広島自治体問題研究所
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2021年1月号読者ノート
 

 (2020/12/18)
 

目次
 2021年あけましておめでとうございます。
 まさにコロナ災害の中、すべての社会活動が萎縮しこの災害を防げない事態です。政府としてしっかりした方針で臨んでもらいたいのですが、菅内閣ではとても対応ができないでしょう。地元の自治体に働きかけ少しでも被害の削減に努めていきましょう。このためにも、総選挙で新たな民主政府を打ち立ててもらいたいものです。この「住民と自治」を読み合わせて一つ一つ改善の知恵を磨きましょう。共にがんばりましょう。
◆新年のごあいさつ 「アベ政治」を一掃し、今こそ人の命を大切にする「公共」の再生を (岡田知弘)
 コロナ禍は、1990年代半ば以前の新自由主義的な構造会改革、「平成の大合併」と「三位一体改革」によって、保健所や公立病院の再編統合が進み、感染症の検査・医療体制を弱体化されたことを炙り出しました。今後、「圏域行政」「地域の未来予測」や「公共サービスの産業化」の観点からの「地方統治機構」の整備に反対し、住民自治を基盤にした新たな地方自治の発展を確信していきたいものです。
◆直言 辺野古争訟、地方自治への絶望を希望へ (白藤博行
 沖縄県民が、基本的人権の保障、民主主義・地方自治、平和は、その根本のところで、日本国憲法の埒外におかれてしまったままであることを忘れてはならない。
 沖縄での司法権は、「私人なりすまし」の行政を容認し、裁判所の司法権の自主的放棄を行っているなど根源問題があるのです。「法治国家」確立は私たちの大きな課題です。

●連続企画● 「新型コロナ」から日本の社会を考える 第7回 医療・福祉拡充は雇用・経済発展の力─国と自治体に見る (有働正治)
 国民経済統計で、日本の産業構造を総体的に明らかにした産業関連票を活用し、医療、福祉等の各分野に一定の予算を投入した場合について、生産、GDP、雇用波及効果を試算しています。試算結果から、同じ予算投入でも。医療、福祉等への投入こそ、特にGDP,雇用効果は他産業分野―例えば公共事業分野より大きく、日本経済発展の力を持っていることを明らかにしました。これらの試算結果を実施によって、ポストコロナに向けて、医療、福祉等の拡充、命を守る「ケアに手厚い社会」への大展開をしたいものです。広島県ではどうなるでしょうか。
●特集● コロナ禍における保育所の役割
 保育士さんにとって、三蜜が避けれない保育所勤務は大変な毎日でしょうが、保育関係者のPCR検査・早期発見と保護・治療の体制を早期に確立し子どもたちへのしわ寄せをなくしたいものです。
•コロナ禍と保育 (藤井伸生)
 このコロナ禍で明らかになった、日本の保育の発展で誤ってきたことは、待機児童解消に躍起になるあまり、保育基準の規制緩和で乗り切ってきたからだと。子ども30人に保育士一人といった基準は1948年当時のままです。驚きの点です。また一部屋で、食事、お描き、木工作業などをやるとは、スウエーデンの保育、子どもの主体性の保障できる空間と人員配置、豊かさを、人生の土台をつくる就学前に保育環境の拡大でもって行うことと比較すると緊急な課題であることが明らかになりました。
 保育所開所時間の短縮、小学校区単位での設置、職員の待遇改善、保育整備財源は企業主負担の増大等課題が、保育運動が社会を変える役割を果たしている源泉ですね

•すすむ公立保育所民営化と公の役割 (杉山隆一)
 公立保育所の民営化が、小泉政権下で、「民間活力活用論」「保育所設置運営の規制緩和」などで行われ、民営化のため、「公立保育所運営費の国庫負担の廃止と一般財源化」「公立保育施設の整備費の国庫補助金の一般財源化」でもって、自治体財政を圧迫し、民営化が進んだようです。また民営化のために認定こども園が生み出され、幼保連携が様々な形で組み合わされ、民営化が進んだようです。子ども・子育て支援事業計画で民営化が計画されていきます。この第2期に入りこの計画書の審査をよく見ておきましょう。広島市では明らかな統廃合が上がってきました。新型コロナは終わりが見えません、コロナ禍で公立保育所の果たしている役割を正確に把握し評価して政策に反映すべきです。
•保育をめぐる困難と課題─保育労働者の処遇から (蓑輪明子)
 「新型コロナ禍」は、子を持つ母たちの労働と社会的保育の重要性を可視化しました。子どもの育ちを支える保育者が、その役割にふさわしい扱いを受けていないということでもありました。正規雇用者の賃金は、2019年保育士は363.5万円で全労働者は500.7万円と賃金水準が低いこと、所得内給与月額が最低生活費の前後に位置し、地域間格差が大きいのです。保育労働者の長期時間・過密労働の内容が明らかにされ、業務に見合った人員の配置が求められています。であるから、やりがいのある仕事であるにもかかわらず、およそ3割の人が仕事を辞めたいと言っています。加えて大きな問題は、非正規雇用労働者の保育士労働者が42.7%に増加しており、その基礎的な処遇は、最低賃金との差額は246円で、職務が正当に認められた額とは言い難く、また最低生活ができる水準にも到達していないのです。
•いま、公立保育所では─新型コロナ感染症対策で見えてきたもの─ (武藤貴子)
  保育労働者組合としての視点から、今回のコロナ化問題を述べています。コロナ禍の下保育者たちは、「自分が感染したら子どもにも保護者にも迷惑をかける」という大きな不安を持ちながら、日々の保育を続けています。感染者が出て休園になった保育所、他職場へ派遣された公立保育所職員、業務に追われる自治体職員たちと、大きな目でこの間の動きを追っています。また児童福祉法第24条が、保育を必要とする保護者が保育所入所を希望すれば、それに応じなければならない義務が市町村に課せられ居ることを取り上げて、緊急事態宣言中、多くの公立保育者は、1クラス当たりの子どもが少なくなり、最低基準を上回る職員配置と面積基準での保育を経験したことを謳っています。この点は大きな財産ですね。
•コロナ禍の中の民間保育園─低すぎる保育所最低基準 (乾 みや子)

 このコロナ禍の中、民間保育所から保育制度の問題点が明確になったとの報告です。三蜜防止を保育現場では適応できない実態が述べられています。子どもを育てる面から密接は取り除かれない、子ども同士の関わりから密集禁止はできない、ということです。このコロナ禍で明らかになったこととして、@保育所が働く女性の権利の砦であったA公的保育制度、児童福祉法上に市町村の公的責任を謳っているB保育労働最低基準<配置基準と施設基準>を倍に引き上げ、給与格付けを大幅に見直して、公定価格を抜本的に改定する必要性が挙げられています。社会福祉全体を「自助」ではなく「権利」の土台の上に据えなおすため、高齢・生涯の分野と一緒に社会福祉経営全国会議を結成されました。
•保育現場の声を要求にして市へ要望書─横浜保問協の取り組み (横浜保育問題協議会)
 コロナ禍から多くの課題が明らかになり、それを改善する取り組みが述べられています。アンケートして要求書を創りその改善を等闘いはこの広島でも行われています。別紙参照
 2020年3月、コロナ感染症拡大防止のため、突然の全国一斉休校と保育所原則開所の政府の方針に、保育所関係者の間に強い驚きと緊張を生んでいます。また、多くの教訓が生まれていますが、子どもにとって、心と体がつながって成長するにあたって、表情から相手の気持ちを学び、大人の口元を見て言葉を獲得する乳幼児期に、マスクでは、体と体をふれあって遊ぶ楽しさ、心地よさは心の安定につながるのでしょうか、これらはどうされたのでしょうか。そもそも感染症予防対策の中で、子どもの成長を保障する施策を深めてもらいたいと思います。

•コロナ禍の中での保育所の役割─兵庫県の保育現場から考える (増田百代)
 淡路大震災の経験を持つ保育所からの報告です。今回の活動で、県への働きかけが多く述べられています。格差の問題、公立と民間保育所の問題、特別保育の導入の課題等様々ありましたが、保育所が本来、機関委任事務だったのが自治事務になり、今後は利用施設に変えようとしている流れが、問題視されています。利用施設になれば、利用者と保育所とが契約を結ぶので、収入の少ない家庭の子どもや、障害を持った子どもは入所できなくなり、保育所が子どもを選別する、そのうえ自治体間格差がひどくなることを警告しています。施設整備補助金に土地代も含み、財政措置の地方交付税措置から元の国の補助事業に戻す、公定価格の増額し、民間委託を公立保育所に復活させ、地域住民の子育ての拠点として存続させるなど、権利としての公的保育、福祉にしていきましょう。
Zoom開催 第25回全国小さくても輝く自治体フォーラム報告 (平岡和久)
 小さい自治体でこそ住民の力と職員の力、議員の力の総合力が自治の力を発揮することが述べられています。人口減少の局面にあっても悲観せず、地域を把握し、産業と住民を元気づける安定したまちづくりが大切と総括しています。また岡田先生は、コロナ禍の中で、「新しい生活様式」ではなく、分散型でどの地域でも医療・福祉・教育・農業・飲食・文化芸術等、社会的有用性のあるものを含む「新しい政治・経済・社会の在り方」を創っていくことです。と強調されています。
●連載●
•@NEWS
 市民の学びと対話が政令市大阪市を救った (柏原 誠)
 二度の住民投票に失敗した維新政治を、私たちは断じて再稼働させない取り組みが必要ではないでしょうか。政治学では、為政者が権力の奪取や維持を求めて人気投票的に利用する人民投票(プレビシット)を民主主義にとって危険な手法として認識しています。今回の活動で、市民の学習会活動が効果を得たのでしょうね。
•いらっしゃい! 学校図書館です! 第5回 学校司書の不安定雇用について (武田江美子)
 「子どもたちがいつでも学校図書館を活用でき、楽しく、豊かな学びができるように、学校司書が常駐する学校図書館を堅持し、さらに充実させてください。」まったくその通り、この司書は仕事の内容からいっても正規職員であるべきです。
•新型コロナと日本の公衆衛生・医療─その特徴と課題─ 第4回 新型コロナ感染症─従来の枠を超えた医療提供 (松田亮三)

