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2020年1月号 読者ノート

 (2020/01/07)
 
目次
 事務局として気になった記事にコメントを載せます。一緒に読み合わせしましょう。あなたの感想や意見もお寄せください。今回年末担当者が入院し遅れて申し訳ありませんでした。
●新年のごあいさつ● 国と地方自治体を主権者の手に取り戻そう 岡田知弘
  2020年みなさんの昨年度来の安倍首相の評価について、どう表現されますか。岡田先生の短い文章を参考にしてください。まさに地方自治・住民自治を破壊する策動が進んでいます。
●新春インタビュー● 宮本憲一先生に聞く 地球環境の危機とSDGs─地方自治の力で「環境権」の確立を─ 聞き手 多田哲子
  このインタビューの中で、地球環境問題が、世界の危機になっているということに、若者が敏感に反応していることを讃えています。日本で公害という言葉を生んだ宮本さんの発する言葉に一つ一つうなずくばかりですが、環境政策ができるだけ市場原理で動いていく現実と、環境権を確立した自治体づくりを行い、環境問題を切り開いていく自治体が描かれています。次の言葉書きが気にいりました、「環境を維持する範囲内で経済や社会は持続できるのであって、地球環境が維持できなければ経済や社会の持続性はあり得ない」ということばです。もう一つ、「今自治体職員は、人事制度などの仕組みもあって、住民の方よりも上の方しか見られないようになっていて、自治体職場に閉塞感が漂っています。分断されていることと、情報の統制が大きいためだと思います。」です。
●特集● SDGs(エスディージーズ)と自治体
 SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)とは、2015年9月の国連サミットで採択された『持続可能な開発のための2030年アジェンダ』に基づき、「だれ一人取り残さない」を基本理念として、世界が2030年までに達成すべき17の目標と各目標を実現するための169のターゲット(達成基準)から構成されています。
 現在、メガバンクがこぞって、環境(Envirounment)・社会(Society)・企業統治(Governance)を重視して投資するESG投資を打ち出したこともあって、産業界では競ってSDGsを標榜する事態となっています。しかしこの本旨を深く問いづづけていきましょう。  

長野県におけるSDGsの取り組みの展開と地域循環共生圏 中島恵理
 長野県での環境学習の歴史を振り返ってみると大きなことがわかります。地域資源を大切にし、学ぶことが地域の習慣になっているような気がします。そこに環境省からの職員が参加した取り組について報告がされています。まとめてみると、広く中小企業者の理解を深めていったのだと読み取れました。ここの掲げられている、長野県での化石燃料への支出額が、産業分野別に見積もられ、数値化して現され、大きな額が県外に流失していると明らかにされています。このような算出方法で広島県を見た時どうなのでしょうか。地域資源の防災体制に、県が先頭を切って取り組むことの有効性が明らかになったと思います。具体的な報告が楽しみです。
利根川源流のまち 水と森林と人を育むSDGs未来都市─「みなかみユネスコエコパーク」─ 小野宏和
 都心から1時間の距離にある地域での活動で、未来都市に向けての住民の活動状況が知りたいものです。町の呼びかけに対する市民の声が聞きたい、森林資源の持ち主の声、バイオマス活用の生活の実態、教育に親しんだ子供たちの声、みんながこの活動を通じて、今後どのような主体が作りだされて行く地区なのだろうか、見守りたいと思いました。
三郷町SDGs未来都市計画─人にもまちにもレジリエンスなスマートシティSANGOの実現に向けて─ 三郷町役場まちづくり推進課
 三郷町の大きな課題が、156本の支流が合流する場所であり、大規模な貯留施設や非常用電源の確保などレジリエンスな強靭・回復力のある体制を構築するまちづくりが明確となっています。これに向けて町全体での体制づくりの基本に、この計画が立てられています。2018年に設立された「地域新電力会社(株)三郷ひまわりエナジー」に注目したいと思います。今回掲げられた「住んで良し、働いて良し、訪れて良し、学んで良し」の標語がどれだけ町民23,000人に共感が持たれているのか知りたいものです。 
「大阪・関西万博」 SDGsを掲げるにふさわしいアセスメントを 傘木宏夫
 大阪・関西万博を、より市民的な立場での推進を願う立場から、環境アセスメントにいくつかの提案を行ったにもかかわらず、その提案事項を無視する態度が鮮明にされています。このようなことで、はたして将来気品のある環境の創造に引き継がれるのでしょうか。今まで関西の汚濁物の体積地として、いまだに完成していないところで、一方的に自然の生態系が進歩して張り付き始めている環境下で、アセスメントとして、このような実態を反映した評価指標を事前に提案されたことは、素晴らしい活動だったと思います。カジノ誘致に取り組み、その場所に関西万博を開き整備するなど、この目的優先で行うならまさに自然破壊の実態しか残らないでしょう。産業廃棄物場所の再生にどう生かしていくか、多くの国民が知る必要があると思います。カジノではなくこのアセスメントを生かした新たな事業化を提案してください。
●第24回全国小さくても輝く自治体フォーラムin南牧村報告
  「自治体戦略2040構想」と「移住・定住・定着」 宮下聖史

 全国小さくても輝く自治体フォーラムの活動が、16年の歴史の経過の下に開かれました。大きく地方自治の後退が行われていく時代になっており、この活動は貴重な実践報告ではないかと思います。「村ガールプロジェクト」の活動など、真摯に生み出されてきた活動ではないでしょうか。このような活動を広く実践するための場づくりになっていけばいいと思います。各自発的な活動を通じて、周りの人に結びつくことが、大事であり、これを壊す活動が、連携中枢都市圏構想であり、2040構想だと思います。
第1分科会「移住・定住」の報告 宮下聖史
 「田園回帰1%戦略」で、移住者確保は少しづつ継続すること、子どもへの心配りとして保育園や小中学校だけでなく、高校、大学への進学を想定した施策の展開が述べられています。また、移住者について『数』ではなく『人』を見ることから、お試し暮らしの活用の提案がありました。一歩引いて移住者との懇談が有効でしょうね。
第2分科会「地域資源活用・地域振興」の報告 水谷利亮
 地域経済振興の基本的な考え方が5つのポイントで示されています。@基盤産業として域外マネーを獲得している産業は何か、A基盤産業は持続的・安定的か、B基盤産業で生み出された付加価値は域内に落ちているか、C非基盤産業は所得を生み出しているか、D再投資は域内で行われているか、です。この点検から始めましょう。他に再生エネルギーの活用で、村外エネルギーとの関係も報告されています。段階的に自家消費の枠を広げることが必要なのかもしれません。
第3分科会「都市・農村交流」の報告 山口誠英
 農村と都市の交流実践の報告が群馬県神流町・群馬県川場村・滋賀県日野町の3町村から出ています。農村側と、都市側双方の「ギャップ」を如何に埋めていくかが重要だと報告されていますが、それぞれの経過年数を見ると、2009年から、1980年から、10年間など豊富な経験を持っておられます。この課題での実践を学びに行きたいものです。
台風15号等による房総半島南部の被害と自治体の対応 山口純一
   台風15号の被災状況が明らかになっていますが、今回の台風は大変まれな方向から来たので、災害として未経験なことが大きな負担となって、今日まだ復興に向かっていない問題があります。湾岸道路から2時間でつながる地域でありながら、この困難を生んでいるのが旧伊倉町で、かって100人いた職員が行政センターに30人しか在籍しておらず、災害対応ができなかったとの報告です。また千葉県の迅速な対応がなく、森田知事の責任ある行動もなく、防災ブルーシートを県が市町村に取りに来るように指示したとか、まったく災害対応の基本がない県であったようです。災害時、長期間の対応放置で多くの問題が出てきます、何のこともなかったように日常生活に戻れるものが、戻れなくなる、この責任をどう問い詰めようとするのか、個人責任ではないことは明白です。憲法に基づき早期に日本の災害発生時に責任を果たせる政府の確立を望みます。公務員の数がたりません。
●連載●
@NEWS 地元の「同意は得られていない」、羽田新飛行ルート計画 秋田 操

 羽田空港の新ルートの開設において、アメリカ飛行会社が12便、日本が12便となるそうです。明らかに航空圏をアメリカ軍に握られている日本の実態の反映です。しかも、国土交通省はこの開設でガイドラインの検証を行わないとは嘆かわしい実態です。ぜひとも関係議会での声を上げてください。危険度の判定は、国民の安全安心を保証するために必要です。
子どもの未来図 第10回 子どもの未来を描くための手がかり@ 災害遺児─その時を支援する国であるために─ 浅井春夫
 東日本大震災で、災害遺児が総数で241人出ていたという報告です。災害の後、児童たちに保護者がいないのですから、この課題に早急に真摯に取り組む市町村の役割は大きなものが必要です。また長期に支援するケアーマネジャーの役割は本当に大事だと思います。これから多くの災害が予想されますが、子どもを見捨てない社会を創っていきましょう。
おいでよ46 宮崎県木城町 半渡英俊
Jつうしん
史跡さんぽ55
編集後記

