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(憲法研究者声明(4月10日).docx)
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2018年4月10日、「自民党改憲案に反対する憲法研究者声明」が
署名者総数 134 名 2018年4月10日 現在 の賛同者により、発表されました。 憲法研究者として、この間の自民党改憲案に対し、厳しく論点をついたものとなっています。 専門家集団の自民党の憲法改正に対しする視点を、読み合わせて私たちの知恵にしていきましょう。 下記は事務局の独断によるものであり、原文を読んでください。 はじめに 2018年3月25日、自由民主党は党大会を開き、党の憲法改正推進本部がまとめた条文案(「たたき台素案」)に基づいて@自衛隊の憲法9条への明記、A緊急事態条項、B参議院の合区解消、C教育の充実の追加の4つの項目で憲法改正を進めていくことを確認した。 昨年の衆議院議員総選挙がおこなわれた時には、すでに改ざんが行われていたのである。改ざんの事実が明らかになっていれば選挙結果も異なっていた可能性がある。その全貌の解明なくして進められる憲法改正は、まさに、権力者のための憲法改正にならざるをえないであろう。 次に、わたしたちは、日本国憲法が制定以来日本国の基軸として機能し、日本国民の幸福な生活のために役立ってきたと考える。 以下で、自民党による憲法改正提案がもつ問題点を指摘する。 9条改憲案の問題点 @の自衛隊を明記するという9条改正については、2項を残した上で、9条の2として、「必要な自衛の措置」のための「実力組織」として「自衛隊を保持する」という条文を追加するという案が有力視されている。 自衛隊を憲法で承認し、正式に合憲化することは、自衛隊員のためにも良いことだと考える人もいるかもしれないが、それは全く反対である。 緊急事態条項の問題点 Aの改正については、国会議員の選挙が困難な場合における任期延長と、災害において法律に代わる政令を認める真の意味での「緊急事態条項」との二つが提示されている。 前者については、「大地震その他の異常かつ大規模な災害」が仮に起ったとしても、国政選挙全体を不能にするということなどは通常考えられない。 後者は、「大地震その他の異常かつ大規模な災害」の際に、内閣が法律と同様の効力をもつ政令を制定できるとする。しかし、災害対策基本法など災害に対処するための法律はすでに存在している。これまでの災害の事例をみても、内閣が立法権をもっていればより効果的な災害対処ができたとはいえないだろう。 さらに、自民党案の緊急事態条項は、9条改正と密接な関係がある。 参議院の合区解消規定と教育の充実規定の問題点 Bの合区の解消には参議院選挙区の定数を増やしたり、選挙区選出をやめて比例代表に一本化するという方法もあり、必ずしも憲法改正による必要はない。 二院制に関する大きな問題に発展せざるをえない。さらに、具体的に提案された条文をみると、衆議院議員の投票価値の平等の憲法判断に影響を与える可能性もある。 Cの教育の充実に関しては、経済的理由による教育上の差別の禁止や国の教育環境整備義務は、現行の26条から当然に導かれる内容であり、憲法を改正する必要はない。 おわりに 憲法改正の提案は、真摯になされなければならない。自民党の憲法改正の提案は、内容においても、また、時期的にも、国民に提案されるだけの真剣さが足りないと言わざるをえない。わたしたちは、自民党の憲法改正の提案に強く反対する。
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