 感染症対策について、新型コロナ対策の根本的なところは、流行対策とともに適切な医療を確保することが重要だと、言われていましたが、適切な医療体制ができていない、流行をあおるGOTOトラベルを途中から開始し、感染が終わりもしないのに出してきたのはまさに人災でしかない。確かな医療対策がない中、病院の統廃合を推し進めてきた政府自民党への批判を選挙で出して行こうではありませんか。また感染症専門医の数が少ない問題など、早期解決ができないにしても、今後長期的展望を持って端的に取り掛かることが必要です。感染症に指定されても、実際の対応能力という点で大きな誤差が生まれています。ポストコロナ後このような教訓をきちんと改善する実施政府を樹立する必要を国民に訴えていく必要があります。
•ローカル・ネットワーク
J つうしん
•自治の風─茨城から 第3回 東海第二原発の廃炉を求めて (佐藤英一)
•わがまち57 新潟県津南町 (桑原 悠)
•編集後記


DL:87.pdf

(2020広島県自治体保育アンケート.pdf)
1325363バイト
DL:87.pdf

(2020広島県請願書.pdf)
144413バイト

2020年12月号 読者ノート
 

 (2020/11/19)
 
目次 
 コロナ禍の第3波が来ています。気を付けあいましょう。
事務局として気になった記事にコメントを載せます。一緒に読み合わせしましょう。あなたの感想や意見もお寄せください

●連続企画● 「新型コロナ」から日本の社会を考える 第6回 コロナ禍で明らかになった地域医療の危機 長友薫輝
 私たちはこれまでも、そして現在でも、医療現場は「薄氷を踏む状態」で、ぎりぎりの綱渡りをしていると思っていました。コロナ禍の進展で、医療崩壊が出てくるのは当然だと考えていますが、今回の新型ウイルスの感染拡大を受け結果的に対応できたのは、公的医療機関で、民間では18%に過ぎないという事態が明らかになっています。一方大幅な診療抑制が進み、公的・民間病院の大幅な減収を誘い、結果として公的医療費抑制策の転換・地域医療構想の病床削減計画の実現を急がないことがいま必要になっています。またこの間、国の政策を超えた、PCR検査体制拡充を図る世田谷区をはじめ、自治体と医師会、公立・公的病院等の連携による発熱外来の設置などが進められました。
●特集● 図書館の未来を考える─住民自治と図書館の役割
  身近な図書館が最近身代わりし出したと思われています。住民自治を育成する場としてとるべき姿の進歩を探りましょう。
•図書館法70年─住民自治による追求 (松岡 要)
 
そもそも図書館とは、地域住民が共につながり、協力し合って過ごして、近代にいたる前から、所有している図書などを持ち寄り、必要とする人に見せていました、これを「持ち寄り、分けあい」の場、図書館にしたのです。
 改めて図書館の性格、司書職制度の在り方などを学びました。指定管理者制度に馴染まない社会教育施設として、住民が支えていく図書館が進歩することを願います。図書館法を学びましょう。

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•地域の資料・情報センターとしての図書館へ (福島幸宏)
 現状の図書館が、情報格差の定着装置化している、提供しているのが『レクレーション』のみであって、「調査研究」は壊滅的、「教養」も実は怪しいと、いう総括がされています。今後図書館は、デジタル環境と地域の情報・資料に注力する必要があると言っています。図書館法とともに、2005年には文字・活字文化振興法が成立し、公立図書館の進行を謳っているものの、読書推進活動の自治体への義務付けが先行し、図書館の図書、記録その他必要な資料収集活動がそがれているようです。「信州ナレッジスクエア」を見てみましょう。
https://www.pref.nagano.lg.jp/kyoiku/bunsho/happyou/020331press.html
•フィンランドとノルウェーの公共図書館における革新 (小泉公乃)
 北欧での公共図書館の位置づけが、世界で最も先進的なもので、長年、政治的かつ経済的に平等かつ公正な高福祉社会を実現してきたのです。表現の自由、文化的対話・議論の熟成、文化の多様性を下支えする社会的基盤として公共図書館があったのです。北欧の先進的民主主義と市民参加は公立図書館は、中立的かつ公正な社会教育機関として、一つの政党に偏ることなく地方議員を招待しています。また都市の再編時に街の中核機能を果たす場所に図書館を位置づけて建設し、町全体を再設計することで、地域全体の課題を解決しようとしているのです。
•住民参加の図書館づくり、図書館運営 (山本健慈)
 大阪府熊取町は、維新の会の町長ではあるが、図書館の指定管理者制度導入に馴染まない理由として、@事業収益が見込めない公共サービス、A指定期間の制約による長期的な展望を持った運営のむつかしさ、B読書の自由を守る役割、C運営に対する信頼性と継続性の確保が重要な施設である、などを掲げています。 
 また図書館協議会の活動は、司書・職員・行政職員・住民の連携で長期的に確立してきたことにも目を見張ります。「これからの熊取町立熊取図書館の管理運営のあり方について」
https://www.town.kumatori.lg.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/22/tousin20190420.pdfを見ましょう。
•市民との協働から考える図書館の役割 (末次健太郎)
 佐賀県の伊万里市の図書館活動の報告ですが、ここに勤める職員の中に、開館以来20年以上勤務している司書が7名在籍しているとあります。これがすごいと思います。これら職員が図書館業務の傍らボランティアとしてとも交流を続け、顔見知りとなり、気軽に話ができる関係を作っているのです。また図書館設置条例の言葉から、図書館における市民との共同が掲げられ、ミッションを創り、市民との共同を実践し、市民にとって図書館が身近な存在になるのが図書館としての王道でしょうと綴っています。
•映画『パブリック 図書館の奇跡』を観る (相宗大督)
 この映画が語る、図書館は滞在する時間が安心できる時間、本を読み知識を得る場所から、集まった人々の意見が形成される場所となる働きを見られたようです。このようなフィクションから、資材に使われた『怒りの葡萄』の本を読み返してみたくなりました。
•図書館で働く非正規労働者の実態と改善課題 (松崎真介)
 2020年度は、会計年度任用職員制度が初めて実施され、これまでの臨時・非常勤職員という身分替えから、その待遇の改善が、図書館で働く職員にとってより良い図書館職場の実現と、図書館労働者が安心して働ける雇用、労働条件を実現するために一助になればいいのですが。
 ここでも図書館の持つ非営利事業として、指定管理者制度に馴染まないことが挙げられておりますが、市町の中央図書館さえもこの制度の導入が進んでいることが述べられています。このことにより一層の無権利、不安定雇用化が進んでいることが述べられています。
 また、東京の特別区は司書職が廃止されている実態も明らかになっています。一方図書館ユニオンの取り組みや、公契約条例の活用で、職種別に賃金を定め改善を図っている自治体もあります。

・「住民のいのちと健康を守るのが使命」と、病院長と首長が一致─新型コロナウイルス対応と課題で14自治体病院を訪問し懇談 長平 弘
 公的病院のこの間のコロナ禍での奮闘に感謝したいものです。ここに千葉県内の累計感染者数、PCR検査及び抗原検査の累計実施人数が上がっていますが、生活不安を感じている人が82.1%、外出の自粛など精神的扶南を感じる人が35.6%、身体の不調を訴える人が20.7%ある、「医療・保険の重要性を感じるようになった人が33.7%と答えています。また県内病院8つの自治体病院を訪問して報告が出ており、政府の統廃合に挙げられた病院の働きが実態に合わないものであったことが報告されています。これら自治体病院が存在し、そこで活動している歴史的な背景や今日的に果たしている役割を尊重し、とりわけ少子高齢化が進む地方にあって、まちづくりの1つとして自治体病院を位置づけ、持続可能な地域づくりこそ、国は支援すべきだと述べられています。また、地域自治体病院の活動を支援する県の保健所を中心に地元医師会、官・民病院、各行政機関が連携・調整をしっかり行い、新型コロナウイルスに対する機能・役割分担をお互いに明確にして実践例も挙がっています。また感染病棟の増設・専門病院化した取り組みも挙がっていますが、国の支援が不十分であることが訴えられていました。

◆自治体のカジノ誘致を問う
•崩壊するIRカジノの幻想 (鳥畑与一)

  コロナ感染拡大で世界中のカジノ市場が崩壊し、オンラインカジノへの移行で、IRカジノの持続可能性が崩壊しています。政府等IR推進派は新型コロナ感染収束後のカジノ収益のX字回復に期待して、 一時IRカジノへの100億ドル投資が話題を生んでいますが、急速に進むオンラインギャンブルへの移行が生まれています。コロナ禍で、今後再生の道が閉ざされた後のまちづくり・観光戦略の再構築に早期に訴えていきましょう。
•横浜燃ゆ─カジノ阻止 闘いの最前線から─ (岡田 尚)
 カジノに反対運動の歴史的経過が述べられ、カジノ住民投票から、カジノ賛成した市議会議員への説得工作に回るようになっています。横浜の長老の反対意見が出るなど、市民の横浜市政に対するかまえの進歩が描かれてます。「勝手に決めるな」の声が、ポストコロナ禍でどう育っているかみたいものです。
●連載●@NEWS 住民自治無視の「核のゴミ処分施設」の「文献調査」応募〜北海道寿都町 (小田 清
 核のごみ問題で、同条例が背こされている中で、北海道寿都町の文献調査」応募はあまりにも用意周到な行動であったと叙述されています。またNUMOのこのような勉強会開催がひそかに行われて北海道条例の骨抜きを狙っているとの指摘も注意しなければいけませんね。
•おんなのRun89 一人でも政治に声を届けられる(下) (卜沢彩子)
 セカンドレイプやヘイトスピーチは弱い立場の人々をさらに追い込む、命にもかかわる深刻な問題だと思います。議員としてこれらを平然と述べられる議会があることに怒りを感じます。
•新型コロナと日本の公衆衛生・医療─その特徴と課題─ 第3回 持続可能な地方保健行政に向けて (松田亮三)
 感染症対策には、強制力を伴う隔離・入院の措置が迫られるかもしれませんが、感染症の性質を理解し、感染症そのものへの専門知識を備えたスタッフと、必要な検査や情報分析を行うための設備を各地域に備えておくことの検証がされています。保健所は「地域における健康危機管理の拠点」として機能を謳われていますが、その設置基準なり規則なりの確立が出来ていないのです。早期にこのような指摘された懸念と実施体制の確立を、提言したいものです。
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•いらっしゃい! 学校図書館です! 第4回 子どもたちの学びをより豊かに (武田江美子)
 子どもが図書に触れることで、大きな成長が身に付きます。それを支える学校図書室と司書の果たす役割は、一人の人間を生涯学び続ける「学び方を学ぶ」能力を作り上げているのですね。
Jつうしん
•自治の風─茨城から 第2回 新・水戸市民会館建設白紙撤回を求める市民運動 (田中重博)
•わがまち56 宮崎県三股町 (木佐貫辰生)
•編集後記