2019年12月号 読者ページ

 (2019/11/26)
 
 目次
 事務局として気になった記事にコメントを載せます。一緒に読み合わせしましょう。あなたの感想や意見もお寄せください。
●特集● 大阪市廃止(大阪都)構想の幻想
 2015年5月17日に実施された「大阪都」構想住民投票が、最近のダブル選挙で再び、大阪維新の会の候補が勝利し、2020秋の住民投票へのスケジュールを提案しています。この大都市で早10年の月日は立ちながら、府民の分断は続いているのです。大都市でのこの問題を再度学習してみましょう。
•大阪市が廃止になったら財政はどうなるか (森 裕之)
 大阪維新の会がこの「大阪都構想」を押し出すやり方が、ポスト・トゥルース(=真実などどうでもよい)を政治文化に持ち込んで行われてきたと言います。知性が感情に凌駕されてしまえば、もはや現代社会は成立しえません。この流れの中で大阪府について、私たちは、財政問題を見る中で、奪われる一般財源、財政調整交付金などに実態を知り、また周辺市町村との関係の悪化、「二重行政」「経済効果」のまやかしなど、常日頃から理性的に分析する力を活用すれば、知性を取り戻すことができるのではないでしょうか。多くの大阪府民の方の早い知性復帰を願います。
・みんなで、「大阪市廃止構想」と呼ぼう!─維新の「組織されたポピュリズム」への対処─ (村上 弘)
 今や大阪維新の会は、「組織されたポピュリズム」に変貌していると。また大阪都構想という表現は、事実は大阪市廃止構想であり、実態を迷わすものだ。大阪市廃止で失うものを語り、維新が主張するメリットにファクト・チェックを少し行い、これらに翻弄されているリベラルな方々を目覚めさせましょう。また大阪維新の会のユニークな特徴をを3つ上げています。本当に政治の右派的な要素を兼ね備えています。維新のダークサイド・ニュースを普及しましょう。ただ黙っていたらだめです。
•大阪市の地域産業政策の発展に向けて (本多哲夫)
  大阪市の地道な中小企業振興の内容が記載されています。大きな企業が発展すれば下の中小企業も発展する、元気のある企業だけに目をやってきたかっての大阪市の産業政策の失敗をカバーするものです。大阪産業創造館の暦を学んでいくことも大切です。各区役所で中小企業と連携して地域活動を行うことが、中小企業のモチベーションを高揚させ、地域の活性化を呼んでいるとの報告です。地域住民が、「わが町工場見てみ隊」と子どもを参加させ、毎年繰り返しているとか。地道な支援体制の発展が、これからの大阪市廃止のため危機に瀕しているようです。区役所単位での活動が、これから府で行われると、その性格も、参加者の意識も大きく地域から離れることでしょう。このような取り組みは広島でもやっていきたいものです。
•大阪維新による再度の大阪市つぶしに抗して (山中智子)
  大阪市会議員の山中さんからの切実なる声が聞こえてきます。維新の会・公明党・自民党までが大阪都構想住民投票の道をひたすら走っているようです。ここで紹介されていることは、「広域を一元化しても大阪の成長につながるものではないうえに、市を分割して作られる特別区たるや、財政・権限ともに一般市にも及ばない半人前の自治体になり下がるばかりか、初期コスト・運営コストがかさんで、住民サービスはカットせざるを得なくなるということがいよいよ明確となった。」、このことば、当時の住民投票の結果が出た時の住民の声であり、再度呼び起こすことが、いま求められているようです。百害あって一利なしの、大阪市廃止構想ですね。
•東京都区制度の現状と課題から何を汲み取るか─大阪都構想による住民自治の後退─ (川上 哲)
  大阪が目指す都構想を実際行っている東京都の区政の問題点があげれれています。結論的には、普通地方公共団体としての基礎自治体ではなく、特別地方公共団体として位置づけられ、都との財政負担調整会議を毎年行い、自由の利かない団体になることです。そもそも地方自治制度と経済成長に関係はありませんし、大阪都構想が実現したからと言って大阪経済がよくなるなどという保証はどこにもありません。それよりも同構想の実現によって大阪市の住民が失うものの方が大きいということを改めて認識することが重要です。失った自治権の取り返しは非常に難しいのです。
•直言 今秋の台風被害に思う (岡田知弘)
 この直言で安倍首相の行動が、20分とか6分の災害会議を行いリーダーシップを発揮したと、マスコミの追及をかわしているのでしょうか。災害時の会議ではその報告を聞くだけでも、20分以上かかり、現地の状況を十分認識をしないと、対応策は作れないのです。ここにある提言、機動的な災害対応官庁の設立、地方公務員の職員の増員、国土保全のために農林業の振興、地球温暖化に対する抜本的な対応と熱エネルギー循環の分散化を図ること。全く同感です。
•進むマイナンバーの利用拡大とプロファイリング (K田 充)
 マイナンバーの導入が国の機関でまさに矢のごとく進んでいることが述べられています。2040構想でのAIの活用の基礎データーとしてマイナンバーの利用拡大が必要であるとともに、個人情報保護の観点から、プロファイリング阻止の市民運動の活発化が訴えられています。そもそも、この狙いが、政府の定めた指標に従って『必要とする者』か『必要でない者』かを選別するものです。総務省・スマート自治体研究会での報告で、業務をコンピューターに合わせることを自治体に押し付けようとしているとの報告がありました。システム共通化が自治体の独自性の放棄による地方自治の形骸化を促すためのインフラともなるのです。EUは2016年にすべての加盟国に個人情報保護を義務付ける『一般データ保護規則』を制定しました。日本でも早期にこの制度の確立が求められています。
•東日本大震災 被災地自治体の今─福島訪問調査から見えてくるもの─ (千葉悦子)
  東日本大震災と原発事故から8年7か月の経過し、現地の状況がつぶやかに報告されています。故郷をやむおえなく離れた方々の思いは、さぞ無念なことでしょう。これらを引き起こした当事者が、どう対応しているのか、怒りに燃えます。この文章で、帰還をあきらめてはいるが、故郷への思いは募るとの言葉が多く語られています。地道な活動で、帰還を自治体として政策化している職員の方々に敬意を表します。政府が『寄り添い』を多用していますが、「揺れ動く個々の環境や意識に適した多様な解決策選択肢を用意する」のが寄り添うということで、それとは真逆な「画一的で標準化を志向する」では、いけないとともに、避難者が見えなくしていくことになります。各自治体に政府は、支援の縮減、打ち切りが始まっていることに警告を発揮していきましょう。
•指定管理者制度 2018年導入状況等調査結果の概要と制度運用の到達点、課題 (角田英昭)

 指定管理者制度が始まり15年になり、総務省が2019年5月に2018年度調査『公の施設の指定管理者の導入状況等に関する調査結果』を発表しています。この分析が述べられています。私たち身近な公の施設の統廃合が、地域コミュニティーの減退につながり、地域が無味乾燥して、ぎすぎす感を感じてしまわなければと思っています。指定管理制度の問題点について、私たち公務に関わる人間には身近でも、多くの一般の人々にその苦しみを理解してもらう機会が少ないことが大きな問題であり、自らが地域に訴えていかなければいけない課題だと思います。しかし、この報告書でも明らかのように峠は越えていますが、朽ちる道へ落ちていく感じがします。改めて、社会教育施設での、指定管理者制度は阻止するべきだと思います。広島でもその集いをやり市民に大きく訴えていきましょう。
●連載●
•おんなのRun78
 役者と布絵との共演─地域にはいろいろな人がいると実感できるきっかけを!─ (渋沢やこ)

