2020年4月臨時議会(5月1日採決分まで)について
2020年5月8日
4月臨時議会が4月30日、5月1日の2日間、開かれました。これは新型コロナウイルス感染症の拡大防止をはじめ、国の「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」などを活用し緊急対策を実施するためです。質疑には議会交渉会派が質問しました。 補正予算額は、一般会計423億2300万円、企業会計1億300万円、合計424億2500万円です。以下おもなものを列挙します。
●感染拡大防止対策(26億円) ・PCR検査設備整備、検査用機器・試薬等の購入と要員経費 1億3500万円 ・ドライブスルー方式での検体採取 6600万円 ・民間検査機関でのPCR検査の実施 2億4500万円 ・感染が発生した事業所への支援金 4000万円 ・児童・高齢者・障害者福祉施設、 学校などへマスク・消毒液の購入など 15億200万円
●医療提供体制の確保(56億円) ・簡易陰圧装置や人工呼吸器、ECMOの整備 12憶3700万円 重症・中等患者127床を270床に 2000万円 ・無症状・軽症者の療養施設の借り上げ・運営 24億6400万円 ・医療機関へのマスク及び感染症指定医療機関等への 消毒液、防護服など購入 14億2700万円 ・医療従事者への特殊勤務手当 3000万円
●3密を避けた事業継続と雇用維持(294億円) ・感染拡大防止協力支援金 93億9000万円 ・新型コロナウイルス感染症に対応、民間金融機関を活用した 県の無利子・無担保融資(融資枠3000億円) 196億4000万円 ・飲食店のデリバリーへの新規参入 8000万円 ・新型コロナ感染症による離職者を新規雇用する建設業者への助成 1億2000万円
●安全・安心な県民生活(20億円) ・新型コロナ感染症による休業、緊急貸付(緊急小口資金) 7億8300万円 ・私立学校・県立大学の授業料などの減免 2億5500万円 ・終日開所する放課後児童クラブへの支援 1億円 ・放課後等デイサービスなど利用者負担の経費補助 4億1400万円 ・高齢者支援施設、障害者支援施設など福祉サービスの継続 3億7400万円
●教育機会の確保(15億円) ・遠隔授業に必要なネットワーク接続機器の整備 8億8800万円 ・県立学校、クーラー未設置90教室の整備、維持費など県負担 4億8400万円
補正予算の特徴
事業継続支援として196億円(全体の46%)の予算をつけて、中小企業向けの実質無利子・無担保の制度融資を緊急に立ち上げました。窓口は民間金融機関で、利子分を県が負担します。融資枠は3000億円です。当面県が負担しますが、後で国から入金されます。
感染拡大防止協力支援金は93億9000万円で、県からの休業・時間短縮の要請(4月22日から5月6日まで)に協力した中小業者や個人事業者を対象に支援金が支給(50万から10万円)されます。 要請期間の4月22日から5月6日までの全期間、休業か時間短縮しなくては支援金が支給されません。私のところにも「期間の猶予、緩和、柔軟な対応をしてほしい」など多数相談が寄せられました。県に柔軟な対応をするよう働きかけるとともに、県への要望書にも入れ改善を求めました。
児童・高齢者・障害者の福祉施設と学校等へのマスクや消毒液など感染防止対策に15億円、医療関係へは14億円が予算措置されています。これで十分とは言えませんが当面の対策として対応するものです。PCR検査の検体採取にドライブスルー方式が採用されます。私は生活福祉保健委員会で、検体検査はもとより感染の実態をより明らかにするために「PCR検査センター」の設置を県に求めました。
県立学校、クーラーのない教室にクーラーの設置決まる
県立学校のクーラー未設置90教室にクーラーが整備されます。また、電気代など維持費も県負担になります。補正予算は4億8400万円です。昨年の9月議会で、私は「県立学校のクーラー未設置校へ県がクーラーの設置を行い、快適な教育環境を整備すべきだ」と強く求めていましたが、それが実現しました。 クーラー未設置校の普通教室には2019年4月からスポットエアコンが設置されましたが、猛暑の中スポットエアコンでは教室が十分冷えず、また音がやかましい、ブレーカーが落ちるなどの苦情が寄せられていました。このクーラー設置は学校や関係者から大変喜ばれています。