2020年11月号 読者ノート 

 (2020/10/26)
 
目次
コロナ対策はいかがですか。これから乾燥機に危険な時期です。気を付けましょう。
 事務局として気になった記事にコメントを載せます。一緒に読み合わせしましょう。あなたの感想や意見もお寄せください

●連続企画
●「新型コロナ」から日本の社会を考える 
  第5回 危機状況で明確になった議会の課題−二極化した議会の動向を考える− 江藤俊昭

 コロナ危機に対して地方議会の変化が述べられています。かっては、首長専決処分で過ごすことが多かったようですが、地方自治法の改正で、この専決処分が難しくなっています。そもそも議会軽視の行為に対する処分であり、当然かもしれません。しかし、このコロナ危機に際し、議会の方から、首長へ専決処分を要請して所があるとか。一方このようなコロナ危機にあって、行政はアップアップしており、住民の声を聞き整理することが出来ない状態のとき、議員が住民の意見を取りまとめ行政に、要請することをやった飯田市議会・取手市議会などの議会があったとのことで、新しい議会活動として評価されています。矢継ぎ早びやに政策を出すとき、整合性(従来の政策との)・総合性(かたりょりはないか)、財政(財政負担を今後どうするか)が大切です。また警告として、中央集権化が問われる事態が発生しているようです。国会の予算審議中に各市町に同様の補正予算の早期成立の手続きを進める働きが行われたようです。議会の決定が必要であるにもかかわらず市町村長の専決処分を要請しているのです。住民自治の根幹は議会です。だからこそ、地域経営にとって重要な権限を議会は有しているのです。
●特集● 地方再生と第2期地方創生総合戦略─維持可能な自治体を考える
  東京一極集中を是正して総人口減少局面から脱却を掲げた「地方創生」(まち・ひと・しごとと創生)政策が、まさに崩れ、デジタル化にアクセルを踏もうとしています。全国各地の「地域づくり」そしてオーストラリアの山岳農村再生の教訓からも学び、維持可能な自治体を展望する機会にしましょう。
 ・対抗軸は、住民自治による地域社会の復活・振興 第1期地方創生の現実と第2期の課題 保母武彦
 地方創生の時期を改めて振り返っています。安倍内閣は、消費税の8%増税を行った折、内閣批判が強まっていました。その時、益田レポートにより全国市町村の約半数が消滅自治体だとの宣伝が行われ、驚愕したものです。そして、人口対策の遅れへの批判が噴出していた時、安倍内閣は、世論の関心を消費税増税問題から人口減少問題に向けさせ、地方創生担当の行政機構と担当大臣を新設し、「まち・ひと・しごとと創生法」を制定し、地方自治体には、「地方創生ビジョン」と「地方版総合戦略」の策定を要請したのです。
 この実行手段が「選択と集中」であり総合戦略にKPIを付けさせ、国がこれを評価・選別し、より選択された『努力する自治体』には資金と支援策を集中させ地方を支配してきたのです。地方創生は、「統治構造の改編」が真の狙いだったのです。
 今後出される第2期の総合戦略には、4本の基本目標と2本の「横断的目標」が挙げられています。人的支援と情報支援を強化する交付金でもって自治体の仕事を操作しようとしています。住民主権を守り、本当に必要なのは公的資金による農林業経営の保護育成であることに気を付けてください。地域の新局面を切り開く地方自治を進めるために、補助金に安易に飛びつかず、住民自治による地域社会の復活・振興に取り組んでください。
 地域の新局面を切り拓く地方自治の提案として、第1に、地方創生の目標、第2に地方創生に主体、第3に地方創生の方法、第4に計画づくり を提案されています。
:参照 長野県栄村の実践的住民自治

https://www.soumu.go.jp/main_content/000381719.pdf 
・オーストリア山岳農村の創生に学ぶ 石倉 研
  オーストラリアを、日本の農村の持続的発展の先進地として、そこでの政策、首長の考え方が挙げられています。日本の政府予算の農林水産業予算の内、農村地域向けの直接支払い予算は、3割に過ぎないのに、オーストリアは農林業予算の財政支出の4分の3が直接支払いです。このような政策への転換が必要であり、このためには「山岳農業経営台帳」のような地道な個々の農家の自然的・経済的営農困難度を、気候や外敵・内的交通条件といった複数の指標に基づいて科学的・客観的に算出されることが大切です。
 また「エコ社会的農業政策」の理念を国民のものとすることも大切です。「この村を生きる価値ある農村にしたい」「住民にとって自分の村が目の前にあると思えることが重要です」などの言葉が印象的でした。

•第1期地方創生とは何だったのか─静岡県に見る「地方創生」の現実 (川瀬憲子)
 第1期地方創生とは何だったのか、この政策の特徴は、選択と集中」の強化によって、従来の自治システムを基本とする地方統治機構を解体していく側面を持っていること。その手法は、地方創生推進交付金を導入することにより各自治体はKPI(重要業績評価指標)を設定しなければならず、結果については政府がPDCAサイクルによって効果を検証していくのです。自治体間では業績を上げるために競争を余儀なくされ、結果が出せなければ、交付金を削減するという形で進められました。
 つまり、国主導で上からの地域間競争を促す戦略であり、自治体の集約や再編が余儀なくされる可能性が大きいと言えます。これまでの国土計画にあるような「均衡ある国土の発展」ではなく、経済のグローバル化への対応や経済成長を最優先させて、国際競争力を高めるために、中央集権型・集約型国土への再編を進めたのです。
 これらは、市民生活における災害リスクをさらに高める側面を持っており、基本的人権の尊重といった面からみれば多くの課題を抱えていると言えます。さらにこれらは一連の諸施策は行政部門を縮小させ、トップダウンによる統治機構への再編を促す側面を持っており、住民自治を基本とするボトムアップ型のシステムに転換する必要があります。

・汚れた「水の都・三島」を再生 「グラウンドワーク三島」のノウハウ (渡辺豊博)
 豊かな水辺自然環境の再生・復活を「グランドワーク三島」を起こして28年の経過し、今では「右手にスコップ・左手に缶ビール」「議論よりアクション」の合言葉で地域の多くの人々が街を愛して行動しています。このような地域に不釣り合いな開発事業が提案されたのです。「蜜」を創るというこの地域には似つかわしくない事業が採択されたのですから、大変です。地域の力を見守っていきましょう。
http://www.gwmishima.jp/
・認知症の人とともに築く総活躍のまち御坊市 (鈴木裕範)
 御坊市は、2019年4月に「認知症の人とともに築く総活躍のまちづくり条例」を施工しました。この条例を創るに際し、認知症の当事者が参画しその声を尊重して作りあげたのです。その背景に行政職員らの意識の変化、「縦割り行政」を超えた連携が生まれたそうです。認知症の人が暮らしやすい社会は、すべての市民にとっても暮らしやすいまちではないでしょうか。多くの言葉が生まれています読んでください。
御坊市http://www.city.gobo.wakayama.jp/fukusi/korei/ninchisyou_soukatsuyaku/1559270456049.html
・小さな町の少子化への挑戦─教訓と、今、抱えている課題 (森藤政憲)
 小さくても輝く自治体フォーラム参加の奈義町でも、この地方創生事業が取り入れられ、町民の意向に反した施策が続いているようで、子育てでの成果で出生率を誇った町が新たな課題を抱えているようです。子ども医療費の無料化を段階的に高校卒業まで拡大、任意ワクチン接種の無料化などなど実にきめ細やかな対策が取られてきました。自ら合併しない町と決断した歴史も住民は持っていますね。頑張ってもらいたいものです。
https://www.town.nagi.okayama.jp/gyousei/kosodate_kyouiku_bunka/ninshin_shussan_kosodate/kosodate/kosodate_ouensengen.html
・小規模多機能自治による住民主体のまちづくり〜雲南市の地域自主組織〜 (大谷吾郎)
 島根県の雲南市は広島県の隣の市で、その活動報告ですが、合併時の取り決めであった地域自治の在り方が、生きた形で実を結んでいるようです。(市民と行政の共同にまちづくり)の基本があってこそのこと、合併時の体制がきちんと整理された結果だと思います。
 また自主組織の形は、地域の自主的意向を反映するものとなっていること、「一人1票制」での意見の集約、交流センターという交流の場が公民館から発展して位置づけられていること、地域自主組織の事務局員が常駐し、人件費と事業費を市の交付金として保証しているなど、大変参考になります。ぜひ現地に行ってみたいものです。*地域自主組織図を参照してください。
https://www.city.unnan.shimane.jp/unnan/kurashi/machidukuri/jisyusosiki/self05.html
・北海道東川町の総合的な町づくりとその教訓 (守屋貴司)
 町政が開かれたシステムへと、縦の序列組織から並列組織へ、いつでもだれでも、町をよくする提案ができることになっています。写真芸術を活用するなど、多彩な人材が管理職として活躍しています。また積極的に町外からのアイデアを取り入れる柔軟性や、組織風土の変革を行うなど地場の力の進展があります。
  また点から線、そして面への広がりへ、取り組む方向性が明確になっています。一方、町民全体の所得を挙げる取り組みに、二宮金次郎を再評価し「地域再生のプロ」と礎にして参考にしています。:東川町ホームページ
https://town.higashikawa.hokkaido.jp/about/
◆シリーズ 第32次地方制度調査会答申を読み解く
第3回 第32次地方制度調査会答申における「公共私の連携」 門脇美恵

 「2040年ごろから逆算し顕在化する課題に対応するために必要な行政体制の在り方等に関する答申」の中にある「公共私の連携」が持つ矛盾について報告されています。この報告書は、人口減少と高齢化により、「公」である市町村の行政資源の制約を理由にした後退と、「私」である民間事業者の採算の取れない領域からの撤退を多様な主体、とりわけ「共」としての地域住民等の自主的組織によりカバーすることにより地域のくらしを維持していこうという戦略でした。
 今必要なことは、統計上の人口予測データーで持って悲観的結末の危機をあおり「公共私の連携」を施なることではなく、これまでの政策を総括し、今後どのような社会をつくるかの構想をすることであり、その際に当然に憲法の諸原理、とりわけ基本的人権の保障と民主主義・地方自治の原理に立ち戻る必要があります。「公共私の連携」では『小さな政府』が前提とされ、行政資源の制約が議論の出発点とされており、その前提自体を見直す必要があります。