 布で作った紙芝居とは見てみたいものです。動きが立体化して、演じられるものが身に降りかかってくるのでしょうね。想像するだけでも楽しくなります。地域の人の顔がよく見えることでしょう。
•@NEWS 横浜市のカジノ誘致の動きに対して市民が立ち上がる (菅野隆雄)
 横浜市の市長のように選挙時には白紙の状態を装い、突如このような提案を行うことが、最近の日本では多く異様な気がします。民主主義をないがしろにする首長は、絶対に許してはいけません、頑張ってください。この住民投票の経験を若い多くの人が体験することを期待します。
•子どもの未来図 第9回 格差・貧困と学力─学力の格差が表面化する転換期を考える─ (浅井春夫)
 学力の言葉から、思考能力、判断力、表現力などを考えました。これが、乳幼児期から学童期において、体験的まなびのチャンスを多く蓄積することを通して、抽象的思考を獲得する基礎が形成されるとは、大切な時期の貧困、格差は社会責任ですね。小学校4年生からこの格差が広がるようです。支援の在り方を、効果的に配置してください。
•最終回 行こう Zoo-Zoo-Zoo 第6回 動物園のこれから (森角興起)
 1882年に動物園が上野の地に産声を上げてから130年以上の月日がたったようです。この動物園にも限りない歴史があり、いま到達しているのが、「市民が動物や環境に興味を持つ入口であると同時に、具体的に生きた動物たちを保存していくノアの箱舟たらんこと」ということです。
•おいでよ45 甲良町 (野瀬喜久男)
Jつうしん
•史跡さんぽ54
•編集後記

2019年11月号 読者ページ

 (2019/10/23)
 
目次
事務局として気になった記事にコメントを載せます。一緒に読み合わせしましょう。あなたの感想や意見もお寄せください。
●特集● 都市再編時代の再開発
•アベノミクス都市再開発のいま (岩見良太郎)

 今多くの都市の再開発を正当化すると名目に、イノベーションだとか、コンパクトシティー化、公共施設再編という言葉で、一見財政支出は不問にされています。ここで行われたものが、地域全体のバランスある発展を基本に組み立てられたものであるとの装いを、立地適正化計画と掲げています。しかし、これらの開発は、「全体最適」という口実によって、「個別最適」を犠牲にするものであり、「選択と集中」政策の言いかえでしかないのです。青森、富山での実践結果が物語っているように、最初は大きく取り上げられますが、時間の経過とともに地域全体が崩れていくのです。
 まちづくりは、何よりも個々人の生活圏、身近な地域における住民自治から出発しなければならないのです。

•東京「企業主権」で進む東京の再開発 (遠藤哲人)
 いま東京でマンション建設がいままでのまちづくりと一変した民間業者の主導で行われている実態が報告されています。かって美濃部都政時代に住宅建設に立ち向かった計画が存在しており、これらがいま、民間主導の下で、大規模な高額者のための、まちづくりに変えられて、一般人が立ち入れなくなっているようです。大企業の事業掘り起しから虫食いの再開発、かって自分たちが立てた計画を、民間業者が取り替えた計画承認の立場に転換している行政の姿など、市民・住民犠牲の再開発の横行に対し、今こそ、鼓した人々が声を上げ、組織を作り、議会、市民運動、労働運動の共同で、道を切り開くよう呼びかけています。参考例として、徳島市新町西区での再開発取りやめの運動が紹介されています。長くて粘り強いそして幅広い運動は勇気を与える経験だと称賛されています。
•さいたま市 大宮駅周辺で急速に進む巨大開発計画 ─首都圏広域地方計画・スーパーメガリージョンを追い風にして─ (渡辺繁博)
 2都心4副都心構想と、大きな呼びかけですが、これが政令指定都市化に向けたさいたま市の掲げたものでした。ここで述べられている都市開発は、国の国土形成計画を取り入れて、市民の目を上側に注げて、飾り付けられ、町内会長までも、その推進組織に組み入れられたようです。大宮周辺地域戦略ビジョン、約190haもの広さを「公共施設の再編による連鎖型まちづくり」と、すごいビッグアイデアだと称賛した県知事の話も、気に留めておきたいものです。しかし、経済誌が、皮肉にもこの計画の欠陥を指摘している記事を掲載しています。まったく企業の利益を優先し、高い価格を市が負担するはめになっているようです。大きな構想を打ち上げることにより、さいたま市の財政負担は莫大な額になり、住民の生活には大きなギャップが生まれていることが紹介されています。この開発事業に対応した学校、保育所、公園、児童館や公民館などの整備計画を市は全く持っていなかったというのです。国の大言壮語に踊らされることなくしっかりした社会動向に対する見通しを持ち、市民の願いを聞き取り、美しく・安全で快適な市民のよりどころとなる駅周辺整備となるよう願っています。
•川崎市 一体誰のためのまちづくりか 鷺沼駅前再開発に伴う区役所・市民館・図書館の移転に反対する住民運動 (小久保善一)
  川崎市宮前区の区役所移転が、住民の声を無視した形で進んできたようです。この論文には公共施設再編整備計画書の作成について述べられていませんが、多くの委託事業の中に、このような大きな施設があるとは、またこれに付随する市民会館・図書館などを新しい土地に移すことにより、ドミノ式にその跡地の再開発が描き出されるのでしょう。大きな金が動く中で、市民生活の向上や、市民の声は受け取られなくなっていく、川崎市政の変化が読み取れました。区民の声10%しかない計画を広げようともしないくせいに怒りを感じました。まさに、現実は、事業者と市があらかじめ事業計画を決めて、市民が全容を知る前に短期間のうちに決定・実行しているように見える。とはどこかで聞いた言葉ですね。
•徳島市 無謀な再開発をひっくり返したあきらめない市民自治の力 (加戸 悟)
 徳島市民は、「住民投票条例」を作り上げている町なのですね。過去の経験からあきらめない市民自治の力が、今回の無謀な「新町西再開発の白紙撤回」の運動を支えたとも言えるのでしょう。市民の怒りをコツコツと広げる活動の経験は、時代を超えて活きていくものなのですね。このような体験を作り出すことがいま求められているのだと思います。またこの間の裁判闘争、市長選挙などで核となった出来事に力を集中していることもわかります。
 徳島市の住民投票署名での、受任者作りで、3000人の数を集めきることができることは、「市民の力」の根拠であり、このような活動を市民運動の起点として広島県でも作りたいものです。だけどこの開発に徳島県が同意をしていないとは、これの経過が知りたいものです。

•神戸市 「神戸市都市空間向上計画」について (小田桐功)
 この論文で「立地適正化計画」の矛盾点が明確に表しています。行政・国がこの計画の本質を明らかにせず、独善的に執行している意味が分かります。そもそも都市計画法の理念は、「都市の健全な発展と秩序ある整備をはかり」「農林漁業との健全な調和を図りつつ、健康で文化的な都市生活および機能的な都市活動を確保すべきこと」であるのに対し、「立地適正化計画」は、人口減少社会の下でも、民間活力を謳い、駅前開発の参入事業者への補助金対策など優遇策を設け都市再開発を最優先したものとなっており、住民福祉の向上を謳う日本国憲法の精神とは相いれないものです。ここの神戸市の計画案に対する緻密な点検活動を参考にして、各地の計画をチェックしてください。市民への広報活動はどうであったか。基準となる駅から徒歩20分の適用が市民生活や地域の特性に合っているのか、人口減少の推移年が20年か50年先なのか、地価の変動がみられるかどうか、被災対策と整合性があるかなど、具体的な声を集めてください。
•滋賀県 滋賀県内の立地適正化計画調査結果から見えるまちづくりの課題 (瓜生昌弘)
 滋賀県自治研からの報告であり、広島県としても参考にしたいものです。そもそも立地適正化計画の持つ、いわゆるコンパクトシティづくりの計画が、居住誘導区域や都市機能誘導区域を設置し、人口増加に伴いはらんでいった市街地を人口減少に対応して縮小させていくという狙いを持っています。県内の作成状況を概観して述べられていることは、誘導区域設定率が40%を超えている、。将来人口を増加する市町は少なく現状維持ないし、減少する方向である。計画内で、居住区域外のことがあまり触れられていない。ことが明らかになっています。この計画が既存の交付金事業の補助率がかさ上げされる仕組みとなっており、そのことが計画策定の目的になっていることが特徴です。この計画を批判するうえで、この計画自体がまちづくりの計画であり、本来のまちづくり手法から点検する4点があげられています。神戸市の報告ととともに参考にしてください。
第32次地方制度調査会「中間報告」を読む
 この調査会は2018年7月5日に発足し、内閣総理大臣が『人口減少が深刻化し高齢者人口がピークを超える2040年ごろから逆算し顕在化する諸課題に対応する観点から、圏域における地方公共団体の協力関係、公・共・私のベストミックスその他の必要な地方行政体制の在り方について」諮問したものの中間報告に対する意見の紹介となっています。
•行政合理化論が団体自治や住民自治を越える? (平岡和久)
 第32次地方制度調査会の中間報告は、人口構造の変化を地域類型化し5つを提示し、地域類型を絞る施策を出しており、町村会から厳しい批判が上がっています。類型化でもって画一的な方策を市町村に押し付けることは現に戒めなければなりません。二つ目は、2000年代以降構造改革、行政改革によって削減された地方公務員をさらに削減することを前提にすることで課題設定がされていることです。三つ目は、緊縮政策を前提とした上で、地域や組織の枠を超えた連携を進めれば、公共部門の責務や団体自治・住民自治を破壊し、超えるべき対象となることです。今後の焦点は、市町村の自主性を尊重するよりむしろ、圏域単位の行政を押し付けようという議論に注意することです。
•ステルス化した「圏域マネジメント」論と「トロイの木馬」 (本多滝夫)
 調査会で圏域マネイジメントの批判が多く行われた結果、中間報告の言葉が@ひとりに着目した方策、Aインフラ・空間に関する方策、B技術を生かした対応を行うための方策と変えた言葉で表現されていますが、事務局を担う総務省自治行政局はすでに、合併協議会をモデルとした、中心市の市長を会長とし、地方議会議員、有識者をも構成員とする『圏域運営協議会』を立ち上げ、行政基盤を新たに構築する法制化を創ろうとしています。圏域マネイジメント論を隠し、そしてその舞台裏では『トロイの木馬』の設計が進んでいるのです。
•小さくても輝く町村自治の発展を (藤澤直広)
 「地方自治」の本旨を国がたがえたのが今回の中間報告です。今回は『圏域行政』を掲げ、「自分たちのまちのことは自分たちで考え、行動する」ことから切り離そうとしています。住民福祉の増進を図るという地方自治体の目的達成は、「人」でありAIが取って代われるものではないのです。滋賀県日野町には、毎年、20数校3000人以上の生徒たちが、修学旅行などで農村生活体験をやっています。自然に触れ、人々と交流し、田舎に残っている助け合って生きる社会を体感します。離村式では『もう帰りたくない』という発言がありますが、このような心の交流は「AI]ではできません。
•風穴を知っていますか?─第6回全国風穴サミット in東京─ (傘木宏夫)
 風穴とは、山の地滑りで石が積みあがった斜面などで、その隙間から自然の冷風が噴き出す場所のことです。このような自然現象の発見を通じて、心行きかう交流を全国に呼び掛けています。
•書評 岡田知弘著『公共サービスの産業化と地方自治 「Society5.0」戦略下の自治体・地域経済』 (岡庭一雄)
 この本は、既刊「自治体戦略2040構想と地方自治」(自治体研究社)において問題点を指摘したことに引き続き、各自治体で具体的に運動を起こしていくために「公共サービスの産業化」を体系的に学ぶことのできる教科書として活用してください。
●連載●
•おんなのRun77 秩父のFMラジオ局! 街も人も元気にしたい (磯田恵美/山中優子/出浦ゆみ)

