけが使用できるのです。又この地は戦中の軍事基地として市民を圧迫した施設でもありこれらの告発が、3冊の本としてまとめ上げられている、それも行政が入っているとは、改めて勉強したいものです
編集後記
 

2022年2月号 読者ノート

 (2022/01/20)
 
目  次
 いま日本社会はコロナ禍で、行政の非科学的対応で多くの犠牲を余儀なくされています。コロナ禍の行政対応が真に国民の生活向上に役立つものになってほしいものです。勉強しましょう。
◆直言 終身無料乗車券+「ドアからドア」の効用 西村 茂
  デマンド交通システムで、自宅からどこへでも行ける交通サービスが実現し、加えて無料で後押しされるなら、安心して運転免許証を返納できますね。また、自分が自動車管理する費用は?43万円以上ですが。
◆新春対談 価値観の転換の時代に立って未来への展望を読む 田中優子×岡田知弘
 結社を作ろうと呼び掛けています。自分の成長発展のみの追求・エリート意識に狭間れた価値観から、小さな仲間の間での議論、意見交換し同調圧力に屈しない価値観への成長を積みましょう。
 憲法闘争での根幹は、いまの憲法と自民党憲法改正案の社会像の違いをちゃんと比較して、自分が選ぶべき社会像を固める事が大切だと説くことが大切なのです。
 江戸時代から現代を振り返ると、小さな単位で構成され「多様性ある社会、循環型社会」から「際限のない欲望」へ進めて来たようです。
 小さくても輝く自治体運動が、新たな芽吹きを感じさせています。本当の学びとは、教科書を使って、読み、講義を聞く、そして会読することです。
 コロナ禍が教えたことは、自治体が自分たちの力で乗り越えること、教育ももっと小さな単位で行うこと、コロナで女性の弱い立場が明確に出てしまいました。

●連続企画●「新型コロナ」から日本の社会を考える 第20回 コロナ禍下の無料低額診療所から見える景色 山田 智
 無料低額診療事業とは、低所得者などに医療機関が無料または低額な料金によって診療を行う事業で、窓口での一部負担金免除、この制度の適用は生活が改善するまでの一時的な措置であり、無料診療の場合は、健康保険加入または、生活保護開始までの原則1ヶ月、最大3ヶ月(一部負担の全額減免と一部免除は6ヶ月)を基準に運用しています。
 コロナ禍での医療制度の経済困窮者に対する大きな改善点として、保険料と窓口負担の二重取りをやめることを提言しています。このような診療所は、全国でわずか700か所しかないのです。50歳代未満の働く世代に失業し無保険とならざる人が多く発生し、受信を我慢したり、あきらめたり、手遅れとなった人が多く発生しています。難民申請中の外国人の方々のこの制度を知らない実態も明らかになっています。

●特集● 学校が消えると地域はどうなる?─だれのための学校統廃合・小中一貫教育 
学校統廃合の新局面と教育論を無視したその問題性 山本由美

 学校の統廃合が、公共施設に占める割合が大きく、これによる維持管理費軽減が新自由主義の成果につながっているのです。したがって教育論、こどもにとってとか、家族にとって、地域にとってなどの議論は全く無視されて、補助金のかさ上げを餌に市町をリードし、地域コミュニティーの破壊を進めたのです。小中一貫校の広がりのスタートが、呉市教育委員会の「中1ギャップの解消」と「発達の早期化による4年生と5年生の間に生じる発達の段差」だとされていましたが、これらは以後科学的根拠のないことが国立教育政策研究所などから出されています。教育の科学的手法が、一般の保護者に正確に伝わっていないこと、機械的民営化、複合化などの手法が推進の方針に掲げられていたのです。
公共施設縮減の現局面と学校再編・統廃合 平岡和久
 総務省が都道府県、市区町村に対し、2016年度までに公共施設等総合管理計画の策定を要請し、2021年3月末時点で都道府県、政令市は全団体で策定済み、市区町村の99.9%が策定済みになっています。そして、2020年度までに、個別施設計画の策定を要請しているのです。そして公共施設等適正管理推進事業債を繰り出しているのです。また、2021年度に限り新たに特別交付税措置が講じられました。このことは、十分な公共施設総量削減が出来ていない状況を示しています。しかし、公立学校の縮減の進み方は急速になっています。
 一方コロナ禍での状態は、「ニューノーマル」という発想が生まれ、首長、自治体各部局、住民、議会それぞれが、公立学校や公民館をはじめとした公立機関の役割やそれらの機関の拠点となる公共施設の役割を再認識し、熟慮することが求められています。
 学校施設の在り方については、市民社会の主人公を育てる教育機関とその施設の役割を発揮するという基本に立ったうえで、学ぶ権利を保障するための自治を維持・拡充する視点に立つことが、これから求められる情勢です。