・新市庁舎の建設を問うた垂水市の住民投票 上田道明
  新庁舎建設が高度経済状況の中で建てられたところでは、耐用年数が来て大きな課題です。この新庁舎建設に市民がどれだけ参画できているかが大きな問題です。行政としては国の予算との関連を重視してしまい、市民の声を十分反映せず、突如として提案されるのでしょう。ここでは住民投票で行政の過ちを糾弾する手法を筆者が述べているように投票結果、今回住民自治について一定の進歩があったが、今後地域社会が広く合意できる、かつ実効性を備えた対案作りが注目されます。
・「生産性向上」で介護の質は守れるのか─全世代型社会保障検討会議のねらい M畑芳和
 介護事業における人員配置は現行国基準では、入居者3人当たり職員1人以上です。これを介護サービスの生産性という土俵に上げ検討しているのが、全世代型社会保障検討会議です。「生産性の向上の内実は、介護人材不足問題の本質である低賃金をはじめとした劣悪な労働条件には一切手を付けず、テクノロジー活用を前提とした機械化、省人化、その先の基準緩和により、見かけ上、介護人材不足問題を解消することを狙うものです。
●連載●
・おんなのRun88 性暴力の二次被害、防ぐには(上) 卜沢彩子
 
 性暴力とセカンドレイプについて、*公正世界仮説による被害の実態を知らずに、偏見や誤解に満ちたイメージで語らることが起きないようにしたいものです。現状を知ること、そして性暴力を許容せず、反対する姿勢を示すこと、このことがセカンドレイプを減らし、性暴力を防ぐことにつながるのです。

*出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』公正世界仮説(こうせいせかいかせつ、just-world hypothesis)または公正世界誤謬(こうせいせかいごびゅう、just-world fallacy)とは、人間の行いに対して公正な結果が返ってくるものである、と考える認知バイアス、もしくは思い込みである。公正世界仮説は社会心理学者によって広く研究されてきており、メルビン・J・ラーナーが1960年代初頭に行った研究が嚆矢とされる[1]。以来、様々な状況下や文化圏における、公正世界仮説に基づく行動予測の検証が行われ、それによって公正世界信念の理論的な理解の明確化と拡張が行なわれてきた
@NEWS グリホサート禁止の世界的な流れと、日本のこれから 八田純人
 除草剤としてメーカーや行政機関が、現在の使用範囲では、有害ではないと結論付けているものが、国際的に規制を求めるものとして持ち上がっているようです。日本でも広く使用されているものです。気をつけましょうでは済まない。
・新型コロナと日本の公衆衛生・医療−その特徴と課題− 第2回 新興感染症への備えの枠組み 松田亮三
 新型コロナウイルス感染症への公衆衛生上の対策が例規され、関係機関が疎なるべき体制がアメリカの事例でもって15項目に挙げられています。日本でこのたび整備が順調だったのは、2012年に成立した「新型インフルエンザ等対策特別措置法」が成立していたからだと言われています。これが改正され実施されているのですが、国際保健規約により他国の専門家を招いて行われた評価では、日本の総評は総じて高く評価されていたものの、4点にわたって指摘され、実務的には3点課題が挙げられています。早期な改善解決を望みます。
・いらっしゃい! 学校図書館です! 第3回 読むこと知ることの楽しさ・おもしろさを伝えたい 武田江美子
 
スマートフォンやパソコンの利用で、実は自分好みの情報ばかりに触れ、逆に視野を狭めていないか危惧されています。
・自治の風─茨城から 第1回 市民の目でみたつくばの今を紹介する『つくば市民白書』づくり 山本千秋
 コロナ禍の中つくば市の市政白書が作られています。4年に1回のペースで作られたもので、つくば市政に関わっている人など総勢43人と2グループと顔触れが多彩です。

http://www.tsukuba-hakusho.sakura.ne.jp/ 
•わがまち55 島根県海士町 (大江和彦)
•編集後記

島根県雲南市の地域自主組織
長野県栄村の住民自治

2020年10月号 読者ノート

 (2020/10/12)
 