 地域の人たちが出られるFMラジオ局が秩父に誕生したとか。この局を作る11人のスタフの心意気が楽しみです。「人と人、地域をつなぐメディアが必要です」
•@NEWS 東京五輪 晴海選手村土地投げ売り住民訴訟原告団見解発表 (淵脇みどり)
 東京五輪の問題で、東京都知事が、晴美選手村の土地を建設業者に投げ売りし、業者による跡地にマンションとして売り出していくに協力したことを追及しています。広島アジア大会の選手村も同じような売り方がされています。このような都民の財産を企業集団に売り出し、儲けを保証するやり方は、まさに産業化した自治体行政ですが、都民の利益を放棄しているのではないでしょうか。
•子どもの未来図 第8回 子どもの貧困と世代間連鎖 ─生まれた家族で子ども格差があるのはしょうがない?!─ (浅井春夫)
  乳幼児期から低年齢児童期における貧困生活は、学習的知的な主体的体験に乏しい暮らしになりやすく、そうした@感情・意欲を育む格差を生み、A認識・操作能力の形成の格差を広げ、B努力という具体的な行動の格差に連動し、結局はC希望(人生へのチャレンジ権)を生み出す格差へとつながっています。
私たちは、貧困の連鎖を放置しないで、どの時期にどのような支援と権利の保障をし、政策的な対応をしていくのかを真摯に探究しているのかが、国及び私たちに問われているのです。

•行こう Zoo-Zoo-Zoo 第5回 動物園の運営費 (森角興起)
 動物園の人件費の在り方が、動物園に参加者にとってよく理解できるようになることが、もっと必要ではないのではないでしょうか。動物の命を守っている人の生活・余裕により、その運営は大きく格差が生まれると思うからです。参加者は、動物園では生きた動きが目に巻きつけられるものであり、その管理され方との共感がすぐ反映していくでしょう。
•おいでよ44 酒々井町 (小坂泰久)
•Jつうしん
•史跡さんぽ53
•編集後記

2019全国自治体学校参加者位置図( 2020年7月11日から13日広島市で開催されます。)
DL:73.pdf

(2019全国自治体学校参加者位置図.pdf)
1086359バイト

2019年10月号 読者ページ 

 (2019/09/18)
  目次
事務局として気になった記事にコメントを載せます。一緒に読み合わせしましょう。あなたの感想や意見もお寄せください。
●特集T● 全世代型社会保障「改革」と人権    
 安倍内閣が2019年6月に発表した「骨太方針2019」の中で謳われている「全世代型社会保障の構築」の本質と、それに対抗する人権を尊重した社会保障改革の財源論、スウェーデンの職業教育の実態から社会保障における就労支援の在り方を、探る企画です。

•インタビュー 雨宮処凛さんに聞く 「ロスジェネ」と貧困問題 (雨宮処凛/聞き手 M畑芳和)
 「ロスジェネ」とは、ロストジェネレーションの略で、今の30代半ばから40代半ばくらいまでの世代、いわゆる就職氷河期に社会の入り口でつまづいたり、非正規化した人たちを指しています。この時期の人たちの代表格である雨宮処凛さんのインタビューは、流れをつかみ、今ある時代についてどうするかが述べられており、私たちが貧困問題を考えるときのおさらいをしています。押さえておきたい活字が多くあります、子どもたちとコミュニケーションをとってみてください。自己責任非正規職員若者バッシングプレカリアート1995年「新時代の「日本的経営」という報告書」、生再設計第一世代30万人、「犠牲の累進性」、貧困バッシング2008年年越し派遣村メニューを出さない役所、などの言葉をつかんでください。
•「全世代型社会保障への転換」の目指す方向と対抗軸 (芝田英昭)
 社会保障財源の調達は大きな課題です。政府は、就労層や国民一般だけに負担を求め、社会保障における企業責任を問うことをしていません。世界各国での事業主保険料割合表が出ています。日本は25.6%であるのに、イギリス29.5%ドイツ34.6%、フランス42.1%イタリア34.5%、スウェーデン38.2%です。2010年の「国民健康・栄養調査」のみが、所得調査を行い、所得と健康度合いの関係性を示す資料を提供しています。これが明らかにしたことは生活習慣の乱れと所得の低さは相関関係にあることでした。このような調査をなぜ引き続き行わないのでしょうか。健康自己責任論を振りまくための落とし穴としたのです。このように政府は必要な資料を隠す、行わないなど非常に偏見を持っていることに注意したいものです。また今後知事を使っての地域医療構想の推進を図ろうとしています。県単位化が進む中で、県知事をその手先にしようとしているのです。このような政府に対して展望ある社会保障改革の対抗軸として、3点提案されています。これをぜひ確信として、広めて行きましょう。@市町村職員地住民の共同、A国保税応益割の廃止、B標準報酬月額の上限撤廃、です。
•「全世代型社会保障」と介護労働者の処遇問題 (井口克郎)
 社会福祉事業推進を曇らせ、若者層に高齢者をバッシングさせるイレオロギー的論調として、「高齢者は優遇されている」「シルバー民主主義」などのレッテル張りが目につきます。また消費税による社会保障の「充実」と、「目くらまし」を振りまき、本来行われるべき大企業や富裕層の負担強化を隠しています。この論文では、介護労働者の処遇改善策について、課題を提起しており、今政府が行っている「リーダー級」職員の待遇改善の欠陥を指摘し、要介護者や一般庶民の消費税増税が、サービス利用に躊躇を生む恐れを指摘しています。一方現在、過疎化の進む地域での、医療・介護保障の拡充で、高齢者も若者層も住み続けられる地域の創造が、急務になっていることを訴えています。社会保障制度が地域の雇用創出や経済振興策の手段として機能させることが大切です。
•消費税に頼らない社会保障財源のあり方 (梅原英治)
 冒頭の言葉、「消費税は法の下の平等、生存権、教育権、労働権などの人権を侵害します。社会保障は人間らしい労働生活を基礎に、人権に即した応能負担原則に基づく財源によるのが正しい在り方です。」に確信を持ちましょう。
消費税の持っている実態から、社会保障等の人権はどのように破壊が進んだのでしょうか。財源の限界を指摘し、財源の性格を明らかにしています。経済の順調な発展こそが、そこから生まれる租税と社会保険料を生み出すのです。消費税はこの健全な経済発展を阻害する働きを作り出す大元になっているのです。これに対して5点を指摘しています。また社会保障と消費税を組み合すなどと政府は言いますが、できもしないうそだと述べ、消費税の社会保障財源化は「社会保障関係費の抑圧装置」として機能してきたと告発しています。社会保障財源の在り方として、所得再分配の再建のため2つの柱を提言しています。人間らしい労働、税制に応能負担原則徹底が論じられています。