埼玉に見る学校統廃合の現段階と市民の運動─人口減でも人口増でも学校統廃合・小中一貫校推進 渡辺繁博
 埼玉県は、公共施設等総合管理計画で民間コンサルを使った、モデル事例を市町村に押し付けようと、基準を掲げていますが、公務サービスの産業化を進めるツールとして位置付けているのです。これに対し各地に広がる市民運動が、考える会を設立するなど、市議会を巻き込んだ発展が生まれてきます。地域のくらしを将来にわたって豊かにイメージすることが出来れば、計画への疑問と批判が多くの住民の合意になります。地域生活者であり、納税者であり、施設利用者である主権者としての市民が、声を上げ、学び、地域の未来を考える機会として公共施設と学校の再編問題に取り組むことが今求められています。
市区町村による自衛隊への住基情報提供の違法性について 前田定孝
 自衛隊職員募集の事務について、2019年安倍前首相が自治体の非協力は残念という答弁を行っていますが、これを受けて2021年に防衛省及び総務省から通知が発行されたようです。この通知に対する判例は、見つかりませんが、市区町村が2019年度までの2年間に87増え、全国1741自治体の41%の719自治体に達した。となっています。しかし、個人情報の外部提供には多くの問題があり、閲覧以外は違法であると、また公益性について解することができないのですが。
●連載●
人つながるJ 福島県二本松市へ移住─「ソレイユ」から里山の魅力を発信 大原陽子

 値域に移住して5年。規格野菜の加工に手助けを行うなど、地元優先の生活ご苦労さんです。地域おこし協力隊員の経歴を持っておられ、地域は助かっていることでしょう。頑張ってください。
シリーズ 地域発信 旅と暮らし 最終回 第5回 果てのない旅 八須友磨
 「みみすます」、この名前は、不断の忙しい日常を忘れ、山や川が、周りの生き物たちが発する声に耳を澄ませてほしいという願いだそうです。渡り歩いた自然から、定着した自然への変化、人生とは旅の流れかもしれませんね。
検証 津久井やまゆり園事件を人権の視点から考える 第6回 植松死刑囚はなぜ事件を起こしたか─事件の本質は解明されないままだ 篠田博之
 植松死刑因は、自己陶酔に入り、その枠に凝り固まって、解除する方法がないのでしょうか。障害福祉の戦後あいまいにされてきた様々な問題を白日にさらけ出したと言われています。今回の裁判過程で本当に障がい者支援がどのように行われていたのか明らかにしないのでは、解決にならないと言っています。篠田さんのこの間の接触でもってしても、この課題は明らかになっていないのです。
くらしと自治と憲法と 第9回 多文化共生のための外国人参政権 春山 習
 外国人の憲法上の位置づけは、地方自治で規定する住民自治の中で、地域に密着して生活している住民で、その地域の問題や課題を自ら解決していく人々と規定しているのでしょうか。
日本国憲法で、地方自治の規定において「国民」ではなく、あえて、「住民」という言葉を使っていることに注目されます。また具体的に、市町村議会議員や首長を選んだ後も、一定数の住民の署名によって、条例の制定改廃や監査請求、議会の解散請求、首長や議員の解職請求といった、直接住民の意思を反映できるような制度が設けられているのです。地方自治法10条は、「市町村の区域内に住所を有する者は」を「住民」としており、「住民」を日本国籍保有者に限定していません。外国人も含む「住民」は、その地方公共団体のサービスを受ける権利を有していると同時に、税負担なども等しく課されています。(同条2項)しかし、地方参政権になると、地方自治法はとたんに「日本国民たる・・住民」と、国籍要件を追加しています。(11条)政治参加の機会を一切与えない現行制度が、地域社会の理念にふさわしいのかと疑問を感じますが、1995年の最高裁判決は、立法によって地方自治体と特段に緊密な関係を持つ外国人に地方参政権を認めることは憲法違反ではないとしています。このことは、法的拘束力を有しない住民投票権を条例によって外国人に認めることが憲法違反、地方自治法違反になることはないのです。改めて、国民と住民の違いを確認しました。

公立美術館の光と影 第4回 学芸員に求められる専門性と地位の危うさ 武居利史
 学芸員とは、博物館法で、「博物館資料の収集、保管、展示及び調査研究その他これと関連する事業について専門的事項をつかさどる」としています。これらの業務は5年間で達成されるものではないはず、ベテラン、中堅、若手のバランスある配置でもって継続される業務だと思います。今これら職員にも、任期付き職員や会計年度任用職員の学芸員が増えているようです。業務の性格によってこれら制度の改変を行わなければ、文明、文化の継承も途絶えることになります。
@NEWS 広島地裁の伊方原発差し止め仮処分不当決定について 樋口英明
 広島市の沖の伊方原発裁判での審理で、地震の揺れを示すガルの達成調査を住民側に要求する裁判判決が出たとは。南海地震で伊方原発が無事であるかどうか、住民としては南海地震が近づくにつけ、その確認が欲しいところであり、それは原発そのものを設定する電力会社が証明すべき課題であるにもかかわらず、それを住民に求めるとは、どうなっている判決なのでしょうか。怒りを感じます。
ローカル・ネットワーク
Jつうしん

自治の風─東京・多摩から 第4回 多摩独立を構想する 熊谷伸一郎
 五日市憲法に依拠して自由民権運動の精神がここ多摩地域26市3町1村にあったと。憲法草案の意欲を受け継ぐ運動に入ったようです。このように小さな地域の独立がこれから多くの地域で生まれるといいのですが。五日市憲法とは、国会開設運動が高まる1881年(明治14年)に東京都の五日市町(現あきる野市)で作成された憲法の私案です。https://www.bing.com/videos/search?q=%e4%ba%94%e6%97%a5%e5%b8%82%e6%86%b2%e6%b3%95&docid=608042123772702972&mid=0BB54D0E0F8A897A09CC0BB54D0E0F8A897A09CC&view=detail&FORM=VIRE
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編集後記
 

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