目次
 
コロナ対策はいかがですか。
 事務局として気になった記事にコメントを載せます。一緒に読み合わせしましょう。あなたの感想や意見もお寄せください

●特集● 新型コロナと自治体─コロナ禍が問う自治体の公共性
 新自由主義に立った国々は、新型コロナウイルスに翻弄され、パンデミック(世界的大流行)にその弱さをさらけ出しています。住民、中小企業者、農林水産業の生産者、そして社会的弱者がいま何に苦しんで知るか、何を求めているかを把握し、優先順位をつけて政策化してゆくことが緊急に求められています。考えてみましょう。
•新型コロナ対策と自治体財政 (平岡和久)
 宮本憲一氏の環境政策論を参考に、新型コロナ禍への政策の枠組みを5点にわたって提案されています。@被害実態を総合的に把握する。A被害の原因と責任の所在を明らかにする。B被害者へのケア・補償と生活・経済の維持・再建を行う。C 感染拡大化、収束のための規制や行政手段、公民協力などの展開。D感染症パンデミック災害に対する備えや予防を重視する。今後第ニ波、第三波における自治体の対応策と財政運営で注意しなけれならないことは、これまでの自治体行財政のあり方を見直し、優先すべき必要な事業の積み上げと既存事業の見直しを総合的に進めるプロセスの確立が課題です。
•新型コロナウイルス感染症への創意工夫をこらした世田谷区の挑戦 (保坂展人)
 PCR検査体制の変遷が解ります。「濃厚接触者」に如何に早期に検査を行い判定し、隔離するのか、社会的検査を主張された、児玉龍彦名誉教授の助言が生きています。大量検査(一本の試験管に5人分の検体)にステップアップを行い二段階に分けて実施されています。また寄付行為が進んでいます。地域医療の確立のために多くの人が賛同されたのでしょう。
•新型コロナウイルス感染症への和歌山県の対応 「これまで」と「これから」 (高田由一)
 和歌山県のコロナ対策は、当初政府の基準をはねのけ独自の基準で行われたと聞いていました、県知事の意向を反映するには、保健所が8か所も残っていたからだとは知りませんでした。保健所存続運動で残された保健所や職員の存在が独自性を生んだと思います。知事の感染症の基本を、「早期発見」「早期隔離」「徹底した行動履歴の調査」だったと言われています。広島県には何か所あるのでしょうか。何人の職員で行われているのだろう。
•自治体の新型コロナ施策 ●地方紙ニュース等から
 この間マスメジアの活動を国民は目から離さず見ていたことでしょう。また小さな町の活動でも、細かく配慮された対応が出てきていたのですね。職員の採用でも、正規職員の採用を行う風潮も出てきていた。行政の公開防災対策本部会議での議論は十分準備しなければ、視聴者の理解を得ることは難しいものです。ここでは地域町内会活動まで追われていませんね。
•新型コロナウイルス禍と公教育の課題 (中嶋哲彦)
 ウイルス禍での教育問題の根底が述べられている。人権保障を守ることがが国連から早くから指摘されていました。自然災害時での対応にしばしばその社会の既存の価値観や利害構造が型押しされることがあり警告されたのです。また日本の国会で憲法の一時停止を認める緊急事態法の制定、学校入学時期の変更など、間違った動向も出てきました。ここに上がった子どもの権利委員会の勧告11項目について常に私たちが配慮しておかなければいけないことですね。栄養のある食事の提供、弱体や劣悪な生活環境からの保護、精神的サポートを切れ目なく継続すること、感染予防に関する情報を子どもにも分かりやすく提供することが大切ですね。安倍首相の全国一斉休業政策など本当に地域教育委員会の民主的実力がないことが困難になっていますね。最後にオンライン学習について、これらの動きの本質はどうなのでしょうか。授業のコンテンツの発信側である学校の条件整備が進んでも、受信側である家庭にそれを求めることは難しく、新たな教育格差を生みかねません。教育という人間形成における道具が、先走りして、人格を損なうことはないのでしょうか。学級規模を小さくして「三蜜」を作らない体験から早期に教育環境の実現に進んでほしいものです
•新型コロナと自治体─保健所の統廃合がもたらした現実と今後の課題 (亀岡照子)
 コロナ対策で保健所機能がパンクする実態があります。保健師の業務とはどんなことか記載されており挙げてみます。@医師の指示の下で、A病状の確認BPCR検査の対象か否かの確認CPCR検査を必要とする人の検査日時・場所の確認と連絡DPCR検査の結果説明E陽性と判定された場合は感染経路を調べF入院や施設・自宅療養の振り分けG濃厚接触者の確認と必要時はPCR検査の勧誘H自宅療養の場合1日2回病状確認の電話等、と多忙を極めます。このような保健師の数が新自由主義の下で削減され、保健師一人当たりの担当人口平均が1万2000人になっていると。広島県はどうでしょうか。公衆衛生行政、保健所の仕事は日ごろからの備えが何よりも大切です。特に感染症はいつ、どこで発生するかわかりません。住民が安心して暮らせる、命と健康を守る砦として公衆衛生行政、保健所を実現させましょう。
•コロナ禍における社会福祉経営の実態から自治体行政の役割を考える (茨木範宏)
 コロナ禍での社会福祉事業の実態が明らかにされています。国からは、一片の通知で事業継続のための自衛隊策が求められたのです。自己責任でマスクなどの衛生用品を確保し、感染症対策を行い、施設・園を開けることが必須とされたのです。パンデミックな状態での社会的認知ではありましたが、その現場は大変なものになりました。また具体的対応には自治体間の格差が生まれています。学童保育所など国の「おおむね40人以下」の施設でありながら、学校より高い感染リスクを持ちながらの開設なっていたのです。介護施設に対しては、「法人連携による職員派遣」で開園を続けるようにとの通知だけで、日常的に人手不足が慢性化していることなどお構いないのです。この間の新自由主義の政策の下、社会福祉事業の基盤・性格がの脆弱さが明らかになりました。@「競争」「生産性」を意識し営利事業となることを求められ、公的責任に頼らない法人連携や大規模化が進める。A地域の福祉課題の解決を「自助・互助」とするB労働実態に見合わない賃金水準等による人手不足が社会問題化し、「紹介」「派遣」等の人材産業に何百万円もの資金を継ぎ粉なければ運営できない。そして今倒産・身売りとなっているのです。権利としての社会福祉を守るため、2020年4月30日に社会福祉法人の新たな全国組織、「一般社団法人経営全国会議」が生まれました。
•「新型コロナウイルス京都フォーラム」YouTubeからの発信 (池田 豊)
  私たち自治体問題研究所に勤務する者として、新たな活動方式が展開されて居ることに誇らしく感じます。国やマスコミの報道では本当の意味での地域解決にはならない、具体的箇所・地域課題が全く明らかにされず単に数値のみを負うものにすぎないからです。この時に京都自治研からの提案は私たちが地域に目覚め、そこからの情報を広く拡散、意思統一してこそ解決策が見つかる、そのためにはミニ学習も必要でしょう、討論も必要でしょう、自治体問題研究所の課せられた責務を、このフォーラムは訴えていると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=REAlr8DrPVc
•シリーズ 第32次地方制度調査会答申を読み解く 第2回 広域連携 (本多滝夫)
 今回の調査会報告の中で、圏域という用語が消失したとのことに関して、その用語以上に、それを乗換提示された新たな「地方公共団体の協力関係」は、これまでの広域連携の枠の延長にとどまるかのようなオブラートに包みこんだもののようです。結論から言うと、「地域未来予測」を市町村間の連携のための基礎ツールとして位置づけたうえで、比較的抵抗感の小さな「広域連携」の下で、実質的に『圏域』の形成を進め、圏域の中心都市のマネイジメント力を高めることを目的とした提案であり、更なる市町村合併を射程においているのです。全国市町村会会長の指摘である、「高齢者の雇用促進、若ものなど各世代の働き方を支える社会保障とGDP,労働生産性向上の視点などを抜きに、不確実性のある将来を2040年の人口問題を中心に矮小化し、それを地方自治体制度の中の新たな圏域行政など、幾つかの手段だけで解決策を見出そうとするのは、最初から無理があるように思います。その意味では、認識共有の大前提が違っており、このことは地制調の始まった当初から申し上げていたつもりであります」という言葉が示しています。
●ヘイトクライムを越えて ─川崎市ヘイトスピーチ禁止条例─
•全国初、罰則付きルールによって、ようやく差別と向き合い始めた行政 (石橋 学)
 私たちは今日街頭で聞き苦しい差別用語でデモする団体が出てきたことに驚きがありました。2016年5月のヘイトスピーチ解消法なる基本法が成立してはいましたが、法律によって差別を取り締まる実効性のあるものにすることが必要ではないかとされていました。それが2019年12月12日川崎市条例が成立し、罰則運用が7月1日より始まりで、独り立ちできるようになったようです。広島県内ではどうなっているのか確認したいと思います。朝鮮人学校補助金の打ち切りなど行政での差別も早期に辞めるべきです。
•「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」の意義と課題 (神原 元)
 条例に対する法的解説が行われています。一つの条例がこれから本格化する、その起点が示されています。条例の特徴として@包括的な差別の禁止A不当な差別的言動の「禁止」B不当な差別的言動に対する刑事罰が挙げられています。そもそも「ヘイトスピーチ」の本質は差別的煽動です。この条例はすべてを規制しようというのではなく拡声器や看板、ビラの配布等、特に悪質なものをくくりだして規制しており、明確性の原則に照らしても批判に耐えれる内容になっています。重大な人権侵害であることを社会に宣言する効果があります。それにもまして、歴史的認識や戦後補償を巡る緊張関係が作り出されていることも忘れてはいけません。
•あらためて「大阪都構想」を斬る─2度目の住民投票を前にして (山田 明)
  「大阪府都構想」なる維新の目指す民主主義体制の破壊に、大阪市民はどう反応するのでしょうか。住民投票が敗れたにも関わらず維新の策動がこれほどまで続いている原因は何なのでしょうか。コロナ禍後の大阪での被害者の実態が、果たして大阪市廃止で務まるのか、一目でわかるはずなのにどうしてなのでしょうか。維新の会による大阪市民巻き込みがどこにあるのか、参考にしておきたいものです。今回はこれに反対する人たちの意見であり、地方財政的にも、大阪府政に吸収され、カジノ建設などに回る財政が明らかになっています。住民の命とくらしを守る根底が削減されていくことに目覚めてもらいたいものです。
●連載●
•おんなのRun87
 村暮らしから学んだこと (セトヤマ ミチコ)
 17年間の振り返りを語っています。持続的生活とは、コミュニケーションをとりながら自分目線をその地域目線に変えていく活動であったようです。24歳からの出立時、どのような決心だったのでしょうか。横浜から群馬県片品村への移住での変化と今の家族形成は素晴らしいものですね。
https://iikarakan.com/about/
•@NEWS 現実化する汚染水海洋放出問題 (久保田亮)
 汚染物質のトリチウムが満タンになり海洋放棄が提案されるなど、福島原発はまだ解決できていないのです。国と関電の責任放棄が増すます増大することになるのか。私たちは見覚めていきたいものです。
•いらっしゃい! 学校図書館です! 第2回 何のために学校図書館はあるの? (武田江美子)
 小学校の図書館には自分も図書委員になった覚えがあります。身近なところで会話できる司書は覚えていませんが。学校図書館法の経緯について初めて知りました。貴重な働きをされているのですね。人材確保も必要ですね。
•新連載 新型コロナと日本の公衆衛生・医療─その特徴と課題─ 第1回 歴史的イベントとしての新型コロナ感染症 (松田亮三)
 コロナ感染症に対する歴史的背景が望めますし、新興感染症の背景にある13の要因が挙げられています。例えば、@微生物の環境への適合と変化A人の感染感受性(易感染性)B気候と転向Cエコシステムの変化D人口と行動の変化などがあります。グローバル情報化社会におけるこれに対する研究の速度は速いものだと感じます。どうか人類の進歩のために研究とその対応を頑張って示してください。
•ローカル・ネットワーク
 広島空港の運営公募が大手から辞退された記事が出ていましたよ。コロナ禍での減便など効率性が乏しいのだそうです。
Jつうしん
•最終回 自治の風─沖縄から 第6
回 スモール・イズ・ビューティフル〜コロナ禍の最中にあって思うこと〜 (崎山正美)

 このことば、「・・・20世紀の欧米文明は、農業でも工業でも『地球』の所得ではなく、資本に不自然に寄生しているという点である。それを支える血液とは、主に豊かな国々による、増勢の止まない再生不能資源の消費である。物資的、道徳的な抑制なしでは、右上がりの生産・消費曲線にそって生活を維持することはできないだろう」
•わがまち54 岐阜県白川村 (成原 茂)
•編集後記


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2020年9月号 読者ノート

 (2020/08/31)
 
2020年9月号

目次
 コロナ対策はいかがですか。
 事務局として気になった記事にコメントを載せます。一緒に読み合わせしましょう。あなたの感想や意見もお寄せください

連続企画 「新型コロナ」から日本の社会を考える 第4回 新型コロナウイルス感染症への対応と保健行政の課題(松田亮三)
 今回のコロナ対策について、保健衛生行政上の弱点を挙げて論じられています。今後冬季のインフルエンザとの競合に対しどう立ち向かうのか、保健・医療行政上の専門性を生かした強みの発揮を期待したモノです。紹介された、「経済」2020年8月号を参考にしたいモノです。
参考:
大阪府での現場経験も豊富な関西大の高鳥毛敏雄教授(公衆衛生学)に話を聞く
https://www.msn.com/ja-jp/money/other/%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E7%8B%AC%E8%87%AA%E6%88%A6%E7%95%A5%E3%81%AE%E8%83%8C%E6%99%AF%E3%81%AB%E7%B5%90%E6%A0%B8%E3%81%A8%E3%81%AE%E9%97%98%E3%81%84-%E5%AF%BE%E7%AD%96%E3%81%AE%E8%A6%81-%E4%BF%9D%E5%81%A5%E6%89%80-%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2%E3%81%8B%E3%82%89%E8%A6%8B%E3%81%88%E3%82%8B%E3%82%82%E3%81%AE/ar-BB14xmdj                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                             
●特集● 東京一極集中是正のために
  今回東京でのコロナ対策を見るにつけ、一極集中是正が大きな課題であることが明らかになりました。皆さんで考えていきましょう。
•東京一極集中から持続可能な都市づくりへ (岩見良太郎)
  コロナ禍の中でもっと豊かな暮らし方があるのではないかと、人びとが考え始めている。東京一極集中を加速したのは、都市再生であった。規制緩和を第一に掲げ脆弱な超過密都市の建設が行われたのです。このような動きが都心部だけではなく周辺部でも開発ラッシュに見舞われているのです。「東京で稼いで地方に回す」というのが、東京強化を正当化する都市再生の論理です。これに対し、「コンパクト+ネットワーク」が地方創生本部が打ち出してきたのです。しかし、ここでも、「これら区民施設を中心に養われてきたコミュニティが壊されるのが最もつらい」と言っています。経団連が提唱しているデジタル・ニューディールが2020骨太方針が掲げられていますが、テレワークやリモート会議が大きく普及しましたが、最先端のデジタル社会の実現を加速しようというのが政府戦略です。政府は、Society 5.0を「経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会」、スマートシティを、AIやビッグデーターといった新技術を取り入れた、「全体最適化が図られる持続的な都市」としてバラ色の夢を振りまいています。しかし、都市を動かしている経済原理が、人間中心のものに変容しない限り、東京一極集中に集約されるゆがんだ都市の在り方は是正されないことは確かでしょう。またスマートシティが何よりも民主主義にとって脅威なのは、人びとが、判断をAIに委ねることになり、主体性が弱められていくことです。AIはブラックボックスですが、結局AIを支配するものが、恣意的・独裁的に社会を動かしていけるようになります。スマート自治体への転換によって、「半分の職員数でも担うべき機能が発揮される自治体」の創造が目指されていますが、??
 では、大都市を分節化・再地域化し、地方下の再定住を促していく、それは極めて困難な課題あることは言うまでもありません。しかし、このコロナ禍下で、人々の価値観・意識が大きな変化を見せています。筆者から「生都市」という概念が紹介されています。また「生命経済」というL・マンフォードが1世紀前に提唱して概念が説明されています。