•「高等教育の無償化」施策の動向と課題 (姉崎洋一)
 高等教育の無償化が日本ではなぜ進まないのか、この流れが歴史的に追跡されています。いまや国際的にもスタンダードとなっている問題について、政府は、あれこれの制約をかけ、真の無償化にブレーキをかけていることを見ておかなければいけないのです。また、憲法26条第2項後段「義務教育は、これを無償とする」について憲法学者、教育学者の間でも意見が分かれている実態が明らかにされています。この学説論争も「政策」から人間らしく生きる上での教育の無償化に入りつつあるようです。今後多くの大学生の運動を支援するとともに、自治体として独自の奨学金制度を設ける条例づくりに参画したいものです。
•スウェーデンの職業教育 (奥村芳孝)
 スウェーデン社会での教育に対する立場は、移民政策が大きく関与しているのだなと思います。社会福祉事業の根幹は働きながら安定した生活を保障する・その中に教育も含まれているのだと感じました。高校教育のプログラムの中で、職業プログラム参加者が28%もあること、導入プログラムといわれるものが14.7%もあるのですから、複雑といえば複雑ですが、社会として必要な労働力を供給する立場なのです。また成人教育も盛んなのに驚きます。教育の前に経済的援助がついていることにも感心します。
●特集U● 第61回自治体学校in静岡
•報告 第61回自治体学校in
静岡を終えて (川瀬憲子)

 静岡市での全国自治体学校開催は今回2度目とか、当日参加者約700人トータル950人と成功したようです。来年は広島市での開催、頑張りましょう。
•浜岡で原発の危険性を体感、静岡で新エネルギーの検証 (岡村哲志)
 普通の生活の中に原発がある浜岡原発の現地報告です。改めて世界一危険な原発という言葉が身についたのではないでしょうか。ペレット内に残った死の灰は無害になるまで10万年かかるとか津波の高さの試算は22.5mとか、中電の対応はどうなっているのでしょうか。また市民レベルでの地産地消のエネルギーの取組の交換が行われ、全国からの報告もさぞさまざまだったことでしょうし、外国資本のメガソーラーの問題も提起されています。
•「ふじのくに茶の都ミュージアム」と茶・農業生産者との懇談 (照井 健)
 静岡の茶園は大政奉還により駿府で職を失った武士たちが苦労を重ねて開拓したとか。歴史と農業の関係を掘り起こしています。また小規模基盤整備が試され進んでいることは、多様な変化についていくことができる気質を表しています。世界農業遺産「静岡の茶相場農法」とは、驚きましたし、それを支えているのが40代の若者たちだとは、クリエイティブな仕事だからでしょうか。
•富士山世界遺産センターと自衛隊東富士演習場をめぐる (山本 剛)
 富士山は文化遺産で、信仰の対象です。その富士山に向かって大砲が撃たれるのです。どう位置付けるのでしょうか。現地駒門の駐屯地は、住民生活の中にあり、今回の現地参加者は日常人ではなく自衛隊の見張りの対象となり職務質問されたようです。この市街地に戦車、装甲車が通常の車両として行きかうなど、これに慣れた生活も、要注意です。岩国・呉を抱えている広島も研究してみないといけませんね。
•問われるべきは沖縄差別を放置してきた日本政府の不作為(やるやる詐欺) (川瀬光義)
 いま日本の周り諸国で起きている地方の抑圧について論じています。香港での住民運動、ウイグル人の自治区に対する中国政府の動き、台湾での国民党と独立志向政党の動きなど、これらを対岸視しないで、沖縄の辺野古軍事基地解消の課題に対する政府自民党の「やるやる詐欺」に対し、私たち自身の問題として、自己点検することが大切だとと言っています。今回の参議院選挙前に市民連合と野党間で、13項目の政策合意が作成されたことは素晴らしい自己点検から生まれたと評価しています。
•書評 寺島 渉著『地方議会改革の10年』 (江藤俊昭)
 寺島さんは、住民と自治に議会改革の講座を持って、10数回の連載をしてくださった方で、住民自治の高まりで議会改革が進むと評されていました。この人の経験が豊富に入っている本です。新人議員・いや議員全員の方は是非読んでください。実践してください。
●連載●
•おんなのRun76
 布の絵本、その「ひと針の行動」から (渡邊順子

 子どもの成長を願う親たちに、「テレビ子守」「育児ノイローゼ」対策の解消を訴える手として、布の絵本作りを提唱されています。絵本の根底には『人権・環境・平和』の願いがあり、その実現に向けてこの活動を38年間されてきたそうです。

•@NEWS 憲法から見た「あいちトリエンナーレ2019 表現の不自由展・その後」 (清水雅彦)
 突如として展示物に対する言いがかりが起き、展示が中止になったこの事件、この問題にある表現の自由21条の課題と憲法尊重に義務違反99条が取り上げられています。「国益」「公益および公に秩序」「国家の安全と社会秩序」などの言葉がどんどん実践されており、これに歯向うことがいま求められています。
•子どもの未来図 第7回 子どもの貧困─GDP世界3位の国で、なんでヒンコン?!─ (浅井春夫)
 この表題の疑問は多くの国民が持っていますが、どう行動すればいいのかわかりません。先生は絶対的貧困と相対的貧困とを理解することが大切だと言っています。子どもパッシングを行った三原じゅんこ議員に大きな怒りを覚えます。長期休暇で痩せる子が出現している社会の中で、食生活の貧困は、生活リズムの形成のためにも改善が必要です。
•行こう Zoo-Zoo-Zoo 第4回 動物園と環境教育 (森角興起
 動物園は「教育」で朗んじられ、今は「情操教育」から「環境教育」へ進化しているのです。この横浜では、動物園から学校へ出前講座が行われているようです。後継者作りでもあるとか。試行錯誤の続く活動です。

•おいでよ43 下條村 (金田憲治)
J
つうしん

 広島から橋本事務局長が投稿しています。平和宣言について述べています。
•史跡さんぽ52
•編集後記

2019年10月号 読者ページ 

 (2019/09/18)
 
目次
事務局として気になった記事にコメントを載せます。一緒に読み合わせしましょう。あなたの感想や意見もお寄せください。
●特集T● 全世代型社会保障「改革」と人権    
 安倍内閣が2019年6月に発表した「骨太方針2019」の中で謳われている「全世代型社会保障の構築」の本質と、それに対抗する人権を尊重した社会保障改革の財源論、スウェーデンの職業教育の実態から社会保障における就労支援の在り方を、探る企画です。