クーラーが県費で設置される県立高校
【全日制】佐伯、加計・芸北分校、御調、油木、上下、賀茂北、豊田、湯来南の8校 注)千代田高校と安芸高校はPTAの方で設置準備されていましたが、今回の決定で費用が県負担になりました。 【定時制】三原、福山葦陽、廿日市、松永、三次、宮島工業、因島、芦品まなびの8校 【通信制】西、東
補正予算は緊急に対応する事業であり、これで十分とは言えませんが賛成しました。 その他、各案については以下のように態度表明しました。
各議案に対する態度
各案にたいする態度を以下のように決め、表決にのぞみました。 (□=賛成、■=反対、△=棄権)
□臨県第 1号議案 令和2年度広島県一般会計補正予算(第1号) □臨県第 2号議案 令和2年度広島県病院事業会計補正予算(第1号) ■臨県第 3号議案 財産の処分について 2019年9月議会で議決された、広島クリスタルプラザ(広島市中区)とエストパルク(福山市)の土地信託事業の清算に関する議案です。 3号がエストパルクの処分について、4号が広島クリスタルプラザの処分です。 この土地信託事業は、県がバブル期に計画したもので、借金額は73億円余りに膨れていました。売却額の目安は41億8千万円で差額の31億3300万円は公金で穴埋めするというものでした。日本共産党は「まさに税金のムダ遣いだ。県の責任が問われるもので、土地信託事業のやり方が悪かったのではなく、県の事業にしたことがそもそもの間違いだ」と反対しました。 今年3月、エストパルクは最低価格の1・2倍の12億9500万円、広島クリスタルプラザは同1・8倍の59億8800万円で売却が決定し、公費の穴埋めは回避されました。しかし、それはたまたまのことです。 今後は、7月までに借金を返し、売却代金を受け取って8月までに事業を清算する予定とのことです。
■臨県第 4号議案 財産の処分について 3号議案と同じ理由で反対です。
■臨県第 5号議案 財産の信託の変更について 3号議案と同じ理由で反対です。
■報第 4号議案 知事等の損害賠償責任の一部免責に関する条例の一部改正について 今年の2月議会に「知事等の損害賠償責任の一部免責に関する条例案」が出され、日本共産党は反対しました。 同条例は「地方自治法の一部が改正されたことに伴い、知事等の県に対する損害賠償責任を一部免責させるため、知事等が負う最低負担額等について必要事項を規定」するものです。 日本共産党の山下よしき参院議員は、2017年5月30日の参院総務委員会で、「首長が違法な支出などの暴走行為を行った場合、住民が直接是正する制度である住民訴訟の抑制をもたらす」との理由で、この地方自治法改定案に反対しています。また、多数の住民訴訟の代理人となった弁護士からは「住民側はどうせ権利放棄されると思うと住民訴訟を提起する意欲が減退する」と批判が出ていました。 日本共産党県議団は、そのような理由で今年2月の条例案に反対しており、今議会の一部改訂にも反対しました。
■報県第 5号議案 広島県税条例の一部改正について 地方税法などの一部が改正(3月27日の参議院本会議で可決・成立)されたことに伴い、県税条例の関係規定が改正されました。 日本共産党国会議員団は「今回の地方税改正は、企業版ふるさと納税の拡充や森林環境譲与税の見直しなど過去の税制改正が作り出してきた地方税制の歪みをいっそう拡大する内容。必要な措置も一部含まれるものの、全体として安倍政権の矛盾した地方政策を反映した改正となっている」との理由で、法案に反対しています。 法人事業税の「電気供給業のうち小売・発電事業に対する課税方式の見直し」については、業界団体や経団連の要求を受け入れ、収入割のみだったものに所得割(付加価値割、資本割)を加えました。今後、この改正を契機として、経済界の要望通りの所得割への全面移行が強硬に進められないよう、注視する必要があります。
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