•東京一極集中の構造と地方分権の課題 (佐無田 光)
 日本の垂直統合モデルの問題を改めて整理するとともに、それを是正するためには、地方分権による政治経済構造の抜本的な改革が不可欠ですと。日本の垂直的国土構造の批判や構造改革の失敗などを取り上げ、これだけ地方から仕事が減るスピードが速ければ人口流出が止まらなかったのです。また、東京都の一人当たりの都民所得は2006年から2016年の間に8.2%も減っています。垂直統合モデルの弊害は、その頂点に立つ東京でもやはり深刻で、人口や企業が集積していながら創造的な経済活力でリードできていない状況が続いているのです。経済依存を脱却するために、地域の制度的多様性を実現していく「地方分権」の方向に「国の形」を作り替えなければなりません。一国多制度を許容する、偏差教育を改め、現場での課題解決力を重視するような教育にシフトしていけるかどうかが問われます。地域にこそ働き甲斐があり、新しい社会の仕組みを創出するイノベーションの場があり、そこで成功することが、自分自身の生活環境の改善や、全国的・国際的な成功に結びつく、という経験と思考が浸透すれば、一極集中のメカニズムも変わっていくことでしょう。   
•東京一極集中にみる地方税財政の歪み (関野満夫)
 東京都の地方税財政の歪みが大きくあることが説明されており、人口ベースを基にすると大きな格差が出ていることが一目瞭然です。大きな事務負担を伴いながら、首都圏の開発に取り組む都の姿は、豊かな生活なのでしょうか。またふるさと納税にみられる税の不公平さを改めなければいけませんね。
•ローカルから見た東京一極集中とその転換の必要性─ジャーナリストの眼を通して (岡山一郎)
  東京一極集中で、コロナ禍が進む前に「集中から分散へ」と論じられた広井義則・京都大学心の未来研究センター教授らの研究チームが3年前に行ったAIによる予測の報告です。「東京に本社がある企業が、年間20兆円ものお金を地方の支社や向上から吸い上げている」「東京一極集中は経済の自然の流れではなく、官僚主導で強引に誘導されたものですよ』との報告がされています。また、世界全体を見てもこのような経済集中は少ないのです。既にその限界も来ているのです分散化、小規模か、ローカル化など従来とは逆の理念を生かした令和の新たなモデルの構築が急がれます。
•地域の「たまり場」から若者たちの貧困と孤立を考える (青砥 恭)
 地域にある「たまり場」での青年像を振り返りました。私たちの時代と大きく違って、格差の拡大がひどくなっているようです。高校の選抜範囲が全県化した中、各自の実情によりコツコツ学ぶという本来から競争社会へと導かれ落ち込んでいくのです。家族構成、変化に戸惑ってしまった青年の支えは、人間とって健康を回復したり、社会生活を安心して送るためには、やはり人とのつながり、交流することが大切であることを実感できるのが、たまり場という居場所なのです。高校には社会的階層移動を果たす機能はすでになく、貧困や格差を再生産しています。
参考:NPO法人 さいたまユースサポートネットhttps://saitamayouthnet.org/about-synet
自治体のデジタル化は自治体をどう変質させるのか (中山 徹)
  政府のいうスーパーシティとは、最先端の情報技術を活用して、様々な社会問題を大きく改善するような未来型の都市だと言っています。32次地方制度調査会答申で、4点にわたり方向性を示し、2020年7月骨太方針で財政運営と改革の基本方針を示しました。そして自治体をデジタル化し、@大な市場を作り出す、Aアウトソーシングを一層進める、B公務員を削減、さらなる広域連携を進める。C自治体の役割を変える、いずれ企業が必要とするデーターの収集が求められる。D行政職員は政府が提供したソフトを使ってコンサルが作成した資料を読み、委託企業を決め企業にデーターを渡し、必要な交付金を企業やNPOに支出し、コンサルがまとめた資料を政府に届ける仕事になるのです。ここには、「住民の福祉の増進」という言葉はないのです。
•シリーズ 第32次地方制度調査会答申を読み解く 第1回 地方行政のデジタル化 (久保貴裕)
 第32次地方制度調査会は、2020年6月26日答申を出しましたが、コロナ禍を「好機」に、新自由主義に基づく自治体再編を示したものです。デジタル化が地域の抱える問題を一気に解決するかのように述べ、今後5つの方向で取り組むことを謳っています。このことにより、住民が行政サービスからとうざ蹴られる恐れがあります。窓口業務は職員が住民の状況を把握する大切な場であり、オンライン申請時、マイナンバーカードの提示を求めることは、住民の自由意思に基づいて取得を、事実上強制させることになります。また国が自治体の情報システムを一律に「標準化」し、民間企業が開発したシステムを利用することが押し付けられれば行政サービスは広範な『圏域』に統合され、自治体が独自に築いてきたものが失われることになります。AIはある目的を達成するのに最適の「判断」や『予測』を短時間で割り出す機能を持ちますが、新たな価値を創造することはできません。AIに任せきりにすれば、行政が責任をとれなくなる恐れがあります。膨大な個人情報が、本人の同意もなく企業、警察の手に渡る恐れがあり、デジタルの技術は、「住民福祉の増進」のためにこそ活用すべきです。
参考:「地方公共団体の広域連携」に係る第32次地方制度調査会 答申に対する日本弁護士会会長声明
https://www.nichibenren.or.jp/document/statement/year/2020/200626.html
特別企画 日米安保60年と地方自治
アジア・太平洋戦争終結75周年─安保改定60
年 安保体制と地方自治について考える (池上洋通)

 日本国憲法は、明治憲法下の日本の姿を大きく変えたものとして生まれてきました。では明治憲法下での国民の姿どのようなものであったの、明治憲法はそれほど国民を縛り付けるものだったのかが問われます。政治経過を振り返る時、戦争への総括的実施に当たって、政府の行動が、国民を縛り付けるものになっていったのです。そのような政治的な文言が明治憲法になかったのか、地方自治体制度の確立が今日憲法に掲げられましたが、その機能が、治外法権という軍事政治の進める中で変質され、日米軍事同盟の規約から、地方自治体制も骨抜きにされた地位協定がはびこるようになってきました。過去の戦争防止の楔が、これらの軍事傾向によって破壊されてきた歴史を反省していきたいものです。
•佐久の米軍機低空飛行の実態と市民の運動 (内藤祐子)
 突然の艇飛行爆音に合われ、さぞびっくりされたことでしょう。広島でも岩国基地に配備されている飛行機の訓練での爆音を聞くことがあります。このような市民生活への突如として襲い掛かる出来事に、どうして日本政府は黙っているのでしょうか。地位協定というものがあると言われていますが、アメリカ本土でのこのような実態はないのでしょうか。長野県・佐久地域と言えば平和な問題で頑張っておられる地域でもこの課題は解決が難しいのでしょうか。全国で一致した取り組みの提起を本当に望みます。
参考:広島県知事から駐日米国大使及び岩国基地司令官への要請(令和2年7月)
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/life/693024_6936427_misc.pdf
●連載●
•おんなのRun86 地域の恵みに感謝して (佐藤昭子)
 地域での起業を行う本心が、地域から必要とされる存在になりたいとは、この言葉で地域から多くのメープルシロップが生まれたのでしょう。消滅可能性集落を「笑女都集落」にする『人づくり』「気づき」から「活気づき」「女性たちが笑顔でいられる地域」が育ったのですね。http://kinokohouse.jp/category/news
Jつうしん
•自治の風─沖縄から

 基地建設とその騒音での被害で離村を促している。このことに対する怒りが、この場所に止められる限り、日本は平和な国ではないのだということを分かって自覚していきたいと思う。平和憲法のあくなき追求を
•最終回 再生可能エネルギーと環境問題 第6回 維持可能な再生可能エネルギーへ (傘木宏夫)
 再生エネルギーの開発に当たってやらなけらばならないこと、事前の環境影響調査を地域の人々たちと協議することですね。またチェックする能力を地域社会の側が備えていることです。風力・地熱・バイオマス・中小水力などがありますがこれからもっと安全なものが生まれることを期待します。
•新連載 いらっしゃい! 学校図書館です! 第1回 コロナ禍での学校図書館 (武田江美子)
 図書館司書の仕事は、様々な資料・情報を収集し提供することと述べています。また書士として共同作業に参加してコロナ差別や偏見防止に活躍されているようです。
•わがまち53 群馬県下仁田町 (原 秀男)
•編集後記


東京一極集中
地域間格差

2020年8月号 読者ノート

 (2020/07/27)
 