•インタビュー 雨宮処凛さんに聞く 「ロスジェネ」と貧困問題 (雨宮処凛/聞き手 M畑芳和)
 「ロスジェネ」とは、ロストジェネレーションの略で、今の30代半ばから40代半ばくらいまでの世代、いわゆる就職氷河期に社会の入り口でつまづいたり、非正規化した人たちを指しています。この時期の人たちの代表格である雨宮処凛さんのインタビューは、流れをつかみ、今ある時代についてどうするかが述べられており、私たちが貧困問題を考えるときのおさらいをしています。押さえておきたい活字が多くあります、子どもたちとコミュニケーションをとってみてください。自己責任非正規職員若者バッシングプレカリアート1995年「新時代の「日本的経営」という報告書」、生再設計第一世代30万人、「犠牲の累進性」、貧困バッシング2008年年越し派遣村メニューを出さない役所、などの言葉をつかんでください。
•「全世代型社会保障への転換」の目指す方向と対抗軸 (芝田英昭)
 社会保障財源の調達は大きな課題です。政府は、就労層や国民一般だけに負担を求め、社会保障における企業責任を問うことをしていません。世界各国での事業主保険料割合表が出ています。日本は25.6%であるのに、イギリス29.5%ドイツ34.6%、フランス42.1%イタリア34.5%、スウェーデン38.2%です。2010年の「国民健康・栄養調査」のみが、所得調査を行い、所得と健康度合いの関係性を示す資料を提供しています。これが明らかにしたことは生活習慣の乱れと所得の低さは相関関係にあることでした。このような調査をなぜ引き続き行わないのでしょうか。健康自己責任論を振りまくための落とし穴としたのです。このように政府は必要な資料を隠す、行わないなど非常に偏見を持っていることに注意したいものです。また今後知事を使っての地域医療構想の推進を図ろうとしています。県単位化が進む中で、県知事をその手先にしようとしているのです。このような政府に対して展望ある社会保障改革の対抗軸として、3点提案されています。これをぜひ確信として、広めて行きましょう。@市町村職員地住民の共同、A国保税応益割の廃止、B標準報酬月額の上限撤廃、です。
•「全世代型社会保障」と介護労働者の処遇問題 (井口克郎)
 社会福祉事業推進を曇らせ、若者層に高齢者をバッシングさせるイレオロギー的論調として、「高齢者は優遇されている」「シルバー民主主義」などのレッテル張りが目につきます。また消費税による社会保障の「充実」と、「目くらまし」を振りまき、本来行われるべき大企業や富裕層の負担強化を隠しています。この論文では、介護労働者の処遇改善策について、課題を提起しており、今政府が行っている「リーダー級」職員の待遇改善の欠陥を指摘し、要介護者や一般庶民の消費税増税が、サービス利用に躊躇を生む恐れを指摘しています。一方現在、過疎化の進む地域での、医療・介護保障の拡充で、高齢者も若者層も住み続けられる地域の創造が、急務になっていることを訴えています。社会保障制度が地域の雇用創出や経済振興策の手段として機能させることが大切です。
•消費税に頼らない社会保障財源のあり方 (梅原英治)
 冒頭の言葉、「消費税は法の下の平等、生存権、教育権、労働権などの人権を侵害します。社会保障は人間らしい労働生活を基礎に、人権に即した応能負担原則に基づく財源によるのが正しい在り方です。」に確信を持ちましょう。
消費税の持っている実態から、社会保障等の人権はどのように破壊が進んだのでしょうか。財源の限界を指摘し、財源の性格を明らかにしています。経済の順調な発展こそが、そこから生まれる租税と社会保険料を生み出すのです。消費税はこの健全な経済発展を阻害する働きを作り出す大元になっているのです。これに対して5点を指摘しています。また社会保障と消費税を組み合すなどと政府は言いますが、できもしないうそだと述べ、消費税の社会保障財源化は「社会保障関係費の抑圧装置」として機能してきたと告発しています。社会保障財源の在り方として、所得再分配の再建のため2つの柱を提言しています。人間らしい労働、税制に応能負担原則徹底が論じられています。

•「高等教育の無償化」施策の動向と課題 (姉崎洋一)
 高等教育の無償化が日本ではなぜ進まないのか、この流れが歴史的に追跡されています。いまや国際的にもスタンダードとなっている問題について、政府は、あれこれの制約をかけ、真の無償化にブレーキをかけていることを見ておかなければいけないのです。また、憲法26条第2項後段「義務教育は、これを無償とする」について憲法学者、教育学者の間でも意見が分かれている実態が明らかにされています。この学説論争も「政策」から人間らしく生きる上での教育の無償化に入りつつあるようです。今後多くの大学生の運動を支援するとともに、自治体として独自の奨学金制度を設ける条例づくりに参画したいものです。
•スウェーデンの職業教育 (奥村芳孝)
 スウェーデン社会での教育に対する立場は、移民政策が大きく関与しているのだなと思います。社会福祉事業の根幹は働きながら安定した生活を保障する・その中に教育も含まれているのだと感じました。高校教育のプログラムの中で、職業プログラム参加者が28%もあること、導入プログラムといわれるものが14.7%もあるのですから、複雑といえば複雑ですが、社会として必要な労働力を供給する立場なのです。また成人教育も盛んなのに驚きます。教育の前に経済的援助がついていることにも感心します。
●特集U● 第61回自治体学校in静岡
•報告 第61回自治体学校in
静岡を終えて (川瀬憲子)

 静岡市での全国自治体学校開催は今回2度目とか、当日参加者約700人トータル950人と成功したようです。来年は広島市での開催、頑張りましょう。
•浜岡で原発の危険性を体感、静岡で新エネルギーの検証 (岡村哲志)
 普通の生活の中に原発がある浜岡原発の現地報告です。改めて世界一危険な原発という言葉が身についたのではないでしょうか。ペレット内に残った死の灰は無害になるまで10万年かかるとか津波の高さの試算は22.5mとか、中電の対応はどうなっているのでしょうか。また市民レベルでの地産地消のエネルギーの取組の交換が行われ、全国からの報告もさぞさまざまだったことでしょうし、外国資本のメガソーラーの問題も提起されています。
•「ふじのくに茶の都ミュージアム」と茶・農業生産者との懇談 (照井 健)
 静岡の茶園は大政奉還により駿府で職を失った武士たちが苦労を重ねて開拓したとか。歴史と農業の関係を掘り起こしています。また小規模基盤整備が試され進んでいることは、多様な変化についていくことができる気質を表しています。世界農業遺産「静岡の茶相場農法」とは、驚きましたし、それを支えているのが40代の若者たちだとは、クリエイティブな仕事だからでしょうか。
•富士山世界遺産センターと自衛隊東富士演習場をめぐる (山本 剛)
 富士山は文化遺産で、信仰の対象です。その富士山に向かって大砲が撃たれるのです。どう位置付けるのでしょうか。現地駒門の駐屯地は、住民生活の中にあり、今回の現地参加者は日常人ではなく自衛隊の見張りの対象となり職務質問されたようです。この市街地に戦車、装甲車が通常の車両として行きかうなど、これに慣れた生活も、要注意です。岩国・呉を抱えている広島も研究してみないといけませんね。
•問われるべきは沖縄差別を放置してきた日本政府の不作為(やるやる詐欺) (川瀬光義)
 いま日本の周り諸国で起きている地方の抑圧について論じています。香港での住民運動、ウイグル人の自治区に対する中国政府の動き、台湾での国民党と独立志向政党の動きなど、これらを対岸視しないで、沖縄の辺野古軍事基地解消の課題に対する政府自民党の「やるやる詐欺」に対し、私たち自身の問題として、自己点検することが大切だとと言っています。今回の参議院選挙前に市民連合と野党間で、13項目の政策合意が作成されたことは素晴らしい自己点検から生まれたと評価しています。
•書評 寺島 渉著『地方議会改革の10年』 (江藤俊昭)
 寺島さんは、住民と自治に議会改革の講座を持って、10数回の連載をしてくださった方で、住民自治の高まりで議会改革が進むと評されていました。この人の経験が豊富に入っている本です。新人議員・いや議員全員の方は是非読んでください。実践してください。
●連載●
•おんなのRun76
 布の絵本、その「ひと針の行動」から (渡邊順子

 子どもの成長を願う親たちに、「テレビ子守」「育児ノイローゼ」対策の解消を訴える手として、布の絵本作りを提唱されています。絵本の根底には『人権・環境・平和』の願いがあり、その実現に向けてこの活動を38年間されてきたそうです。

•@NEWS 憲法から見た「あいちトリエンナーレ2019 表現の不自由展・その後」 (清水雅彦)
 突如として展示物に対する言いがかりが起き、展示が中止になったこの事件、この問題にある表現の自由21条の課題と憲法尊重に義務違反99条が取り上げられています。「国益」「公益および公に秩序」「国家の安全と社会秩序」などの言葉がどんどん実践されており、これに歯向うことがいま求められています。
•子どもの未来図 第7回 子どもの貧困─GDP世界3位の国で、なんでヒンコン?!─ (浅井春夫)
 この表題の疑問は多くの国民が持っていますが、どう行動すればいいのかわかりません。先生は絶対的貧困と相対的貧困とを理解することが大切だと言っています。子どもパッシングを行った三原じゅんこ議員に大きな怒りを覚えます。長期休暇で痩せる子が出現している社会の中で、食生活の貧困は、生活リズムの形成のためにも改善が必要です。
•行こう Zoo-Zoo-Zoo 第4回 動物園と環境教育 (森角興起
 動物園は「教育」で朗んじられ、今は「情操教育」から「環境教育」へ進化しているのです。この横浜では、動物園から学校へ出前講座が行われているようです。後継者作りでもあるとか。試行錯誤の続く活動です。

•おいでよ43 下條村 (金田憲治)
J
つうしん

 広島から橋本事務局長が投稿しています。平和宣言について述べています。
•史跡さんぽ52
•編集後記

2019年9月号 読者ページ

 (2019/08/29)
 
目次
 事務局として気になった記事にコメントを載せます。一緒に読み合わせしましょう.。あなたの感想や意見もお寄せください。
●特集●「官と民」、その連携のあるべき姿
     「官民」連携には、新自由主義の進展と福祉国家の後退という潮流の中で進められている側面と、他方でそれが求められる公共サービスの領域が広がってきている実態があります。このことを踏まえその実例を学びましょう
・「官民連携」の到達点と新たな連携像  森 裕之
 この問題を考える時、「市場主義」「公的責任主義」の言葉を改めて見直す必要があると思います。水と油の関係と言い放してばかりではいられません、原理的に判断すれば、住民は必要な公共事業・サービスがきちんと供給されるのであれば、その主体が官であろうが民であろうが構わないのです。しかし、公共事業・サービスは生存権・生活権を保障する社会的共同条件であり、それが安定的・持続的に供給されなければ、住民の暮らしは直ちに危機に陥ってしまいます。このときに「民の欠陥」がどのようなものかを挙げると、@サービスの安定性・持続性のリスク、Aサービス・財務内容の不透明性とチェック能力の喪失、B社会的コストの発生リスク、C財政コストの増加、D公共性の腐敗の5つあり、これが解説されています。また英国でのPFIの実態について解明され、2040構想が進めるこの考え方の危なさにも言及しています。
 生活困窮者自立支援事業、地域包括ケアシステム、地域エネルギー政策、中小企業政策などについては、今後公共サービスの拡大の必要な事業として協働の取り組みの提起がされています。

・横浜市における共創(公民連携)の取り組みについて  河村昌美・中川悦宏
 前段の森先生の論を踏まえて横浜の提言を読んでいます。公民連携のさらなる発展としての「共創」の取り組みは、対話を促進するためや、SNSやAIの社会的活用で、コンビニでの在庫品を生活困窮者などへの支援に繋げるなど、市民サービスの向上に活動しているようです。
・認定就労訓練事業実施の意義 ─訓練事業者との随意契約に関する考察を通して─ 森川隆彦
 生活困窮者の就労実態の支援活動が報告されています。生活困窮者の生活実態をよく把握された人しかつかめない事項が多くあり感心しました。
この法律が述べている、働き方改革の「多様性」を兵庫県伊丹市の担当者は、よく労働需要の実態として把握されていると思います。一般的な就労との違い、つまづく人の特徴に私たちは目を大きくする必要があると思います。「真面目さ」「プレッシャー」「ペナルティー」「拘束性の有無」「柔軟性」「随意契約」などの活字を深く読み込んでいきたいものです。

・生活困窮者支援を通じた住民の生活力形成と「官民協働」 櫛部武俊
 釧路市の生活困窮者に対する行政の動きを、国の法改正の歴史的な変遷を携えてまとめています。「住民一人ひとりの生活力を個人の努力から社会や地域にかかわる作法へと高め、住民の自治力や管理能力につなぐことが大事」と指摘しています。事業参加者の言葉、「このような年になっても自分を変えることはできるんじゃないかと思えるようになった」という言葉が釧路モデル事業から生まれたようです。また、フキを特産物にして生まれ起きした、「音別未来のくらし」の活動が取り上げられています。官だけでなく民も実は縦割りの中に投げ込まれているという自覚から連携を考えることが必要と述べていますよ。
・みんなで協働し、ごみゼロの町へ 上勝町ごみゼロ(ゼロ・ウェイスト)宣言 菅 翠
 ゼロ・ウェイストが現地の実績から報告されています。徳島県上勝町人口1525人のまちでの取り組みです。ゴミ処理の徹底分別を地域住民と協働を行い、2017年度には、総排出量286トン・内焼却・埋め立て量58トン、リサイク率は79.7%にまでかなり資源化が進んだとのことです。この町では、ごみ収集車を走らせたことがなく、ごみを町内1か所の収集拠点に住民自ら持ち込んでおり、分別は34類になっています。そもそも「ごみになるものを減らすか」の課題に、他の市町との連携が求められています。

○インタビュー 地域内循環で地域が潤う「官民」連携 内藤昌典
 愛媛県内子町の地域内循環経済の生い立ちが報告されています。内藤さんは、製材・木工機械の販売と修理、および木質ペレットの製造販売を行っている一事業者さんです。町のバイオマスタウン構想の政策を町の窓口に通い知り、一緒に新たな政策具体化に参画されてきた歴史が語られています。また地域経済の活動に、振興券「ドン券」の活用が地域経済の循環に役立っていること、バイオマス発電所立ち上げで、ますます完成しているようです。このような官民の在り方の事例を広めていきたいものです。

○「スーパーシティ」構想と国家戦略特区 内田聖子
 2019年の国会の中で、まったく審議もできなかったこの「スーパーシティ」を実現するための国家戦略特区法改正案の問題点を挙げています。もともと、国家戦略で作られた加計学園問題にみられる安倍内閣の
縁故主義の性格を継いだ政策なのです。今10の区域が設定されていますが、この推進委員の一人として竹中平蔵氏がこのスーパーシティ構想にも関与しています。自治体の機能やコミュニティと住民の生活のすべてにAI・ビッグデータなどの技術を徹底的に埋め込んでいくプランだと言っています。本来地域再生のための政策を抜きにしたスパーシティ構想は、外資系を含む大企業の利益にはなっても、地域経済の活性化や住民の利益にはつながりません。権利の問題、社会の課題、環境の課題、平等性の課題、自治の課題を指摘し、仮に法案が通れば、現時点では福島県会津若松市や福岡市が名乗りを上げ神奈川県藤沢市もやる気を見せています。無条件・無批判にそれを受け入れるのではなく、市民社会や住民自治にとってどのようなリスクと懸念があるのかを私たち自身が提起し、それらを議論し政策提言をするスペースを社会の中に広げなければなりません。
○神奈川県版 中小企業団体で共同受注事業を実施 内田 進
 改めて日本の中小企業業者数の割合を上げてみますと、99.7%、84.9%、という数字が出ています。日本を支える中小企業の活性化に向けた政策・施策がより効果的になるよう中小企業庁が生まれ、それを支える、商工会・商工会議所・中小企業団体中央会が特別法で作られています。その中の中央会の活動の紹介です。4社以上の中小企業で設置する認可法人の設立・運営・解散の支援をするのが「事業協同組合」です。この組合の活動で、官公需を、企業の経営に寄与しているのか、社会的にも経済的にもWINーWINとなる関係が作られるのかが大切で、事例3種を見て考えてください。このような支援の在り方が広まればいいと思いました。
○書評 鶴田廣巳・藤永のぶよ編著『税金は何のためにあるの』 鍋谷裕志
 この本に注目したのは、安倍内閣に税を払って何になるのかわからなく思っていた時で、税金に関心を持つ人の入門書として読んでいただけるのではないかと思います。
●連載●
・おんなのRun75 釜ヶ崎で井戸を掘る、いのちといのり 上田假奈代

 詩人にとってここ釜ヶ崎は、芸術の根源であると言って、活動されています。その一つを紹介しています。困難な問題や状況はあっても、問題な人生はないと言っておられます。
・@NEWS 神戸市 中心部でのタワマン建築規制の条例可決 中林 浩
 高層建築で、人口の集積を行い、経済が活性化すると思い込んでいる市長もいます。が、超高層の集合住宅は、災害時の安全性の問題、将来的なメンテナンスがうまく行えるかの疑問があり、巨大な不良資産となりそうなものを禁じた条例案だといわれています。改めて都市空間の在り方が問われます。
・子どもの未来図 第6回 ゼロトレランスと管理教育 ─文科省のいじめ対策と学校のいじめ構造の問題点─ 浅井春夫
 今学校文化は「ゼロトレランス」だというのです。またの名を「破れ窓理論」といいますが、積極的に導入・拡大され学校の空気を創っているというのです。犯罪学の理論を学校運営・生徒指導に適用し有効と考えている今の教育界はどうかしています。なぜいじめがなくならないのか、管理教育の行きつく先がすでに表れています。早期にこの理論の払拭を願うものです。
・最終回 世田谷区公契約条例 公契約条例で住みたいまちへ、働きたいまちへ 徹底した合意形成と条例運用の改善 中村重美
 公契約条例の広がりの全国表が出ています。広島県内は庄原市のみです。この条例を作り発展させることは、徹底した合意形成と条例運用の「進化」が重要だと述べておられます。今後とも全国での事例交流を行って進化させてください。公契約条例は、条例運用により、産業振興と住民福祉の増進を合わせ実現することを謳っているのです。ありがとうございました。
・行こう Zoo-Zoo-Zoo 第3回 飼育員の仕事あれこれ 森角興起
 飼育業務の基本は、掃除をして衛生状態を良好に保ち、動物や個体の状況に応じた適切な給餌をして、動物が常に健康でいられるようにすることと言っています。横浜市動物園では、飼育員は経験2年目になると、公益社団法人日本動物園水族館協会が主催する飼育技術師認定試験を受験します。合格すると、飼育技師という業界資格を得ることができます。このような制度で、専門性の見える化を図ってもらいたいものです。
Jつうしん
史跡さんぽ51
編集後記