目次
 
事務局として気になった記事にコメントを載せます。一緒に読み合わせしましょう。あなたの感想や意見もお寄せください
●連続企画「新型コロナ」から日本の社会を考える 第3回 権力を監視する学びの力 (荒井文昭)
 2020年2月27日に、一斉休校が安倍首相の独断によって突如出されました。権力者の行動を監視し抑制する力が現在の日本にはなかった証拠となります。また国際的にもこの学校休業に対する指針は、ユネスコから9項目の対処方が出て、明記されていたのです。@学習の機会A学校給食B家庭ごとのネット環境の格差C家庭教育環境格差D保護者への経済的負担E医療機関との関係F開いている一部機関の負担G退学率上昇H社会的つながり などの点について、改めて私たちも見つめ直しが必要です。またその存在自体も知らないで、形だけの緊急避難宣言を出すという、安倍氏の無能さを私たちは、決して見逃してはいけないのです。おまけに9月入学論の急浮上、などコロナ危機への便乗がこんなにあからさまに取り上げるなど、日本の現状をよくするためには、現場の声として取り上げる運動を起こすことが提起されています。まさに権力を監視する学びの体制がこの間崩されてきたことを深く反省します。これがなくては今後民主的な社会創造は欠くことになりますね。http://2874fb5df3e48188.lolipop.jp/docs/midori/vol.239-1.pdf
特集● 介護保険法20年で介護保障は達成できたのか
 保険金詐欺だと、私たちは悪口を言っていますが、その本質に迫ってみましょう。
•介護保険の根源的な課題とこれからを見通す (芝田英昭)
 コロナウイルス禍で行われたいた、「補償なき自粛要請」で国民に大きな負担・恐怖と経営危機を「布マスク2枚」で対処した安倍内閣の口上は、国民の爆発的な声の下、ある程度の経済対策を講じさせたとのことです。しかし、政府は生涯年金額が減額される年金改革法(5月29日)、自己責任・互助を基本とした地域共生社会の実現を強制する社会福祉法改正法〈6月5日〉を成立させていたのです。この問題について改めて振り返りましょう。介護保険成立の時大きな問題であった点について、今回のコロナ危機で明らかになった介護労働者の専門性と、市場化問題について、深堀されています。介護保険の給付方式が、個人への給付と、株式会社への給付の違いがあり、「参入と撤退の自由」に有利な方式をとっているがゆえに、生産性向上論が花開き、2.5対1とか、2.8対1とかの方式を議論する法律化に迷わされ、『人権としての社会保障』の視点を欠いた状態を作り出し、今回のコロナ危機に機能不全を迎えているのです。
•介護保険施行20年を検証する (服部万里子)
 介護保険施工から20年がたち、当初「家族の介護負担軽減」が期待されていたのに、介護保険スタート時の介護する家族の世帯変化に保険制度が対応していないこと、中重度中心型=軽度者切り捨てへ、保険料アップ、自己負担増、サービス事業者・利用者双方が苦しい、そして国から市町村へ責任転嫁、競争原理の導入により責任者不明の制度へ変化しています。これらの変化がグラフで示され、根本へ帰り全世代型社会保障ではなく、国の責任でもって行う社会保障制度の転換が求まられるのではないでしょうか。
•介護保険制度20年の介護労働力政策の総括 (井口克郎)
 20年間の介護労働者の賃金状況を表しています。当初若者が生涯の仕事として熱心に介護福祉士を目指す様子が多くみられました。しかし、「構造改革」をはじめとする社会保障費抑制政策の下、介護労働者の労働条件は大幅に引き下げられ、「介護現場は労働条件が悪い」というイメージが固定化する結果となり、次世代を担う若年層の希望が大きく打ち砕かれたのです。人材を確保するためには労働条件を引き上げ、若年層が一層安心して働ける、希望の持てる労働条件づくりや人材育成策を行っていくべきです。社会保障費をこのまま削減し続けるという選択肢はもはやありません。
•高齢者の生活実態と介護保険 (河合克義)
 介護問題は、高齢者の生活問題の一部でしかない。2020年3月末現在の第1号被保険者数は3,554万4861人となっており、要介護認定者数は655万8,324人、その割合は、18.5%です。また高齢者の貧困・孤立の問題は全世帯に占める割合が1980年24%が、2016年には48%に上がっており、これに最近では『8050問題』まで出ています。65歳以上の孤独死の数は、2002年が、1364人、2018年には3882人と増加傾向が気になります。高齢者介護システムの構築時の、措置制度が古いものとして位置づけられ、社会保険制度の方が権利性が明確で、だれでも利用できる普遍性を持つものとして、介護問題への対応については、措置ではなく社会保険に切り替えたほうがよいとされました。このことが大きな問題となってきました。高齢者の生活上の全体的問題には介護保険サービスは対応できないシステムなのです。在宅サービスの基礎的部分については、行政が責任を持ち、現業サービス部門を行政内部に位置づけなおすこと、また施設サービスについては、介護施設だけではなく「生活施設としての老人ホーム」を再構築することが必要だと、いっています。
•介護保険施行20年─市町村(保険者)の役割変容と課題 (日下部雅喜)
 地方分権という言い方で、市町村を運営主体におき、国の責任を放棄し、1990年の社会福祉関係8法改正以来、老人福祉制度では『措置権者』として、援護を要する個々の高齢者に対して援護する義務から「解放」したのです。保険者としての市町村が、介護ニーズに答え介護保険施設整備など介護サービスを充実させて利用を増やすと、全高齢者の介護保険料が上昇するという「保険料と介護需要のジレンマ」に陥っていきました。これら増大するサービスの伸びを抑え込もうと、国は給付適正化とローカルルールを競わせる、「総合事業」によるよう支援サービスの切り捨て、新たな「保険者機能」−自立支援目標と自助・互助の地域づくりのアメと鞭の政策を作り出しました。介護保険制度開始時には、「地方分権の試金石」として、市町村に「サービス充実」を競うことを求めた政府は、今や『制度縮小、自助・互助化』を競わそうとしているのです。住人運動は、市町村に対する継続的な働きかけを行う必要があり、特に介護保険料を払っているだけの一般高齢者への働きかけと運動参加、介護事業者やケアマネジャーなど関係者の共同を組織していくことが重要です。
•在宅で働くホームヘルパーから見える介護保険の矛盾 (藤原るか)
 在宅介護ペルパーさんが国賠裁判を行っておられます。この20年間を支えて来られた方々からの現場からの問題点の提起です。本質問題として、ケア労働が人間が人間らしく生きぬくことをサポートし、人権を守る仕事であるという点に関して国の認識がないことです。国は特に財務省は「生産性・効率」という在宅ケアとは相いれない政策を推し進めているのです。また「主婦ならだれでもできる仕事」と専門性を否定し、時代を遡りする施策を打ち出しているのです。今回のコロナ騒ぎの中で、リモートワーク中、「同居介護家族」のいる家庭が大きな問題になっています。介護労働が「出来高払い」、10分.15分といった刻み労働で、「自分らしく生きる、継続した生活」の保障ができるのでしょうか。これらの矛盾を早期に正すべきです。頑張ってください。https://helper-saiban.net/archive/01.html
•ドイツの介護保険改革 (森 周子)
 ドイツの介護制度が日本の枠とが違っていますが、介護職に対する手厚い育成制度、保険制度のみで行われているなど、他文化国の扱いとはいえ、考えさせられます。1994年に発足した制度を地道に育成拡大しているのだと思います。人間を扱う仕事としての段取りの推移を見た気がします。また介護者の移民制度が大きく係っているのだと思います。高齢化社会のあるべき姿を参考にしたいものです。
•「認知症の人と家族の会」と介護保険 (鈴木森夫)
  認知症家族を守る運動は、はや40年の歴史を持っているそうです。この課題と介護保険制度が今日近づき方や人権の尊厳を守ろうとする課題、かたや効率化、生産性追求と、相容れないものが近づいているのです。このように、「介護の社会化」と「認知症になっても安心して暮らせる社会」を創る両立した運動に、連携していきたいものです。憲法25条の完全実施ですね。
2020年改正個人情報保護法とコロナ禍 (山田健太)
 2003年に制定された個人情報保護法が、2020年改正で大きく本人の権利強化、利用・公表および提供規制の強化、の枠が崩され、今回のコロナ禍の中で、医療ビックデーターの利活用の名のもとに、接触確認アプリの活用やスーパーシティ法の制定など大きく検証すべき時期になっているようです。利便性のためにプライバシーを犠牲にする傾向が、十分な議論なしに決まることは、将来に大きな禍根を残します。マイナンバーカード利用の失態が物語っています。なぜそこまで、人権侵害の可能性を負ってまで、国家がすべての情報を掌握し、ちょっとした利便性を追求しなくてはいけないのか????日本の個人情報保護法の究極の目的が、個人の権利擁護保護ではなく、企業や行政の個人情報の利活用にあるという、この法制度の最大の課題を改めてきちんと検証する時期が来たとも言えます。
•自治体問題研究所代60回総会報告
•「第62回自治体学校 Zoom
分科会・講座等」募集要項
●連載●
•おんなのRun85 多様性はパワーだ!〜私がパートナーシップ制度を求める理由〜 (よだ
かれん)

 パートナーシップ制度は2020年6月10日現在、全国で50自治体にまで広まり自治体ごとに制度の違いはあるものの、その目的が、法律婚が認められない同性カップルの救済にあることは共通しています。広島県のホームページの検索をしてみたのですが出てきませんでした。まだまだ遅れているのでしょう。
•@NEWS 特別定額給付金のオンライン申請事務等の実態について (喜入 肇)
 今回のマイナンバー活用劇にはうんざりしました。これほどまで、個人情報満載にのマイナンバーを口座に限らず多様な情報とのひも付きについて行うことには慎重になってほしいものです。
Jつうしん
•自治の風─沖縄から 第4
回 「好況」なのに貧困という矛盾─『沖縄子ども調査 高校生調査報告書』から─ (島袋隆志)

 生活調査を行うと、雇用関係と連動した生活実態が表れて来ます。非正規職員の家族の生活は連動して、苦しい生活を子どもに強いているのです。低賃金状態を生み出すこの非正規職員増大制度の早期廃棄を求めます。
•再生可能エネルギーと環境問題 第5回 太陽光発電C「廃棄物と災害」 (傘木宏夫)
 太陽光発電装置が産業廃棄物としてきちんと整理されるためには、リサイクルという手もありましょうが、事業費に廃棄費用の積み立てと積み立て状況の報告書が必要です。有害物質を含む物として、きちんと監視されなくてはいけません。
•最終回 自治体清掃はどこへゆく 第6回 ごみ屋さんに俺はなる (福田日輪)
 ゴミ屋さんという身近な職員である証だったころと語っていますが、災害時に一番働いたのが自治体職員だったことをまじめに振り返り、もう削減をしないでほしいものです。身近な自治体職員が、官僚制度の下に挙げられ、コンピューターの端末が、住民との接点にならないようにしてもらいたいものです。
•わがまち52 長野県栄村 (宮川幹雄)
•編集後記



2020年7月号 読者ノート

 (2020/06/22)
 
目次
 
事務局として気になった記事にコメントを載せます。一緒に読み合わせしましょう。あなたの感想や意見もお寄せください。
●連続企画●「新型コロナ」から日本の社会を考える 第2回 「コロナ禍」を地域・自治体から考える (岡田知弘)
 パンデミック状態となった新型コロナウイルス感染症は、安倍内閣の施策の結果、5月26日時点で、感染症確認数 累計16,623人、死亡者 846名となっています。安倍内閣がオリンピック開催や、緊急事態宣言を特別措置改正にこだわり時間をかけ、4月7日にようやく緊急事態宣言、4月16日特定警戒地域指定7地域から全国に対象を広げ、5月25日にすべての地域を解除する、この間3か月間に、感染者の急拡大期・緊急事態宣言発令期、そして同宣言の解除期という三段階を経験させられました。
 この3か月間から私たち学んだことは、ウイルス感染症は「戦争ではなく「災害であること。」「撲滅すべき敵」ではなく『共生』の対象であるという認識です。また地方自治体の役割と姿勢が問われており、今までの新自由主義的構造改革・行政改革の負の遺産が露呈し、コロナ禍で浮かび上がった「公共」の重要性を「アフターコロナ」社会で本来の在り方に戻すチャンスが生まれています。個々の地域で、公衆衛生・医療・福祉にとどまらず、住民生活、産業や就業の状況、国土保全の在り方も統合した「地域の将来ビジョン」を現地調査に基づいて作り、実践する取り組みが求められています。