 
公契約条例の広がり

2019年8月号 読者ページ

 (2019/07/19)
 

目次
 事務局として気になった記事にコメントを載せます。一緒に読み合わせしましょう.。あなたの感想や意見もお寄せください。
●特集● 外国人労働者が働き暮らす自治体
 広島県には、2017年10月末時点で、外国人労働者数は28,358人で、全国で第12位にもなり、多くのが労働者がいますが、この人たちについて、考えてみましょう。
•外国人労働者受け入れと自治体の役割 横濱竜也
 基本的な課題である、外国人労働者を受け入れることに対し、彼らに対する、自己責任がないことを前提にすると、受け入れる3つの理由として、@貧困から逃れるためにやってきた「経済難民」であること、A受け入れ国は、一定の便益を受けていること。B「余所者」扱いできない社会人であること。が掲げられています。このことを改めて確認したいと思います。
•外国人労働者受け入れ拡大と新制度の問題─入管難民法改正を受けて、4月からスタート─ 斉藤善久
 2018年12月8日、我が国の外国人労働政策を大転換する出入国管理及び難民認定法改正が成立し、2019年4月1日に施行されました。この改正の審議で、外国人技能実習生として、いわば裏口からの受け入れを行ってきたことに対し、外国人労働者の権利が著しく阻害されていることが明らかにされました。しかし、この改善が大きな課題だったのですが、移民政策ではないとしながら、特定技能制度の拡大で、より多くの外国労働者を多く集めるものに設計されたものにすぎません。外国人労働者の職業選択の自由・転職の自由・退職の自由の拡大が、言葉上だけいなく、実際に出来るよう制約を改正することを明記させ、制度改正を追求していきましょう。
•長野県飯田市の多文化共生社会推進に係る取り組み 林 みどり
 長野県飯田市での外国人の地域への受け入れ態勢の経過が述べられています。今日の経済情勢の変化が、中国人からベトナムに移った時期などが明らかになるとともに、一自治体が抱える多文化共生社会の熟成にも、大きな力が必要であることが分かります。言語の共有化が最初から出てくるあたり、この課題での日本語での意思疎通の難点が見れます。ボランティア活動に依拠するのではなく、自治体として取り組む必要性をもっと訴えてほしいものです。
•大阪市生野区 在日コリアンが外国にルーツをもつ子どもたちを支援するまち 柏原 誠
 外国の人たちが集住する地区として、北海道占冠村、の外国人比率が22.69%と一番高く、大阪市生野区が21.78%で全国2位です。ここの大正時代からの歴史の中で、朝鮮人の方々が1世から3世と有数の在日コリアンのコミュニティが産まれています。ここでの子どもの学習支援DO・YA、体験活動DO/COを現場から「多文化共生」の課題を見ています。また政府の外国人施策の問題点として、日本の植民地支配にもかかわるオールドカマーの存在が等閑視されている。すでに在日外国人270万人の半数以上は定住・永住資格を持ち、制限なく働き、家族を経営し子孫を残しています。これらの状況はすでに、国際通念上の移民です。真の多文化共生を実現するには基本法の制度とマジョリティーの意識変化が必要です。また自治体の運営において、外国人に地方参政権が必要ではないでしょうか。
•政策に翻弄される外国人労働者とその健康問題 沢田貴志
 経済的に貧困な状態で放置されている外国人の方々の健康問題にスポットを当ててこの間の結核の流行から推移を見ています。このような病気が産まれる情勢の変化は、所得の高い国からの労働者から所得の低い国のからの労働者の増加が指摘されており日本社会に直面する3つの課題を挙げています。1つは、地域の医療や福祉の混乱、2つ目は、日本社会全体の労働条件の引き下げ、3つ目は、日本企業が国際的なスタンダードから取り残される等を挙げています。
•「実習実施者等から失踪した技能実習生」に係る調査結果に対する声明 針ヶ谷健志
  弁護士さんから法律に対する詳細な説明が行われています。言葉の定義などこれを最初に読んでいきましょう。またこの法律に対する説明を行った法務省の考え方に厳しい疑問を示されています。この法律が動きだす中で、外国人労働者の実態を、より具体的につかむことが求められます。
•ドキュメンタリー映画『作兵衛さんと日本を掘る』「底」から未来へ向かう坑道 熊谷博子
 2011年5月25日に、山本作兵衛さんが描いた(筑豊炭田で幼いころ働いた、生粋の炭鉱夫。自らが体験した労働や暮らしを子や孫に伝えたいと、60代も半ば過ぎから、本格的に絵筆を執り2000枚も書きあげた)ものが、日本最初のユネスコ世界記憶遺産に登録されました。作兵衛さんが描いた中でのおんな鉱夫のカヤノさんの姿は、働く誇りを表しますが、炭鉱閉山と原発開発の歴史的すれ違いに怒りを感じます。
•先住権なき「アイヌ新法」ではなく…… 市川守弘
 2019年4月、国会はアイヌ新法を成立させましたが、この法理の持つ根本的な問題点として、アイヌ文化の理解がない点、アイヌのコタンに代わる現実を見ない点、先住民族に対する世界の動きを参考にしない点など、本当に愚かなものだと思いました。明治政府が行った150年間の施策を本当に反省しなおすことが、まずは出発点ではないでしょうか。私たちもこの問題にもっと関心を持って行こうではありませんか。アメリカでインデアン再組織法など参考にすべき法律があります。
•自治体問題研究所第59回総会報告
 全国自治研の活動状況とこれからに取り組みが間接に述べられ地ます。ことは、昨年度を上回る42団体からメッセージ・祝電がありました。またとっと英、高山のまちづくりの結集も報告されました。
●連載●
•@NEWS
 故郷に戻れないクルド人─難民申請者と家族への支援─ 松澤秀延
 世界の難民問題で、日本にもクルド人の方々が今難民申請をしているとのこと、かららはトルコからの難民で、難民と認定された人は一人もいないとのことです。彼らは仮放免という不安定な立場で、無権利な状態で、2000人を超えて、多くが埼玉県川口市、蕨氏に在住しています。クルドを知る会がボランティアで支援活動をしているようです。
•行こう 
Zoo-Zoo-Zoo 第2回 動物園で活躍する人々 森角興起
 動物園で働く人は、何かと兼務で忙しい飼育員で、就職するために資格は特に必要ないそうです。職員以外で動物園を盛り上げる重要な役割は、ボランティアの人たちなのです。海外では先進的な動物園では、教育専門スタッフ、研究所で教授制をとって複数の研究室を設けているところもあるのです。毎年小人数しか採用されず厳しい状況のようです。
•子どもの未来図 第5回 他者攻撃─「最大の防御は攻撃なり」の関係性の罠─ 浅井春夫
 今回はいじめの本質について述べて今う。この問題の最初の事件として、1986年2月に起きた経過が述べられています。おいじめの3要素、@「力関係のアンバランスとその乱用」A「被害性の存在」B「継続性ないしは反復性」を挙げています。また、いじめの3つの段階として、@「孤立化」A「無力化」B「透明化」に分けて説明されています。「ストレスフルな学校環境」を放置したままで、教え込み主義の「道徳」でいじめが解消されるわけでなく、一層大人に従順な子どもを作ることが進められています。いじめを生み出す「社会構造」「学校公像」「地域構造」の実態を把握することが今問われております。
•世田谷区公契約条例 公契約条例で住みたいまちへ、働きたいまちへ 第5回 世田谷区公契約条例に基づく委員会
・部会運営と区との関係 中村重美
 公契約条例の施行により、世田谷区でのこの運営は、条例によって、設置要領が定められこれに基づき運営が行われることが議事録の公開等で、同懇談会で明らかにされ改善が出来ました。またチェックシートの文言についても、条例の趣旨の説明や、報告事項の検証など条例の実効性を担保として、議論を積み重ねることが出来たようです。
•おいでよ41 上野村 黒澤八郎
Jつうしん
•史跡さんぽ50
•編集後記



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