●特集● 地域公共交通と高齢者・住民の人権保障としての交通権
 持続可能な地域づくりのために、交通権が保障された地域公共政策はどうあるべきかを考えましょう。
•地域公共交通をめぐる新しい状況と交通権 (近藤宏一)
 「交通権が広く共有されるようになってきた」と言っていますが?担い手不足のために維持できない状態が生じている実態を直視しながら、振り返ってみると次のようなことが変化しています。
 問い直される公共交通の「採算性」、人手不足の深刻化、の中、自動運転、ライドシェア、「小さな交通」、公共交通の運営主体の多様化、などが表れ、今回MaaS「単一のサービスとしての移動」が紹介され、新しい動きについて、どのように活用して、交通権の発展を図っていくのか、現場での議論の参考にしてください。ヘルシンキではすでに導入されているものです。

•地方自治体の「公共交通条例」と交通権 (香川正俊)
 交通権の意義が整理されています。「「国民の交通する権利」であり、日本国憲法の第23条(居住・移転及び職業選択の自由)、第25条(生存権)、第13条(幸福追求権)など関連する人権を集合した新しい人権」と規定しています。交通権を初めて社会権の一つとして明記したのはフランス(1982年)「国内交通基本法」ですが、韓国では、裁判規範性のある具体的権利を定めた「交通弱者の移動便宜増進法」があり、財源についても、「交通税法」が定められています。一方我が国における交通権の未成立な実態の要素として、プログラム法としての「交通政策基本法」(2013年)制定に至る過程で否定された主な理由が挙げられています。@法制上、「移動権」の具体的な内容が定義できるだけの国民的合意がない、A行政論上、財源的な裏打ちが整わない現状では権利を保障できず、不作為を問われたり、都市・地域づくりに障害が生じる恐れがある、B社会実体論上、「移動権」の規定を持って課題が解決するわけではなく、当事者間の共同に当たり対立する意識を生じさせる恐れがあるなどです。これは公共交通事業者からの陳情活動があったからのようです。
 しかし、「公共交通空白地等」における移動手段の確保状況が、数値的に挙げられ、この地の可住面積は3万6433平方キロ(全体の約30%)、人口で735万1000人(人口の約5.8%)と明らかにされています。この交通空白地等を縮減を目指しさまざまな条例制定(金沢市、奈良県、長岡京市、加賀市、新潟市、熊本市、高松市)の動きが紹介され、福岡市の「公共交通条例」が紹介されています。今後交通権の法定化と、「公共交通条例」制定の動きが増すことを期待します。広島での研究の再開も期待します。

•交通権を保障した交通政策で安心できる地域を─事例から学ぶ (可児紀夫)
 地域の交通を確保するための基本的な考えとして、
@交通は人権であるという考え方。A参加と協同。B持続可能な地域づくりを挙げ、
 交通の意義は、
@持続可能な地域社会を作り上げる。Aまちづくりの土台。B社会的な便益を地域にもたらす。C人の交流、情報交換などを通じて地域社会や人々の文化を高め、豊かな生活を築く。D誰もが人として幸せに生きていくための大切な人権(交通権)を挙げています。
 今日このような深刻で切実な交通問題を引き起こした要因は、
@国、自治体、そして私たちも交通の意義を十分に理解していなかった。A戦後日本の交通政策の二つの誤り、車社会化に対応した総合的な交通政策を確立しなかったことや、2000年前後から推進された運輸事業の規制緩和政策。B憲法の地方自治を活かした住民参加が交通政策に生かされなかった。C憲法を羅針盤として政策論議がされなかった。憲法の理念を実現する地域交通政策は、交通権を政策理念として地域の課題の本質をとらえ持続可能な地域社会を住民の参加と行政、交通事業者などとの共同で作り上げていくことが大切だと言えます。
 以下兵庫県の福崎町長野県の木曽町、名古屋市、三重県玉城町などの事例が報告されています。

•過疎・高齢社会における地域公共交通の展開─関西北部地域を事例として (野村 実)
 過疎過密・高齢者化の中で地域社会が人口減少を進める中、住民の「生活の足」をどのように確保していくのか、画一的な答えはなく、各地域のニーズに沿った政策展開や実践の交流が求められます。また「令和元年、交通政策白書」(国土交通省、2019年)(
交通政策白書は、交通政策基本法(平成25年法律第92号)第14条第1項及び第2項の規定に基づき、交通の動向及び政府が交通に関して講じた施策並びに交通に関して講じようとする施策について、毎年、国会に報告するものです。)によれば、交通事業全体の人手不足や、地方部における輸送人員の減少、サービスの縮小など地域公共交通に関わる諸課題が指摘されています。今回は、京都府・南丹市美山町の例、として自家用車や公共交通を利用しづらい「グレーゾーン」層の人々が一定数あらわれこのような人々に具体的にどう対処するのか提案されています。MaaSなどによるモビリティ(移動性)確保の可能性を、情報通信技術の発展によって一つのサービスとして、いくつかの地域でも取り組まれ出しています。その実例として兵庫県養父市の例が出ています。新たなシステムやその発展を肯定的にとらえつつ、地域の多様なアクターが手を携えて、住民の「生活の足」の確保に努めていくことが大切です。
•愛媛県内子町の公共交通の現状と課題 (前野良二)
 一町内の全域にデマンドバス運行を巡らせ、維持のための報告です。人口減少の続く中、町内各地の豊かな自然と特色ある地域文化を大切に、地域公共交通を維持・充実させる街づくりを行っています。競争原理と民間参入に主眼を置いた国の規制緩和や居住機能や都市機能を集約させるコンパクトシティ化を阻止するため、限られた地域資源を生かすことを公共交通システムに取り入れた行くようです。
Uber(ウーバー)で配車し、マイカーを使ったライドシェア型公共交通=「ささえ合い交通」の実践 (東 恒好)
  スマートフォンを使いウーバーで配車する形のマイカーを使った「公共交通空白地有償運送」であり、行政に要求するのでなくNPO独自で運行するもので、自由な移動を実現しています。京都府京丹後市丹後町で、市営コミュニティバス(デマンド型)が、利用方法や運行ルートにおいて利便性を劣り、2015年夏から協議を始め、2016年5月26日に「ささえ合い交通」の「出発式」を開催しました。メリットとして6点、運行管理として2点、今後の課題として5点の指摘をしています。スマホ購入費と通信費が高額のため保有者が拡大しないことから、災害情報等の提供と合わせ普及策を求めています。全国各地で移動問題に困っている中「自家用有償旅客運送『反対」を全国一律に唱えることを控え、真に利用者の視点に立った自由で有効な移動手段の実現を最も大事にしてほしいとのこと。
•「新しい生活様式」のもとでの社会教育施設「再開」ガイドライン─市民の「学びの場」をどう保障するのか (朝岡幸彦)
 緊急事態宣言の下で、「命か自由かの選択」として制限を受けることを「やむおえないもの」と断定できるのかという問題があります。ここには経済問題とは別の「権利の制限」という問題があることに注目する必要があります。まさに新型コロナウイルス感染症と「共存」する社会の中で、どのように「学び」を継続・発展させることが出来るのか。私たちは歴史に試されているかのような気がします。
•会計年度任用職員制度で官製ワーキングプアを固定化・正当化させないために (坂井雅博)
 2020年4月から自治体の非正規職員は会計年度任用職員となる制度が生まれましたが、この問題での把握と今後の取り組みについて新潟県内の調査報告です。この制度の限界がどの程度のふらつきで表れているか、広島県内での動きもつかみたいものです。広島自治研月報432号に、広島市保育園支部の報告がありますが、この制度の悪用が出ています。読んでみてください。フルタイム会計年度職員とは何????。市民への訴えができていないのか。公務員制度が大きく破壊されていくようです。今回のコロナ対策での公務員の専門性、公共性の訴えが今ほど必要ではないでしょうか。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                  
●連載●
•@NEWS
 緊急事態宣言 ネットカフェを追われた人たち (田川英信)
  コロナ支援策での中で、「難民」が生まれている、行き場を失ったネットカフェなどを「住まい」とされていた方々。東京都で約4000人ほどあり、本来なら、生活保護等の福祉制度につないで生活を安定させる必要があるのに、ほとんどそういう気配りがされていないとか。生活保護に対する自尊心との対立がこのような人々を生むという。公でアパート確保と自立ぬ向けた施策がこのたびの事案で浮き彫りになっています。ハウジングファースト型の支援で、安心できる住まいを提供することが何より大事です。
https://www.calling2-blog.com/housing-first/
•おんなのRun84 保護者が繋がり、笑顔で帰る場所づくり (高原千里)
  吃音の子どもさんに対する親の活動は、「どもることは悪いことではないと、吃音があっても絶望でなく希望を持てる未来があるよ」ということですね。100人に一人はいるといわれるとか。
•自治体清掃はどこへゆく 第5回 災害の後にあるもの (福田日輪)
  災害が大きくなる、職員は少なくなり、矛盾のしわ寄せは有事に被災者に襲いかかる、これが住民のくらしを守るべき自治体が徐々にその責任を放棄している証拠です。端的に清掃現場に現れていますね。
•再生可能エネルギーと環境問題 第4回 太陽光発電B「景観への影響」 (傘木宏夫)
 地域の再生可能エネルギーが地域の景観をつぶしてしまう、この問題の重要性を述べていますし、景観への影響度も、三種類挙げこれを事業計画段階で景観変化の程度をイメージできるようにすることで防ぐことを提案しています。NPO地域づくり工房の自主簡易アセスを見てください。
http://eaps.omachi.org/?page_id=43
Jつうしん
•自治の風─沖縄から 第3
回 石垣島・宮古島への自衛隊配備と自治の危機 (湧田 廣)
 石垣市で、自治基本条例廃止案が否決されて2019年12月、このような「民主主義の危機」が起きるとは沖縄でも大変なのですね。
•わがまち51 福島県川俣町 (佐藤金正)
•編集後記

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